この記事は約 13 分で読めます。
最近、リモートワークの拡大に伴い、ソフトウェア・アズ・ア・サービス(SaaS)事業を展開する企業への関心が高まっています。SaaS企業とは何か、また日本で人気のあるSaaS企業にはどのようなものがあるのか、多くの方が知りたいと思っていることでしょう。
この記事では、国内で注目を集めているSaaS企業についての情報を総合的に提供します。
SaaSとは
SaaS(Software as a Service)は、インターネットを通じてソフトウェアを提供するサービスモデルです。従来はソフトウェアをパソコンに直接インストールして使用していましたが、SaaSではソフトウェアをオンライン上で利用し、サブスクリプション(定期購読)形式で支払います。これにより、ユーザーは場所を問わずにソフトウェアにアクセスでき、常に最新のバージョンを利用することが可能です。また、高額な初期投資を必要とせず、使用する機能に応じて料金が課せられるため、コスト効率が高いという特徴があります。ビジネス用のCRMツール、会計ソフト、プロジェクト管理ツールなど、様々な形でSaaSは提供されており、リモートワークの普及と共に、その重要性が増しています。
SaaSの特徴とは
SaaS(Software as a Service)にはいくつかの特徴があります。ここでは主な特徴でもある5つを紹介します。
1.クラウドベースでどこでもアクセス可能
SaaSはクラウドベースのサービスであり、インターネットがあればどこからでもアクセス可能です。これにより、ユーザーは地理的な制約なく、オフィス、自宅、移動中など、任意の場所から必要なソフトウェアを使用できます。この柔軟性は、特にリモートワークや多拠点での業務を行う企業にとって大きなメリットです。クラウド上での運用により、物理的なインフラストラクチャに依存することなく、高い可用性とアクセスの容易さを提供します。
2.サブスクリプションモデルを採用
SaaSはサブスクリプションモデルを採用しており、ユーザーは使用するサービスに対して定期的に料金を支払います。これにより、高額なライセンス費用や初期投資が不要となり、特に中小企業やスタートアップにとって手軽に導入可能です。また、必要に応じてプランをアップグレードしたり、必要なくなったサービスを容易に解約できるため、ビジネスの変動に柔軟に対応できます。コストの予測可能性と管理のしやすさが、サブスクリプションモデルの大きな利点です。
3.スケーラビリティなカスタマイズが可能
SaaSサービスは高いスケーラビリティを持ち、企業の成長や変化に合わせてサービスを拡張・縮小することができます。ユーザー数の増減や追加機能の要望に応じて、柔軟にサービスをカスタマイズできるため、ビジネスニーズに最適な形でソフトウェアを利用することが可能です。これにより、企業は常に適切なリソースを利用しつつ、不必要なコストを抑えることができます。
4.メンテナンスの簡素化
SaaSでは、ソフトウェアのメンテナンスやアップデートがサービス提供者によって行われます。これにより、ユーザー企業は自社での複雑なメンテナンス作業から解放され、常に最新の機能を利用することができます。また、セキュリティパッチの適用も迅速に行われるため、セキュリティリスクを低減します。この結果、IT部門の負担が軽減され、より戦略的な業務にリソースを割り当てることが可能になります。
5.簡単な導入と利用
SaaSソリューションはインストールや設定が非常に簡単で、迅速に導入することが可能です。ウェブベースのインターフェースを通じてサービスにアクセスできるため、特別なハードウェアやソフトウェアのインストールが不要です。また、直感的で使いやすいデザインが多く、ユーザーは短時間で操作方法を学ぶことができます。この利便性は、企業が新しいツールを迅速に導入し、生産性を向上させる上で重要な要素です。
注目されているSaaS企業【10社】
ここからは2024年現在注目されているSaaS企業を紹介します。
1.Sansan株式会社
正式名称 | Sansan株式会社 |
代表者 | 寺田 親弘 |
設立日 | 2007年6月11日 |
本社所在地 | 東京都渋谷区神宮前5-52-2 青山オーバルビル 13F |
ホームページ | https://jp.corp-sansan.com/ |
Sansan株式会社は、ビジネス名刺管理サービス「Sansan」を提供しています。このサービスでは、ビジネス名刺をスキャンし、データをクラウド上に保存・管理することが可能です。これにより、企業は名刺情報をデジタル化し、社内での共有や顧客情報の管理を効率化できます。Sansanは、名刺情報を基にした顧客との関係構築、営業機会の創出、ネットワーキングの強化に役立つツールです。企業の顧客関係管理(CRM)戦略を支援することを目的としており、多くのビジネスプロフェッショナルに利用されています。
2.freee株式会社
正式名称 | フリー株式会社 |
代表者 | 佐々木 大輔 |
設立日 | 2012年7月 |
本社所在地 | 東京都品川区大崎1-2-2アートヴィレッジ大崎セントラルタワー 21階 |
ホームページ | https://corp.freee.co.jp/ |
freee株式会社は、クラウド会計ソフト「freee」を提供しています。このサービスは、中小企業や個人事業主向けに設計されており、請求書の作成、経費の管理、税務申告などの会計業務を簡単に行えるようになっています。自動仕訳や銀行口座との連携による入出金の自動記録など、効率的な会計処理を可能にする機能が特徴です。また、経営状況の一元管理や財務分析などの機能も提供しており、経営の意思決定をサポートします。freeeは、会計業務の時間短縮と正確性の向上に貢献しています。
3.株式会社Sales Marker(セールスマーカー)
正式名称 | 株式会社Sales Marker(セールスマーカー) |
代表者 | 小笠原 羽恭 |
設立日 | 2021年7月29日 |
本社所在地 | 東京都港区虎ノ門4-1-1 神谷町トラストタワー 23F |
ホームページ | https://cross-border.jp/ |
株式会社Sales Marker(セールスマーカー)は、企業向けの営業支援ツールを提供しています。このサービスは、営業プロセスを効率化し、売上の向上を目指す企業にとって重要な機能を多数備えています。
主要な機能としては、潜在顧客の情報を自動で収集し、管理する顧客リレーションシップ管理(CRM)システムがあります。これにより、営業担当者は手間のかかる顧客データの収集と整理の作業を大幅に削減でき、より多くの時間を顧客とのコミュニケーションや商談に充てることが可能になります。
また、Sales Markerのサービスには、顧客の興味やニーズに合わせたパーソナライズされた営業戦略を策定するための分析ツールも搭載されています。データドリブンなアプローチにより、効果的なセールスアクティビティを展開し、成果を最大化することができます。
さらに、顧客とのコミュニケーションをトラッキングし、それぞれの顧客との関係を深めるための戦略を立てることもできます。この機能により、顧客ごとに最適化されたアプローチを実施し、長期的な顧客関係の構築をサポートします。
Sales Markerは、これらの機能を通じて、営業チームの生産性の向上と、商談の成功率の向上を目指しています。特にBtoB市場において、その効果を発揮するツールとして多くの企業に採用されています。
4.株式会社チームスピリット
正式名称 | 株式会社チームスピリット |
代表者 | 道下 和良 |
設立日 | 1996年11月13日 |
本社所在地 | 東京都千代田区内幸町2-1-6 日比谷パークフロント19F |
ホームページ | https://corp.teamspirit.com/ja-jp/ |
チームスピリット株式会社は、「TeamSpirit」を提供しています。これは統合型のクラウドサービスで、勤怠管理、経費精算、プロジェクト管理、休暇管理などの機能を一つのプラットフォームで提供します。ユーザーは日々の業務時間の記録、経費の申請、プロジェクトの進捗管理などを簡単に行え、効率的な業務運営を実現します。特に、多様な業種や規模の企業に対応しており、リモートワークやフレキシブルな勤務形態にも柔軟に適応する点が特徴です。
5.株式会社マネーフォワード
正式名称 | 株式会社マネーフォワード |
代表者 | 辻 庸介 |
設立日 | 2012年5月 |
本社所在地 | 東京都港区芝浦3-1-21 msb Tamachi 田町ステーションタワーS 21F |
ホームページ | https://corp.moneyforward.com/ |
マネーフォワード株式会社は、主に個人および企業向けの財務管理ツールを提供しているSaaS企業です。その代表的なサービスには、「マネーフォワード ME」があり、これは個人向けの家計簿アプリで、銀行口座やクレジットカード、電子マネーなどと連携し、自動で収支を管理・分析します。また、「マネーフォワード クラウド」シリーズは企業向けで、クラウド会計、給与計算、請求管理などの機能を提供し、経理業務の効率化を支援します。これらのサービスは、直感的な操作性と豊富な機能で、多くの個人および企業ユーザーに利用されており、財務管理の簡素化と可視化を実現しています。
6.株式会社カオナビ
正式名称 | 株式会社カオナビ |
代表者 | 佐藤 寛之 |
設立日 | 2008年5月27日 |
本社所在地 | 東京都渋谷区渋谷2-24-12 渋谷スクランブルスクエア 38F |
ホームページ | https://corp.kaonavi.jp/ |
カオナビ株式会社は、人事管理システム「カオナビ」を提供しています。このクラウドベースのSaaSサービスは、企業の人事部門が従業員のスキルや業績、キャリアパスを一元的に管理するために設計されています。カオナビを利用することで、人材データベースの構築、タレントマネジメント、後継者計画、人事評価の管理などが可能になります。また、視覚的なインターフェースと分析ツールにより、人材の能力とポテンシャルを明確に把握し、戦略的な人事計画を立てることができます。人事部門の業務効率化はもちろんのこと、組織全体の人材活用の最適化をサポートすることが、カオナビの大きな特長です。
7.Chatwork株式会社
正式名称 | Chatwork株式会社 |
代表者 | 山本正喜 |
設立日 | 2004年11月11日 |
本社所在地 | 東京都港区西新橋1-1-1 WeWork 日比谷FORT TOWER |
ホームページ | https://corp.chatwork.com/ja/ |
ChatWork株式会社が提供する「ChatWork」は、ビジネス向けのコミュニケーションとタスク管理ツールです。このSaaSサービスは、チーム内のコミュニケーションを円滑にし、プロジェクトの効率的な管理を支援します。ChatWorkでは、テキストチャット、ビデオ会議、ファイル共有、タスク管理機能が一つのプラットフォームに統合されています。ユーザーは個別またはグループチャットを通じてコミュニケーションを取り、タスクの割り当てや進捗の追跡を行うことができます。また、モバイルデバイスにも対応しており、オフィス外からでも業務の連携が可能です。ChatWorkは、リモートワークや多拠点でのチームワークをサポートするため、多くの企業にとって欠かせないツールとなっています。
8.BASE株式会社
正式名称 | BASE株式会社 |
代表者 | 鶴岡 裕太 |
設立日 | 平成24年12月11日 |
本社所在地 | 東京都港区六本木三丁目2番1号 住友不動産六本木グランドタワー 37F |
ホームページ | https://binc.jp/ |
BASE株式会社が提供するSaaSサービスは、オンラインストア構築プラットフォームのことを指します。このプラットフォームは、個人や企業が独自のウェブストアを簡単に作成し、商品を販売するためのツールを提供しています。BASEを使用することで、デザインの自由度が高く、カスタマイズが容易なオンラインショップを構築できます。ユーザーは商品の登録から決済までの全てのプロセスを効率的に管理でき、モバイルフレンドリーなデザインもサポートしています。支払い方法や在庫管理、顧客情報の管理など、eコマースに必要な機能が統合されており、多くのオンラインビジネスに利用されています。BASEは、個人のクリエイターから中小企業まで幅広いニーズに応えるプラットフォームとして人気があります。
9.株式会社ユーザベース
正式名称 | 株式会社ユーザベース |
代表者 | 稲垣 裕介・佐久間 衡 |
設立日 | 2008年4月1日 |
本社所在地 | 東京都 千代田区 丸の内2-5-2 三菱ビル |
ホームページ | https://www.uzabase.com/jp/ |
株式会社ユーザベースが提供するSaaSサービスは「Speeda(スピーダ)」というビジネスインテリジェンスツールです。Speedaは、ビジネスにおける情報収集・分析・洞察を支援するプラットフォームであり、市場調査、競合分析、企業評価などのビジネスインテリジェンス活動に活用されます。
このサービスは、世界中の企業情報を収集し、リアルタイムでアップデートすることで、ユーザーに最新の市場動向や競合情報を提供します。ユーザーは簡単な検索やデータの視覚化を通じて、戦略的な意思決定をサポートします。Speedaは、企業戦略策定、投資判断、新規ビジネスの機会探索など、幅広いビジネスニーズに対応し、日本国内外の多くの企業が利用しています。従業員が迅速に正確な情報にアクセスできるため、意思決定プロセスを効率化し、競争力を高めるのに役立っています。
10.ランサーズ株式会社
正式名称 | ランサーズ株式会社 |
代表者 | 秋好 陽介 |
設立日 | 2008年4月 |
本社所在地 | 東京都渋谷区渋谷3丁目10-13 TOKYU REIT渋谷Rビル 9F |
ホームページ | https://www.lancers.co.jp/ |
ランサーズ株式会社が提供するSaaSサービスは「ランサーズ」です。ランサーズは、フリーランスと企業をつなげるマッチングプラットフォームであり、仕事の委託と受注をスムーズに行える環境を提供しています。
このサービスは、企業がプロジェクトや業務を外部のフリーランスに発注し、フリーランスが自身のスキルを提供する場を提供します。プロジェクトの発注者は、必要なスキルや経験を持つフリーランスを探し、プロジェクトを進行させます。一方、フリーランスは様々な仕事の機会を見つけ、自身のスキルを活かすことができます。
ランサーズは多岐にわたる業種やスキルに対応し、企業や個人がプロジェクトを円滑に進め、効率的に仕事を受注できるプラットフォームとして知られています。フリーランスと企業の双方にとって、柔軟性のある働き方や効率的なプロジェクト管理を実現する手助けとなっています。
本記事のまとめ
この記事では、現代のビジネス環境におけるSaaSの重要性と、日本国内で注目される10社のSaaS企業を紹介しました。これらの企業は、リモートワークの拡大とともに、多様化するビジネスニーズに応えるための革新的なソリューションを提供しています。それぞれが特有のサービスを通じて、企業の運営効率の向上、コスト削減、業務プロセスの最適化に貢献しており、日本のビジネスシーンにおいてますます重要な役割を果たしていくことでしょう。
また、SaaSはインターネット接続さえあれば、どこからでもアクセス可能であることが大きな特長です。これにより、仕事の効率化とワークライフバランスの改善が実現し、外出先や自宅からも業務を進めることができます。そこで、オンラインベースでの業務遂行体制を整えることで、働き方の柔軟性が向上します。しかし、SaaSサービスはその種類が多岐に渡るため、どれを選ぶべきか迷うこともあるでしょう。
本記事を参考に、ご自身のビジネスニーズに最適なSaaS選びを進めていただくことをお勧めします。