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ABM(アカウントベースドマーケティング)の導入事例を徹底解説

ABM(アカウントベースドマーケティング)は、アカウントの認識をベースとしたマーケティング手法の一つです。別名「キーアカウントマーケティング」とも呼ばれます。

ABMの名称は耳にしたことがあっても、具体的にどのように活用されているかを知っている方は案外少ないかもしれません。

そこで今回は、ABM導入に成功した事例を挙げて解説します。

ABM(アカウントベースドマーケティング)とは?

ABMとは「アカウント・ベースド・マーケティング(Account Based Marketing)」の略称で、BtoB企業が優良顧客に対して行うマーケティング戦略の一つです。

現在、インターネットが普及したことにより、個々のニーズに合わせて適切にアプローチできるABMが注目されるようになっています。

AMBでは、自社の売り上げや利益に貢献してくれる優良な企業をアプローチ先にすることで、適切なマーケティングアプローチができ、ベストタイミングで商談へ持ち込むことが可能です。

その結果、顧客満足度が向上して、企業利益にも大きく貢献しています。

また、法人営業のアカウント営業と同じ考え方ですが、アカウント営業をマーケティング部門と営業部門が連携して行うのがABMの特徴です。

こちらの記事にも詳しく解説しています。

今回ABM導入成功事例として紹介する企業は、多くの人が知っているような有名企業が中心です。

これらの事例を見ることであらためて、身近な大手企業の数々が、ABMを導入していることがわかります。

株式会社村田製作所

世界有数の電子部品メーカーである株式会社村田製作所は、Wi-Fiモジュールおよび積層セラミックコンデンサで世界トップクラスのシェアを誇っている企業です。

ABMを導入する以前は「各種のプロモーション活動が分断していたため、購入プロセスに繋がっていない」という課題を持っていました。

そこで「売上の全体的な底上げ」と「新規市場の開拓」を目的として、Adobe社の「Adobe Marketo Engage」を導入することに。

具体的に取り組んだポイントは、以下の3つです。

  1. 顧客行動の見える化、データベース化
  2. 有望な顧客を営業へつなげるプロセスの整備
  3. 期待の育成を通した有望な顧客の絞り込み

また、メールによるアプローチでは不十分であると考え、コンテンツ制作にも力を入れつつ、データ分析やアプローチの最適化を図りました。その結果、見込み顧客の育成(ナーチャリング)でも成果が出始めます。

ABMの取り組みが4年目を迎える頃には、新規市場や新規ターゲットを意識した「認知拡大」に注力するようになりました。

認知拡大のために、Webパーソナライゼーション機能を活用した業態推測を通じて、オーディエンスを拡張して広告を配信しつつ新規ターゲットとの接触を測っています。

村田製作所では「お客様との様々な接点において、必要な瞬間に自然とムラタが目に入ってくる」ことを理想としています。

【出典元】
Adobe「Adobe Marketo Engage導入後の取り組み 株式会社村田製作所

ヤフー株式会社

ヤフーでは組織の統合再編に伴うタイミングでLBCとuSonarを導入してABMをスタート。まずは、広告商品ごとに分かれていた顧客(広告主)のデータを統合しました。

外部から購入した広告統計のデータと自社顧客データを紐づけ、顧客企業の年間広告費がどれだけあり、そのうちインターネット広告にどれだけ出稿し、そのうちの何%シェアを取れているのかを可視化しています。

また、ヤフーでは中小企業や地方の企業へのプロモーションにおいて、訴求内容に合わせて5グループに分けてアプローチしています。

データマイニングによって算出された結果をもとに、獲得率が高いターゲットから優先的にアプローチを行ったところ、BtoBの顧客化率が7倍になりました。

【出典元】
Tech+「ヤフーのBtoB顧客化率が7倍に!アカウント・ベースド・マーケティング(ABM)で 営業・マーケティング効果を最大化

PayPay株式会社

QRコード決済サービスを提供しているPayPay株式会社は、ソフトバンク株式会社とヤフー株式会社の合弁会社です。

キャッシュレス決済の先駆けとなったサービスは全国300万ヵ所以上で使え、さらに公共料金の支払いにも活用できるようになりました。

当初、PayPayでは以下の課題がありました。

  • 開拓先の顧客企業を手作業で検索していた
  • 収集できた情報量の少なさからマーケティング活用が困難であった

そこで、業務効率化ツールのSFAを更新し、次にSFAをLBCと連携させることにより、ホワイトスペース(未取引企業)をあぶりだしました。

そして、ABMツールにはLandscape社の「uSonar」を導入し、取引実績に関するデータを統合することで、マーケティングに活用可能な基盤を構築。

結果、スピーディーなシステム稼働が可能となり、ABM導入が見事に功を奏したのです。

【出典元】
uSonar「日本最大の法人マスタデータ「LBC」をPayPayに導入~加盟店開拓のデータ基盤を構築し、営業活動の効率化を実現~

VAIO株式会社

以前はソニーの関連会社であったVAIO株式会社は、パソコンの製造や販売、およびEMSを主とした事業を行っている企業です。

大企業であるからこその悩みでもあり、重要点でもある「部署間の連携性」にスポットを当てマーケティング戦略を実施。

とくに、マーケティング部門と営業部門との連携性を高め、さらに解像度を高めることを目的にABM導入に踏み切りました。

そこで「Marketo ABM」を導入した結果、マーケティング部署と営業部署との連携が強化し、ワンチームとしての運営に成功しています。

【出典元】
Adobe「組織横断的な取り組みでBtoBビジネスを強化。「新生VAIO」のブランディングを実現 VAIO株式会社

【出典元】
PRTIMES「VAIO株式会社、B2Bマーケティングの加速を目指しMarketoを活用

株式会社ユーザベース

SPEEDA・NewsPicksなど、各種経済情報サービスを提供している株式会社ユーザベースは、2008年設立以降飛躍的に成長を遂げ、2016年には東証マザーズに上場した企業です。

当初の課題としては、集客に時間がかかっていたことです。

メール配信ツールがなかったために、イベントやセミナーへの集客にかなりの工数がかかっていました。さらに、顧客管理やリードの精査が徹底的に実施できず、優良顧客に対するアプローチが万全でなかったことも課題の一つでした。

そこで、adobe社の「Marketo」を導入し、マーケティングオートメーションとセールスとの連携強化に着手。

さらに、データを徹底的に洗い出し、SFAとMarketoで同期させて、顧客を細分化しつつ優良企業の選択を実施しました。

結果、営業効率がアップし、受注率は約5倍、売上は前年の倍近くまで増加しました。

【出典元】
Adobe「ABMで目指す重点顧客のLTV最大化。 「マーケティングとセールスの連携」がキモ 株式会社ユーザベース

株式会社セールスフォース・ドットコム

ビジネスアプリやクラウドプラットフォームをインターネットで提供している株式会社セールスフォース・ドットコムは、アメリカのカリフォルニア州に本社がある企業です。

当社の課題は、情報収集に多くの時間がかかること、さらに情報量の少なさや質の低さでした。特に、中小企業がターゲットの場合、情報量の少なさで苦戦を強いられていたのです。

そこで、ABMツールとしてSPEEDAを導入した結果、顧客情報をスピーディーかつ正確に調査できるようになりました。

具体的には、1社あたり2時間程度かかっていた調査時間が、約30分に減少。さらに、商談化率も向上していきました。

【出典元】
SPEEDA「大手ソフトウェア会社のインサイドセールス部門での活用

株式会社LIG

WEB制作会社である株式会社LIGは、WEB制作以外にもWEBクリエイタースクール運営など幅広く事業を展開している企業です。

当企業の課題は、新規でアプローチしたい企業へのアポイント獲得に手間と時間がかかることでした。さらに質の高いユーザーリスト作成に多くの時間がかかっていたのです。

そこで導入したのが、MAツールBowNowの新機能「ABMテンプレート」です。

その結果、アポ獲得率が6.3%→11.9%へアップしただけでなく、普段はアプローチしないような地方の企業からも受注できるようになりました。

【出典元】
BuwNow「営業リストをBowNowで抽出したリストに変更したら、アポ獲得率6.3%→11.9%にアップ!|株式会社LIG様」

【出典元】
株式会社LIG「面倒な設定は必要なし!MAツール・BowNowの新機能「ABMテンプレート」がすごく便利だった話」

ABMを適切に導入しよう

ABMは、テクノロジーの進化や現在の習慣によって、近年ふたたび注目されています。

ABMは、あらかじめアプローチ先企業を絞ることで投資対効果を高めることができるため、自社の利益拡大に大きく貢献するでしょう。

ABMを適切に導入すると、利益が上がるだけでなくコストの抑制にもなるため、ぜひ導入することをお勧めします。

効果的にABMを実践する方法については、以下の記事も併せてご覧ください。