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- 営業管理が求められる背景とその重要性
- 属人的な営業では成長が止まる
- 営業のデータ活用が競争力で重要になる
- 営業の評価指標とは
- KGI(重要目標達成指標)とは
- KPI(重要業績評価指標)とは
- KGIとKPIの関係性とは
- KPIの設定方法
- 1.目的を明確にする
- 2.営業プロセスを分解する
- 3.SMARTの法則を活用する
- 4.過去データを分析し、現実的な目標を設定する
- 5.定期的にKPIを見直し、改善を行う
- 営業の評価指標を設定するメリット
- 評価制度があることで給与への反映がしやすい
- 企業の成長と人材定着を支える
- 営業の評価基準となる項目について
- 売上金額・受注規模
- 契約件数・アポイント獲得数
- リピート率・顧客維持率
- コスト削減・利益率の向上
- チームメンバーへの貢献
- 本記事のまとめ
営業部門において、KGI(重要目標達成指標)を達成するためのKPI(重要業績評価指標)を適切に設定し、管理することは、営業成果を最大化するための重要なテーマです。
しかし、適切な指標を設定しないと「売上目標はあるが、具体的にどの活動を改善すればよいかわからない」「KPIを設定しているが、現場の営業活動と乖離している」といった課題に直面することも少なくありません。
本記事では、KPI・KGIの基本的な考え方から、成果を最大化するための適切な設定方法、管理のポイントまで詳しく解説します。
Sales Markerは、SFA(営業支援システム)とCRM(顧客管理システム)の機能を兼ね備え、営業活動の効率化と成果の最大化を実現します。
さらに、Salesforceとの連携も可能なため、既存の営業管理基盤とシームレスに統合し、データの一元管理を実現できます。
営業管理が求められる背景とその重要性
営業活動では、継続的に成果を出し、組織全体の営業力を高める仕組みを作ることが求められています。
かつては個々の営業担当者の能力に依存し、成果を上げるスタイルが主流でしたが、近年の市場環境の変化により、その手法では競争に勝ち抜くことが難しくなっています。
なぜ営業管理が今これほど重要視されているのでしょうか?その背景を2つ解説します。
属人的な営業では成長が止まる
かつては営業活動が個人に委ねられ、「売れる営業」は成果を出し、「売れない営業」は淘汰されるというスタイルでも企業が存続できていました。
しかし、この方法ではノウハウが蓄積されず、企業全体の営業力が向上しないという課題があります。さらに、トップ営業が退職してしまった途端、組織の成績が急落するリスクも抱えています。
営業管理を適切に行うことで、成果を上げるためのプロセスを可視化し、成功事例を組織全体に共有・再現できる体制を作ることが可能になります。
営業のデータ活用が競争力で重要になる
近年、営業活動の質を高めるために、データを活用した意思決定が必要になっています。従来の営業は、経験や感覚に頼る場面が多く、属人的な判断が営業成果を左右していました。
しかし、競争が激化する現代では、過去のデータをもとにした分析や戦略的なアプローチ が求められています。
営業管理を強化することで、案件の進捗、顧客の反応、過去の成功事例などをデータ化し、次の営業活動に活かすことが可能になります。
これにより論理的な営業戦略を構築し、受注率を向上させることができるのです。
営業の評価指標とは
営業では「成果」を測る指標と「成果につながるプロセス」を管理する指標を明確にすることが重要です。
そこで、営業の評価基準として活用されるのが KGI(重要目標達成指標)とKPI(重要業績評価指標)です。これらを正しく設定することで、営業活動の可視化と最適化を実現できます。
KGI(重要目標達成指標)とは
KGI(Key Goal Indicator)は、営業組織が達成すべき最終的な成果を測る指標です。これは企業の営業活動がどれだけ成功したのかを定量的に評価するもので、以下のような指標が含まれます。
- 売上高
- 利益率
- 契約件数
KGIは企業の経営目標と直結するため、長期的な視点で設定されることが多いです。
しかし、KGIを設定するだけでは具体的にどのような営業活動を行えばよいかが明確になりません。そこで、KGIを達成するために設定するのが KPI(重要業績評価指標)です。
KPI(重要業績評価指標)とは
KPI(Key Performance Indicator)は、KGIを達成するために設定される中間目標の指標です。営業活動のプロセスを定量的に評価し、改善するために用いられます。
具体的なKPIの例として、以下のような指標が挙げられます。
- 訪問件数
- 受注率
- 提案数
- 案件の進捗率
KPIは日々の営業活動に直結しているため、短期間での管理や改善が可能です。KGIを達成するために、適切なKPIを設定しPDCAサイクルを回しながら営業戦略を最適化していくことが求められます。
KGIとKPIの関係性とは
KGIとKPIは密接に関係しており、KGIは営業活動の「結果(成果)」を示し、KPIはその結果に至るまでの「プロセス(仮定)」を評価する指標です。
KGIを達成するためには、適切なKPIを設定し、営業活動の具体的なアクションを明確にすることが重要です。
KGIとKPIの関連性を明確に整理し、それぞれの指標がどう影響し合うのかを可視化するために「KPIツリー」を作成するのも有効な手法としてあります。
KPIの設定方法
ここでは、効果的なKPIの設定方法について解説します。
1.目的を明確にする
KPIを設定する前に、組織全体や営業チームの最終目標(KGI)を明確にすることが重要です。例えば「年間売上〇〇億円を達成する」「新規顧客〇〇社を獲得する」といったKGIを設定した上でそれを達成するために必要なプロセスを細分化し、KPIを設計します。
KGIとKPIの方向性がズレると、本来の目標に対して効果的なアクションが取れなくなるため、まずはゴールを明確に設定することが重要です。
2.営業プロセスを分解する
次に、KGIを達成するために必要な営業プロセスを整理し、どの段階で数値を管理すべきかを考えます。
営業活動は一般的に、リード獲得→商談→受注という流れで進むため、それぞれのプロセスに適したKPIを設定することが大切です。
3.SMARTの法則を活用する
KPIを設定する際は、SMARTの法則 を活用するとより具体的で達成しやすい指標を決めることができます。
このフレームワークを活用することで、漠然とした指標ではなく実際に行動に落とし込めるKPIを設定 できます。
4.過去データを分析し、現実的な目標を設定する
KPIを設定する際に「どのくらいの数値を目標にすべきか」が不明確だと実現困難なKPIを設定してしまうことがあります。
そのため、過去の営業データを分析し現在の営業活動とのギャップを把握することが重要 です。
5.定期的にKPIを見直し、改善を行う
KPIは一度設定すれば終わりではなく、営業環境の変化やチームの成長に応じて見直しが必要 です。新しい施策を導入したり、市場環境が変化した場合には設定したKPIが適切であるかを定期的に検証し、必要に応じて調整することが大切です。
毎月または四半期ごとに進捗を振り返り、成果が出ている指標は継続、改善が必要な指標は調整することで営業の生産性を向上させることができます。
営業の評価指標を設定するメリット
ここでは、営業の評価指標を設定することにより企業にとってどんなメリットがあるかを2つ紹介します。
評価制度があることで給与への反映がしやすい
営業職の多くは、成果を正当に評価され、それが給与やインセンティブに反映されることを期待しています。しかし、評価制度が不透明な企業では、どれだけ努力しても「成果が評価されない」「昇給やボーナスに反映されない」といった不満が蓄積されがちです。
適切な評価制度があると、社員の成果を客観的に測る基準が明確になり、それを給与や報酬へ反映しやすくなるというメリットがあります。
結果として、社員のモチベーションが維持されるだけでなく、優秀な人材が長期的に活躍しやすい環境を整えることが可能になります。企業にとっても、高い成果を出す営業社員を正しく評価し、適切に報酬を支払うことで、さらなる業績向上につなげることができるのです。
企業の成長と人材定着を支える
企業が継続的に成長していくためには、社員の努力や成果を正当に評価し、それを組織全体の活力につなげる仕組みが必要です。
営業職では、成果が明確に数値化されるため、評価制度が整備されていないと、優秀な人材が不満を抱え、他社へ流出するリスクが高まります。
評価制度が明確に定められている企業では、成果を出した社員に対する適切な報酬や昇進の機会を提供できるため、社員のやる気を引き出し、組織全体の営業力を向上させることができます。
公平な評価基準があることで、社員も安心して努力を継続でき、組織としての一体感も生まれやすくなるのです。
営業の評価基準となる項目について
ここでは、営業評価の指標として設定すべき主要な項目を紹介します。企業の営業戦略や市場環境に応じて、適切な評価基準を選定することがポイントです。
売上金額・受注規模
営業活動において、売上金額や契約規模は最もわかりやすい評価指標の一つです。大きな売上を獲得することは、顧客に価値をしっかり伝え納得させられる高い営業スキルがある証明となります。
企業間取引(BtoB)の場合、一件あたりの取引額が大きくなるため、単価を向上させる営業力も求められます。
ただし、単に金額の大きさだけで評価するのではなく、長期的に見て継続的な収益を生み出せるかどうかも考慮する必要があります。
契約件数・アポイント獲得数
売上の金額が重要なのは当然ですが、営業のプロセスの中でどれだけの契約を獲得したのか、またアポイント数や商談の件数がどれだけあったのかも重要な評価基準です。
新規開拓営業では、アプローチする件数が多いほど、成約に至る可能性が高くなります。営業戦略として新しい市場への展開を進めている場合、広範囲のリードを獲得することが求められます。
そのため、営業担当者が積極的にアプローチを行い、商談機会をどれだけ増やしたかを評価することで、営業プロセス全体の改善にもつなげられます。
リピート率・顧客維持率
営業の成果は新規契約の獲得だけではなく、既存顧客との関係をどれだけ維持し、継続的に売上を生み出せるかも重要な評価基準となります。
顧客との信頼関係を築き、アップセル(追加購入)やクロスセルを成功させることで、売上を伸ばすことができます。
また、サブスクリプション型のビジネスモデルでは、リピート率の高さが安定した収益を生むため、顧客維持率を指標にすることが一般的です。
新規顧客の獲得コストは既存顧客の維持コストよりも高いため、営業の評価においてリピート率を加味することでより持続的な成長を促進できます。
コスト削減・利益率の向上
営業の評価において、売上の大きさだけでなく、どれだけ利益を確保できているかも重要な要素です。コストをかけずに高い利益率の商談を成立させる営業は、会社にとって大きな価値があります。
また、無駄な広告費や販促コストを削減し、低コストで高成約率を維持できる営業活動も評価されるべきポイントです。
さらに、顧客に対して長期的に価値を提供し、解約率を低減させる工夫を行うことも利益率の向上に貢献します。
企業としては、売上だけでなく利益率にも着目し、営業のパフォーマンスを多角的に評価することが求められます。
チームメンバーへの貢献
営業の評価基準は、個人の成果に注目されがちですがチーム全体の成長に貢献したかどうかも重要な指標です。
営業成績として数値に表れにくい部分ですが、ロープレに付き合ったり、同僚へフィードバックを行ったりするなど、組織全体の営業力向上に貢献する取り組みは長期的な成果につながります。
特に、若手メンバーの育成や、ノウハウの共有といった取り組みは、チームの生産性を向上させる大切な要素です。個々の成績だけでなく「どのように成果を出してきたのか」「周囲にどんな影響を与えたのか」を評価することで、組織としての営業力を底上げすることができます。
成果を出すことに加え、成果を出す仕組みを作ることにも価値があるという視点を持ち、営業メンバー同士の協力を促進する評価制度を取り入れることが重要です。
本記事のまとめ
これまでの営業評価は「売上」だけが重視されがちでしたが、売上だけでなく、営業プロセスや個々の強み、仕事への取り組み方を適正に評価することで、組織全体の成長や人材育成につながるという考え方が広がっています。
適切な営業評価を行うためには、数値データを活用して客観的に成果を可視化する仕組みが必要です。そのため、SFA(営業支援ツール)を活用することで売上だけでなく、商談履歴や顧客とのコミュニケーション、活動量などのデータを蓄積し、評価の精度を高めることが期待できます。
また、SFAを導入することで、個々の営業スタイルや得意分野を把握しやすくなり、適切なフィードバックやスキルアップの機会を提供することが可能になります。
これにより、営業パーソンのモチベーション向上や、組織全体のパフォーマンス最適化が実現できます。営業評価の在り方を見直し、数値だけではなく、プロセスや姿勢も含めた評価基準を確立することで、営業組織のさらなる成長を促しましょう。