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電話やメールといった、非対面の手法によって見込み顧客にアプローチし商談や受注につなげる「インサイドセールス」は、数多くの企業が実践している営業方法です。本記事では、インサイドセールスを成功させるためのコツを、設計・アプローチ・分析の3つの観点から詳しく解説します。
また、インサイドセールスを進めるにあたって活用がおすすめな営業ツールも紹介しています。インサイドセールスによって良い商談を生み出せるようになりたいと考えている人は、ぜひ参考にしてください。
インサイドセールスを成功させるコツ
インサイドセールスを成功させたいと考えている人は、まず以下の3つの項目に分けて考えましょう。
- 設計:ターゲット像や抱えている課題を想定したうえで、商談成立までの流れを組み立てる
- アプローチ:電話やメールなどで顧客に対して実際にアプローチをする
- 分析:顧客との接触を通じて得た情報などを分析し改善につなげる
顧客と接触する「アプローチ」にのみ注目する企業も少なくありませんが、実際には設計や分析も重要です。やみくもに営業活動を行うのではなく、事前に見通しを立て、定期的に振り替えることでより高い成果を上げられるでしょう。ここからは、上記の3つの項目に分けてコツを紹介していきます。
インサイドセールスの設計のコツ
インサイドセールスにおける「設計」とは、見込み顧客が抱えている課題・悩みを想定したうえで、アプローチから商談成立までの一連の流れをシナリオとして構築することを指します。具体的には、以下の項目を見直すことで、インサイドセールスを成功させやすくなります。
- 見込み顧客の属性
- 見込み顧客が抱えている課題や疑問
- アプローチした見込み顧客のアクションに対する対応
- 情報提供をするタイミング
- 提供する情報の内容
上記の項目を「なんとなく」ではなく明確に設計することが大切です。
想定していた見込み顧客像と実際にニーズのある顧客の間にズレが生じていると、情報提供や提案内容に価値を感じてもらいにくくなります。また、顧客がアクションしてくれたにも関わらず、不適切な対応を取ってしまうと、商談の成立にはつながりにくいです。
こちらから顧客に接触するインサイドセールスだからこそ、どのような顧客に対して優先的にアプローチをするか・どのような行動を取った顧客に架電やメール送付を行うか、といったことをルール化しておく必要があります。
社内でルール化し共有しておくことで、営業担当者の勘や経験則に頼ることなく、標準化された営業を展開できるでしょう。
インサイドセールスのアプローチのコツ
インサイドセールスにおいて顧客にアプローチする際には、電話やメールといった手法を用いるケースが多いです。
- インサイドセールスの電話のコツ
- インサイドセールスのメールのコツ
ここでは、それぞれのコツについて詳しく解説します。すべて実践することで、商談率や受注率の向上につながるでしょう。
インサイドセールスの電話のコツ
電話営業によって高い成果を出すためには、以下の3つのコツを押さえる必要があります。
- リード発生から5分以内架電
- 必ず再架電
- 顧客課題のヒアリング
それぞれについて詳しく解説するので、ぜひ取り入れてみてください。
リード発生から5分以内架電
アメリカのベンチャー企業「InsideSales.com」の調査により、リードが発生してから5分以内に架電することで10分以内の場合に比べてCVRが400%となることが分かっています。問い合わせなどの行動を起こしたタイミングが一番興味関心が強く、時間の経過とともに落ち着いてくるためです。
そのため、見込み顧客から問い合わせや見積り依頼などがあった場合は、出来る限り早急に対応しましょう。
また、他に優先すべき業務がありどうしてもすぐに対応できない場合は、手が空いている人に代わりに架電してもらうのも効果的です。
必ず再架電
リードに対して架電をしたものの繋がらなかった場合や担当者が不在だった場合は、諦めずに再架電をしましょう。
電話が繋がらない理由として、たまたま担当者が席を外していたり、打ち合わせの最中だったりといった可能性があります。1回の架電で接触できなかったからといって諦めてしまうと、ニーズがある顧客を放置してしまうことになりかねず、結果だけを見ると初回アクションをしなかった場合と変わりません。
同じ日の異なる時間帯にかけ直すことで、担当者と話せる可能性が十分にあります。なお、あらかじめ問い合わせフォームに「連絡のつきやすい時間帯」という項目を設定しておけば、双方の負担を減らしてスムーズに接触できます。
顧客課題のヒアリング
電話で顧客と接触する際には、顧客が抱えている課題を具体的に聞き出しましょう。問い合わせの時点では、顧客自身が課題を正確に認識できていないことも珍しくありません。
とはいえ、いきなり「御社の課題は何ですか?」と質問を投げかけても、思うような回答を得られない可能性が高いです。
まずは、以下のような回答しやすい質問をしましょう。
「社内で検討する際に役立ちそうな資料をお送りして宜しいでしょうか?」
「ここまでの説明でご不明な点はございますか?」
上記のようなクローズクエスチョンを通じて顧客との距離を縮め、会話が軌道に乗ったタイミングで具体的な課題を聞き出すのがおすすめです。電話の段階で顧客の課題を具体化しておくことで、自然な流れで商談を打診でき、アポイントを獲得しやすくなります。
インサイドセールスのメールのコツ
見込み顧客に対して営業メールを送付する際には、以下のコツを踏まえることで成果に繋がりやすくなります。
- 読まれる時間帯に送る
- 相手によって内容を変える
- コンテンツを活用する
時間帯に注意したりコンテンツを用意したりすることで、顧客へ与える印象が大きく変わるため、実践してみましょう。
読まれる時間帯に送る
CRMツールを提供しているSuper Office社の調査によって、営業メールの開封率は平日の15時が最も高いことが分かっています。
引用:Supper Office
また、土日に送付するよりも、月曜日~金曜日の平日に送る方が開封されやすいです。
引用:Supper Office
同じ内容のメールを送っていても、時間帯や曜日によって開封率が大きく異なるため、意識したいものです。平日の12時~18時のタイミングで送るとよいでしょう。
また、開封率だけでなく返信率に着目すると、出社したての8時~9時や昼休み中の12時~13時も効果的だと考えられます。業界や業種によっても異なるため、上記のデータを参考にしながら社内でもメールの開封率や返信率を記録しておき、送付する時間帯を工夫すると良いでしょう。
相手によって内容を変える
すべての見込み顧客に対して同じ内容のメールを送るのではなく、相手の温度感やニーズの度合いに応じて内容を最適化しましょう。具体的には、以下のように内容を書き分けるのがおすすめです。
- まだ商材に興味のない顧客:セミナーへの動員
- 一度失注した顧客:お役立ち情報の提供
- 問い合わせがあった顧客:資料の送付&商談の打診
現時点で商材に全く興味のない顧客や、一度失注した顧客に対し、急に商談を打診しても成立する可能性は低いです。商談が成立しないだけでなく「しつこい」といった悪印象を抱かれることにもなりかねません。
商談化を焦ると逆効果になることも多いため、顧客の状況に応じて効果的な内容のメールを送付し、徐々に信頼関係を構築していきましょう。
コンテンツを活用する
単に自社商材を売り込む内容のメールよりも、役に立つコンテンツが添付されているメールの方が、顧客からの印象が良くなります。業界や顧客の興味関心によって刺さるコンテンツはさまざまですが、例として以下が挙げられます。
- コンサル業界のリード:自社製品のコンサル業界における導入事例集
- Webでの集客に困っているリード:Web集客がテーマのウェビナー録画
- 導入を検討中のリード:導入後のコストシミュレーション資料
上記のような、リードが求めるコンテンツを用意しておき適切なタイミングで送付することで、商談率や受注率をアップさせられるでしょう。一度作ったコンテンツをさまざまな顧客に活用できるというメリットがある一方で、随時最新の情報にアップデートすることも大切です。
インサイドセールスの分析のコツ
インサイドセールスを進める際には、定期的に営業内容を振り返ることも成果を上げるうえで重要となります。以下のデータがあれば、どのようなアプローチが効果的か分析しやすくなります。
- リードスコア
- 最終コンタクト情報
- ヒアリング内容
- 接触時のコール録音
例えば、電話営業を行っている場合、商談や受注につながった顧客とのコール録音を分析することで、効果的なトークスクリプトを作成できます。トークスクリプトがあれば営業の属人化を防ぎ、質の高い電話営業を社内で標準化できるでしょう。
また、質の高い営業トークを展開できているコール録音を社内で共有することも有効です。誰が営業を行っても商材が売れる状態を整えられるため、社内全体の売上向上が期待できます。
インサイドセールスで効果的な営業ツール
インサイドセールスを行う際には、以下の営業ツールを活用することで効率化できます。
- SFA
- BtoBセールスインテリジェンスツール
- MA
- スマート電話ツール
それぞれの特徴とインサイドセールスへの活かし方を解説したうえで、実際におすすめの製品も紹介するので、ぜひ活用を検討してみてください。
SFA
SFAとは、営業支援システムのことであり、活用することでインサイドセールスの設計ができます。営業活動中に入手した顧客情報や、案件ごとの進捗などを管理できるため、アプローチから商談成立までの一連の流れを設計しやすくなるのです。
引用:Mazrica Sales
例えば『Mazrica Sales』を活用すれば、カード形式で案件管理ができて、社内での進捗の共有がしやすくなります。
引用:Mazrica Sales
また、AIによって類似案件の紹介やリスク分析をしてもらえる機能も搭載されているため、人力で行うよりも効率的にインサイドセールスにおける設計を進められます。
BtoBセールスインテリジェンスツール
BtoBセールスインテリジェンスツールとは、一言でいうと「顧客にアプローチをする最適なタイミングがわかるツール」です。
特におすすめなのが、顧客がWeb上で検索したキーワードなどを分析し、ニーズの高い見込み顧客を自動でリスト化してくれる『Sales Marker』です。
先述したとおり、電話営業をする際にはリード発生から5分以内に架電することや、顧客の抱えている課題をヒアリングすることが大切です。
『Sales Marker』を活用すれば、幅広い興味関心データにより、リードが発生する前の段階で自社商材に興味を持っている顧客を発見できるため、ニーズのある顧客にアプローチできます。また、リードが発生したあとも、再度興味を抱いた際に通知されるため、最適なタイミングで接触できるでしょう。
顧客の部署や人物情報を分析する機能も搭載されており、決裁権のある人物と接触しやすくなるのも『Sales Marker』を活用するメリットのひとつです。
MA(マーケティングオートメーション)
MAは「マーケティングオートメーション」の略称で、マーケティング活動の自動化を推進し、営業活動を支えるためツールです。
引用:Hubspot
HubSpotの中でも『Sales Hub』を活用すれば、リードのスコアリングやシナリオ設計をしたうえで、顧客ごとに最適なメールを送信できます。
引用:Hubspot
送付したメールが開封されたタイミングで通知を受け取れるうえに、メールに対する反応を把握できます。そのため、顧客の反応に応じて感度を予測し、相手に応じて文面や添付するコンテンツを変えて最適なアプローチを図れるでしょう。
スマート電話ツール
架電内容を録音・分析できるツールを活用すれば電話営業の質を向上させられます。
引用Miitel
例えば『Miitel』は、顧客との電話でのやり取りの録音や文字起こしを自動で行ってくれます。インサイドセールスを成功させるうえで重要な項目である接触内容の分析を自動化できるため、営業担当者が1つ1つ入力する手間を抑えられます。
引用:Miitel
その他にも、セルフコーチングや外部連携などの幅広い機能が搭載されており、電話営業によって高い成果を上げたい企業にうってつけです。
まとめ
インサイドセールスを成功させるためには、コツを押さえたうえで設計・アプローチ・分析を行う必要があります。
設計では、顧客の優先順位や接触タイミングをルール化し、社内で共有して標準化を図るのが効果的です。また、アプローチでは1度目の架電で顧客と接触できなかった場合に再架電を徹底したり、メールを送付する曜日・時間帯を工夫したりすると良いでしょう。分析を実施する際には、さまざまなデータをもとに振り返り、営業プロセスを改善することが大切です。
ぜひ、本記事の内容を参考にして、インサイドセールスを効率的に進めて商談数・受注率の向上につなげてください。