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2024.11.05

大企業の営業変革は「顧客インテント」がカギになる~NTTデータとパーソルマーケティングのインテントセールス~

目次

この記事は約 11 分で読めます。

トップパフォーマー依存の属人的な営業から、データドリブンな営業へ。
売り手主導の営業から、顧客起点の営業へ。
変化する働き方に合わせて、一人ひとりの生産性の高さの追求へ。

KEYNOTEでは、多くの企業がこのような、営業組織やプロセスを変革する必要性を感じている現状と、その解決法として注目を集める「インテントセールス」について議論を交わした。

TALK SESSIONでは、実際にインテントセールスにより「営業の変革」に踏み出した2社、全世界で19万人、国内で4万人の従業員が所属する株式会社NTTデータと、国内外合わせて700を超える拠点を持つパーソルグループで営業支援、店舗・販売支援の人材派遣・アウトソーシング事業を手掛けるパーソルマーケティング株式会社、そして株式会社Sales Marker COO 荻原がトークセッションを展開。大規模な企業の営業組織における「変革」の難しさと、その壁の超え方、インテントセールスという新時代の営業手法を取り入れたことで得られている成果、これからの発展のさせ方について、対談した模様をダイジェストでお届けする。

TALK SESSION

データドリブン営業による大企業のパラダイムシフトとは

大企業の強みを最大限に発揮するために、顧客起点の営業へ

── 今回は、大企業の営業がインテントセールスにより、どのように変化するのかをお聞きしたいのですが、そもそもインテントセールスを取り入れることを決定した背景をお聞かせください

宮地 私はNTTデータにてテクノロジーコンサルティング事業本部という先進テクノロジーの技術力・活用力を武器に、お客様企業の抱える経営課題の解決に貢献するためのコンサルティングサービスやソリューションを、インダストリ横断で提供する組織に所属しています。

NTTデータグループは、ITサービス事業を展開しておりまして、様々なサービス分野・業界に向けた事業がございます。多くのお客様企業との既存のお取引や接点を有しているという強みがありますが、同時に、非常に幅広いサービスを取り扱っているため、個々のサービス全てをお客様にご紹介して、直接的な反応を伺うことは容易ではありません。そこで、インテントセールスを取り入れることに思い至りました。インテントセールスであれば、お客様が今、どのようなサービスにニーズがあるのかを検知した上で、そのニーズに合ったご紹介をできるようになります。そのため、NTTデータが接点を持たせて頂いているお客様の中から、自組織が取り扱うサービスにご関心を持って頂けている可能性のある方を迅速に把握してアプローチする「顧客起点の営業」を可能にすべく、Sales Markerを導入したというのが背景です。

藤井 パーソルマーケティングはパーソルグループの人材サービス会社で、営業や販売といったフロントビジネスを、人材を通じて支える事業を展開しています。その中で私どもの部署では、EC領域の人材に事前教育を行い、スキルを高めて企業様に人材としてご提供するソリューションを新たに開発して、2024年度にリリースしました。この新ソリューションの営業活動においてSales Markerを2024年5月から導入し、活用しています。

こちらはまだPoC(※1)段階の新規事業でして、会社として本格的に取り扱うことが確定したソリューションではなく検証を兼ねているフェーズです。現時点ではかなり少人数の体制になりますので、手あたり次第に数をあたって行う営業はあまり向いておらず、効率的に営業活動を行える仕組みを作りたかったということがひとつ。もうひとつが、実は少人数な上に、営業未経験者の比率が多いという点です。営業パーソンとしての高い知見やスキルがなくても成果が出せる工夫が必要でした。これらの課題に対する有効な手段として、Sales Markerを活用したインテントセールスに目を付けました。

※1:新たなアイデアやコンセプトの実現可能性、得られる効果などを検証すること

── 大量の顧客データを効果的に活用する仕組み、営業効率の向上、属人的な能力に依存しない営業、というポイントが出ましたが、実際にインテントセールスに取り組まれてみて、どのような影響がありましたか?

宮地 既存のお客様においても、業種や事業、規模、その他、サービスのターゲットに該当する属性を持つ企業は数多く存在する中で、「ニーズがありそう」な市場を効率的に探り当てる手段を持っていなかったのは冒頭に申し上げた通りですが、「インテント」という軸が加わったことで、アプローチの優先順位をつけやすくなるとともに、クイックに仮説検証できるようになることが挙げられます。

また、当初設定したターゲットに含まれない企業でもインテントが発生していることをきっかけにニーズの可能性を知ることができるため、本当にニーズがある市場を素早く判断していけると思います。

さらに、Sales Markerでは、インテントが発生している企業が自社のWebサイトのどのページを見ているのか等も確認できますので、特に何にご興味をお持ちなのか、お客様のニーズを類推した上で、どのようなシナリオで

アプローチすべきかを考えることもできます。どんなニーズに対して、どんなアプローチが有効なのかの仮説検証ができる点でも、非常に有用だと感じています。

とはいえ、当社はまだインテントセールスの効果検証中というフェーズではありますので、こうしたメリットが得られていることが、どれほどの営業成果に繋がっていくかという点においてはまだこれから、というところです。

藤井 数値で言いますと、アポ獲得率が300%、商談数が200%向上しています。実は、Sales Markerを導入する前までは、営業リストを購入して上から架電していく営業をしていました。1年弱ほど泥臭く営業してみまして、これは効率が悪いから変えようと決断しました。インテントセールスにシフトしてからは、営業方針を変えまして、手あたり次第に数をあたる営業はやめて、個社ごとに、お客様に向き合ってシナリオを立てていくようにしています。1社にかける時間は多くなりましたが、成果が出ているので効率は向上しています。

Sales Marker を導入したことでセールスイネーブルメント(※2)が実現できたことも挙げさせていただきます。営業で成果を出すためには、お客様の状況やニーズの仮説を立ててお話をする必要がありますが、営業未経験者が多いため、経験による感覚や知見、スキルに頼ることができません。それが、Sales Markerで、仮説構築に必要な情報が得られることで補完されています。

※2:組織全体で営業力の強化・標準化を目指す取り組み

トップセールスの行動ではなく、顧客の行動を見ることへ意識を変えることがカギ

── 営業の感覚やスキル、知見の継承がしきれずトップセールスに依存した体制でいることが、営業組織においては大きな課題になってくるのではないかという点については、KEYNOTEでも言及されていましたが、Sales Markerを活用したインテントセールスで、そういった問題はどのように解消されているのでしょうか?

藤井 例えば、以前は広告から入ってきたお客様だと、どのぐらい温度感が高まっているのか、どんな組織で、そこにどんなニーズがあって、裏側でどんな動きがあるのか、といったところは把握しにくかったんですね。しかしSales Markerでは、いつ、どのくらい、どのキーワードが検索されていたのかという情報が時系列で見えるので、検討の背景がある程度可視化されているといえます。今どんなニーズがあるのか、どの程度の検討フェーズなのか、などが、営業としての経験値がなくても推測しやすくなっています。

また、Sales Markerに搭載されている企業データベースでは、どのような部署があるのかがわかる組織図も確認できるので、どのような役割の方がいらっしゃるのかや、組織の規模感などもわかります。その他、扱っている商材やリリースしている情報なども見られるのですが、お客様の課題やニーズを仮説立てるにあたり必要な情報がそこにもうある状態になっています。営業シナリオを作る能力には、自分で必要な情報を考え、自分で探し、見つけることも含まれると思いますが、必要な情報がポイントを絞って入手できるようになっているので、仮説構築のハードルが下がっています。実際に、営業未経験者のメンバーからもそういったコメントが出ていますし、1社1社に対するシナリオの精度も上がっています。それによってアポイントの打率が上がり、具体的な見積りの提示までいくような商談数の増加という形でダイレクトに効果が現れてきています。

── 藤井さんよりインテントセールスがセールスイネーブルメントに貢献する点について、Sales Marker上で提供されているデータの活用のしやすさについて触れられましたが、この点については荻原さんはいかがでしょうか?

荻原 Sales Markerをご活用いただくことでセールスネーブルメントを実現できる理由は、シンプルに言えば「誰に」「何を」「どのように」伝えるかを最適化し、型化するうえで、どれほど解像度高く相手を捉えられているかが重要でだからです。Sales Markerは、この点を非常に重視して設計されています。

これまでの一般的なセールスイネーブルメントのアプローチは、社内のトップセールスの行動を分析し、その行動を再現しようとすることに主眼を置いていました。でもそれだと顧客起点にはならず、結果として顧客理解の深さが十分に確保されません。

KEYNOTEでも言及されていましたが、BtoBの領域でも、BtoCで当たり前になっている「パーソナライズされた体験」が求められています。型どおりの営業よりも、自社・自分に最適化された提案のほうが魅力的ですし、話を聞くモチベーションも上がります。例えば、先ほど紹介されたパーソルマーケティング様の事例では、お客様のニーズはもちろん、どの程度、検討状況が進んでいるのかなどを的確に把握し、「今このタイミングで、このお客様には何をお伝えするのがよいか」を、時間をかけて丁寧に設計した上でアプローチされたことが、効果的な営業に結びついています。

インテントセールスの大原則は、「顧客のインテント(ニーズ)」を行動の起点とすることです。これが従来の営業手法とは大きく異なるポイントであり、Sales Markerではお客様がその原則に沿った行動を取れるよう、サービス設計に取り組んでいます。

── ここまで、インテントセールスを実践されてからのお話を伺いましたが、大企業においては特に新しい仕組みの導入は容易ではないと思います。今回、Sales Marker の導入やインテントセールスを浸透させるプロセスでハードルになったことと、それをどのように超えられたのかをおしえてください。

宮地 やはり既存のシステムとの繋ぎ込みはハードルのひとつです。私の事業部では例えば、SFAとしてSalesforceを利用していますが、いきなり本番環境とは繋がずに、デモ環境と繋いで検証しながら進めております。また、本格活用に向けては、業務オペレーションをしっかり構築する必要があると考えています。

荻原 NTTデータ様に限らず、大企業のお客様において一番多く挙がる論点は、やはり既存の社内システムとの繋ぎ込みですね。具体的には、どのようにシステムを連携し、既存データとどのように紐づけていくのかといった点が論点となります。この部分については、お客様ごとにポリシーや要件が異なるため、導入支援チームがお客様のご要望を伺いながら、一緒に計画を立てて進めさせていただいています。

Sales Markerを効果的にご活用いただくためには、CRMやSFA、基幹システムなどと連携し、インテントの検知から営業によるアプローチまでをリアルタイムで行える環境を整えることが理想ではあります。ただし、検証フェーズではSales Markerを独立したツールとして利用されるケースや、他システムからデータをcsv形式で出力し、手動でSales Markerにアップロードして活用されるケースも多く見られます。お客様の達成したいゴールとポリシーに応じて、段階的に理想的な環境を整備していくことを大切にしています。そのため、フェーズを分けながら、徐々に本来目指すべき姿に近づけていくというアプローチを採用しています。

藤井 当社の場合、導入のフェーズでは、アクセス制限や情報の持ち方などの事前の確認は必要でした。Sales Markerと既存のツールとの繋ぎ込みについては、データの定義、ステータスの管理の仕方などを事前に整理して決めておいたことで、比較的速やかに立ち上げることができたと思います。

── インテントセールスを浸透させて「営業を変える」ことについてはいかがでしょうか。

宮地 社内で多くを占めるアカウント営業においては、既存の基幹・業務システムの開発だけでなく、DX/CXの変革を支援するために、ビジネス部門との接点をもっと増やしたいという共通のニーズがあるようです。我々が成功事例を作れば、より多くの部門で活用したいというニーズが生まれるはずですから、そうなってくると全社的な取り組みにシフトしていける可能性もあると思います。

藤井 当社では営業シナリオに必要な項目のようなものを「型化」して現場に落とし込みました。もともと、業種、企業規模、取り扱っている商材、相手部署の属性などをまとめて、それぞれにどのソリューションを当てはめればいいかをロジック化してシナリオを構築する仕組みを作ってありましたので、基本的にはそれを踏襲しつつ、Sales Markerの導入に合わせてブラッシュアップして展開しています。情報の粒度を細やかにできたので、精度が上がっています。

荻原 私もこれまでに約400社のSales Markerの導入・活用をご支援させていただいてきた中で、現場に落とし込む際、一定の型を整えている企業様ほど、運用がスムーズに軌道に乗っていると感じます。インテントセールスは幅広い可能性を持ち、さまざまな取り組みができる分、「今はこれを実行する」と戦略的にフェーズを区切り、あえて型化してやるべきことを絞り込みながら浸透させていくことが、効果的な手段のひとつだと思います。

──最後に、皆様がインテントセールスに取り組んできた経験をふまえて、こういう下地があるとインテントセールスを活用できる、あるいはこういうところで活用するのが向いている、といったアドバイスをお聞かせください。

宮地 社内に推進者となる人がいることが重要だと思っています。インテントデータを活用して、率先して小さな成果を作り、周りの人を巻き込んで、こうやっていけば成果が出るんだと組織的に実感できるように推進していく人をつくる。そういう活動を通じて企業文化を変えるところまでいけると、営業改革が進んでいくのではないでしょうか。

藤井 過去のやり取りを含めて情報を正しく残してそれを利用する、という思考は必要だろうなと思います。ひたすら数を打ったり、泥臭く関係性を作りにいったりするのではなく、データを活用していくという新たな切り口で、それに抵抗がない人をメンバーに選ぶこと。アンテナを広く張って新しいものにチャレンジしていくような人を推進役にすること。特にアンテナの張り方とデータの重要性を理解していることは、非常に大事だと思います。

──当事者の熱量と、データをきちんと利活用できるような体制、この2つが揃って初めてインテントセールスが真価を発揮するということですね。ありがとうございました。

「Sales Marker」がわかる!

資料3点セット+マンガで学ぶインテントセールス)

この資料でわかること

  • ・インテントデータを活用したセールス手法
  • ・Sales Marker 3つのポイント
  • ・サイト非公開の導入実績、事例

「Sales Marker」がわかる資料3点セット