2024.09.04
BtoBマーケティングにおけるKPI設計の手順。施策別のKPI例まで
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「BtoBマーケティングで、どのような指標をKPIにすべきかわからない」
「KPIの具体例を知って、事業部の目標設定に役立てたい」
マーケティング部門の担当者の方のなかには、上記のような悩みがある方も多いのではないでしょうか。
BtoBマーケティング施策には、Web広告をはじめとした数多くの施策があります。よってKPIの設計時には、取り組んでいる施策の種類に応じた指標を選ぶことが重要です。
そこで今回は、BtoBマーケティングのKPI設計手順と設計例を中心に解説します。マーケティング施策ごとの具体的なKPI例も紹介しているため、ぜひ最後までご覧ください。
そもそもKPIとは?
KPI(Key Performance Indicator)とは、企業や組織が目標達成のために設定する重要業績評価指標のことです。事業の成功を測定するための指標であり、目標達成に向けた進捗状況を把握するために用います。
KPIは、組織やプロジェクトの最終ゴールであるKGI(Key Goal Indicator)に基づいて設定します。売上目標や目標受注数などをKGIとして設定し、その達成度合いを評価するためにKPIを活用します。そのためKPIは、KGIとの関連性を考慮して設定します。
たとえば、KGIが受注数の場合、KPIは案件化数・商談数・リード数などを設定します。適切なKPIを置いて定期的にモニタリングすることで、マーケティング施策の効果測定や改善点の洗い出しなどが可能となります。
BtoBマーケティングのKPI設計の手順
BtoBマーケティングにおけるKPI設計では、施策ごとに適切なKPIを設計することが重要です。ここでは、リスティング広告運用を例に、「リード獲得数」を目標としたKPI設計の手順を説明します。
BtoBにおいて広告運用を活用した場合、マーケティング・営業プロセスは以下の流れで進めます。
上記の流れを踏まえ、リスティング広告運用のKPI設計の手順を確認してみましょう。KPIは以下の手順で設計します。
- KGIを確認する
- KGIから逆算する
- 各種変数となるKPIを設定する
手順ごとに解説します。
1. KGIを確認する
まず、自社の事業部の売上目標から逆算して、最終目標であるKGIを確認しましょう。たとえば、月間の売上目標が1,000万円・商材単価が100万円の場合、必要な受注数(KGI)は10件となります。
2. KGIから逆算する
次に、KGIである「受注数10件」から逆算して必要な商談数を算出します。受注率が25%の場合、10件の受注を獲得するためには40件の商談が必要になるため、マーケティングとインサイドセールスで40件の商談を創出しなければなりません。
これまでインサイドセールスがリードに対して架電し、20%の確率で商談につなげていた場合、40件の商談を獲得するためには200件のリードが必要になります。この200件のリード獲得が、マーケティング施策の最重要KPIとなります。
加えて、架電による商談化率の数字に基づいて「リード獲得数200件」を設定しているため、「商談化率20%」もKPIとなります。この数字は、過去の実績や目標などに応じて設定しましょう。
3. 各種変数となるKPIを設定する
200件のリードをリスティング広告で獲得するために、以下の各種変数をKPIとして設定しましょう。
- サイト訪問者数
- フォーム到達数・率
- コンバージョン数・率
上記の数値を定期的にモニタリングし、改善施策を実施して最終的なKGIの達成につなげていきます。この数値を追っていくことで、ステップ2で設定したKPI「リード獲得数・200件」や「商談化率・20%」が達成でき、ステップ1の「月間売上目標・1000万円」も順に達成できる流れとなります。
BtoBマーケティングのKPI設計例
BtoBマーケティングにおけるKPI設計は、各施策の種類・目的・フェーズなどに合わせて適切な指標を選定することが重要です。ここでは、以下のBtoBマーケティング施策ごとにKPI設計例を紹介します。
- Web広告
- ウェビナー
- オウンドメディア
- メルマガ
Web広告
Web広告は、BtoBマーケティングにおいて認知拡大やリード獲得を目的として実施される施策です。おもに以下のようなKPIを設定します。
広告運用の目的が認知獲得の場合、広告表示に関連する指標や費用対効果が測定できるKPIを設定しましょう。また、サイトへの誘導が目的であれば、広告を見たユーザーのクリックに関する指標をKPIとします。
さらにコンバージョン獲得が目的の場合、問い合わせや商品購入などのユーザーのアクションに注目してKPIを設定します。このように、Web広告運用の目的に応じてKPIを決定しましょう。
ウェビナー
ウェビナーは、参加してもらうことが目的ではなく「自社商品・サービスの利用につなげること」を目的として実施される施策です。おもに以下のようなKPIを設定します。
ウェビナーから成果につなげるには、申込率や参加率だけでなく、開催後の参加者の様子が把握できるKPIを設定しましょう。
オウンドメディア
オウンドメディアは、成果が上がるまでに時間を要する施策のため、以下のようにフェーズに応じてKPIを設定するとよいでしょう。
開設初期は、とにかくコンテンツ量を増やすことに注力しましょう。記事の作成・公開本数をKPIに設定するのがおすすめです。1年〜1年半が経過したら集客力の向上のために、ユーザー行動が把握できるKPIを設定し、分析しながらコンテンツを改善していきましょう。
開設から2年以内に集客が安定してきたら、コンバージョン率をはじめとしたKGIに直結するKPIを設定します。オウンドメディアの運営段階に応じて、コンテンツ量・集客力・成果の順に設定するのが効果的です。
メルマガ
メルマガはリードナーチャリングに役立つ施策です。おもに以下のようなKPIを設定します。
たとえば開封率やクリック率は、メルマガの件名や本文の最適化に役立ちます。KPIを設定してPDCAを回すことで、施策の成果が高まり、最終的にKGIの達成に近づきます。
BtoBマーケティングにおけるKPI設計のポイント
BtoBマーケティングで事業の成果を最大化させるには、適切なKPI設計が重要なポイントとなります。KPI設計時には、以下の3点を意識しましょう。
- 設定は定量的に
- KPIは増やしすぎない
- 自社の業種や施策に応じたものに
設定は定量的に
KPIを設定する際は、具体的な数値で表せる定量的な指標を用いましょう。
たとえば「問い合わせ数を増やす」という目標を立てると、どの程度増やせばKPIが達成できるのかが曖昧になってしまいます。しかし「問い合わせ数を月間100件以上にする」という具体的な数値を設定すれば、目標達成の基準が明確になり「施策の効果測定がしやすくなる」「具体的な目標を意識して施策に取り組める」などの効果があります。
また「認知度を上げる」といった定性的な目標を立てた場合も、達成度合いが測りづらくなるため「サイトへのアクセス数を月間1万PVにする」といったKPIを設定します。
目標達成度が誰でも把握できて認識のずれをなくすために、数値化できる定量的な指標を設定しましょう。
KPIは増やしすぎない
指標の数を絞り込んでKPIを設定することも重要です。KPIを増やしすぎると「業務量が膨大になって疲弊する」「現場が混乱する」などが原因となって、本来の目的を見失う恐れがあります。
複数の指標を設定するとKGIの達成度合いが多角的に分析できるため、経営判断がしやすくなるというメリットがあるものの、そもそもの目的であるKGI達成から遠のく可能性があります。
担当者にはやるべき業務に注力してもらい、目標達成が実現できるよう、KPIは必要最低限の指標に絞り込んで設計しましょう。
自社の業種や施策に応じたものに
KPI設計時には、自社の業種や事業内容、施策に応じた指標を設定しましょう。
たとえば人材業界の場合、リード獲得や受注率以外に「派遣スタッフの稼動人数」や「派遣スタッフ1人あたりの派遣料金」などが挙げられます。SaaS業界であれば「解約率」や、新たな顧客創出のためにかかった費用を示す「CAC」なども重要です。
また、施策ごとのKPI設計も大切です。オウンドメディア施策に取り組んでいる場合、短期間で成果が出にくい特徴を踏まえてKPIを設計する必要があります。
ほかの施策ではKPIになりにくい「コンテンツの作成本数」や「公開本数」などを設定し、今やるべきタスクを明確化するとモチベーションの維持に役立ちます。さらにフェーズに応じて成果に直結するKPIを設計することで、最終的な目標達成にもつながります。
BtoBマーケティングでは、自社の業種・施策などに応じてKPIを設計し、KGIの達成を実現させましょう。
まとめ
BtoBマーケティングにおけるKPIは、自社の業種や施策に応じて適切な指標を設定する必要があります。また、最終ゴールであるKGIから逆算して設計することで、KPI達成によって目標が達成できる仕組みとなります。
本記事で紹介したKPI設計手順と設計例を参考に、事業部の目標に応じたKPIを設定しましょう。