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顧客価値とは?顧客価値を最大化するための方法を解説

#マーケティング

顧客価値を高めることで、競合他社との差別化を図り、自社の商品やサービスを選んでもらうことができます。顧客価値の高い商品やサービスは、リピーターの増加やロイヤル顧客の育成につながり、企業の売上や利益の向上に大きく寄与します。

 

本記事では、顧客価値の意味や種類、顧客価値を理解するためのポイント、そして顧客価値を向上させる具体的な方法についてご紹介しました。ぜひ参考にして、顧客価値を向上させるマーケティング戦略を実践してください。

顧客価値とは

顧客価値とはモノやサービスに対して顧客が支払うコストに見合う、もしくはそれを超えると感じる価値のことを指します金銭的なコストや時間的なコストを上回る価値があると顧客に認識されることで、企業は製品開発やサービス提供を通じて売上拡大を期待できます。

 

また、顧客価値は顧客の置かれている状況によっても変化します。例えば、空港内の店舗では商品が通常よりも高価に設定されていることがありますが、それでも購入されるのは、旅行前や到着後の限られた時間内に手に入れる価値が顧客にとって高いからです。このように、顧客の状況や環境も顧客価値に影響を与えます。

顧客価値の重要性の背景

顧客価値を意識した製品化や事業化が求められる背景には、次の2つの要因があります。

「コモディティ化」が進む現代

現在、多くの業界でコモディティ化が進行し、商品やサービス自体での差別化が困難になっています。

 

そのため、コモディティ化から脱却する方法として、顧客価値の向上が注目されています。企業は製品の高機能化を追求するだけでなく、導入時のオンボーディングの提供や専門サポートの充実など、サポート体制にも力を入れています。これにより、顧客が製品やサービスを利用する過程での体験を向上させ、他社との差別化を図ることができるのです。

「価値」が重視される現代

日本の製造業はこれまで、機能と品質の向上に注力し、「ものづくり大国」として世界にその名を轟かせてきました。しかし、最近では機能や品質の向上が必ずしも顧客価値に直結しなくなっています。これは、機能やスペックの向上が既に顧客満足の一定水準を超え、さらなる改善が顧客価値の向上や他社との差別化に繋がりにくくなっているためです。

 

そのため、製品の差別化を図るためには、単に機能を高めるだけでは不十分です。顧客が製品やサービスを利用することで得られる価値を意識的に高めることが求められています。

 

具体的には、顧客体験の向上、製品に付随するサービスの充実、ブランド価値の強化などが重要です。これにより、顧客が感じる満足度や価値を総合的に高め、他社との差別化を図ることができるのです。

顧客価値の4段階

顧客価値は4段階に分けられます。それぞれの価値について解説します。

 

顧客価値の4段階

1.基本価値(Basic Value)

基本価値は、顧客が製品やサービスに求める最低限の要件を満たすことです。これは、製品が正常に機能し、顧客の基本的なニーズを満たすことを意味します。この段階では、品質や信頼性が重視されます。

 

例)スマートフォンが通話やメッセージ送信、基本的なアプリの使用など、期待される基本機能を確実に提供すること

2.期待価値(Expected Value)

期待価値は、顧客が特定の製品やサービスに対して持つ標準的な期待を満たすことです。これは、顧客が競合製品や業界標準に基づいて期待する機能やサービスレベルを意味します。

 

例)スマートフォンが高画質カメラや高速インターネット接続など、現代の標準的な機能を提供すること

3.願望価値(Desired Value)

願望価値は、顧客が個人的に望む追加的な機能やサービスを提供することです。これは、顧客が特定の製品やブランドに対して抱く個別の期待や希望を反映しています。

 

例)スマートフォンが独自のカメラ機能や高度なセキュリティ機能を提供し、顧客の個別のニーズや希望に応えること

4.予想外価値(Unexpected Value)

予想外価値は、顧客が予期していなかったが非常に感動するような追加的な価値を提供することです。この段階では、顧客にとって予想外の喜びや驚きを与え、強いブランドロイヤルティを生み出すことが目指されます。

 

例)スマートフォンの購入時に、無料で付属品や特別なサービス(例えば、長期間の保証やプレミアムサポート)が提供され、顧客が期待以上の価値を感じること

 

これらの4段階を理解し、それぞれの段階で顧客に提供する価値を最大化することで、企業は顧客満足度を高め、競争力を維持することができます。

顧客価値の種類

ビジネスの成功には顧客価値の最大化が欠かせません。顧客価値を高めるためには、機能的価値情緒的価値体験価値の3つの視点からアプローチすることが重要です。

 

顧客価値の種類

 

1.機能的価値

機能的価値とは、製品やサービスが提供する具体的な機能や特徴のことです。例えば、自動車の場合、走行性能、安全性、燃費効率などが含まれます。また、最新のナビゲーションシステムやスマートキーなどの便利な機能も機能的価値に含まれます。

 

さらに、エンジンのパワーも重要な機能的価値の一つです。100馬力の車と200馬力の車を比較すると、200馬力の車はよりパワフルですが、その分価格も高くなります。顧客によっては、通勤や買い物などの日常使いには100馬力の車で十分と感じる場合もあります。つまり、機能的価値は顧客のニーズや期待に応じて異なるため、一律に高機能を提供すれば良いわけではありません。

2.情緒的価値

情緒的価値とは、顧客が製品やサービスを使用したときに感じる感情的な満足度や喜びを指します。例えば、手作りのクラフトビールを飲むことで感じる特別な気持ちや、丁寧なカスタマーサービスによる安心感がこれに当たります。

 

例えば、普段は手頃な価格のビールを飲む人が、特別な日のために少し高価なクラフトビールを選ぶことがあります。これは、ビールの味わいだけでなく、その特別な雰囲気やストーリーによる体験を求めているからです。高級品や高価格帯のサービスは、しばしば情緒的価値が機能的価値を上回る要因となります。

3.体験価値

体験価値とは、顧客が製品やサービスを利用することで得られる体験や成果を指します。製品やサービスの提供だけでなく、顧客がどのような体験を得るかを重視することが、現代のビジネスでは重要です。

 

例えば、農業体験ツアーが人気を集める理由は、単に新鮮な野菜を購入するだけでなく、農作業を体験し、自然と触れ合うことができるという体験価値が高いからです。また、料理教室も、単にレシピを学ぶだけでなく、実際に料理を作る楽しさや新しいスキルを習得する体験が提供されます。

 

顧客価値の本質は、単に所有することから得られる満足感から、利用して得られる成果や体験へとシフトしています。企業が顧客と共に体験価値を創造し続けることで、顧客価値を高め、長期的な関係を築くことができます。

顧客価値を向上させるためのポイント

CRMとMAの導入

CRM(顧客関係管理)とMA(マーケティングオートメーション)の導入は、顧客価値を高めるために非常に有効です。CRMは顧客情報を一元管理し、顧客との関係を深めるためのツールです。あるオンライン書店では、CRMを利用して顧客の購入履歴や閲覧履歴を管理し、顧客の好みに合わせた書籍の提案を行っています。

 

一方、MAは顧客の行動を分析し、最適なタイミングで個別に合わせたマーケティングメッセージを送ることができます。ECサイトでは、カートに商品を残したままの顧客に対して自動的にリマインドメールを送信し、購入を促進しています。このように、顧客一人ひとりのニーズに応じた対応ができ、満足度が向上します。

 

現代のビジネスにおいて、効率的な顧客管理と営業活動は成功のポイントとなります。そこで役立つのが「Zoho CRM」です。Zoho CRMは、顧客情報の一元管理だけでなく、営業プロセスの自動化、リードの追跡、パーソナライズされたコミュニケーションの実現を支援する強力なツールです。

 

過去記事の「Zoho CRMで何ができるか解説 顧客管理と営業が効率化されるツール」ではどのようにして顧客管理と営業活動を効率化し、ビジネスの成長をサポートするのかを詳しく解説します。これにより、日々の業務がどれほど簡単に、そして効果的に行えるかを理解していただけるでしょう。

顧客ニーズを正確に把握

顧客に価値を提供するには、まずそのニーズを正確に理解することが大切です。市場調査、アンケート、データ分析を活用して、顧客が何を求めているかを把握します。新しい健康食品を開発する企業は、顧客アンケートを通じてどのような成分や効果を求めているかを調査します。

 

また、顧客の声を直接聞いたり、データから得られる洞察を基にすることで、顧客の期待に応える製品やサービスを提供できます。フィットネスクラブが会員のフィードバックをもとに新しいプログラムを導入することで、会員のニーズに応えることができます。

 

顧客のニーズをさらに深く理解するために、インテントデータの活用は非常に効果的です。インテントデータとは、顧客のオンライン行動や検索履歴から得られるデータで、顧客が何を探しているか、どのような情報に関心を持っているかを示します。これにより、顧客の購買意図を把握し、よりターゲットを絞った営業活動が可能になります。これにより、営業担当者は無駄なアプローチを減らし、効果的な営業活動を行うことができます。

 

Sales Markerは、インテントデータを活用して営業活動を活性化させるためのツールです。このツールを使用することで、営業チームは顧客の現在のニーズや興味をリアルタイムで把握でき、よりパーソナライズされたアプローチが可能となります。例えば、特定の商品に関する情報を頻繁に検索している顧客には、その商品に関連する提案を行うことで、成約率を大幅に向上させることができます。

コンセプトを決めて価値提供に取り組む

顧客に一貫した価値を提供するためには、明確なコンセプトを持つことが重要です企業のブランドや製品のコンセプトを明確にし、それを基に製品開発やサービス提供を行います。エコロジーを重視するアパレルブランドは、全ての製品をリサイクル素材で作り、環境保護に貢献するというコンセプトを掲げています。このコンセプトが、顧客に対して独自の価値を伝えるための指針となります。

 

また、高級ホテルチェーンが「究極のリラクゼーション」をコンセプトに、豪華なスパやパーソナライズドサービスを提供することで、顧客の期待を超える体験を提供しています。このように、コンセプトに基づいた一貫したメッセージと体験を提供することで、顧客の信頼を築くことができます。

顧客価値創造に成功した企業の事例

最後に、新たな顧客価値の創造に成功した事例を3社紹介します。

 

・無印良品

・トヨタ自動車

・アップル株式会社

無印良品

無印良品は、シンプルで機能的なデザインと高品質な製品を提供することで、顧客価値を創造しています。同社は「無駄を省く」というコンセプトを徹底し、過剰な装飾やブランドロゴを排除することで、製品そのものの価値を高めています。

 

また、無印良品は、顧客の声を反映させた商品開発にも力を入れています。例えば、店舗でのアンケートやオンラインでの意見収集を通じて得られたフィードバックを基に、新製品や改良を行っています。

トヨタ自動車

トヨタ自動車は、高品質で信頼性の高い車両を提供することで顧客価値を創造しています。同社は「カイゼン(改善)」の精神を取り入れ、常に製品とプロセスの向上を追求しています。

 

例えば、ハイブリッド技術の導入や環境に配慮した製品開発を行い、顧客に対して先進的で持続可能な価値を提供しています。また、トヨタはアフターサービスにも力を入れており、購入後のサポート体制を充実させています。

アップル株式会社

アップル株式会社は、iPodとiTunesの提供によって、顧客に新たな音楽体験の価値を提供しました。iTunesは、オンラインで音楽を購入し、直接iPodに転送することができるため、CDショップに行ったりPCを使って音楽を取り込む手間を省きました。このシームレスな音楽購入と再生の仕組みにより、音楽をより身近で手軽に楽しめる環境を整えました。

 

さらに、iPod Shuffleは、ライブラリからランダムに曲を再生するシンプルな仕組みを導入し、再生や早送り機能を持たないポータブルプレーヤーとして新たな価値を提供しました。このユニークなデザインと機能により、ユーザーは予測不能な音楽体験を楽しむことができ、従来の音楽再生方法とは異なる新しい楽しみ方を提案しました。

本記事のまとめ

企業の売上拡大の方法として注目されている顧客価値という概念は、顧客目線になって製品やサービスを開発することを意味します。これにより、顧客に「お金を払ってでも購入したい」と思わせることができます。

 

本記事では、顧客価値の定義、顧客価値を理解するために知っておきたい重要なポイント、そして顧客価値を向上させるための具体的な方法を紹介しました。ぜひ、本記事を参考にして、顧客価値を向上させるためのマーケティング戦略を実践してみてください。

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