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営業力=「売る力」ではありません。顧客の課題を正しく理解し、最適な解決策を提案し、長期的な信頼関係を築くための総合力です。
デジタル化やAIの進展、リモート営業の普及など、営業を取り巻く環境は大きく変化しています。従来の経験に頼るスタイルでは成果が出にくくなり、より再現性のある「営業力」が求められるようになっています。
本記事では、営業力とは何かを改めて整理し、営業に必要とされる7つの力とその鍛え方を徹底解説します。さらにAI・DXを活用した最新の営業手法、効果的なトレーニング事例、営業活動を支援するツールまで紹介していきます。
営業力とは何か?
営業力とは、ただ商品やサービスを売る能力ではなく、顧客の課題を正しく理解し、最適な解決策を提案し、長期的に信頼を維持する総合的な力を意味します。
「営業は話がうまければいい」というイメージは過去のものです。現在は「聴く力」「データを読む力」「顧客に寄り添う姿勢」まで含めた幅広い力が求められています。
表面的に製品を説明するだけではなく、顧客にとっての理想像を一緒に思い描き、その実現に導けることこそが、営業力の本質だと言えるでしょう。
営業力が求められる背景
営業力の重要性が高まっているのは、社会やビジネス環境が急速に変化しているためです。従来の営業手法では成果が出にくくなり、より高度で体系的な営業力が求められるようになっています。
特に大きな要因は次の3つです。
- 顧客行動の変化
- デジタル化とAIの進展
- リモート営業の普及
それぞれ詳しく見ていきましょう。
顧客行動の変化
かつて営業担当者は「情報の提供者」として大きな役割を担っていました。顧客は商品やサービスについての情報を得る手段が限られていたため、営業担当者からの説明を頼りに意思決定していたのです。
しかし今は状況が大きく変わりました。顧客はインターネットやSNSを活用し、製品の仕様や口コミ、競合との比較まで、商談前にほとんどの情報を収集しています。
Googleの調査では「購買プロセスの約70%が営業に会う前に完了している」とも言われています。つまり、営業担当者が「知識を伝えるだけ」では顧客に選ばれなくなったのです。
今、営業に必要とされているのは、顧客が調べてきた情報をただ受け取るのではなく、それを整理して正しい道筋を示すことです。その役割を果たせるかどうかが、営業力を試す大きなポイントとなります。
デジタル化とAIの進展
営業活動はかつて「属人的」で「経験頼り」になりがちでした。ベテラン営業は独自の勘と人脈で成果を上げ、新人は試行錯誤を繰り返すしかない、そんな時代が長く続きました。
ところが現在は、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)が普及し、営業活動がデータ化・見える化されるようになりました。これにより、営業は「経験と勘」ではなく「データと分析」を基盤に動けるようになったのです。
さらにAIの進化によって、顧客の行動や検索履歴から「購買意欲の高まり」を予測することも可能になりました。例えば、あるSaaS企業では、AIが資料ダウンロード後の顧客行動を分析し、成約確度の高い顧客を自動で営業担当に通知しています。
こうした仕組みを活用すれば、営業活動の効率は営業活動の効率は大きく改善されます。ただし、データが豊富になった分「情報をどう読み解くか」という力も必要になります。
営業力は、テクノロジーを活用する能力と、人間ならではの洞察を組み合わせることで初めて成果につながるのです。
リモート営業の普及
コロナ禍を契機に、営業スタイルは大きく変わりました。これまで当たり前だった対面営業が減り、ZoomやTeamsを使ったオンライン商談が主流になったのです。
非対面での営業では、短時間で信頼を獲得するスキルが以前にも増して求められます。画面越しでは、雑談や雰囲気づくりが難しく、相手の反応も読み取りにくいため、プレゼンのわかりやすさや、声のトーン、資料の視覚的なわかりやすさといった要素が成果を左右します。
加えて、リモート商談は時間効率が高いため「一日に対応できる商談数」が増加しました。結果的に「数多くの商談をこなしつつ、1件ごとに短時間で成果を出す」という高度な営業力が必要となっています。
営業に必要な7つの力と鍛え方
営業力を整理すると、次の7つの力に分類できます。

それぞれの力について詳しく見ていきましょう。
1.コミュニケーション力
営業の基盤となるのはコミュニケーション力です。ここで重要なのは「話す力」よりも「聴く力」です。
顧客の発言の背景や意図を引き出すためには、傾聴と適切な質問が欠かせません。また、声のトーンや表情といった非言語の要素も信頼感に影響します。
メールや資料など、テキストでの伝達力も含め、あらゆる場面で「正しく伝える力」と「正しく受け取る力」を磨くことが必要です。
2.情報収集力
顧客や市場、競合に関する情報を把握する力が、提案の質を左右します。さらに近年注目されているのが「インテントデータ」です。
顧客の検索行動や資料請求といったシグナルを捉えることで、最適なタイミングでのアプローチが可能になります。
日常的にニュースを確認し、CRMやAIツールを活用する習慣を持つことで、営業活動の精度は飛躍的に高まります。
3.信頼構築力
営業における最大の武器は信頼です。誠実に情報を伝え、一貫した姿勢を示し、契約後も継続してフォローすることで、その信頼は確かなものになります。
この3つが揃って初めて「この人に任せたい」という評価を得られます。多様な接点(対面・オンライン・SNSなど)で同じ姿勢を貫くことが、長期的な関係構築につながります。
4.課題解決力
顧客が語る表面的な要望の裏に、本当の課題が隠れていることは多いものです。営業には、それを見抜き、解決策に落とし込む力が必要です。
現状・課題・原因・解決策というフレームで整理し、仮説を立てて検証を重ねることが、課題解決力を磨く基本です。
5.提案力
提案は商品や製品説明だけではなく「意思決定を後押しするプロセス」です。
Why(なぜ必要か)とHow(どう解決するか)を明示し、論理と感情の両面から納得感を提供します。
短時間でわかりやすく要点を伝える練習や、ストーリーテリングの活用が効果的です。
6.粘り強さ(継続力)
商談は一度で決まらないことが多く、継続的なフォローが成果を生みます。ただ追いかけるだけでなく、その都度新しい価値を提供することが重要です。
KPI管理や営業日誌で行動を可視化し、無理なく継続できる仕組みを作ると粘り強さが定着します。
7.自己成長力
環境変化の激しい営業においては、学び続ける力が成果の持続を支えます。最新の知識をアップデートし、スキルを広げることで、提案の幅と信頼性が高まります。
読書やオンライン講座、新しいツールの活用など、小さな学習習慣を継続することが成長の源泉です。
営業力を高める最新手法(AI・DXの活用)
営業力を高めるには、AIやDXの活用が欠かせません。従来の経験頼みの営業から、データを根拠にした営業へ移行することで効率と成果が大きく向上します。
特に注目されているのが、先ほどの章でも触れた「インテントセールス」です。顧客の検索行動や資料請求などの「購買シグナル」をAIが解析し、最適なタイミングでアプローチできる仕組みは、無駄な営業を減らし、成約率を高めます。
また、AIは顧客の過去データを分析し、商談の勝率予測や優先順位づけの自動化が可能です。営業担当者は最も成果につながる顧客に集中できるようになり、時間の使い方が大きく変わります。
ただし、信頼構築や感情理解といった部分はAIには代替できません。営業力を最大化するためには、AIが得意な「分析」と、人間ならではの「関係性づくり」を組み合わせることが重要です。
さらに、AIは、DXによる業務の自動化(メール配信や商談メモの自動記録など)は、営業担当者の負担を軽減し、本質的な顧客対応に時間を割ける環境を整えます。
つまり、AIやDXは営業担当者を置き換えるものではなく、営業力を向上させるパートナーです。データを活用しつつ、人間ならではの価値提供を行うことが、これからの営業の必須条件といえるでしょう。

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営業力を高めるトレーニング事例
営業力はすぐに身につくものではありません。日常の業務に組み込まれたトレーニングや学習の仕組みによって、徐々に積み重ねていく必要があります。
ここでは代表的なトレーニング事例を紹介します。まとめると以下のとおりです。
- ロールプレイ研修
- AIコーチングツールの活用
- ナレッジ共有の仕組み化
- 自己学習の仕組みづくり
- メンタリング・OJT
ロールプレイ研修
最も基本的かつ効果的なのがロールプレイです。
営業担当者同士で「顧客役」と「営業役」に分かれ、実際の商談をシミュレーションします。
これにより、質問力や傾聴力、提案の構成などを安全な環境で試し、改善点を客観的に確認できます。録画して振り返ると、話し方や非言語表現の課題も見えやすくなります。
AIコーチングツールの活用
近年ではAIを使った営業コーチングツールが登場しています。
商談の音声を解析し、声の抑揚や話速、相手との発話割合を数値化してフィードバックする仕組みです。
客観的なデータに基づく改善は、自己流の勘頼みよりも着実にスキルを伸ばすことができます。
ナレッジ共有の仕組み化
個人の営業スキルを全社に広げる仕組みも重要です。
トップ営業の成功事例やトークスクリプトを共有したり、定期的に「成功事例の共有会」を開催したりすることで、属人的なノウハウを組織の財産にできます。
これにより、経験の浅い営業担当者でも早期に成果を出せるようになります。
自己学習の仕組みづくり
営業力は個人の学習意欲にも左右されます。読書やオンライン講座などを習慣化し、日常業務に役立つ知識を継続的に取り入れることが大切です。
会社としても学習時間を確保したり、学んだことを共有する場を設けたりすることで、組織全体の営業力を底上げできます。
メンタリング・OJT
新人や若手営業には、先輩が実際の商談に同行し、リアルなフィードバックを与えるOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)が有効です。
机上の知識よりも現場での学びがスキルの定着につながります。
このように AI・DXの活用による営業力強化 と、トレーニングの仕組み化をセットで導入することで、個人のスキルだけでなく組織全体の営業力を高めることが可能になります。
営業力強化に役立つツール
営業力を高めるには、個人の努力だけでなくツールの活用が大きな効果をもたらします。
特に近年はクラウドやAIを活用したサービスが充実しており、営業活動を効率化しつつ質を高めることが可能です。
ここでは代表的な5つのツールを紹介します。まとめると以下のとおりです。
- CRM(顧客管理システム)
- SFA(営業支援システム)
- AI営業支援ツール
- コミュニケーションツール
- 学習・トレーニングツール
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1.CRM(顧客管理システム)
顧客情報を一元管理し、営業活動を可視化する基本ツールです。商談履歴や連絡状況を共有することで、担当者が変わってもスムーズに対応できます。
- 代表例:Salesforce、HubSpot、Zoho CRM
2.SFA(営業支援システム)
営業プロセスを管理し、進捗やKPIを可視化する仕組みです。営業活動の「どこでつまずいているか」を把握できるため、改善につながります。
- 代表例:SalesMarkereセールスマネージャー、Microsoft Dynamics 365
3.AI営業支援ツール
顧客データや行動ログを解析し、成約確度の高い顧客を抽出したり、最適なアプローチタイミングを提示してくれます。特にインテントデータを活用するツールは効率化に直結します。
- 代表例:FORCAS、BALES CLOUD
4. コミュニケーションツール
リモート営業の増加に伴い、オンラインでのコミュニケーション環境は必須になりました。資料共有や録画機能を活用することで、商談後の振り返りにも役立ちます。
- 代表例:Zoom、Microsoft Teams、Slack
5. 学習・トレーニングツール
営業力は学び続けることで強化されます。オンライン学習プラットフォームや社内ナレッジ共有ツールを導入することで、自己成長と組織全体のスキルアップを促進できます。
- 代表例:Udemy Business、Schoo、Notion
ツールは「使うこと」が目的ではなく「営業力を高めるために活用すること」が大切です。自社の営業スタイルに合ったツールを選び、日常業務に組み込むことで、着実に営業力を底上げできます。
営業力に関するよくある質問
営業力を高めたいと考える方からは、「どの力から鍛えればよいのか?」「AI営業は人間に取って代わるのか?」といった疑問がよく寄せられます。
ここでは、営業職の方や営業組織を強化したい企業が抱きやすい代表的な質問について触れていきます。
Q1. 営業力を最短で伸ばすには何から始めるべき?
最も効果的なのは「コミュニケーション力」と「情報収集力」を同時に磨くことです。
顧客の声を丁寧に聴き、適切な質問で課題を深掘りしながら、常に新しい情報をインプットする習慣をつけることで、商談の質は一気に高まります。
Q2. AI営業は人間の営業を置き換えるの?
AIは顧客データ分析や成約確度予測といった定量的な作業を効率化しますが、顧客との信頼関係構築や感情の理解は人間ならではの領域です。
つまり、AIは営業を置き換えるのではなく、営業担当者の力を補強し、成果を最大化するためのパートナーと考えるべきです。
Q3. 7つの力の中で優先度は?
営業力は7つの力の掛け算ですが、最初に取り組むなら「コミュニケーション力」と「信頼構築力」が基盤になります。
これらが弱いと、提案力や課題解決力も十分に発揮できません。基盤を固めたうえで、情報収集力や提案力を強化していく流れが理想です。
Q4. インテントセールスはどんな業界でも有効?
BtoB業界に有効です。特に効果を発揮するのは「購買検討期間が長く、情報収集を伴う商材」です。
例えばITソリューション、不動産などが典型的な例です。購買サイクルが短い日用品では効果が限定的になる場合もありますがBtoB領域ではニーズを検知することがとても重要なので、インテントセールスはとても相性が良いです。
本記事のまとめ
営業力とは、顧客の課題を理解し、最適な解決策を提案し、長期的に信頼を築くための総合力です。
本記事で紹介した7つの力は、それぞれ独立して重要でありながら、相互に補完し合うことで最大の成果を発揮します。
さらに、AIやDXの活用によって営業の効率化と質の向上は大きく進みました。データや仕組みを活かしながら、人間ならではの信頼構築や感情理解を組み合わせることが、これからの営業に欠かせない要素です。
営業力を磨くことは、個人のキャリアを広げ、企業の成長を支える基盤となります。
日々の小さな実践と継続的な学びを積み重ね、これからの時代にふさわしい営業力を育てていきましょう。