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顧客ニーズに合ったインテントデータの活用法とは?

#SaaS|インテントデータ

インテントデータを上手く活用できれば、企業の目標利益に大きく近づきます。特にBtoBを生業としているサービスを提供している企業は、インテントデータが有効です。

実際、海外ではインテントデータの認知が日本よりも増してきており、それに伴い段々と参入企業が増えています。そしてAscend2の調査レポートによると使用ユーザーの大半は、1~3ヶ月で投資リターンを得ていると実感しています。

日本ではまだまだ「どのように活用すればいいかわからない」「そもそもインテントデータとは?」という方も多いかと思います。

そのような方に向けて顧客ニーズに合ったインテントデータの活用法を紹介します。

インテントデータを活用するために

参照:https://www.intentsify.io/blog/intent-data-matching-use-cases

まだインテントデータを活用していない企業は、上の図を見てください。多くの企業が半年以内にインテントデータ活用によるリターンを得ています。リターンを得るのに重要なことは、データ運用の前に自社の課題を分析してから活用方針を決定することです。

以下のインテントデータを上手く活用するために3つについて考えてみてください。

  1. 組織のニーズは何ですか?インテントデータで何を改善したいですか?
  2. 組織内で、すでに戦略はありますか?
  3. どのようなリソース(従業員の時間やスキル、コアテクノロジーなど)がインテントデータに使えそうですか?

まずは、1つ目について解説します。この記事を読めば、組織のニーズを判断してからインテントデータ活用するという事がどれほど重要かに気づくことができるでしょう。組織の戦略との相性や使用リソースについては、別記事で紹介します。

あなたの組織のニーズとは?

インテントデータを使うべきか判断するために、現在の目標を明確にしましょう。

インテントデータを用いて、なにをKPIにしたいか、なにをCVにしたいのかなど、ゴールの方向性が明確になっている必要があります。そして、目標が明確になった後、インテントツールが本当にサポートしてくれるのかを判断します。

つまり、インテントデータ活用は手段であり、目標が定まっていないとうまく運用できないということです。そもそもインテントデータを活用しようと思ったきっかけは何でしたか?明確な目標を設定し、インテントデータを活用しながらチームの課題を改善していきましょう。

それでは、インテントデータは下記のような2つの大きな価値があります。

  1. インテントデータを使用することで、自社の課題、ソリューション、ブランド、また関連企業を特定することができる
  2. 関連企業の興味を明確にし、その企業の必要情報を提供することができる

インテントデータはどのような利益をもたらすのか?

インテントデータは顧客の絞込みに最適で、アカウント履歴に基づいたデータを分析してくれます。

BtoBの営業では適切な顧客が分かれば、販売活動がスムーズになるでしょう。

  • 「どの企業に注目すればよいかわからない」
  • 「理想的な顧客(ICP)となり得る新しいターゲットを見つけるのに苦労している」
  • 「見込みのある顧客を分かってはいるけれどなぜ彼らが自社ブランドを購入してくれないのか分からない」

などといった場合に利用するのがよいでしょう。

実際、BtoBマーケターによるインタントデータ利用方法は、Ascend2の調査によると1位が「デジタル広告」(64%)、次いで「顧客アカウントの拡大」(44%)、「アカウントの特定」(44%)でした。

そして他にもインテントデータの活用方法はたくさんあります。下記で一般的なインテントデータの活用例をリストアップしていきます。

  • アカウント識別(顧客リストの拡張が可能)
  • ディスプレイ広告、ソーシャル広告(例:インテントデータで特定したアカウントのみへ広告配信できる)
  • コンテンツ配信(例:特定のアカウントへのみ、ブランドコンテンツや購入促進を配信できる)
  • コンテンツマーケティング(例:顧客の興味に合わせたコンテンツのカスタマイズが可能)
  • 顧客誘導とアカウントの育成(例:顧客を適切に誘導できる)
  • 販売促進のため、顧客に優先順位を付ける(例:営業開発担当者が、どの販売促進/アカウントがもっとも成約しやすいか、を特定できる)
  • セールスメッセージ(例:顧客の関心に合わせて、コンテンツや話題提供ができる)
  • 対面イベントの企画(例:顧客が強く興味を示している分野がわかる)
  • 顧客・アカウントの拡大(例:追加販売や関連商品販売の可能性がある既存顧客の特定ができる)
  • 顧客アカウントの解約防止(例:解約リスクのある顧客を特定し、解約前に問題解決できる)

インテントデータの活用準備で知っておくべき8つの戦略

次に、2つ目の「適切な戦略を立てる」について説明します。課題解決に取り組む前に、適切な戦略を立てることで、投資から最大限の効果を引き出せます。

Ascend2の調査レポートによると、保有している会社のデータを一貫性を持って活用できていない、と半数以上 (55%) が回答しています。また、インテントデータ活用の最大の課題は「データ使用の戦略を立てること」(43%)であることが分かっています。

インテントデータを上手く活用するための「8つの戦略」をご紹介します。

活用場面から考える

組織のニーズが明確で、インテントデータの活用方法を理解しているのであれば、活用場面を設定してみましょう。マーケティング分野でインテントデータが活用されることが多いので、マーケティング分野の活用場面を設定することをおすすめします。

多くの企業は、有料のメディア広告(記事配信、デジタル広告など)のアカウント優先順位付けから始めます。これは自社の製品やソリューションに興味関心のあるアカウントにのみ、時間、労力、予算を割り当てることができるからです。その結果、より良い集客力と広告費の節約にもつながります。

上記のようなマーケティングの初歩的な活用場面で結果を出した後は、さらにほかの活用方法へ拡張可能です。例えば、アカウントやリード広告の評価基準としてインテントデータを活用できます。また、顧客アカウントにはどのメッセージや担当者(BDR)を当てるべきかを判断できます。さらには、インテントデータが示すシグナルに合わせて営業活動を最適化することもできます。

そしてそれぞれの活用場面では、必ず結果を測定し、何がうまくいっているのか、どこに問題があるのかを特定していきます。評価基準を設定し、分析をしてみましょう。

評価基準を設定し、効果を把握する

上記で記述した通り、何が有効で何に注意が必要かを知るには、評価基準を設定することが重要です。

インテントデータ活用の前に、活用場面のパフォーマンスを分析し文書化します。例えば、記事配信などを行う前に、顧客の需要を知るために以下の項目をデータ化したいと考えます。

  • 需要分析の転換率(例:リード広告からMQL、SQL、販売機会への連結など)
  • マーケティングに影響する連結経路
  • ターゲットとなる顧客アカウントの販売率
  • 平均取引の量
  • 1回あたりのコスト

インテントデータ活用前と活用後のパフォーマンスについて十分なデータを収集したら、その結果を比較します。そうすれば、インテントデータへの投資リターンを視覚化できます。そして、いつ、どのようにプログラムを拡張するか、データ分析に基づいてより良い意思決定ができるようになります。

見込み客の経路をマッピングする

これは、BtoBマーケティング活動全般にいえることですが、インテントデータを使用する場合はさらに重要です。長い販売サイクルの中で、見込み客をより引き込むには提供する情報を精査し、戦略的になる必要があります。見込み客の経路を把握し、どの段階にいるのかを理解することで顧客ごとに適切な戦術、コンテンツ、メッセージを選択が可能です。結果として、より良い体験を提供でき、集客力の向上、販売戦略全体の一貫した成長を実現できます。

顧客の経路をしっかりと理解することは、インテントデータ活用ではとても重要です。なぜなら、データ分析から発せられるシグナルによって、見込み客が経路のどこにいるかが分かるからです。そして、これらのデータ分析を使用し、顧客のアカウントに必要な情報を、必要な時に提供できるようになります。

たとえば、関連トピックやキーワードを積極的にリサーチしている顧客(製品、ソリューション、ブランドではなく)は、購入経路のかなり早い段階に位置しています。このようなアカウントの顧客には、ブランドや製品に特化したメッセージは効果が薄いです。そのため彼らのリサーチに関連したメッセージで、トップファネル・エンゲージメント戦術(プログラマティック広告、コンテンツ・シンジケーションなど)で、興味関心を掻き立て、自社の商品を購入するように誘導するべきです。

そして見込み客(販売側も含めて)が知識を吸収するには、「経験」がとても重要です。見込み客が何を経験しているかを理解し、それに合わせたコンテンツを作成するようにしましょう。

トピックとキーワードを理解しトラッキングする

前項で述べたように、インテント・シグナルは、見込み客が購買経路のどこにいるのかを教えてくれます。しかし、そのためには顧客が使用しているトピックとキーワードを、適切に分析する必要があります。

しかし、マーケティングチームや営業チームは、自社ブランドや製品のキーワードで急上昇しているものを優先してしまう傾向があります。自社データ内では役立つかもしれませんが、実はインテントデータの有益性を無駄にしてしまうことになります。インテントデータの活用の流れは以下の様になります。

  1. 自社ブランドに需要のあるアカウントの特定
  2. 見込み客がどの段階にいるのかを明らかにし、適切なアプローチ方法を選択できるようにする
  3. ターゲットとなる顧客が最も関心を寄せているもの(課題、ソリューション、製品、機能など)を明らかにし、適切なメッセージやコンテンツを選択できるようにする

インテントデータ分析は、コンテンツの関連性(トピックのトラッキング)と絞り込みの精度(キーワードのトラッキング)を確保する最善の方法です。そのため、関連トピックとキーワードの両方を監視することが良い経験則となるのです。

マーケティングチームとセールスチームの連携

インテントデータを導入する前に、マーケティングチームと営業チームが連携していることが重要です。なぜならこのふたつのチームはツールの主な使用ユーザーとなるからです。

しかし、Ascend2のレポートによると、インテントデータ活用に際しての不満のトップ3は営業とマーケティングの連携がうまくいっていないと結果がでています。その証拠に「マーケティングとメッセージが連携していない」(42%)が2番目に挙げられています。

マーケティングチームに加え、営業チームがインテントデータを使用する場合、両チームが同じ見解を持ち、インテントデータとは何か、その価値と使用場面、プロセスの最適化について知っておくと良いでしょう。もしチームが連携しておらず、非効率な作業をしてしまう、また両チームの連携(質・量ともに)が損なわれている場合、営業は新規取引の締結や新規顧客の獲得がより困難になります。

「どのアカウントにどのメッセージを送るべきか」を営業チームに教えてくれるのもインテントデータです。また、顧客との継続的コミュニケーション、チームの教育・トレーニングも教えてくれます。

インテントデータの活用をデマンドジェネレーション戦略に組み込む

繰り返しになりますが、これらはすべて戦略に関することです。ターゲットとなる人達が抱える課題を自ら理解しているか、販売したい製品やソリューションがどのように解決できるかを把握しましょう。そして最終的に購入するように仕向けることができます。

また営業チームに渡す見込み顧客(デマンドジェネレーション)を向上させるためには、インテントデータをどのように利用するか理解しましょう。そしてそれを文書化しすべての関連チームと個人に伝えることが重要です。これには、以下のようなものが含まれます。

  • 見込み客のアカウントリスト(TAL)と類似モデルの作成
  • アカウントの優先順位付け
  • コンテンツの作成、選択、配信
  • プログラマティック広告
  • 第三者への配信(例:コンテンツ配信)
  • アカウントおよび/またはリード広告の点数化と経路化
  • 顧客への適切なメッセージの開発と選択
  • セールス/BDR を優位にする(具体的には、アカウントの優先順位付けとメッセージの選択)
  • 顧客アカウントのアップセルおよびクロスセル
  • 顧客アカウントの解約防止

インテント戦略とイニシアティブとの整合性

ひとつの計画を展開する時も、そこで学んだことをほかのケースにどのように転用できるかを考えましょう。さらに、その計画で使用するツール、データ、戦術をインテントデータがどのようにサポートするかを必ず考えておきましょう。

例えば、すでに営業活動にインテントデータを使用している場合、カスタマーサポートで同じことができるかを考えてください。どのアカウントが解約リスクがあるか、顧客を失わないために何ができるかを特定しましょう。

統合の可能性

MAP(マーケティングオートメーションプラットフォーム)やCRM(顧客関係管理)と統合して実装を容易にすることができます。複数チームにインテントデータを導入し、相乗効果を得るのです。そのためインテントデータをより良く活用する方法を常に考えていきましょう。

会社にある3つのリソースをインテントデータとして利用すれば結果に繋がる

インテントデータに投資するのに適切なタイミングかどうかわからない場合、次の3つの最も重要な質問を検討する必要があります。

  1. 組織のニーズは何ですか?インテントデータで何を改善したいですか?
  2. 組織内で、すでに戦略はありますか?
  3. どのようなリソース(従業員の時間やスキル、コアテクノロジーなど)がインテントデータに使えそうですか?

最後は、3つ目のインテント主導型をサポートするために必要なリソースについてご説明します。

既にある会社の人材を使用する

エンタープライズ企業にはたくさんのチームがあるため、人的リソースの余裕があります。そのため特定のチームメンバーを、インテントデータの収集、整理、展開、および測定に専念させることが可能です。

なぜ専念させた方が良いかというと、B2Bマーケティングおよびセールスの専門家の間でデジタルの精通度が年々高まっているからです。マーケティング担当者は、高品質のソートリーダーシップコンテンツ、テクノロジー/データプロバイダー間の強力なカスタマーサクセスプログラム、マーケティング/セールスの技術力に対する需要の高まりなど、さまざまな種類のデータを管理するためスキルを取り入れています。Salesforceの2021年マーケティング状況レポートによれば、マーケティング担当者が現在11の顧客データを使用していることを明らかにしており、2020年の8顧客データ、2019年の6顧客データから年々増加しています。そのため、顧客データを取り扱うことは非常に重要と言えます。

組織がインテントデータへの投資やインテント主導型のソリューションを最大限に活用できるようにするには、以下のことについて考えることが必要です。

  1. インテント戦略を主導し、推進するのは誰か。
  2. チームおよび個人の役割がデータの使用やデータの恩恵を受けるか。
  3. 会社やチームは、実際どのようにインテントデータを使用するのか。
  4. 選択したユースケースに最も適した方法でデータをデータを使用しているか。
  5. どのくらいの訓練と教育を必要とするか。
  6. 必要な技術をすべて保有しているか。

教育や研修する時間を考える

海外ではインテントデータの人気が高まってきており一般的になりつつありますが、スキル育成が難しいのが現状です。Ascend2の調査によると、マーケティング担当者がまだスキルアップにのり込んでない理由として「そもそもインテントデータに精通していない」(27%)、「必要なスキル/知識の欠如」(20%)が挙げられています。

インテントデータのスキルを上げるためには、インテントデータとは何か、インテントデータの価値、インテントデータを活用する方法、メリットを最大限に引き出すためにプロセスを調整する方法を正確に理解できるかどうかにかかっています。

しかし、様々なスキルを学ぶのは骨が折れる作業なので、チームに必要なスキルのみを勉強するのも手段のひとつです。そのためインテントデータを使用するメンバーに下記のことを質問してみましょう。

  1. インテントデータやインサイトは、どのようなタイミングでどのように使用するか
  2. インテントデータの使用者がどれだけ専門知識を得ているか

これらの質問に対する回答を得ることが非常に重要です。そのようにすることでインテントデータの使用を組み込んだ全体的なマーケティングおよび/または販売戦略の一部であるべきです。

リソースのあるエンジニアが社内にいるか

インテントデータの純度を上げるためには、アナリティクスのデータのみを使用するだけではいけません。様々なデータを組み合わせることが重要です。たとえば、社内に既に存在するCRM (顧客関係ソフトウェア) と MAP (マーケティング オートメーションプラットフォーム)を使用すれば、より純度が増します。

インテントデータとCRM・MAPを掛け合わせて分析することで、潜在顧客がより鮮明になったり、短時間で分析が完了したりなどのメリットが発生します。さらに潜在顧客になりそうな属性についても鮮明にわかるようになります。そのためダイレクトレスポンスでの営業などの成約率が上がります。

このように既に社内に存在するデータを活用することは非常に大切です。そのためリソースのあるエンジニアにCRMやMAPを作成していただく必要があります。ターゲティングがしっかりとできることで、成約率が格段に上がるのでぜひエンジニアともシステム開発の部分で相談してみてください。

CRMやMAP以外にも下記のようなデータはインテントデータを使用する上で役に立ちます。

  • デマンドサイドプラットフォーム
  • コンテンツ管理システム(CMS)
  • セールスエンゲージメントプラットフォーム
  • ABMプラットフォーム

必ず必要なわけではないですが最終的な効率化につながるので、エンジニアのリソースを検討しつつ、作成してみてください。

まとめ

インテントデータはただ使用するだけでも効果がありますが、より効率的に利用するには既に会社にあるデータや人材、資源を利用していくことが重要になってきます。

効果的に使用することにより、結果的に費用対効果が良くなったり損益分岐点を超えやすくなるので、積極的に試しましょう。