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- トークスクリプトとは
- トークスクリプトを使う場面
- トークスクリプトのメリット
- 対応品質の標準化ができる
- 育成や研修の効率が上がる
- データとして蓄積でき、改善に活かせる
- トークスクリプト作成のポイント
- 「何のために使うのか」を最初に明確にする
- 顧客の心理や検討フェーズに合わせて、トークの流れを設計する
- よくある反応や断り文句に対する切り返しを用意する
- 無料のテンプレートや作図ツールを活用する
- 自然に話せる言葉かどうか
- トークスクリプトの作成手順
- 1.目的と対象を明確にする
- 2.会話のゴールと構成要素を設計する
- 3.トップ営業マンのトークを参考にする
- 4.よくある反応と質問に対する分岐を設計する
- 5.テンプレートで形を整える
- 6.実際に読み上げて違和感をチェックする
- 7.フィードバックを元にブラッシュアップする
- トークスクリプトのおすすめ運用方法
- トークスクリプトのテンプレート集
- マネーフォワード クラウド
- bizroute
- Office Hack
- トークスクリプト作成ツールを使用する場合の注意点
- スクリプト生成の柔軟性があるか
- 解決したい課題と機能が一致しているか
- 現場で使いたくなるツール設計か
- 本記事のまとめ
本記事では、すぐに使えるトークスクリプトの無料テンプレートを一覧で紹介するとともに、成果が出るスクリプトを作るための手順や運用のポイントについても詳しく解説します。
ゼロから自作したい方も、既存スクリプトを見直したい方も、ぜひ参考にしてください。
トークスクリプトとは
トークスクリプトとは、営業やカスタマーサポート、テレアポなどの現場で使われる「会話の台本」のことを指します。
電話や対面での対応が多い業務において、対応者が話す内容や順序をあらかじめ設計し、誰でも一定の品質で顧客対応ができるようにするためのものです。
トークスクリプトを使う場面
トークスクリプトは、業務品質を標準化するためのツールとして、さまざまなシーンで活用されています。トークスクリプトが実際によく使われる代表的な場面は次の5つです。
- 新規営業やテレアポでの初回アプローチ
- インサイドセールスやカスタマーサクセス
- カスタマーサポートや問い合わせ対応時の品質標準化
- セミナー登壇やオンライン商談での説明進行
- 新人研修・OJTでの営業スキル定着支援
トークスクリプトのメリット
ここでは、トークスクリプトがもたらす主な3つのメリットを解説します。
対応品質の標準化ができる
トークスクリプトを導入することで、誰が対応しても一定水準の会話ができるようになります。新人でもベテランと同じ流れで商談や顧客対応ができるようになり、担当者によるバラつきや情報の食い違いを防止できます。
製品説明やヒアリングの順番が明確に定義されていることで、会話の進行に迷いがなくなり、対応時間の短縮やミス防止にもつながるでしょう。
育成や研修の効率が上がる
トークスクリプトは、OJTや研修にも活用できます。研修担当者によって伝える内容が異なると、新人が混乱したり、教育効果にムラが出たりすることもあります。スクリプトがあれば、育成内容を共通化でき、教育時間や準備工数を削減できます。
また、実際の商談や架電の振り返りにも使えるため、フィードバックの質も向上し、成長サイクルを早める効果が期待できます。
データとして蓄積でき、改善に活かせる
トークスクリプトは作って終わりではなく、実際の対話や商談の内容と照らし合わせて改善していくことで、営業や対応業務の質を継続的に高めていくことができます。
商談の録音や通話履歴、フィードバック内容をスクリプトと紐づけて管理することで、「どのフレーズで反応が良かったか」「どこで話が止まったか」といった会話の傾向を可視化・分析できるようになります。
このように、トークスクリプトは使うだけでなく、データとして育てていくことで、営業組織やサポート部門の再現性・成長性・改善サイクルを強化することができます。
トークスクリプト作成のポイント
ここでは、実務で活用されるスクリプトを作成するうえで押さえておきたい基本かつ実践的なポイントを5つ紹介します。
「何のために使うのか」を最初に明確にする
まず最初に押さえるべきは、スクリプトの目的です。
アポ取得なのか、ニーズ把握なのか、受注を狙うクロージング用なのかなどの目的があいまいなまま作ると、情報を詰め込みすぎて伝わりにくいスクリプトになってしまいます。
アポ取得が目的なら「いかに短時間で興味を引き、面談の約束を取るか」が重要になりますし、クロージングなら「比較検討フェーズの心理にどう刺さるか」にフォーカスすべきといったように何のために使うのかを最初に明確にするようにしましょう。
顧客の心理や検討フェーズに合わせて、トークの流れを設計する
どんなに良い商品でも、伝える順序を間違えると心に響きません。スクリプトの構成は、顧客の心理的なステップに寄り添って組み立てる必要があります。
そもそも課題意識がない層には、業界トレンドや他社事例を出して関心を引く必要があります。一方で、比較検討している層には、自社の強みや具体的な効果を端的に提示することで背中を押すことができます。
顧客が置かれている状況・情報感度・意思決定レベルによって、響く言葉も、話す順序も変わるため、これらを踏まえてトークスクリプトを構成することが大切です。
よくある反応や断り文句に対する切り返しを用意する
実際の現場では、台本通りに会話が進むことの方が少ないものです。
「今は忙しい」「予算がない」「検討中です」などのよくある断りや反論に対する分岐トークをあらかじめ設計しておくことで、現場担当者の対応力が大きく変わります。
重要なのは、ただのFAQではなく、そのトークの目的に沿った切り返しにすることです。分岐があることで、スクリプトが固定された読み物から選択肢のある会話設計に変わり、応用が効きやすくなることが期待できるでしょう。
無料のテンプレートや作図ツールを活用する
スクリプト作成はゼロベースで取りかかるよりも、すでにある型(テンプレートやフレーム)を活用することで大幅に効率化できます。
Googleスライドやスプレッドシート、draw.io、Miroなどの無料ツールを使えば、話の流れや分岐を視覚的に整理でき、チーム内での共有や修正も簡単です。
特に複数のステップやトーク分岐がある場合は、フローチャート形式で整理すると、「この質問のあとはどう展開すべきか」などが一目でわかる構成になります。
自然に話せる言葉かどうか
スクリプトは「読むもの」ではなく「話すもの」という感覚をもっておきましょう。そのため、読みやすさより話しやすさを優先して表現を整えることが大切です。
文末がすべて「〜でございます」などで統一されていると、電話では不自然な印象になりがちです。営業やカスタマー対応では、相手の温度感や業界に合わせて、丁寧かつ親しみのある表現に調整することで、ぐっと伝わりやすくなります。
また、1文が長すぎると途中で詰まる原因になります。作成後には実際に読み上げてみる音読チェックを入れると、現場でも使いやすい自然なトークに仕上がります。
トークスクリプトの作成手順
ここでは、誰でも使えて、成果につながりやすいトークスクリプトの作成方法を7つの手順に分けて紹介します。
1.目的と対象を明確にする
まずは「このスクリプトで何を達成したいのか」と「誰に向けて使うのか」を明確にしましょう。以下のように、目的とターゲットによってスクリプトの内容は大きく変わります。
スクリプトは目的と対象が定まって初めて、必要な要素・トーン・構成が決まるため、この手順が最も重要です。
2.会話のゴールと構成要素を設計する
手順.1で目的と対象を明確にした後は、目的に沿った「トークスクリプトの最終ゴール」と「途中で達成すべき会話のフェーズ」を定めましょう。
アポ獲得の目的のスクリプトであれば、以下のような構成になります。
- 1.導入(名乗り・アイスブレイク)
- 2.興味喚起(課題提示・共感)
- 3.ニーズヒアリング(相手の状況確認)
- 4.提案・案内(商材の簡易紹介)
- 5.クロージング(日程調整・次アクション)
このように構造を設計したうえで、各フェーズに必要な情報や会話例を肉付けしていきます。
3.トップ営業マンのトークを参考にする
手順.3では、実際に成果が出ているトーク内容をもとにトークスクリプトを構築します。0から構築をするよりも既に成果がでている事例を参考にスクリプトを作成した方がより実践的で効果的でしょう。
録音や文字起こし、営業メンバーへのヒアリングなどを通じて「よく刺さるフレーズ」や「相手の反応が良かった構成」をピックアップしましょう。
また、ここの手順で成果の出ていないスクリプトとの比較を行うことで「伝え方の違い」や「言い回しの効果」なども分析できます。
4.よくある反応と質問に対する分岐を設計する
手順.4では、トークスクリプトは一方通行ではない点を改めて理解しておきましょう。相手の返答に応じて内容を切り替える分岐トーク(想定問答)を設計することで、現場での使い勝手が一気に高まります。
よくある分岐例としては以下の3つです。
- 「忙しいので後で」→ 日程再提案
- 「興味ない」→ 実績やデータで再アプローチ
- 「すでに他社を使っている」→ 差別化要素を提示
分岐を設けることで、担当者が焦らずに自然な対応ができるスクリプトになります。具体的なスクリプトについては後半でみていきましょう。
5.テンプレートで形を整える
構成や文面がある程度固まったら、スクリプトの全体像を見やすく整理します。Google スライド、Excel、Figamaなどのツールを活用し、話の流れや分岐が視覚的にわかるようにしましょう。テンプレートをベースに調整すれば、時間短縮にもつながります。
6.実際に読み上げて違和感をチェックする
スクリプトは書き言葉ではなく話し言葉で準備するようにしましょう。完成したら実際に音読して、トーンやテンポ、言い回しの違和感がないかを確認します。
特に「語尾が固すぎる」「一文が長すぎて噛む」「相手に失礼に聞こえる表現がないか」などを丁寧にチェックすることで、実践で使いやすい形になります。
7.フィードバックを元にブラッシュアップする
作成したスクリプトは、一度で完成ではありません。実際の営業や顧客対応で使ってみて、現場の声をもとに継続的に改善していくことが重要です。
- よく詰まるポイントはどこか
- 相手の反応が良い部分はどこか
- 営業担当者が読みづらそうにしている箇所はどこか
これらの情報をもとにアップデートを重ねることで、トークスクリプトは現場に根付く会社の資産へと育っていくことでしょう。
トークスクリプトのおすすめ運用方法
トークスクリプトの運用で多くの現場でありがちな失敗は、「読むだけのスクリプトを配布して満足してしまう」ことです。実際に成果を出すためには、スクリプトをいかに運用するかが重要なポイントとなっていることを忘れてしまうことが多々あります。
まず大前提として、スクリプトは一枚で完結するものではなく、目的ごとに分けて設計すべきです。例えば、「初回アプローチ用」「ヒアリング用」「商談説明用」「クロージング用」「よくある質問への対応用」といった形でシーンに応じた複数のスクリプトを用意しておくことで、話し手は状況に応じて適切なトークを選択・展開しやすくなります。
その後の運用の現場で重要になるのは、そのまま読むのではなく、使いこなすというスタンスです。相手の反応に応じて展開を変えられるように、YES/NOや質問への切り返しパターンなどの分岐構造を取り入れて設計することが、運用上の自由度と安定感の両立に繋がることでしょう。
また、スクリプトは作って終わりではありません。現場の声を取り入れ、定期的にアップデートしていくコンテンツとして扱うべきです。
おすすめの運用サイクルは、以下の4つを月1回などのペースで繰り返すことです。成功したトークや、刺さった言い回しはチーム内で共有・テンプレート化し、「現場が主体的のスクリプト」を増やしていくと組織全体の営業の質が上がります。
- (1)現場での使用
- (2)振り返り・改善会議
- (3)ブラッシュアップ
- (4)再配布という形
トークスクリプトは、現場の知見を形式知化し、再現性を生むための強力なツールです。活用すればするほど、成果は安定し、育成スピードも加速することが期待できます。
トークスクリプトのテンプレート集
ここでは、トークスクリプトのテンプレートとスクリプト作成に役立つテンプレートを紹介します。
マネーフォワード クラウド
このテンプレートは、営業やカスタマーサポートで使える基本的なトークの流れを整理した無料のフォーマットです。テンプレはExcel形式で、トークの目的・タイミング・想定される相手の反応・それに対する返し方などを記入する欄があり、新人研修やスクリプト設計のベースとして非常に使いやすい内容となっています。
https://biz.moneyforward.com/work-efficiency/templates/talk-script/
bizroute
bizrouteは、営業やコール業務におけるトークの流れを図式化できるPowerPointテンプレートです。
スクリプトを台本形式ではなく、状況ごとの分岐設計として整理したい方に最適と言えるでしょう。資料内には例付きテンプレートもあるため、PowerPointに慣れていなくてもすぐ使える点が特徴的です。
Office Hack
Office Hackでは、営業や商談、プレゼンテーションの場面で活用できるトークスクリプトのエクセルテンプレートを紹介しています。
これらのテンプレートは、伝え方のニュアンスや改善点を記録するのに便利で、トーク内容のブラッシュアップに貢献できるでしょう。
https://office-hack.com/excel/excel-free-talk-script-template/
トークスクリプト作成ツールを使用する場合の注意点
トークスクリプト作成ツールを導入する際は、作成できることよりも使い続けられることがポイントです。
営業やサポートの現場で実用性を発揮するために、以下の視点でツールを比較・選定していきましょう。
スクリプト生成の柔軟性があるか
「一から自由に設計したい」「過去の会話をもとに自動生成したい」など、企業によって求めるスクリプトの作り方は異なります。手動で細かく調整できるものから、AIで自動作成されるものまで様々です。
自社の業務フローや人材リソースに合った作成スタイルを選ぶことで、現場での活用率が高まるためスクリプト生成の柔軟性について確認するようにしましょう。
解決したい課題と機能が一致しているか
トークスクリプトの目的は話す内容を整えることだけではありません。対応履歴の記録、トークと成果の関連分析、チーム内での共有・教育など、活用方法は多岐にわたることが想定されます。
現場の困りごとを洗い出し、それに直結する機能(録音・可視化・共有機能など)が備わっているかを必ず確認しましょう。
現場で使いたくなるツール設計か
いくら機能が豊富でも、使いづらければ形骸化してしまいます。スクリプトは現場で日々開くものなので、見やすく・すぐ使えるUIがあるかどうかは重要です。
「入力がしやすい」「スマホやタブレットでも使いやすい」「複数人で同時編集できる」など、日々の業務とスムーズに連動するかどうかを確認しましょう。
本記事のまとめ
トークスクリプトは、ただ書いて終わりではなく、現場で使って、改善して、育てていくものです。継続的な成果を生み出すためには、運用とスクリプトのブラッシュアップの継続が欠かせないことを覚えておきましょう。
本記事を参考に、自社に合ったスクリプト作成や運用改善に役立てば幸いです。営業責任者の方は現場の声に耳を傾け現場と積極的にコミニケーションを取ることで課題や新たな気付きも得られることでしょう。必要に応じてツール導入の検討もおすすめです。