2025.06.24
LinkedInの採用戦略について。メリット・活用法・成功事例を合わせて解説

この記事は約 19 分で読めます。
- LinkedInとは?
- LinkedIn採用が注目される背景
- LinkedInを採用に活用するメリット
- 質の高い人材にアクセス
- 転職潜在層へのアプローチ
- 採用コストの削減
- 企業ブランディングの向上
- ビジネス文脈でのアプローチ
- LinkedIn採用のデメリット・注意点
- 即効性が低い
- 日本ではユーザーが限定的
- 継続運用のリソースが必要
- LinkedIn採用の基本フロー
- 会社ページの作成
- ネットワークを拡大(つながり申請)
- 情報発信(コンテンツ投稿)
- 候補者へのアプローチ(DM送信)
- LinkedIn採用を成功させるポイント
- 採用ペルソナの明確化
- 会社ページ・個人プロフィールの最適化
- 複数メンバーでの発信連携
- 候補者との中長期的な関係構築
- 効果測定と改善
- 他SNSとの比較:LinkedIn採用の優位性
- ユーザー層と志向性の違い
- 採用機能とアプローチ手法
- 拡散力と信頼性
- 国内サービスとの使い分け
- LinkedIn採用の活用事例
- まとめ
人事担当者にとって、LinkedIn(リンクトイン)を活用した採用は新たな有力手法として注目を集めています。世界最大級のビジネスSNSであるLinkedInは、国内外の優秀な人材と直接つながれるプラットフォームです。
本記事では、LinkedIn採用の基本からメリット・デメリット、効果的な活用方法、他SNSとの比較、さらに成功事例までを徹底解説。自社の採用戦略にLinkedInを取り入れたい人事担当者の方は、ぜひ参考にしてください。
LinkedInとは?
LinkedIn(リンクトイン)は世界で11億人以上が登録するビジネス特化型SNSです。実名・顔写真での登録が基本で、職歴やスキルなどのプロフェッショナル情報を共有できる点が大きな特徴です。ユーザー同士は「つながり(コネクション)」として人脈を広げ、情報発信や意見交換、求人検索やキャリア形成に活用しています。まさに「ビジネス版Facebook」とも呼べる存在で、欧米では転職・採用のインフラとなりつつあります。
日本国内のLinkedInユーザー数は約400万人とされ、利用者の多くはIT・コンサル・製造業などグローバルビジネスに関わる層です。日本ではまだ利用者数が限定的とはいえ、経験豊富なハイクラス人材やバイリンガル人材が集まっている点で他媒体にはない強みがあります。企業の採用担当者は、まずこのLinkedInの基本的な機能とユーザー層を理解しておきましょう。
- 主な機能:企業専用ページ(会社概要や求人掲載)、個人プロフィール(オンライン履歴書として機能)、つながり申請&メッセージ(人材への直接アプローチ)、タイムライン投稿(専門知見や企業情報の発信)など。基本アカウントでも多くの機能が無料で使え、必要に応じて高度な人材検索や追加メッセージ送信が可能な有料プラン(Recruiterライセンスなど)も用意されています。
日本における位置づけ:利用者は他のSNSより少ないものの、外資系やグローバル企業志向の人材、高度専門スキル人材が多く登録しています。国内だけでは出会えないような人材プールにアクセスできるツールとして、日本企業からの関心も高まっています。
LinkedIn採用が注目される背景
日本の採用市場は近年大きな転換期を迎えています。かつて主流だった新卒一括採用や終身雇用制度は揺らぎ、通年採用の増加や人材の流動化が進んでいます。また少子化により売り手市場(企業の求人数に対し求職者が少ない状況)が続き、優秀な人材の獲得競争は激化しています。
こうした中で注目されるのが、求人媒体や人材紹介会社に頼る従来型ではなく、企業自らが直接候補者にアプローチする「ダイレクトリクルーティング」です。LinkedInはその代表的なプラットフォームとして、日本でも採用先進企業がいち早く活用し始めました。例えば中途採用では専門スキルを持つ即戦力人材を求めて、また新卒採用でもグローバル志向の学生にアプローチする手段として、LinkedInを導入する企業が増えています。
昨今、人材獲得競争が激化し、従来の採用チャネルのみでは優秀な人材にリーチしづらくなる中、「転職潜在層」との新たな接点創出が重要な課題となっています。本調査では、こうした課題の打ち手として、LinkedInやFacebookなどのソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を活用した採用活動(ソーシャルリクルーティング)を、すでに86.4%の企業が実践していることが明らかになりました。
特に、大手企業やメガベンチャーにおいては、SNS広告を活用した転職候補者へのアプローチを実施する割合が86.3%、LinkedInを活用したスカウト実施の割合が66.1%と、ソーシャルリクルーティングが採用活動において欠かせない手法になっています。
※1:2025年3月1日〜2025年3月15日 自社における「インテントリクルーティング」でのリサーチ結果より
Recruit Markerは従来の転職顕在層に対して自社起点でのメッセージングを行う採用手法とは異なり、インテント(個人の実現したいキャリア)に対してパーソナライズメッセージで心を動かすことにより隠れた優秀層の発掘が可能です。企業DB510万件/人物DB570万件のデータを活用し、隠れた優秀層の応募数と採用成功数向上を実現します。
LinkedInを採用に活用するメリット
LinkedInを活用することで、従来の採用チャネルでは得られない様々なメリットが期待できます。以下に主要なポイントを挙げます。
質の高い人材にアクセス
LinkedInには企業の経営者層やマネージャークラス、専門職のプロフェッショナル人材が多く登録しています。転職サイトでは出会えないようなハイクラス人材や海外人材にアプローチでき、自社の求めるスキル・経験を持つ人材をピンポイントで探し出せます。特にバイリンガル人材の集まる環境は、グローバル展開を目指す企業にとって大きな利点です。
転職潜在層へのアプローチ
LinkedIn上では、今すぐ転職活動をしていない「潜在層」の人材とも接点が持てます。日頃から情報発信を行い関係性を築いておけば、求職サイトに登録していない優秀層が将来転職を検討した際に真っ先に自社を候補として思い出してくれる可能性があります。これはSNSベースのLinkedInならではの強みです。
採用コストの削減
基本的な利用は無料で、求人掲載やスカウト送信も工夫次第で低コストで運用できます。求人広告費や人材紹介手数料に頼りすぎず、自社で直接母集団形成からアプローチまで行えるため、結果的に一人当たりの採用単価を抑えられるケースも多くあります。特に有料プランを活用すれば効率的にターゲット人材を検索・接触できるため、費用対効果の高い採用が可能です。
企業ブランディングの向上
LinkedIn上で会社ページを充実させ、定期的に発信することで、自社の魅力を広くPRできます。社員の声や社内文化、ビジョンなどを発信し続けることで、「この会社で働きたい」というファン層を増やすことができます。採用候補者にとっても、普段から発信が充実している企業は魅力度が増し、応募意欲につながります。結果として採用ブランディングの強化につながる点もメリットと言えるでしょう。
ビジネス文脈でのアプローチ
SNS経由のコンタクトというとカジュアルな印象もありますが、LinkedInは純粋にビジネス目的のプラットフォームです。候補者にとっても「仕事の話をLinkedInで受けるのは自然なこと」であり、XやInstagramでいきなりスカウト連絡をする場合に比べ抵抗感が少なくなります。お互いビジネスモードでコミュニケーションを図れるため、効率的に選考につなげやすいのも利点です。
LinkedIn採用のデメリット・注意点
一方で、LinkedInを採用に使う上で留意すべきポイントや課題もいくつかあります。以下のデメリットと対策を押さえておきましょう。
即効性が低い
LinkedInで成果を出すにはアカウントやネットワークを育てる時間が必要です。登録直後にすぐ大量の応募が集まるわけではなく、日頃からコツコツと情報発信したり、つながりを増やしたりする活動が欠かせません。そのため「短期間で採用人数を増やしたい」というニーズには向きにくいです。逆に言えば、中長期的に関係構築を続けることで大きな成果が得られるため、長期視点で運用計画を立てることが成功のカギとなります。
日本ではユーザーが限定的
海外に比べると日本国内のLinkedIn利用者はまだ少数派です。特に介護・保育業界など一部の業種ではほとんど登録者がおらず、そうした分野ではLinkedIn採用の効果も限定的でしょう。また、日本では「LinkedIn=外資系転職のためのSNS」という認識が強く、中小企業や伝統的業界では候補者側の理解も進んでいません。自社のターゲット層がLinkedIn上にいるかを見極め、向き不向きを判断することが重要です。
継続運用のリソースが必要
LinkedIn採用を成功させるには、日々の運用に時間と労力を割く必要があります。定期的な投稿コンテンツ作成、候補者とのコミュニケーション、プロフィール更新など、担当者に求められる業務は多岐にわたります。SNSに不慣れな社内の場合、最初は戸惑うこともあるでしょう。運用方針の共有と担当者の育成を行い、チームで継続的に取り組める体制を整えることが大切です。
以上の点に注意しつつ運用すれば、LinkedIn採用の弱点は十分カバー可能です。「時間をかけて育てる」視点を持ち、焦らず丁寧に取り組むことで、じわじわと効果が現れてくるでしょう。
LinkedIn採用の基本フロー
それでは、実際にLinkedInを利用して採用活動を行う際の基本的な流れを見てみましょう。アカウント開設から候補者と面接に進むまで、以下のステップで進行します。
会社ページの作成
まずは自社の公式会社ページをLinkedIn上に開設します。会社概要、ミッション、サービス内容、求人情報などを登録しましょう。ページ自体は無料で作成可能です。充実した会社ページは、訪問した候補者への信頼感につながります。ページ開設時にエラーが出る場合は、アカウントの信頼性が不足している可能性があるため、プロフィールの充実や一定数の繋がり構築を先に行うとよいでしょう。
ネットワークを拡大(つながり申請)
次に、自社や採用担当者個人のアカウントでつながりを増やす作業です。社内の従業員、有望な候補者、取引先や業界関係者など、考えられる範囲で積極的に「つながり申請」を送りましょう。検索バーで名前や会社名を入力すれば該当ユーザーを見つけられます。会ったことのある人には「先日〇〇でお会いした〇〇です。ぜひ繋がらせてください。」とひと言添えると承認率が上がります。こうして人脈の輪を広げていくことで、投稿のリーチも拡大し、将来的な候補者群(タレントプール)が形成されていきます。
情報発信(コンテンツ投稿)
ネットワーク構築と並行して、自社に関する情報発信も始めます。会社ページや担当者個人のアカウントで、定期的に投稿を行いましょう。内容は自社のニュース(新製品・サービス、イベント告知)、採用ブログ(社員インタビューや社風紹介)、業界トレンドに対する見解など、多様で構いません。重要なのは継続性と質です。週に数回程度、役立つ情報や自社の雰囲気が伝わる投稿を続けることで、フォロワーのタイムライン上で存在感を高められます。また他ユーザーの投稿にいいねやコメントをして交流することも認知拡大に役立ちます。こうした地道な発信活動が、長期的に見ると「この会社は開かれていて信頼できる」というブランドイメージにつながり、優秀な人材の興味を引く土壌となります。
候補者へのアプローチ(DM送信)
ある程度ページのフォロワーやつながりが増え、自社発信に反応してくれるユーザーが出てきたら、具体的なスカウト活動に移ります。興味を持った候補者がいれば、InMail(ダイレクトメッセージ)機能を使って個別にコンタクトしてみましょう。
たとえば自社の投稿によく反応している業界人や、自社ページを閲覧した履歴(足跡)があるユーザーに対し、「当社に興味を持っていただきありがとうございます。ぜひ一度お話ししませんか?」といった形でメッセージを送ります。
ただし、LinkedIn上の多くの人は今すぐ転職したいわけではありません。最初のDMではすぐ応募を促すのではなく、会社に関心を持ってもらうきっかけ作りに徹することがポイントです。「少し話を聞いてみたい」と思ってもらえれば成功です。その後も定期的にコミュニケーションを取り関係を維持しておけば、相手が転職を本格的に考え始めたタイミングで前向きなオファーにつなげやすくなります。
- 面談・選考への移行 – DMをきっかけに候補者から興味の返信が得られたら、カジュアル面談や正式な選考に進みます。面談ではお互いの理解を深める場としてカジュアルな雰囲気で会社説明や質問回答を行い、双方のマッチ度を探ります。
その上で「ぜひ選考に進みたい」という意思が確認できれば、通常の採用プロセス(書類応募~面接~内定)へと移行します。LinkedIn経由であっても選考フロー自体は通常と同じです。ただし候補者とは既につながりがあるため、面接中もSNS上の発信内容などから話題を広げられ、よりスムーズに信頼関係を築けるでしょう。最終的に内定・入社となれば、LinkedIn上でつながったご縁が実った形になります。
以上が基本的な一連の流れです。最初は手探りでも、繰り返すうちに自社なりの効果的な進め方が見えてきます。「発信→反応→アプローチ」のサイクルを回しながら、常に候補者目線のコミュニケーションを意識しましょう。
LinkedIn採用を成功させるポイント
LinkedInでの採用成果を最大化するためには、単に闇雲に運用するのではなく戦略的な工夫が欠かせません。競合記事にはない専門的な視点も踏まえ、成功のためのポイントをいくつか提案します。
採用ペルソナの明確化
まず自社が求める人材像(採用ペルソナ)を明確に定めましょう。年齢層・経験・スキルセット・志向性などを言語化し、「その人物はLinkedIn上でどんな活動をしていそうか?」まで考えます。そのペルソナが興味を持つトピックを想定し、投稿コンテンツやメッセージ内容に反映させることで、より響くアプローチが可能になります。例えば「海外MBAホルダーの30代マーケター」を狙うなら英語記事のシェアや最新マーケ動向の発信を増やす、など戦略的な情報発信を行いましょう。
会社ページ・個人プロフィールの最適化
候補者はスカウトを受けると必ず送信元の会社ページや担当者プロフィールをチェックします。そこで魅力が伝わらなければ返信率も下がるため、ページやプロフィールの完成度を高めることは基本中の基本です。会社ページにはビジョンや働く魅力が伝わる紹介文を載せ、最新ニュースも更新します。
採用担当者個人のプロフィールも、職務内容だけでなく「採用ミッション」や人となりが感じられる自己紹介文を記載すると良いでしょう。写真も親しみやすさと信頼感のあるものを設定します。こうした細部の充実が、「話を聞いてみたい」と思わせるきっかけになります。
複数メンバーでの発信連携
LinkedIn運用を人事担当者1人だけに任せるのではなく、社内の複数メンバーを巻き込むと効果的です。現場社員や役員などにもアカウント発信を促し、それぞれが自社のカルチャーや仕事の魅力を発信すれば、候補者の目に触れる機会が格段に増えます。例えば採用コンセプトに共感してくれる社員を「LinkedIn採用アンバサダー」として任命し、継続的に情報発信してもらうのも一案です。
複数人での集団戦術により「〇〇といえばこの会社」と認知させることができれば、興味を持ったフォロワーが転職を考えた際に自社を真っ先に思い出してもらえるようになります。また、社員が自分の繋がりに会社ページを紹介するなど、社内外のネットワークを組み合わせた活用も有効です。
候補者との中長期的な関係構築
LinkedIn採用では“一度きりのスカウト送って終わり”ではなく、じっくり関係性を醸成することが成功のポイントです。接点を持った候補者とは定期的にコンタクトを取り、近況にリアクションしたり情報提供したりして信頼を深めましょう。
例えば「○○さんの最近の投稿拝見しました」とコメントしたり、業界セミナーに招待したりといった形です。候補者側が転職タイミングでなくとも、「あなたに注目しています」というスタンスで伴走することで、いざ転職を考えた際に真っ先に相談してもらえる存在になれます。このようにタレントリレーションシップマネジメントを実践することが、優秀人材の獲得につながるのです。
効果測定と改善
LinkedIn上での活動も、他の採用施策と同様にPDCAを回すことが重要です。投稿の閲覧数・エンゲージメント率、ページフォロワー数の増加、送ったInMailの開封率や返信率など、可能な範囲でデータを計測しましょう。
例えば「技術系記事をシェアした時の方がエンゲージメントが高い」「若手エンジニアには英語より日本語の投稿の方が響いている」などの傾向が見えてきます。これらのデータを踏まえて発信内容やターゲットを微調整し、常に最適化を図ることが大切です。LinkedInの有料プランには詳細な分析機能もあるため、必要に応じて導入を検討するとさらに効果測定が容易になります。
LinkedIn上での採用成功には、ターゲットにあわせた継続的なアプローチが鍵となります。Recruit Markerの「シーケンス機能」では、候補者の検索行動やSNS更新から”転職の兆し”を捉え、今アプローチすべき優秀層を特定。さらに、候補者へのつながり申請から、繋がり後のメッセージ送信までAIが自動で実行。スカウトの見逃しや機会損失を防ぎながら、面談を自動で増やす仕組みで、効率的な採用活動が可能になります。
▶ 詳細はこちら:https://sales-marker.jp/recruit-marker/sequence
以上のようなポイントに留意しつつ運用すれば、LinkedIn採用の成果は着実に高まっていくでしょう。他社がまだ手を付けていない独自のアプローチを試みる余地も大いにあります。創意工夫を凝らし、自社ならではのLinkedIn採用戦略を築いてください。
他SNSとの比較:LinkedIn採用の優位性
SNSを活用した採用と言っても、LinkedIn以外にTwitter(X)やFacebook、そして国内発のWantedlyなど様々なプラットフォームがあります。ここでは、それら他SNSと比較したLinkedInの特徴を確認し、LinkedIn採用の優位性を整理します。
※LinkedInとWantedlyのユーザー年齢層比較例(円グラフ)。LinkedInは幅広い年齢層に利用されているのに対し、Wantedlyは20代中心であることがわかる
ユーザー層と志向性の違い
TwitterやInstagramがプライベート色の強い投稿が多いのに対し、LinkedInはユーザーの職業やスキルが明示されておりビジネス志向のユーザー層です。Facebookも実名登録ですが利用目的は私生活の近況共有が中心で、採用となると友人知人の紹介レベルにとどまります。
Wantedlyは若手ビジネスパーソンが多く、「カジュアル面談で社風に共感してもらう」ことを重視したサービスです。年齢層を見ると、Wantedlyは20代が過半を占めますが、LinkedInは20代~50代まで幅広く網羅しています。つまりLinkedInは経験豊富なミドル層以上も含め幅広い年代の人材と接点が持てるプラットフォームと言えます。
採用機能とアプローチ手法
LinkedInは最初から求人・採用目的で作られた機能(求人掲載、人材サーチ、InMail)が備わっている点が他SNSにはない強みです。TwitterやInstagramで求人情報を発信する企業もありますが、ユーザーのタイムラインは玉石混交の情報で流れてしまい、組織的な人材発掘には不向きです。
一方LinkedInなら、条件検索で業種・職種・スキルなどを絞り込んで人材を探し出し、直接アプローチできます。またWantedlyにも求人掲載やスカウト機能はありますが、転職前提ではなく「話を聞きに行きたい」ボタンで緩やかにつながる設計です。よりダイレクトに採用につなげたい場合、LinkedInのほうが効率的でしょう。
拡散力と信頼性
一般的なSNSの中では、Twitterは拡散力が非常に高く話題がバズる可能性があります。しかしその分不特定多数に届くため、採用では母集団の質を確保しにくい面があります。Facebookは繋がりのある人に情報が届きやすい仕組みですが、ビジネス目的での利用が少ないため求人への反応は限定的です。
これに対しLinkedInはビジネスネットワークの拡大が目的なので、求人情報も受け手にとって自然なコンテンツです。投稿がバズって拡散しなくとも、着実にターゲット層へリーチできます。また、LinkedIn上の情報(経歴やスキル)は第三者の推薦機能などもあり信頼性が高めです。企業がSNS採用を行う際に課題となる「応募者の素性が不明瞭」などのリスクも、LinkedInでは履歴書に近いプロフィールを参照できるぶん軽減されま
国内サービスとの使い分け
日本ではWantedlyをはじめ、ForkwellやYOUTRUSTといった専門コミュニティ型の求人サービスも登場しています。それぞれ特徴はありますが、LinkedInはやはりグローバルな人材データベースという点で一線を画します。例えば外国籍人材や海外在住の日本人プロフェッショナルにアプローチしたい場合、LinkedIn以外では効率よく探すのが困難です。
一方で日本の新卒学生などは依然として就活サイトの利用が主流でLinkedIn登録者は少ない現状があります。したがって、他サービスと比較してLinkedInが得意な領域(国際職・専門職・ミドル以上)と不得意な領域(新卒大量採用等)を理解し、使い分けることが重要です。複数のチャネルを補完的に活用しつつ、LinkedInでは狙った層に集中的にリーチする戦略が有効でしょう。
以上の比較から分かるように、LinkedInは「質」と「専門性」に強みを持つ採用プラットフォームです。他のSNSが全く不要というわけではありませんが、特に中途採用や高度人材の獲得においてはLinkedInの活用価値が高いと言えます。
LinkedIn採用の活用事例
実際にLinkedInを採用チャネルとして活用し、大きな成果を上げている企業も増えてきました。ここではその一部を紹介します。大手企業からベンチャー企業まで、業種規模を問わずLinkedIn採用の可能性が感じられるでしょう。
1.メルカリ – 急成長中のフリマアプリ企業メルカリは、「サービスとしてのメルカリ」だけでなく「働く環境としてのメルカリ」を知ってもらうことを目的にLinkedInを本格活用しました。自社イベントのMeetUpに興味のありそうな候補者をLinkedIn経由で招待し、カジュアルな交流の場を提供。そこでファンになってもらった優秀層にアプローチし、わずか半年で複数名のエンジニア採用に成功しています。「まず共感を得て緩やかにつながる」というスタンスが奏功した例です。
2.楽天 – 日本を代表するIT企業の楽天は、グローバル展開に伴うスピード感とコスト効率を求め、ダイレクトリクルーティングにシフトしました。まずは競争の激しいエンジニア採用でLinkedInを活用し、転職市場では出会えない潜在層のグローバル人材に多数アプローチを実施。その結果、高水準のエンジニアの採用に成功しました。また候補者と直接コミュニケーションを取ることで企業理解を深めてもらい、入社意欲向上にもつなげています。LinkedIn導入により採用スピードとブランディング強化を両立した好例です。
3.M&Aクラウド−Linkedin採用に、Recruit Markerを利用し始めてわずか3週間で、SNSでのDMに対して返信が発生。返信率にすると従来の6-7%から約15%と大きく向上し、採用スピードが強化。相手が採用リンクをクリックした場合の閲覧回数や閲覧時間といった閲覧ログをもとに、インテントデータを取得し活用する取り組みを進め候補者の行動データを活用することで、従来の採用手法では得られなかった洞察が得られ活用できている事例です。
詳細はこちら https://sales-marker.jp/case_study/macloud
特に印象的だったのは、4名のうち1名が以前別のチャネルでアプローチしたときにお断りされた方だったことです。今回、Recruit Markerを通じて「一度カジュアルにお話ししませんか」というフランクなメッセージを送ることで再びつながることができたのは、効果的なコミュニケーションの一例だと感じています
これらの事例からも、LinkedIn採用は業界・規模を問わず有効に機能し得ることが分かります。それぞれの企業が自社の課題に応じた使い方(ファンづくり、コスト削減、認知拡大、潜在層開拓 etc.)を工夫し、成果につなげています。自社でも「何を目的にLinkedInを使うのか」を明確に定め、成功事例を参考にしながら独自の戦略を練ってみてください。
まとめ
LinkedIn採用は、新卒・中途を問わず現代の採用活動において強力なプラットフォームとなり得ます。 ビジネス領域のプロフェッショナルが多く登録しているため、求人媒体やエージェント経由では出会えない優秀な人材にアクセスできるチャンスが広がります。特にIT・デジタル系をはじめとする転職潜在層が豊富なため、うまく活用すれば自社の人材層を一段高いレベルで強化できるでしょう。
一方で、優秀な人材を採用するには信頼関係の構築と中長期的なコミュニケーションが不可欠です。LinkedIn上で候補者とつながったからといってすぐに内定承諾まで至るわけではありません。継続的な情報発信で自社の魅力を伝え、候補者の転職意向やタイミングに合わせて適切なアプローチを続ける忍耐強さが求められます。つまり、LinkedIn採用を成功させるには「マーケティング志向の採用活動」が必要なのです。
本記事で述べたポイントを踏まえ、ぜひ自社でもLinkedInの活用を検討してみてください。
変化する採用市場において、LinkedInという新たな武器を使いこなすことで、これまでリーチできなかった人材を味方につけるチャンスが生まれるでしょう。今後さらに競争が激しくなる人材獲得戦略において、LinkedIn採用は他社と差をつける有力な手段となるはずです。