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三菱UFJ銀行がPowerPoint出力まで実務で使えるマルチAIエージェントOrcha(オルカ)を27部署に展開した理由

抱えていた課題
  • ・提案書作成業務の効率化、提案書の品質向上が課題であった
  • ・企業・業界分析(情報収集/整理/分析)~ストーリー構築~ドラフト作成のプロセスの迅速化が難しかった
  • ・大企業を担当するバンカーとして、多種多様な企業課題や最新のマクロトレンドにも柔軟に対応可能な資料生成ツールを見つけられなかった
活用した機能
  • ・ストーリー性・情報整理・視覚バランスを備えたスライド出力(PowerPoint)
  • ・銀行のブランドガイドラインやセキュリティ要件の遵守
  • ・情報ソースの追跡性・ファクトチェックしやすい仕組み(どの情報がどのソース由来かを一覧で確認可能)
実際の効果
  • ・提案書作成におけるリサーチ、ストーリー構築、ドラフト作成の一連の業務の作成時間の短縮
  • ・できることで作成時間の短縮を実感 ・ドラフト作成までのプロセスの短縮により、顧客提案前に何度もPDCAを回せるようになり、提案の質が向上した
  • ・アウトプットと出典の結び付きの明示によりファクトチェックプロセスの効率化

高度な専門性と厳格なガバナンスが求められる銀行業務において、三菱UFJ銀行では生成AIの活用に向けた取り組みが進んでいました。特に、大企業向け金融サービスを担うコーポレートバンキング部門の領域では、企業・業界分析や提案書作成など、知的生産性が競争力を左右する業務が多く、営業活動の高度化と効率化が重要なテーマとなっていました。しかし、既存の生成AIで情報整理や文章作成は効率化できても、「営業提案としてそのまま使えるスライド」を作ることは難しいという課題がありました。

 その中で同行が本格導入前の実証実験(PoC)を経て本番導入したのが、マルチAIエージェント『Orcha(オルカ)』です。PoC期間中に、銀行業務に求められる高い信頼性・安全性を担保できるのかを検証し、実務で本当に使えるAIツールと判断し、本格導入を決定。現在は、主に大企業営業の領域において分析・調査や提案書作成の支援に活用し、営業部隊の省力化を実現しています。
今回は、既存の汎用的なAIツールと比較した導入の決め手に加え、PoCでの検証ポイントや、導入後の活用実態・現場の変化を伺いました。

AIは使えていたが、提案書業務は変わらなかった

― なぜ、生成AIの導入を検討されていたのでしょうか?

大企業のお客様への金融サービスの提供を担うコーポレートバンキング部門では、毎年、業務改善のための業務内容調査を実施しています。そのなかで、情報収集・分析や提案書作成に時間がかかっていることが分かり、以前から効率化に向けて課題に向き合ってきました。
大企業ともなれば、お客様ごとに多種多様で複雑な課題が存在します。他行や投資ファンドでも提供できる金融機能が多い中で、当行ならではの価値を発揮するには「お客様の課題にいち早く気づきアプローチすること」、「まだ顕在化していない課題を発掘すること」が重要であり、競争力につながります。
そのためには、より高度な情報整理と質の高い提案書作成を支える打ち手が必要と考えていました。

 

― Orcha以外の生成AIの活用も検討されていたのでしょうか?

はい。いくつか汎用的なAIツールは全行的に導入され、その活用自体はすでに進んでいました。それらのAIツールにより、情報収集や文章のドラフト作成といった業務は、ある程度効率化できていたと思います。

ただ、営業現場で最終的に求められる「提案書を仕上げる工程」は、依然として人の手で作る必要がありました。なかでも、資料のストーリー設計やスライドへの落とし込みは属人化しており、多くの人が提案資料として提出できるクオリティまで仕上げることに多くの時間をかけていました。結果として、AIは活用できているものの、提案書作成の作業自体は大きく変わっていないという状況でした。

 

― 既存のAIツールでは、提案資料作成のどの部分に限界を感じていたのでしょうか?

導入済みだった汎用AIツールも含めていくつかのAIツールの活用も検討しましたが、スライド出力はあくまで簡易的で、当行で全社のブランドガイドラインの適用や情報整理の深さという点でも、営業提案書としてそのまま使えるレベルではありませんでした。一見すると整っているようでも、内容が表面的で不十分であったり、ストーリーとしての完成度に満足できる状況ではなかったのです。

また、テンプレート型の資料生成ツールもありましたが、大企業には複雑で多様な課題があり、当行としても多様な金融サービスを扱っていることから、大企業のお客様とは普段から非常に幅広いテーマの会話をしています。そのため、決まったテンプレートでは対応しきれず、大企業営業部隊のニーズを満たせません。自由にプロンプト入力して、さまざまなスタイルの提案書を作成できる柔軟性が、我々の業務にはフィットするだろうと考えていました。

 

―そうした課題があるなかで、Orchaのどこに可能性を感じたのでしょうか?

初めてOrchaを提案いただいた際、「リサーチ力」「ストーリー性(構成)」「視認性の高いスライド生成」が統合された形で成果物が出てくる点に魅力を感じました。単にスライドを出力するのではなく、提案書として成立するレベルの内容とデザインが同時に整う点に可能性を感じました。

提案書作成では、お客様の事業内容、業界全体、隣接する業界、さらには経済全体と様々な視点であらゆる情報ソースから分析し、課題を整理し、それに対するソリューションをどう提示するかという一連のストーリーをお客様ごとに組み立てていきます。これらをすべて人の手で行うと相当な時間がかかってしまいます。

一方で、ある程度課題が見えてきた段階でOrchaと壁打ちしてみたり、スライド形式でアウトプットしてドラフトにしたりすることで、最終的な成果物までの筋道をよりシャープにイメージすることができました。

 

― (“提案書のドラフト”としてのスライド生成は他のAIでも実現できると思うのですが、)実際に触れてみて、特に「これは他のAIと違う」と感じたポイントはどこでしたか?

ブランドガイドラインに沿ったデザイン作成能力と、情報ソースの正確さですね。

当行では、お客様にお見せする提案書にもブランドガイドラインに基づいた細かなデザインルールが設けられており、それを満たしていない資料はお出しできません。そのため、ドラフトであっても“最初から外に出せるデザインになっていること”が重要です。レイアウトが整理された状態でアウトプットされれば、そこから人が仕上げる作業も効率化できます。

また、提案書に差し込むテキストやグラフの情報ソースが明確であることも重要です。信頼を売りにしている金融機関ですから、ここは外せないポイントです。自由度の高いプロンプトでも、ブランドガイドラインに沿った資料を生成できること、そして情報ソースの確かさを担保できる点がOrchaの魅力ですね。

 

デザイン性と内容の完成度に加え、PowerPointでの実務編集にも応えるスライド

― PoCではどのような点を重視されていたのでしょうか

PoCでは、スライド全体のストーリー構成力や情報整理の精度・視覚要素の配置バランスといった点を評価軸に置いていました。つまり、提案内容としての完成度と、資料としての見やすさの両方を重視して検証していました。

PoCには60名が参加し、中間アンケートでは9割が「引き続き使いたい」と回答しました。もちろん細かな機能や改善への要望はありましたが、総合的にはかなり高い評価だったと思います。

当時はデザインテンプレートが完全対応していない段階でしたが、提案書作成プロセスの一部を十分に代替できる可能性が確認できたことは大きかったですね。

 

加えて、PoCの過程でPowerPoint出力に対応いただいたことで、実務での活用イメージはさらに広がりました。グラフ等をPowerPoint上で編集したいという要望は現場でも強く、従来のOrchaでは編集の自由度に課題がありました。そのため、PowerPoint形式で出力した後に修正や仕上げがしやすくなったことは、実運用を考えるうえでも大きな前進だったと感じています。

PowerPoint出力機能自体を備える生成AIツールは他にもありますが、HTMLで生成したスライドをPowerPoint形式に変換しているため、レイアウトの崩れやオブジェクト編集の煩雑さが見られるケースもあります。その点、Orchaでリリースされたpptx出力モードは、PowerPoint出力時のレイアウト崩れが起きにくく、出力後の修正や仕上げがしやすい。単に“PowerPointで出力できる”だけではなく、“PowerPointで実務に載せやすい形で出せる”ことに価値を感じました。

PoCでは成果物の完成度だけでなく、現場の実際の業務に浸透し、継続的に使えるかどうかも重要です。その意味で、PowerPoint出力への対応によって、本格導入後の運用をより具体的にイメージできるようになったと思います。

 

― 本格導入を決めた一番の理由は何だったのでしょうか

大前提として、どんなAIツールであっても、お客様ごとの課題に最適化した提案資料にするには、最終的に人の手を入れる必要があると考えています。とはいえ、その前段階である提案のドラフト作成までのプロセスをOrchaに任せられるという手応えを、PoCを通じて得ることができました。

また、我々が責任をもってお客様に情報提供する以上、AIが作成した内容の情報ソースの正確性と、それを検証できる仕組みが必要です。Orchaでは情報ソースの収集・整理を自動化したうえで、リスト形式で出力しファクトチェックできる仕組みがあり、その点も大きなメリットでした。

当行では、作成した提案書を自分以外のメンバーで再鑑を実施する体制をとっています。そうしたレビュー工程においても、情報ソースをリスト形式で確認できることがプロセス効率化につながると感じたのも、決め手の1つですね。

 

― PoCが止まってしまう企業も多いなかで、本格導入まで進んだ理由はどこにあったのでしょうか

PoCで止まる企業の多くは、「この機能は便利か」「この精度で十分か」といった機能単位で評価してしまう傾向があると思います。

一方で我々は、最初から提案書作成においてはどんなにAIが進化しても最後は人の手が必要となることは変わらないと考えていたため、「提案書のドラフトとして成立するか」「実務で使える成果物になるか」という観点で評価していました。細かな未実装機能があったとしても、最終成果物のクオリティが一定水準を超えていれば、業務改善は進みます。PoCは完璧さを判断する場ではなく、業務改善につながる可能性を見極める場だと思っています。その観点を最初から持っていたことが、本格導入まで進めた理由かもしれません。

 

―金融機関はセキュリティに厳格というイメージがありますが、セキュリティ面での不安はありませんでしたか

IPアドレス制限や、データを国内のデータセンターで保持するなど、必要十分な対処を講じていただいている点は安心材料の一つだと思います。今後さらに発展的な活用を進める際には、銀行の情報も組み合わせた活用も検討する可能性がありますので、その際にはぜひ相談させていただきたいですね。

 

― PoCや導入の過程で、Sales Markerの対応についてはいかがでしたか

PoCを通じて、Sales Markerの方々のOrchaの進化に対する熱意と、それだけでなく着実な性能向上を感じることができたことで、本番導入後の更なるOrchaの進化にも期待感を持つことができました。

また、我々が想定していたスピード感よりも常に一歩早く対応していただき、クオリティも期待を上回るものが多かったという印象です。PoCの初期段階では、PowerPointだけではなく、PDFとしても出力できなかったですよね。そのどちらにも迅速に対応していただき、PoCの序盤でそれらの機能が使えるようになったのは大きかったですね。

リサーチから思考整理、資料化まで。ストーリー構成とデザインで提案書品質を高める『Orcha(オルカ)』

― 本格導入が開始された現在、Orchaをどのように活用していますか

本格導入後は、大企業営業担当者を中心に200人規模で日常的に活用しています。人によって使い方はさまざまですが、主な用途は大きく3つあります。

 

1つ目は、提案書のドラフト作成です。特定のテーマや業務に対する提案骨子を整理し、スライド形式で出力することで、最終成果物までの道筋を明確にしています。

2つ目は、リサーチと構成整理の同時実行です。業界のマクロ分析やお客様の強み・弱みといった企業分析を行いながら、その内容をストーリーとして構造化して整理しています。単なる情報収集ツールではなく、思考の整理から提案資料のストーリー設計まで一気通貫で進められる点は大きな価値ですね。例えばお客様の海外進出をご支援する部署では、海外の規制調査などにも活用が広がっています。

3つ目は、戦略の壁打ちです。「この事業でM&Aを提案するならどういう切り口があるか」「海外進出支援ならどんな論点が考えられるか」といったテーマで、営業担当者がOrchaと対話しながら仮説立てを行っています。

これら3つはどれか単独で行うこともあったり、順番に全て行うこともあったり用途はケースバイケースですが、Orchaという一つのアプリケーション上で「思考の整理」と「資料化」を一気通貫で進められる営業基盤として活用しているイメージですね。論理的な内容と、顧客に伝わる視覚表現の両方を高い水準で両立できる点にも価値を感じています。

 

― 実際に使ってみて、どのような点に価値を感じていますか

扱っているデータはもちろん最新ですし、これほどのクオリティで当行のブランドガイドラインに沿ったPowerPointのスライドを出力できる点で、Orchaに大きな価値を感じています。論理的な内容をテキストで整理するだけであれば他のAIツールも可能ですが、それを論理構造・情報整理・視覚表現が整ったスライドに落とし込むとなると難しく、その点は明確な優位性だと感じています。

スライドは、最終的にお客様に見ていただくものなので、論理的であることに加えて「刺さる」内容であることが重要です。お客様への提言としてインパクトを持たせる部分と、丁寧に情報を提示する部分のメリハリも必要になります。Orchaではそれをプロンプトで柔軟に調整できるので、より営業現場の実態に即し、提案書作成業務に浸透しやすいツールであると感じています。

プロンプトの作り方や活用のコツについては、Sales Marker社のOrcha専任担当者からテンプレートを提供いただいたり、勉強会や研修を通じて情報共有を行っています。

インテントとコンテキストが、AI活用のカギに

― 今後の活用について、どのような展望をお持ちでしょうか

営業以外の部署でも活用できる可能性が見えてきており、現在はM&Aのオリジネーション、産業調査、諸外国の規制調査、GX等々、各領域の専門的機能を担う多数の本部部署でも使い始めています。今後はそうした部署の声も拾いながら、利用範囲を拡大していきたいですね。

 

―Orchaに対して、今後どのような進化を期待されていますか

新しい事業の種を探しているお客様の関心ごとに素早くリーチできることは非常に重要です。その意味では、Web検索行動などから担当企業のニーズやニュースに対する反応を把握できるインテントデータには大きな可能性を感じています。インテントをもとにお客様の関心分野にいち早く気付いたり、興味を引くテーマを適切なタイミングで提示したりすることは、今後ますます重要になると思います。インテントから得られるインサイトをもとにスライドを作る世界も十分考えられます。

AIの進化によって資料作成のクオリティは今後さらに均質化していくと思います。
そのなかで重要になるのは、「どんなデータを持ち、それをどう活かせるか(コンテキスト)」が重要になると考えています。
Orchaに期待する点は、まさにそのデータ活用です。インテントを含むコンテキストデータを活用して営業現場に新たな気づきを与え、そこからお客様への提案につなげていく。これら一連の流れにおいて、Orchaが大きな力になってくれることに期待しています。

 

― 本日はお忙しいなか、ありがとうございました

Orcha(オルカ)のご利用はこちら

https://app.orcha.jp/orchestration

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