2025.06.24
リファラル採用とは?メリット・デメリットから導入方法・成功のポイントまで徹底解説

この記事は約 14 分で読めます。
- リファラル採用とは
- 縁故採用との違い
- リファラル採用の報酬制度(インセンティブ)の設計と注意点
- リファラル採用とインセンティブの関係
- 報酬制度設計における法的根拠と注意点
- 制度設計時に企業が意識すべきポイント
- 適切な制度運用が企業の採用力を高める
- リファラル採用が注目される背景
- 採用難の解決策としての期待
- 企業文化に合う人材の獲得
- 欧米での一般化と国内での広がり
- リファラル採用のメリット
- 1. 採用コストを削減できる
- 2. ミスマッチを防ぎ定着率を高められる
- 3. 新たな人材層(潜在層)にアプローチできる
- 4. 社員のエンゲージメント向上・会社の魅力再認識につながる
- リファラル採用のデメリット
- 1. 紹介者・候補者の関係性への配慮が必要
- 2. 人材の同質化(多様性の欠如)のリスク
- 3. 選考過程でのミスマッチ・トラブルの可能性
- 4. 短期で大量採用する手法には向かない
- リファラル採用に向いている企業は?
- ・社員の会社に対する満足度やエンゲージメントが高い企業
- ・採用コストを抑えて効率よく人材確保したい企業(中小企業など)
- リファラル採用を成功させるためのポイント
- ポイント1:目的・目標を明確にする
- ポイント2:経営層を含め社内へ周知・協力体制を構築する
- ポイント3:紹介しやすい仕組みとインセンティブを整える
- ポイント4:求める人材像と誘い方を社員に共有する
- ポイント5:公正な運用と継続的な改善を行う
- リファラル採用導入時の注意点
- リファラル採用の導入事例(成功企業のケーススタディ)
- メルカリ(Mercari)
- 富士通株式会社
- まとめ
少子高齢化による労働人口の減少や採用競争の激化を背景に、従来の求人媒体や人材紹介サービスだけでは求める人材を十分に確保できない企業が増えています。採用コストがかさむ一方でミスマッチによる早期離職も課題となる中、自社の社員の人脈を活用して効率的に優秀な人材と出会える手法としてリファラル採用が注目されています。
リファラル採用とは、社員の友人・知人など信頼できるつながりから候補者を紹介してもらう採用方法のことで、欧米では一般的な採用チャネルの一つです。近年は日本でも大手企業からベンチャー企業まで導入が進み、企業文化にマッチした人材を低コストで採用できる手段として期待が高まっています。
本記事では、人事担当者の皆様に向けて、リファラル採用の基本的な仕組みや他の採用手法との違いから、そのメリット・デメリット、導入時のポイントや成功のための施策までを詳しく解説します。自社の採用戦略にリファラル採用を取り入れる際の参考としてご一読ください。
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リファラル採用とは
リファラル採用とは、自社で働く社員に知人や友人などを紹介してもらい、採用候補者として選考につなげる採用手法です。英語の”Referral”(リファラル)は「紹介・推薦」を意味し、社員紹介採用とも呼ばれます。社員自身が「この人なら自社に合う」と思う人材を推薦するため、応募時点で企業と候補者の相性が良く、書類選考や面接でもミスマッチが起こりにくいという特徴があります。
実際にリファラル経由の選考では通常よりも高い内定承諾率・定着率を示すケースが多いといわれています。また、従来の求人広告や人材紹介会社を介さない分、採用コストを抑えられる点も魅力です。
縁故採用との違い
社員による紹介採用と聞くと、社長や役員の親族・知人をコネで入社させる縁故採用をイメージする方もいるでしょう。しかし、リファラル採用と縁故採用は目的もプロセスも異なります。縁故採用は特定の関係者からの強い推薦により形式的な選考で採用を決めてしまうケースもありますが、リファラル採用ではあくまで通常の選考基準を満たすことが前提です。
紹介の窓口も社内の限られた上層部だけではなく全社員に開かれており、「紹介があったから無条件で採用」といった安易な判断は行いません。つまりリファラル採用は、公平な選考プロセスの中で社員の人脈を活用する手法であり、縁故採用のような閉鎖的・恣意的なものではないのです。
リファラル採用の報酬制度(インセンティブ)の設計と注意点
リファラル採用とインセンティブの関係
リファラル採用では、紹介者に対する報酬として現金や商品券、特別休暇などが設定されることが一般的です。たとえば、書類選考通過時、面接合格時、入社後1ヶ月・3ヶ月など、段階的に報酬が支払われるケースも多く、長期的な定着を狙う制度設計が主流となっています。
報酬制度設計における法的根拠と注意点
リファラル採用において報酬を支払う場合、法的にはいくつかの観点から適法性を確認する必要があります。まず、労働基準法第11条における「賃金」該当性の有無が重要です。紹介行為が社員の業務に組み込まれている場合、報酬は賃金と見なされ、源泉徴収や社会保険料の対象となります。一方で、あくまで任意の活動として紹介を行っている場合は、報酬が賃金に該当しない可能性が高いとされていますが、それでも一定の会計処理や情報開示が求められる点には注意が必要です。
また、職業安定法第40条では、報酬を得て人材紹介を業として行う行為について、厚生労働大臣の許可が必要とされています。しかし、リファラル採用において紹介者が自社の社員であり、かつ紹介行為が継続的または反復的に行われず、報酬水準も常識の範囲内である場合には、同法の適用除外として運用されることが多いです。つまり、通常の範囲で報酬を設定し、制度を任意かつ社内完結型にしていれば、職業安定法違反に問われる可能性は極めて低いといえます。
制度設計時に企業が意識すべきポイント
リファラル報酬を導入する際は、社内規程や就業規則に制度の目的や運用フロー、報酬の支給条件などを明記することが推奨されます。特に、報酬の支給時期や取消条件、税務処理方法(現金であれば源泉徴収、金券類も課税対象になる可能性)については明文化しておくことで、社内外のトラブルを未然に防ぐことができます。また、紹介者と被紹介者の個人情報の取り扱いに関しても、本人の同意取得や個人情報保護方針との整合性が求められます。
さらに、法的な適正を超えて報酬額が異常に高額であったり、社員以外の第三者が継続的に人材を紹介しているような場合、職業紹介事業とみなされるリスクが生じるため、注意が必要です。万が一にも無許可の職業紹介と判断されれば、職業安定法違反として行政指導や罰則の対象となる可能性があります。
適切な制度運用が企業の採用力を高める
リファラル採用の報酬制度は、適切に運用すれば自社に合った人材を効率よく確保できる強力なチャネルになります。採用難が続く中、社員のネットワークを活かした信頼性の高い人材獲得は、今後ますます重要性を増していくでしょう。ただし、報酬制度の導入には必ず法的観点からのチェックを行い、税務処理や社内規定との整合を取ることが不可欠です。制度の透明性と公平性を確保することで、紹介する側・される側・企業の三者が納得する仕組みが実現します。
リファラル採用が注目される背景
日本の採用市場は売り手市場が続き、企業は人材確保に苦戦しています。少子高齢化による労働人口の減少に加え、優秀な人材ほど複数企業からのオファーが集中し、従来型の求人広告や転職サイトだけではターゲット人材を十分に惹きつけられない状況です。こうした中で注目されたのが、社員のネットワーク経由で人材を紹介してもらうリファラル採用です。
採用難の解決策としての期待
リファラル採用は、転職市場に表立って出てこない「潜在層」の優秀な人材にアプローチできる手段として期待されています。現職に不満はないが良い話があれば転職を考えるような層は、自ら求人サイトに登録したり積極的に転職活動をしていない場合があります。そうした人材でも、信頼する知人からの誘いであれば選考に興味を持つ可能性が高まります。
企業文化に合う人材の獲得
社員の紹介という性質上、自社のカルチャーや求める人物像を理解したうえで候補者を推薦してもらえるため、企業文化にフィットする人材を得やすい点も背景にあります。早期離職が社会問題となる中、入社後の定着率向上につながる採用手法として企業から注目されています。
欧米での一般化と国内での広がり
リファラル採用は欧米では既に一般的な採用チャネルの一つであり、「社員紹介ボーナス制度」を設けている企業も多く存在します。海外での成功例も紹介され、日本企業でもその有効性が認識され始めました。最近では大手企業が相次いでリファラル採用制度を導入し、その成功事例がメディアで取り上げられることで、中堅・中小企業やスタートアップにもリファラル採用の波が広がっています。
リファラル採用のメリット
リファラル採用には、企業側にとっても候補者側にとっても様々なメリットがあります。主なメリットを順に見ていきましょう。
1. 採用コストを削減できる
リファラル採用では、人材紹介会社への紹介料や求人広告の掲載料などの外部コストを大幅に抑えることができます。社員への紹介インセンティブ(謝礼金)を支払う場合でも、一般的な紹介手数料(年収の○%など)に比べれば低額で済むケースが多く、費用対効果の高い採用手法と言えます。
2. ミスマッチを防ぎ定着率を高められる
前述の通り、社員が自社に合いそうな人を見極めて紹介するため、書類選考や面接の段階で企業とのマッチング精度が高まります。入社後も、紹介者(社内に知人)がいることで職場に溶け込みやすく、カルチャーフィットも良好な傾向があります。その結果、リファラル採用で入社した社員は早期離職が少なく、長期的に活躍しやすい傾向があります。ミスマッチの防止によって採用し直しの手間や追加コストも削減でき、組織の安定にもつながります。
3. 新たな人材層(潜在層)にアプローチできる
従来の求人経路では出会えない人材にリーチできる点も大きなメリットです。例えば現在転職活動をしていない優秀な人材(いわゆる転職潜在層)でも、社員から声をかけられることで採用候補になり得ます。社員の母校の後輩や前職の同僚など、企業側では把握できない優秀層の情報を社員経由で得られるため、採用候補者の母集団形成(プール)を広げることができます。これにより採用の可能性を拡大し、特に専門人材や希少人材の発掘において威力を発揮します。
4. 社員のエンゲージメント向上・会社の魅力再認識につながる
リファラル採用の推進は、従業員エンゲージメント(社員の会社への愛着心やコミットメント)の向上にも寄与します。社員が自分の知人に自社を勧めるには、職場に誇りや愛着がなければなかなかできません。紹介活動を通じて社員自身が改めて自社の魅力を考え直したり、会社に対する満足度が高まったりする効果が期待できます。また、自分が紹介した人が活躍すれば紹介者のモチベーションも上がり、社内にポジティブな雰囲気が生まれるでしょう。
リファラル採用のデメリット
一方で、リファラル採用には注意すべきデメリットや課題も存在します。導入前に以下のような点を把握しておくことが重要です。
1. 紹介者・候補者の関係性への配慮が必要
社員の紹介で選考に進んだ候補者を不採用にする場合、紹介した社員との関係に配慮したフォローが欠かせません。結果次第では紹介者のモチベーション低下や気まずさを生む恐れがあります。また、採用された後も紹介者と候補者が先輩後輩・友人関係にある場合、業務上のフィードバックや配置転換がしにくくなるといった懸念もあります。こうした人間関係への配慮が必要になる点は、通常の採用にはない注意点です。
2. 人材の同質化(多様性の欠如)のリスク
リファラル採用では、どうしても紹介者と似た経歴や価値観を持つ人材が集まりやすくなります。社員の交友関係は職種や業界、学歴などで偏りがちであるため、紹介による採用ばかりに頼ると組織内の多様性が損なわれる可能性があります。新しい視点や異なるバックグラウンドを持つ人材を得にくくなる点には留意が必要です。特に急成長中の組織では、特定の属性の社員ばかり増えるとイノベーションが停滞するリスクも指摘されています。
3. 選考過程でのミスマッチ・トラブルの可能性
紹介する社員が採用ニーズやポジションの要件を正しく理解していない場合、不適切な人材を紹介してしまいミスマッチが起こるケースがあります。また、知人を紹介する手前、「ぜひうちに来てほしい」と過度に良い情報ばかり伝えてしまい、入社後に候補者がギャップを感じる恐れもあります。さらに、社内に制度や選考プロセスが浸透していないと、「紹介したのになかなか連絡が来ない」といった不満やトラブルにつながることもあり得ます。リファラル採用を円滑に運用するには、社内でルールと情報共有を徹底することが不可欠です。
4. 短期で大量採用する手法には向かない
社員の紹介を待つリファラル採用は、求人広告のように一度に多数の候補者を集めることには適していません。急いで大量に人材を確保しなければならない場合、リファラルだけに頼っていると採用計画が遅延する可能性があります。また、リファラル採用は社内の協力が得られて初めて機能するため、社員が忙しかったり制度に興味を示さなかったりすると紹介が集まらず、採用数が伸びないということも起こりえます。安定的に成果を出すには一定の時間と社内浸透のための取り組みが必要である点を認識しておきましょう。
リファラル採用に向いている企業は?
リファラル採用はあらゆる企業で活用可能ですが、特に効果を発揮しやすいのは以下のような企業です。
・社員の会社に対する満足度やエンゲージメントが高い企業
社員が自社を他者に薦めたいと思える状態であることが前提となるため、日頃から従業員満足度の高い企業はリファラル採用が機能しやすくなります。社風や待遇に自信があり、社員が「知人にも勧めたい」と感じている企業ほど紹介が活発に行われるでしょう。
・採用コストを抑えて効率よく人材確保したい企業(中小企業など)
十分な採用予算を確保しにくい中小企業やスタートアップにとって、リファラル採用はコスト効率の良い手段となり得ます。求人広告で応募が集まりにくい場合でも、社員のネットワークを辿ることで必要な人材に出会える可能性があります。知名度が低い企業でも、社員の個人的な信頼関係を通じてアプローチすれば応募してもらえるケースも多々あります。
逆に、社員のエンゲージメントが低い企業や社内コミュニケーションが希薄な企業では、紹介の動きが活発にならずリファラル採用を導入しても効果が出にくいでしょう。そのような場合はまず社内環境や組織風土の改善に取り組むことが先決です。また、新規事業の立ち上げなどで極めて短期間に大量の人員を確保しなければならない企業では、リファラル採用だけでは人数を賄えない可能性があります。自社の状況に応じて、リファラル採用が適した手法かどうか見極めることが大切です。
リファラル採用を成功させるためのポイント
リファラル採用を効果的に機能させるには、事前の準備と継続的な工夫が欠かせません。以下に、リファラル採用を成功させるための重要なポイントを紹介します。
ポイント1:目的・目標を明確にする
リファラル採用を導入する際は、まず「なぜリファラル採用を行うのか」「どの程度の採用成果を目指すのか」を明確に設定しましょう。例えば「従業員紹介経由で年間〇名採用する」「採用コストを〇%削減する」など具体的な目標を掲げることで、社内の協力も得やすくなります。目的が不明確なまま始めてしまうと社内浸透が進まず、途中で頓挫する恐れがあります。
ポイント2:経営層を含め社内へ周知・協力体制を構築する
リファラル採用は全社員の協力があって初めて成功します。人事部門はもちろん、経営層や各部門のマネージャーにも働きかけ、リファラル採用の意義やメリットを社内に浸透させましょう。社内報やミーティングなどあらゆる場で周知を図り、社員一人ひとりに採用の当事者意識を持ってもらうことが重要です。
ポイント3:紹介しやすい仕組みとインセンティブを整える
社員が気軽に知人を紹介できるよう、仕組み作りにも工夫しましょう。具体的には、紹介方法を簡素化する(専用の紹介フォームやツールを用意する、人事担当者にメール一本で紹介できるようにする等)、紹介者へのインセンティブ(報酬や表彰)制度を用意するといった施策が考えられます。報酬は必須ではありませんが、「紹介が採用に至ったら〇万円支給」など明確な特典があれば社員の動機付けになります。
ポイント4:求める人材像と誘い方を社員に共有する
社員が安心して知人に声をかけられるよう、募集しているポジションの採用要件やターゲット像を明確に伝えましょう。「どんなスキル・経験を持った人を探しているのか」「どのように誘えば良いのか」といった情報をガイドラインや説明会で共有することで、社員は紹介すべき人物をイメージしやすくなります。また、いきなり「応募して」と頼むのではなく、「まずはカジュアルに話をする場を設定できる」といった紹介のハードルを下げる誘い方を推奨すると、候補者も検討しやすくなります。社員には自社の魅力だけでなく課題も含めて正直に伝えるよう促し、入社後のミスマッチ防止に努めることも重要です。
ポイント5:公正な運用と継続的な改善を行う
紹介で来た候補者であっても、選考基準やプロセスは他の応募者と同様に公平であることを示す必要があります。特別扱いをしない一方、選考結果については紹介者にも適切にフィードバックしましょう。不採用となった場合は人事から紹介者へ丁寧に説明を行い、紹介してくれたことへの感謝を伝えることが大切です。フォローを怠ると「せっかく紹介したのに放置された」と社員の士気に関わるため、最後までコミュニケーションを行います。また、紹介者の負担にならないよう候補者対応は基本的に人事側で引き受け、必要に応じて社員から推薦コメントをもらう程度に留める配慮も有効です。
また、紹介採用の成果指標(応募数・採用人数・定着率など)を追跡し、運用を継続的に改善していく姿勢も重要です。社内周知やインセンティブ設定など試行錯誤を重ね、自社に最適な形にブラッシュアップしていきましょう。なお、リファラル採用はあくまで採用チャネルの一つです。他の採用方法とも組み合わせ、人材の多様性確保と採用効率の最大化を図ることも忘れないようにしましょう。
リファラル採用導入時の注意点
紹介報酬の扱い(法令順守): 社員への紹介インセンティブを設ける場合は、その内容が職業安定法などの法令に抵触しないよう制度設計に注意しましょう。社内規程を整備し、公正で透明性のある運用を行うことが大切です。
上記の点に留意しつつ、適切に運用すればリファラル採用は強力な採用チャネルとなります。
リファラル採用の導入事例(成功企業のケーススタディ)
実際にリファラル採用を活用して成果を上げている企業も多数あります。その中からいくつかの事例を簡単に紹介します。
メルカリ(Mercari)
急成長中のIT企業メルカリでは、全社でリファラル採用を推進し、新卒・中途問わず多くの社員を紹介経由で採用しています。社員紹介経由での採用比率を高めることを目標に掲げ、人事部が主体となって社内啓蒙やインセンティブ制度を導入し、短期間で紹介応募者数を飛躍的に増加させました。
富士通株式会社
大手企業の富士通でもリファラル採用制度を整備しており、「社員紹介入社」するケースが年々増加しています。富士通では社内ポータルを活用して社員が随時知人を推薦できる仕組みを提供し、紹介がきっかけで入社した社員からは「事前に職場の雰囲気を聞けて安心できた」といいます。富士通はリファラル採用を活用することでミスマッチの少ない人材確保に成功している好例と言えます。
これらの企業に共通するのは、単に制度を作っただけでなく社内の意識改革や仕組みづくりに注力し、社員を採用プロセスに巻き込んでいる点です。自社の規模や業界に合わせて成功企業の工夫を参考にしながら、リファラル採用を自社流にアレンジしていくことが成功への近道となるでしょう。
まとめ
リファラル採用は、社員の人脈という貴重なリソースを活用して、企業と候補者双方にメリットをもたらす採用手法です。労働市場の環境変化に対応し、ミスマッチを減らして定着率の高い人材を確保するうえで、今後ますます重要性が高まっていくでしょう。
一方で、リファラル採用を成功させるには単に制度を導入するだけでなく、社内の協力体制づくりや公正な運用、そして継続的な改善が欠かせません。本記事で解説したメリット・デメリットや成功のポイント、注意事項を踏まえ、自社に適した形でリファラル採用を取り入れてみてください。
人材獲得競争が激しさを増す中、社員の力を借りた採用は大きな武器になります。社員一人ひとりが採用の担い手となり、会社全体で優秀な人材を迎え入れる文化を醸成できれば、採用力と組織力の双方が高まるはずです。自社の状況に合わせて工夫を凝らし、リファラル採用を有効に活用していきましょう。