2024.09.04
マーケティング戦略とは?かんたんな立案手順3ステップと事例も紹介
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様々な市場において消費者の興味関心や行動は細分化し複雑化しています。企業が他社との競争優位性を確立するためには、消費者のニーズを常に理解し戦略を立てる必要があるでしょう。
そこで重要となるのが「マーケティング戦略」であり、全てのビジネスにおいて必要不可欠な戦略です。
しかし、「マーケティング戦略とは?」「どうやって戦略を立てるの?」と疑問に思う方もいるでしょう。本記事では、マーケティング戦略の概要・立案手順など説明していきます。
マーケティング戦略とは?
マーケティング戦略とは、「誰に・どんな価値を・どうやって届けるのか」を決定することです。
そもそもマーケティングとは「商品やサービスを売れる仕組みを作る」ことです。その仕組みを作るための戦略と考えるとわかりやすいでしょう。
現代のビジネスにおいて「ビジネスを成功させる」「売上を上げる」ということは容易ではありません。多くの企業が様々な戦略を用いて、競争力を高めています。
そんな中で他社に負けない競争優位性を確立させるためには、市場を理解し顧客のニーズを的確に把握するマーケティング戦略が非常に重要と言えるでしょう。
マーケティング戦略立案ステップ(簡易版)
マーケティング戦略を理解するために、3ステップで簡単にわかりやすく解説します。また、ステップごとに使用できるフレームワークも紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
- だれに(ターゲット)
- どんな価値を(ベネフィット)
- どうやって届けるのか(チャネル)
1. だれに(ターゲット)
最初のステップでは市場を定義します。自社の商品・サービスを「誰に売るのか」を考えるということです。
それには「市場の状況」や「政治状況」などの外部環境や内部環境も考慮する必要がありますが、今回は無しとします。
そして、自社の商品・サービスを「誰に売るのか」で使えるフレームワークが以下の図「STP」です。
例えば、自社が営業支援ツールを提供している場合、
というように「誰に売るのか」を明確にできます。
2. どんな価値を(ベネフィット)
最初のステップでターゲットが明確になり、次のステップではターゲットに対して「どんな価値を届けるのか」を決めていきます。
また、届ける価値というのは自社独自のものにしていく必要があります。
ここで使用できるフレームワークは「バリュープロポジション」という考え方です。
バリュープロポジションとは、顧客のニーズが高く競合他社が提供できない価値です。つまり、バリュープロポジションを特定することで「自社が届ける価値」が明確になります。
自社が営業支援ツールを提供している場合のバリューポジション具体例は以下になります。
この場合の、バリュープロポジションは「営業ツールの導入に負担が少なく、すぐに社内で定着・操作できる」となります。
バリュープロポジションの特定は競合他社との差別化ではなく、顧客が求めている価値を優先して考える必要があります。差別化にこだわりすぎると、顧客が求めている価値とズレが生じる可能性も。
そのため、想定顧客のニーズを徹底的に分析する必要があります。
3. どうやって届けるのか(チャネル)
最後のステップでは、決定した「ターゲット」「価値」をどうやって届けるのかを決めていきます。いわゆる、チャネル(経路)を指します。
このチャネルの決定に使用するフレームワークは「4P(マーケティングミックス)」を使用していきます。
上記の図に先ほど具体例を出した「営業支援ツール」で考えてきましょう。
Productは企業が提供する商品・サービスであり、4P分析において最も重要な要素です。商品のコンセプト、品質、保証期間などを決定します。
Priceは言葉の通り価格を表しますが、単に製品だけの価格ではなく他3つのPも考慮した価格を設定します。また、市場状況や自社のブランディングなども考慮しましょう。
Placeは市場の範囲や流通の場を意味します。店舗や営業所、サービスを拡販できるチャネルなどが該当します。自社の提供する商品・サービスの種類によって最適なPlaceを選択しましょう。
Promotionは宣伝、広告、セミナー、イベントなどアプローチする手法、営業活動も含まれます。ターゲットの市場に合わせて適切なチャネルを選定し、見込み顧客とのコミュニケーションをとりましょう。
マーケティング戦略の事例
マーケティング戦略について何となくイメージを掴めてきたかと思います。ここからは以下3つの企業のマーケティング戦略事例を詳しく解説します。
- ライフネット生命(STP)
- Netflix(バリュープロポジション)
- Laxus(4P)
ライフネット生命(STP)
引用:ライフネット生命
ライフネット生命は国内初のインターネット専業の生命保険会社です。
ライフネット生命のマーケティング戦略は「STP分析」を活用し成功しています。戦略は以下の表を参照ください。
ライフネット生命は、インターネットでの購買や手続き等に抵抗がない顧客をターゲットにすることで、ネット経由の事業に専念し人件費などのコストを削減。保険料を低価格での提供を実現しています。
また、以前までは人を介した販売が中心であった保険ですが、Web経由で24時間365日申し込み〜契約が可能という利便性、子供が大きくなるに連れて出費がかかることを考慮した低価格な保険料から、競合他社と比較して有効なポジショニングができていると言えるでしょう。
Netflix(バリュープロポジション)
引用:Netflix
Netflixはメンバーシップ制のストリーミングサービスです。
実施したマーケティング戦略は「バリュープロポジション」のフレームワークを活用し配信登録制ストリーミングサービスではNo1の地位にいます。まずはどのような戦略を実施したのか。以下表をご覧ください。
Netflixが特定したバリュープロポジションは「外出する必要がなく手軽に動画を楽しめる」事です。2007年に配信サービスを開始しましたが、その時代はレンタルDVDサービスが主流で常識を覆すものとなりました。
また、ストリーミングサービス市場に新規参入した企業と差別化を図るためにどのテレビ局でも見られないオリジナルコンテンツの配信を開始しています。
この2つがNetflixのバリュープロポジションです。
Laxus(4P)
引用:Laxus
Laxusは、サブスクリプションサービスで高級ブランドバッグのレンタル事業を展開しています。
実施したマーケティング戦略は「4P(マーケティングミックス)」のフレームワークを活用し、成功を納めています。まずは4Pをまとめた以下表をご覧ください。
LaxusのProduct(商品)は必ずクリーニングされたものを届け品質管理を徹底しています。また、申込後に届くバックは「化粧箱」に入っており、開封前からラグジュアリー感を掻き立てる仕組みです。
Price(価格)では「手軽に購入できないブランドバック」を月額6,800円で使用できるサブスクリプションサービス。アプリダウンロードや友達紹介でポイントを付与し、トライアルの心理的負担を軽減しています。
Place(流通)としては、Webやアプリで契約から申込まで解決、申込んだバックは自宅まで配送され、返送用の伝票や箱なども同梱されているため商品の申込から返却まで極力ストレスを感じさせない仕組みとなっています。
Promotion(販促)では、TVCMによる認知拡大だけでなく友達紹介でもポイント付与など口コミを誘発する仕掛けを実施しています。
その他マーケティング戦略立案に使えるフレームワーク集
マーケティングで戦略を立案するためには、自社の課題や目的に適したフレームワークを使用する必要があります。そのためにはフレームワークの種類を知っておきましょう、
ここでは以下5つのフレームワークを紹介します。
PEST分析
PEST分析は、
- Politics:政治
- Economy:経済
- Society:社会
- Technology:技術
の4つの外的環境からマクロ的な視点で分析するフレームワークです。
PESTで構成される外的環境の変化は常に変化しており、自社の事業戦略で状況を変えられるものではありません。そのため、自社がどのような状況に置かれているかを分析しましょう。
3C分析
3C分析は、
- Customer:市場・顧客
- Company:自社
- Competitor:競合
の3つの視点から分析を行うフレームワークで、自社や外部環境を対象とします。先述した**「PEST分析」と比較するとミクロな視点の分析**となります。
マーケティングでは「市場・自社の状況・競合他社」の理解・把握が非常に重要です。3C分析は細かく客観的な理解と把握が可能になります。
ファイブフォース分析
ファイブフォース分析は自社にとって5つのフォース(脅威)となる
- 競合他社
- 新規参入
- 売り手
- 買い手
- 代替品
の整理を行い、自社の事業に影響を及ぼす可能性のある要素を明確にするフレームワークです。
それぞれがどのように関わり、関係性による脅威はどれほど自社に影響を及ぼすのかを分析します。
SWOT分析
SWOT分析は内部環境を分析するStrength(強み)Weakness(弱み)、外部環境を分析するOpportunity(機会)Threat(脅威)の4つの視点から自社の現状を理解し、どのような戦略を立案するのかを考えるフレームワークです。
戦略の立案内容では、
- 自社の強みを活かすのか
- 自社の弱みを改善するのか
- 自社にとっての機会を活かすのか
- 自社にとっての脅威を回避するのか
など戦略の基盤を築くことができます。
バリューチェーン分析
バリューチェーン分析は自社商品・サービスが顧客の手に届くまで「価値」がどのように連鎖するのかを考えるフレームワークです。
ここで使用する価値とは「顧客にとっての付加価値」を意味し自社の強み・競合他社との差別化を洗い出せます。
ただし、自社の商品・サービスが生み出されて顧客の手に届くまでに関して、自社以外が関わっていることも珍しくありません。そのため、自社以外の要素も含める必要があります。
まとめ
マーケティング戦略を成功できるかどうかは自社商品・サービスに合わせたフレームワークを使用し、ターゲットの設定やポジショニングなどを確立させる必要があります。
紹介した事例では、顧客のニーズや競合他社では提供できない価値などを洗い出しバランスを保ちながらマーケティング戦略を実行しています。
本記事を参考に自社に適したマーケティング戦略を実行してみましょう。