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スコアリングの精度を高め、リードナーチャリングの効果を最大化する「インテントデータ」

リードナーチャリングとは

リードナーチャリングとは、「見込み客の育成」という意味の言葉です。

文字通り、展示会やWeb広告などで集めたリード(見込み客)に対して、メルマガやセミナー、Webコンテンツなどを通して、有益な情報を適切なタイミングで提供し続けることで、顧客の購買意欲を高め、最終的に自社の売上につなげるマーケティングプロセスです。

従来の営業活動は、Web広告やセミナー集客などで集めたリードに対して、即座に架電してアプローチするというものでしたが、BtoBでは検討段階から実際に購入に至るまでの期間が長くなる傾向があるため、顧客との温度感が合わず結果につながらない、という課題がありました。

それに対し、段階的なアプローチでリードを育成し、購買意欲を高めるリードナーチャリングは、購入までの検討に時間をかけるBtoBマーケティングで特に有効な手法といえます。

欧米では、リードナーチャリングによって大きな成果を出している企業が多数存在します。日本でも最近、リードナーチャリングの必要性に対する理解が深まり、採用企業が増えてきています。

BtoBマーケティングのプロセス

ではここで、このリードナーチャリングを理解する上で重要な、BtoBマーケティング全体のプロセスを以下の3つに分けて説明いたします。

リードジェネレーション

BtoBマーケティングプロセスの1つ目として、リードを獲得・発掘するための活動をリードジェネレーションと呼びます。

マーケティングにおけるジェネレーションとは、「生成」や「創出」を意味し、リードジェネレーションは「リード獲得」「リード生成」「リード創出」などと呼ばれることもあります。

 

Web広告やオウンドメディア、SNSマーケティングなどを活用して、メールアドレスや電話番号など、顧客との接点になる情報を集めるプロセスです。

コミュニケーションチャネルが多様化する昨今では、こうしたオンラインでのリードジェネレーションも盛んにおこなわれていますが、展示会や訪問などのリアルの場で、直接コミュニケーションを行い、顧客の名刺を手に入れる活動もリードジェネレーションの一つです。

リードナーチャリング

次のフェーズは、獲得したリード(見込み客)を育成するリードナーチャリングです。

 

セミナー告知やコラム記事、機能リリース情報、ホワイトペーパーなど、見込み客にとって有益だと思われる情報やコンテンツを、顧客の検討状況やニーズをもとに選別して届けます。こうした継続的なアプローチによってリードの購買意欲を高め、商談獲得や受注につなげることが目的です。リードの状態を常に把握し、その状態に応じて段階的にアプローチを行うことが大切です。

リードクオリフィケーション

リードナーチャリングによって育成されたリードの中から特に購買意欲の高いリードを選別するプロセスです。

 

クオリフィケーションとは、「限定する」「制限する」といった意味を持つ Qualify の派生語ですが、後述するスコアリングによって、購買意欲の高いリードに限定する、つまり絞り込むことができます。

そのため、リードナーチャリングは、BtoBマーケティングの3つのプロセスの中でも、営業効率を向上させるうえで特に重要なプロセスと言えるのです。

リードナーチャリングが注目されている理由

上記3つのフェーズのなかでも、リードと継続的な接点を持ち、育成することでリードの国賠意欲を高める「リードナーチャリング」に、いま注目が集まっています。

主な理由としては、次の2つが挙げられます。

顧客の行動変化に対応するため

まず、インターネットの普及により、顧客となる企業が自ら情報収集を行い、よりよい製品やサービスを見つけられるようになっています。

さらに、現代のBtoB顧客は、営業担当者との接点を持つ前に購買プロセスのほとんどを完了させている、というデータ(米ガートナー社の調査結果)があるほど、購買プロセスは激変し複雑化の一途をたどっています。

そのため、リード化する見込み客の温度感はこれまで以上に幅が広く、従来のように即アプローチしても、期待する成果にはつながりません。

休眠顧客からの受注率を上げるため

昨今では、顧客とのコミュニケーションチャネルが多様化し、特にオンラインでのさまざまなタッチポイントを設ける企業も多いでしょう。

そのため、さまざまなチャネルから幅広い温度感のリードが生成されますが、アプローチしたものの商談・受注につながらず、その後放置してしまっている休眠顧客が増え続ける企業も少なくないでしょう。

こうした休眠顧客は、自社の製品やサービスに対して興味関心を持っている可能性が高いため、顧客の検討状況に応じた適切なナーチャリングを行うことで、MQL、TQL、SAL、SQLへと育成できる可能性が高まります。

  • MQL(Marketing Qualified Leads)
  • TQL(Teleprospecting Qualified Leads)
  • SAL(Sales Accepted Leads)
  • SQL(Sales Qualified Leads)

リードナーチャリングにおけるスコアリングの重要性

リードナーチャリング効果を高めるには、スコアリングが重要となります。

スコアリングとは、いわゆる「点数付け」であり、顧客の属性や興味関心、行動などによって顧客の点数を足し引きすることで、見込み客の状態を数値化することです。スコアリングによって、見込み顧客の有望度が一目で分かるようになります。

スコアリングの主なメリットとして、次の3つが挙げられます。

定量的な分析ができる

スコアリングを適切に行うことで、担当者ごとの経験や勘といった属人性やバイアスに偏らずに、客観的で定量的な確実性の高い分析が可能になります。

顧客の興味関心を可視化できる

顧客の興味関心を可視化できるため、それぞれの顧客にふさわしいナーチャリング方法を検討でき、リードナーチャリングの効果をより高めることができます。

営業効率が上がる

スコアの高い顧客(=購入意欲が高い顧客)からアプローチすることで、高い受注確率が期待できますので、営業効率が向上します。

スコアリングの点数の付け方

リードナーチャリングにおけるスコアリングの点数の付け方には、いくつかの方法があります。

ここでは代表的な3つの視点、①リードの属性、②リードの興味関心、③リードの行動、からスコアリングを行う方法をご紹介します。 

 

①リードの属性とは、企業の属性と企業担当者の属性に大別できます。

企業の属性は、従業員数が2000人以上なら+15点、1000人以上なら+10点、500人以上なら+5点というように点数を付け、企業担当者の属性は、担当者が役職者なら+5点というようにスコアを付けます(点数はあくまで一例です)。

 

②リードの興味関心もスコアリングにおいて重要なファクターの1つです。

例えば、リードがサービスの無料トライアルを試行したら+25点、展示会やセミナーに参加したら+15点、事例ページを閲覧したら+10点といったように、リードのサイト閲覧内容や行動履歴に対して点数を加算します。

 

③最後のリードの行動は、前述した興味関心を示す行動がいつ行われたかということに対してスコアの加減算を行うものです。

例えば、3ヶ月間サイトに訪問がない場合-30点、1ヶ月間サイトに訪問がない場合-10点というように、スコアを付けます。

 

こうした基準でスコアリングを行うことで、リードの購買意欲や受注成功時の想定規模などを数値化でき、ナーチャリングの優先順位をつけることができるようになります。

インテントデータを活用することで、リードナーチャリングの効果を最大化できる

スコアリングの精度を高め、リードナーチャリングの効果を最大化するために欠かせないのがインテントデータです。

インテントデータとはWeb上で意図(intent)を持って起こした企業の行動データのことです。インテントデータは、自社で収集した「ファーストパーティデータ」、パートナー企業から提供される「セカンドパーティデータ」、Web上の検索クエリや閲覧履歴などの「サードパーティデータ」の3種類に大別できます。

特に、データ量の多いサードパーティデータを利用することで、次のようなメリットが得られます。

いち早くニーズの高まりを検知

自社サイトにアクセスしなくても、関連キーワードの検索などで、いち早くニーズの高まりを検知でき、リードのリストに加えることができます。

顧客に合わせた訴求メッセージの構築

顧客の興味関心を知ることができ、顧客に合わせた訴求メッセージを構築し、顧客に合わせたチャネルを利用してナーチャリングを行うことができます。

最適なタイミングでアプローチ

自社サイトへのアクセスだけでなく、競合サービス名での検索や比較サイトへのアクセスなど、より多様な行動も把握できるため、「リードの行動」をより細かく分析・スコアリング対象とすることで、最適なタイミングでアプローチできます。

セールスインテリジェンスなどのセールステックを活用することで、こうしたサードパーティデータにアクセスできるようになります。

インテントデータを活用したリードナーチャリングの実例

インテントデータを活用したリードナーチャリングの実例として、BLAM社の事例をご紹介します。

同社は運用型広告を中心としたデジタルマーケティングと8,500人以上のマーケティング・クリエイティブ人材を抱える「KAIKOKU」を運営するマーケティングDX支援会社です。

同社はサードパーティインテントデータを提供する「Sales Marker」とCRMツール「HubSpot」を導入し、アウトバウンドコールとリードナーチャリングに利用しました。その結果、アウトバウンドコールではアポ率が従来の250%に向上、リードナーチャリングによる休眠リード掘り起こしではアポ率が従来の150%に向上、セールスパイプライン全体では売上げが従来の300%に向上しました。

BLAM社はSales Marker導入以前は、HubSpot単体で運用していましたが、自社がデータを取得できる範囲における個人の行動しか把握できていませんでした。しかし、Sales Markerと組み合わせることで、自社外のWeb行動履歴を捕捉できるようになり、企業全体の幅広い行動を可視化できるようになったことで、アウトバウンドコール、休眠リードの再活性化・ナーチャリング、コンテンツ提供や営業提案といったセールスパイプライン全体の活動において一貫して顧客起点のセールスを実現しました。その結果、セールスパイプライン全体で、300%という大幅な売上げ向上を果たしたのです。

まとめ

リードナーチャリングは、顧客の状況やニーズに合わせた適切なアプローチや情報提供をとおして、見込み客を育成するマーケティングプロセスです。

リードナーチャリングは、顧客の行動変化への対応や休眠顧客の掘り起こしに有効な手法として、欧米では広く導入されており、日本でも注目が集まっています。リードナーチャリングの効果を最大限に発揮するには、インテントデータ、特にサードパーティインテントデータの活用が欠かせません。

リードナーチャリングを導入して営業効率を上げたいと考えている方は、サードパーティインテントデータを提供するSales Markerをあわせて導入することをおすすめします。

この記事を書いた人

この記事を書いた人

小笠原 羽恭

CrossBorder株式会社 代表取締役 CEO。
新卒で野村総合研究所に入社後、基幹システムの開発・PM・先端技術R&D・ブロックチェーン証券PFの構築・新規事業開発に従事した後、コンサルティングファームに転職し、経営コンサルタントとして、新規事業戦略の立案・営業戦略立案・AIを活用したDXなどのプロジェクトに従事。その後、グローバル規模での市場動向調査・営業戦略立案・事業戦略立案をデータとAIで効率化・高度化することを目指してCrossBorder株式会社を創業。代表を務める。国内初のインテントセールスを実現するSales Markerを提供。Forbes 30 Under 30 Asia Listノミネート。一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)の協議員。