
前回の記事では、1つ目のインテントデータに投資するタイミングについて書かせていただきました。
- 組織のニーズは何ですか?インテントデータで何を改善したいですか?
- 組織内に、すでに戦略はありますか?
- どのようなリソース(従業員の時間やスキル、コアテクノロジーなど)がインテントデータに使えそうですか?
まだ読んでいないという方は、ぜひpart1からお読みください。
今回は2つ目の「適切な戦略を立てる」について説明します。課題解決に取り組む前に、適切な戦略を立てることで、投資から最大限の効果を引き出せます。
Ascend2の調査レポートによると、保有している会社のデータを一貫性を持って活用できていない、と半数以上 (55%) が回答しています。また、インテントデータ活用の最大の課題は「データ使用の戦略を立てること」(43%)であることが分かっています。
この記事では、インテントデータを上手く活用するための「8つの戦略」をご紹介します。
活用場面から考える
組織のニーズが明確で、インテントデータの活用方法を理解しているのであれば、活用場面を設定してみましょう。マーケティング分野でインテントデータが活用されることが多いので、マーケティング分野の活用場面を設定することをおすすめします。
多くの企業は、有料のメディア広告(記事配信、デジタル広告など)のアカウント優先順位付けから始めます。これは自社の製品やソリューションに興味関心のあるアカウントにのみ、時間、労力、予算を割り当てることができるからです。その結果、より良い集客力と広告費の節約にもつながります。
上記のようなマーケティングの初歩的な活用場面で結果を出した後は、さらにほかの活用方法へ拡張可能です。例えば、アカウントやリード広告の評価基準としてインテントデータを活用できます。また、顧客アカウントにはどのメッセージや担当者(BDR)を当てるべきかを判断できます。さらには、インテントデータが示すシグナルに合わせて営業活動を最適化することもできます。
そしてそれぞれの活用場面では、必ず結果を測定し、何がうまくいっているのか、どこに問題があるのかを特定していきます。評価基準を設定し、分析をしてみましょう。
評価基準を設定し、効果を把握する
上記で記述した通り、何が有効で何に注意が必要かを知るには、評価基準を設定することが重要です。
インテントデータ活用の前に、活用場面のパフォーマンスを分析し文書化します。例えば、記事配信などを行う前に、顧客の需要を知るために以下の項目をデータ化したいと考えます。
- 需要分析の転換率(例:リード広告からMQL、SQL、販売機会への連結など)
- マーケティングに影響する連結経路
- ターゲットとなる顧客アカウントの販売率
- 平均取引の量
- 1回あたりのコスト
インテントデータ活用前と活用後のパフォーマンスについて十分なデータを収集したら、その結果を比較します。そうすれば、インテントデータへの投資リターンを視覚化できます。そして、いつ、どのようにプログラムを拡張するか、データ分析に基づいてより良い意思決定ができるようになります。
見込み客の経路をマッピングする
これは、BtoBマーケティング活動全般にいえることですが、インテントデータを使用する場合はさらに重要です。長い販売サイクルの中で、見込み客をより引き込むには提供する情報を精査し、戦略的になる必要があります。見込み客の経路を把握し、どの段階にいるのかを理解することで顧客ごとに適切な戦術、コンテンツ、メッセージを選択が可能です。結果として、より良い体験を提供でき、集客力の向上、販売戦略全体の一貫した成長を実現できます。
顧客の経路をしっかりと理解することは、インテントデータ活用ではとても重要です。なぜなら、データ分析から発せられるシグナルによって、見込み客が経路のどこにいるかが分かるからです。そして、これらのデータ分析を使用し、顧客のアカウントに必要な情報を、必要な時に提供できるようになります。
たとえば、関連トピックやキーワードを積極的にリサーチしている顧客(製品、ソリューション、ブランドではなく)は、購入経路のかなり早い段階に位置しています。このようなアカウントの顧客には、ブランドや製品に特化したメッセージは効果が薄いです。そのため彼らのリサーチに関連したメッセージで、トップファネル・エンゲージメント戦術(プログラマティック広告、コンテンツ・シンジケーションなど)で、興味関心を掻き立て、自社の商品を購入するように誘導するべきです。
そして見込み客(販売側も含めて)が知識を吸収するには、「経験」がとても重要です。見込み客が何を経験しているかを理解し、それに合わせたコンテンツを作成するようにしましょう。
トピックとキーワードを理解しトラッキングする
前項で述べたように、インテント・シグナルは、見込み客が購買経路のどこにいるのかを教えてくれます。しかし、そのためには顧客が使用しているトピックとキーワードを、適切に分析する必要があります。
しかし、マーケティングチームや営業チームは、自社ブランドや製品のキーワードで急上昇しているものを優先してしまう傾向があります。自社データ内では役立つかもしれませんが、実はインテントデータの有益性を無駄にしてしまうことになります。インテントデータの活用の流れは以下の様になります。
- 自社ブランドに需要のあるアカウントの特定
- 見込み客がどの段階にいるのかを明らかにし、適切なアプローチ方法を選択できるようにする
- ターゲットとなる顧客が最も関心を寄せているもの(課題、ソリューション、製品、機能など)を明らかにし、適切なメッセージやコンテンツを選択できるようにする
インテントデータ分析は、コンテンツの関連性(トピックのトラッキング)と絞り込みの精度(キーワードのトラッキング)を確保する最善の方法です。そのため、関連トピックとキーワードの両方を監視することが良い経験則となるのです。
マーケティングチームとセールスチームの連携
インテントデータを導入する前に、マーケティングチームと営業チームが連携していることが重要です。なぜならこのふたつのチームはツールの主な使用ユーザーとなるからです。
しかし、Ascend2のレポートによると、インテントデータ活用に際しての不満のトップ3は営業とマーケティングの連携がうまくいっていないと結果がでています。その証拠に「マーケティングとメッセージが連携していない」(42%)が2番目に挙げられています。
マーケティングチームに加え、営業チームがインテントデータを使用する場合、両チームが同じ見解を持ち、インテントデータとは何か、その価値と使用場面、プロセスの最適化について知っておくと良いでしょう。もしチームが連携しておらず、非効率な作業をしてしまう、また両チームの連携(質・量ともに)が損なわれている場合、営業は新規取引の締結や新規顧客の獲得がより困難になります。
「どのアカウントにどのメッセージを送るべきか」を営業チームに教えてくれるのもインテントデータです。また、顧客との継続的コミュニケーション、チームの教育・トレーニングも教えてくれます。
インテントデータの活用をデマンドジェネレーション戦略に組み込む
繰り返しになりますが、これらはすべて戦略に関することです。ターゲットとなる人達が抱える課題を自ら理解しているか、販売したい製品やソリューションがどのように解決できるかを把握しましょう。そして最終的に購入するように仕向けることができます。
また営業チームに渡す見込み顧客(デマンドジェネレーション)を向上させるためには、インテントデータをどのように利用するか理解しましょう。そしてそれを文書化しすべての関連チームと個人に伝えることが重要です。これには、以下のようなものが含まれます。
- 見込み客のアカウントリスト(TAL)と類似モデルの作成
- アカウントの優先順位付け
- コンテンツの作成、選択、配信
- プログラマティック広告
- 第三者への配信(例:コンテンツ配信)
- アカウントおよび/またはリード広告の点数化と経路化
- 顧客への適切なメッセージの開発と選択
- セールス/BDR を優位にする(具体的には、アカウントの優先順位付けとメッセージの選択)
- 顧客アカウントのアップセルおよびクロスセル
- 顧客アカウントの解約防止
インテント戦略とイニシアティブとの整合性
ひとつの計画を展開する時も、そこで学んだことをほかのケースにどのように転用できるかを考えましょう。さらに、その計画で使用するツール、データ、戦術をインテントデータがどのようにサポートするかを必ず考えておきましょう。
例えば、すでに営業活動にインテントデータを使用している場合、カスタマーサポートで同じことができるかを考えてください。どのアカウントが解約リスクがあるか、顧客を失わないために何ができるかを特定しましょう。
統合の可能性
MAP(マーケティングオートメーションプラットフォーム)やCRM(顧客関係管理)と統合して実装を容易にすることができます。複数チームにインテントデータを導入し、相乗効果を得るのです。そのためインテントデータをより良く活用する方法を常に考えていきましょう。
まとめ
戦略を立てることで、インテントデータを有効的に使用することができます。もし、インテントデータを大いに活用できたら、営業チームやマーケティングチームは成果を得られるはずです。
Part3では、インテントデータ活用をサポートする最も一般的なリソース(従業員の時間とスキル、およびコアテクノロジー)に焦点を当てて説明します。