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バウンスメールとは?
バウンスメールとは、送信したメールが何らかの理由で宛先に届かず、送信者に戻ってくるメールのことを指します。これは「返戻メール」とも呼ばれ、メールが配送できなかった原因を説明するメッセージが含まれることが一般的です。
バウンスメールの仕組み
バウンスメールの仕組みは、メール送信時のエラー処理を通じて機能します。具体的な流れは次のように進みます。大まかなイメージを掴むのに参考にしてみてください。
1.メールの送信
メールは送信者から受信者のメールサーバーに向けて送られます。このプロセスはSMTP(Simple Mail Transfer Protocol)というプロトコルを使用して行われます。
2.受信サーバーによる処理
受信サーバーは、メールを受け取ると、宛先アドレス、メールの内容、送信元などを確認します。この時点で、何らかの問題がある場合、サーバーはメールを拒否することがあります。
3.バウンスメールの生成
受信サーバーがメールを受け入れることができない場合(例えば、宛先が存在しない、メールボックスが満杯など)、そのサーバーは「バウンスメール」として知られる通知メールを生成します。このバウンスメールには、配信できなかった理由が含まれています。
4.バウンスメールの送信
生成されたバウンスメールは、元の送信者のメールアドレスに戻されます。送信者はこのバウンスメールを受け取ることで、メールが配信できなかった理由を知ることができ、必要に応じて対応を行うことができます。
5.エラーコードとメッセージ
バウンスメールには通常、SMTPエラーコードが含まれています。これには、たとえば「550 5.1.1 User unknown」(ユーザーが不明)や「421 4.4.2 Connection timed out」(接続がタイムアウトした)などがあります。これらのコードは、具体的な問題点を示しており、送信者が次のステップを決定するのに役立ちます。
このように、バウンスメールのシステムはメール送信の信頼性を保つために重要な役割を果たしており、送信者にとって重要なフィードバックが取れる仕組みとなっています。
バウンスメールの種類と原因
バウンスメールは、主にその原因によって「ハードバウンス」と「ソフトバウンス」という2つのカテゴリに分けられます。それぞれの発生原因について紹介します。
ハートバウンスメール
ハードバウンスとは、メールが永久的な理由で配信不可能な場合に発生します。これは次のような3つの状況で起こることが一般的です。
・宛先メールアドレスが存在しないか、無効である
メールアドレスが誤って入力されていたり、アカウントが削除されていたりする場合です。そもそも架空のメールアドレスが登録されていた場合や、そのメールアドレスの使用者が退職しているなどして、もう使われていない場合なども同じ理由で相手に届くことはありません。
・ドメイン名が無効である
メールアドレスのドメイン部分(@の後の部分)が存在しない、またはDNSに問題がある場合に発生します。例えば、メール受信者がメルマガ登録をしたときなどに、間違って登録したというケースです。この場合、いくらメールを送っても送信側のサーバーがDNSサーバーから正しい受信側メールサーバーを見つけることができないといった事象が起きます。
・受信者側がポリシーによる拒否をしている
受信サーバーが送信者のIPアドレスをブロックしている場合や、特定のドメインからのメールを受け付けないポリシーを設定している場合です。受信側のサーバーがフィルタリング機能を設けている場合、迷惑メールやスパムメールと疑われてしまうと、送り返されてしまうことがあります。
ソフトバウンス
ソフトバウンスは、一時的な問題によりメールが配信できない場合に発生します。通常、これらの問題は一時的なものであり、後で解決する可能性があります。具体的な例は次の4つです。
・メールボックスが満杯である
受信者のメールボックスが容量オーバーで、新しいメールを受け取れない状態です。この場合は受信者が受信済みの不要メールを削除し空き容量を増やすか、そもそものメール受信容量を増やすかなどすれば配信されます。
・サーバーがダウンしている
受信者のメールサーバーが一時的に利用不可能である、またはメンテナンス中の場合です。この場合は、サーバーが復旧すれば配信されます。
・メールのサイズが大きすぎる
送信したメールのサイズが受信サーバーの設定上の最大サイズを超えている場合に発生します。
・一時的なネットワークの問題
メールの配信中に一時的な接続問題やネットワークの遅延が発生した場合です。
バウンスメールに対策しないと起こりうるリスク
バウンスメールが頻繁に発生する原因は様々で、日常的なメール運用ではこれにすぐに対処するのが難しいことがあります。時間が経過しても対処されず、エラーを起こした宛先へ何度もメールを送り続けると、次のようなリスクが生じる可能性があります。
受信拒否のリスク
繰り返しエラーを起こす宛先にメールを送ると、インターネットサービスプロバイダ(ISP)から迷惑メール送信者と見なされ、メールの遅延や受信拒否をされるリスクが高まります。
レピュテーションの低下
エラーの多発は、不適切にアクセスしたリストからメールを送っていると疑われることにつながり、IPアドレスやドメインの信頼度が低下する可能性があります。
ブラックリスト登録
問題が長期間解決されない場合、ISPが使用するブラックリストに登録されることもあります。これにより、他のISPによってもメールがブロックされる可能性が増加します。
これらのリスクは、メール到達率の低下を招き、顧客とのコミュニケーションの障害やマーケティング活動の効率低下など、ビジネスに悪影響を及ぼす恐れがあります。
バウンスメールの対策方法
バウンスメールはさまざまな原因で発生するため、それらを防ぐための効果的な対策が必要です。バウンスメールの発生を減らすための主な対策方法を紹介します。
1.メールリストの清掃と更新
・定期的なメールアドレスの検証
メールリストに含まれるメールアドレスが有効かどうかを定期的に検証し、無効または存在しないアドレスを削除します。
「user unknown」
「host unknown」
といったエラーメッセージは@の前に問題があることを示しています。
配信リストを使用して一斉送信し、個別確認できない場合には、リストの精査(リストクリーニング)を適切に行うことが重要です。
・ダブルオプトインの利用
新規購読者には、メールアドレスを登録後、確認メールを送り、リンクをクリックして登録を完了させるダブルオプトイン方式を採用するとよいです。
ダブルオプトインとはユーザーがニュースレターや会員登録を申し込むと仮登録状態になり、登録したメールアドレスに送信されたメール内のURLをクリックすることで初めて登録が正式に完了する方式のことです。
個人情報保護や無関係な第三者による不正登録を防ぐため、ダイレクトメール送信にはこの方法が推奨されています。一方、一回の承諾だけでオプトインが成立する方式はシングルオプトインと区別されます。
2.メールの内容と形式の最適化
・送信制限の確認
1度に大量のメールを送信するとスパムと見なされることがあるため、適切な送信速度や量を守ることが重要です。
「sorry, mailbox is full」
「full mailbox」
「message size exceeds remaining quote」
といったエラーメッセージは送信先のメッセージボックスの容量不足で新規のメールが受信ができない状況です。
・メールサイズの管理
大きすぎるメールは受信サーバーによって拒否されることがあるため、メールのサイズは適切に管理する必要があります。
「message file too big」
「message is too large」
「message exceeds maximum fixed size」
といったエラーメッセージは送信元のメール容量が大きすぎることをあらわしています。この場合は文面(テキスト)のみで容量を超えることは珍しいため、添付ファイルのサイズに問題がある可能性が高いです。
3.送信者の評判の管理
・SPF、DKIM、DMARCの設定
これらの認証技術を適切に設定することで、送信者としての信頼性を高め、スパムフィルターによる拒否を避けることができます。
SPFは送信元のIPアドレスが正当であること、つまり偽装されていないことを確認する仕組みです。一方、DKIMはメール内容が元のままであること、すなわち改変されていないことを保証する仕組みとなっています。
・IPアドレスとドメインの評判
使用するIPアドレスやドメインがブラックリストに載っていないか定期的にチェックし、問題があれば対応します。
送信者の評判を左右するのは設定のみならず、メールの中身も重要になってきます。特にメールの件名は開封率にも直結します。更に迷惑メール行きを防ぐ最初の関門になります。過去記事では、「営業メールの件名の書き方。開封率を上げるコツと「件名例」を紹介」で開封率を上げるポイントや効果的な件名を解説しているので参考にしてみてください。
4.自動応答の管理
・自動応答メッセージの確認
受信メールに自動で返信する設定がされている場合は、その応答がバウンスの原因になっていないかを確認し、必要に応じて調整します。
5.エラーコードの分析と対応
・エラーコードの詳細確認
バウンスメールに含まれるエラーコードを分析し、それぞれの問題に対して具体的な解決策を実施します。バウンスメールのよくあるエラーコードを表形式にしているので万が一の際はご活用ください。
6.メール管理システムの導入
メール管理システムを導入してバウンスメールの原因に対処するという方法もあります。
導入するメール管理システムは、メールリストの整理や配信状態の監視を容易にし、さまざまなエラーに対して自動で対応する機能を持っているものもあります。特にリストの管理や配信エラーに問題を抱えている場合、メール管理システムの利用を検討することが有効です。
SalesMarkerは、営業支援ツールとしてメール管理機能も備わっています。メール管理システムの導入を検討している背景には、よりメールで効果的に営業活動を実施したいという要望もあるのではないでしょうか。
SalesMarkerでは、メール管理機能以外にもインテントデータを用いて更に営業活動を活性化することが見込めます。インテントデータとは、顧客の興味関心を知るためのデータ、つまり、Web上で意図(intent)を持って起こした企業の行動データを指します。検索クエリやサイトの閲覧履歴などのWeb行動履歴データを分析・可視化することで、見込み客が、今どのような課題やニーズを持っているのか、どのようなソリューションの購入を検討しているのかなどを把握し、営業やマーケティング活動の効果・効率を最大化させるために利用します。
これらのインテント情報をもとにインテントメールの自動送信やAIによる問い合わせフォームへのアプローチも可能になっています。メール営業でお悩みがあり、システム導入を検討している企業は一度SalesMarkerの導入を検討してみてください。
本記事のまとめ
バウンスメールとは、送信されたメールが何らかの理由で宛先に届かず、送信者に返送されるメールのことです。このメールは通常、なぜメールが配信できなかったのかの理由を含んでおり、エラーコードも記載されています。バウンスメールは、主に「ハードバウンス」と「ソフトバウンス」の二種類に分類されます。
ハードバウンスは、宛先アドレスが存在しないか無効である、ドメイン名が無効である、または受信者側のポリシーによって拒否された場合に発生します。これらは通常、恒久的なエラーと見なされます。
一方、ソフトバウンスは一時的な問題により発生します。これにはメールボックスの満杯、サーバーのダウン、メールのサイズが大きすぎる、またはネットワークの問題が含まれます。
バウンスメールが多発すると、メールの遅延や受信拒否、ブラックリスト登録などのリスクが高まります。これは送信者の評判に悪影響を及ぼし、メール到達率の低下やビジネスへの影響を引き起こす可能性があります。
対策としては、メールリストの定期的な清掃と更新、ダブルオプトインの採用、メールの内容と形式の最適化、送信者の評判の管理、エラーコードの分析と対応などが効果的です。また、メール管理システムの導入により、これらのプロセスを自動化し、エラーへの対応を効率化することが可能です。