2024.09.24
インサイドセールス立ち上げの流れ|SDR・BDRそれぞれ解説
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ここ数年で様々な企業の働き方は大きく変わり、それに伴い営業活動における手法も変化しています。営業活動は対面で行うのが主流でしたが、現代では非対面で行う「インサイドセールス」を導入する企業が増えています。
インサイドセールスは効果的に導入・活用できれば大きな成果をあげることができる反面、「立ち上げの流れ」や「失敗しないためのポイント」を抑えておく必要があります。
本記事では、インサイドセールスの概要・立ち上げの流れ・失敗例など詳しく解説していきます。
そもそもインサイドセールスとは?
インサイドセールスとは、見込み顧客に対してメールや電話、Web会議ツールを用いて非対面で行う営業活動を指します。主な役割は、営業担当者が行っていた営業活動におけるプロセスの一部を担うことです。
そしてインサイドセールスで営業の一部を担う際には、残りのプロセスを「フィールドセールス」が担当します。
- インサイドセールス:見込み顧客の獲得から育成を行い、商談を獲得
- フィールドセールス:見込み顧客に対して商談を行い、案件の受注
従来の営業活動では1人が「アポ獲得から受注まで」を行っていましたが、 経験やスキルによって個人差が出たり、商談に行ったらそもそも購入する気がなく無駄な時間だったという事が起こり、営業活動における生産性の低下が起こります。
そこで営業活動を「インサイドセールス」と「フィールドセールス」に分けることで、営業活動全体の生産性低下などを防ぎ、効率化を図ることができます。
インサイドセールス導入のメリット
インサイドセールスを導入するメリットは、
- 営業活動の分業化における生産性の向上
- コストの削減
となります。
まず、インサイドセールスは営業活動を分業化することで生産性の向上が期待できます。 これは、見込み顧客ごとに検討状況などを把握することができるため、効果的なアプローチが可能になるからです。 例えば、見込み顧客の中から受注する可能性が高い場合はフィールドセールスへと繋ぎますが、受注の可能性が低い場合はインサイドセールスで継続的にアプローチをして購入意欲を高めることができます。
2つ目はコストの削減です。 従来の営業活動では、顧客との関係性を高めていくために対面でのアプローチを行っていましたが、交通費や時間のコストがかかるため、効率が良い方法とは言えませんでした。 インサイドセールスを導入すると、時間を有効活用でき、見込み顧客との関係性も交通費などのコストをかけずに構築することが可能になります。
インサイドセールスの種類
インサイドセールスには大き分けて以下2つの種類があります。
SDR(反響型営業)
SDRは反響型営業と呼ばれ、購買意欲がある見込み顧客の「資料請求」や「電話やメールでの問い合わせ」に対応します。 また、WebサイトやSNSで情報を発信し、相手側から問い合わせを促すのもSDRの役割です。
SDRがアプローチする顧客はすでに自社のサービスに対して購入意欲が高いため、スピード感を重視した営業活動が求められます。
BDR(新規開拓型営業)
BDRは新規開拓型営業と呼ばれ、自社がターゲットとしている企業へのアプローチのため事前に戦略や情報収集を行っておく必要があります。
ニーズが顕在化していない企業であるため、労力は割かなければいけません。しかし、自社が労力を割いてでも取引したい企業であるため、受注できれば大きな成果が見込めるでしょう。
インサイドセールス立ち上げの流れ
インサイドセールス立ち上げの流れは以下の通りになります。それぞれを先述した「SDR」と「BDR」に分けて解説していきます。
1. 導入目的の整理・準備
まずはインサイドセールスを導入するにあたって、目的を整理し準備を行う必要があります。 手順は以下の通りです。
- 導入の目的を明確に
- 業務プロセスの分解
- 適切な人材をアサイン
1-1. 導入の目的を明確に
まずはインサイドセールスの導入目的を明確にしましょう。
例えば「営業担当者の負担が大きい」「離職率が高い」という課題があれば、インサイドセールスを導入することで、担当者の負担を減らすことが目的です。
「接点のない大手企業への商談数を獲得したい」という目的があればBDRの組織を構築し、メールや電話を通じて接点を持ちます。
導入する目的を明確にしておく必要があるのは、インサイドセールスは自社の課題を把握し目的に沿って組織を構築するからです。
1-2. 業務プロセスの分解
目的を明確にしたら、業務プロセスの分解を行います。 従来の営業活動では1人で、
リード獲得→商談獲得→商談→受注→サポート
の流れを担っていましたが、リソースに合わせて流れを分解し、担当を振り分けます。
企業によって営業フローは異なりますが、今まで曖昧になっていた営業フロー分解していきましょう。
1-2-A:SDRの場合
SDRの場合はマーケティングが必要になり、業務フローは以下の形になります。
SDRは広告やセミナーを通じて獲得したリードに対して、電話やWeb会議などを通じて購買意欲を作り出し、商談化へと繋げるのが役割です。
1-2-B:BDRの場合
BDRの場合は、リード獲得をしないためマーケティングが不要となり、業務フローは以下の形になります。
BDRはターゲットの選定からリードの育成、商談化までを全て行います。
先述した導入目的の整理・準備で目的を明確にするのはSDRとBDRで業務プロセスの分解は異なるためです。
1-3. 適切な人材をアサイン
業務プロセスを分解したら業務プロセスごとに適切な人材をアサインしていきます。
社員一人一人にはスキルや能力・経験によって得意・不得意な業務が存在します。例えば、インバウンド営業が得意なのであればフィルドセールスよりはインサイドセールスへアサインすることが重要です。
また、インサイドセールスを立ち上げる日程から逆算して引き継ぎのスケジュールも考えておきましょう。 人員配置のスケジュールが確定しないと、いつまで経ってもインサイドセールスの立ち上げができません。
2. アプローチ対象の決定
導入の目的・準備が完了したらアプローチ対象を決定していきます。
2-A:SDRの場合
SDRの場合は、主に2パターンです。
- 新規リードからの商談化の場合
- ハウスリストからの掘り起こしの場合
新規リード商談化の場合
新規リードからの商談化の場合は、「資料請求のみアプローチ」「お問い合わせのみアプローチ」または「全ての顧客のアプローチ」するのかを決める必要があります。
お問い合わせや資料請求は顧客がどのくらい自社に興味を持っているのかはわかりません。 そのため、どの条件を満たしているかでアプローチする対象を決定しましょう。
ハウスリストからの掘り起こしの場合
ハウスリストからの掘り起こしの場合は、 「最終コンタクト日/決算月/業界/従業員数」など、情報を持っている企業からどの条件に満たしている企業にアプローチを行うのかを決めましょう。
2-B. BDRの場合
BDRの場合は、狙うべき顧客像を明確にする必要があります。 手順は以下の通りです。
- 自社の受注顧客の分析
- 狙いたい顧客の決定
- その企業の属性/課題を整理する
まずは自社の受注顧客の分析を行います。
例えば、過去に多く受注できている企業は「年商が1億円以上」「従業員数が300人以上」「サービス業界よりコンサル業界」「テレアポよりフォーム営業」など、なるべく細かく分析を行います。
次に狙いたい顧客の決定をします。
上記で分析した顧客の分析をもとに、受注できた顧客の共通点を見つけると良いでしょう。 例えば「従業員数300人以上の企業は受注率が高い」「アプローチをかける担当者の役職は課長以上」など絞っていくと、狙うべき顧客が明確になります。
最後に、企業の属性・課題を整理しましょう。
過去に受注できた企業は「営業活動の効率化が課題となっている企業が多い」など、課題を整理すればアプローチするべき課題を持った企業が明確になり、効率的な営業活動ができます。 上記3つのステップをまとめると、自社が狙うべき顧客像が明確になります。
上記3つのステップをまとめると、自社が狙うべき顧客像が明確になります。
まとめた情報の類似企業をスプレッドシートなどで再度リストアップし、アプローチ対象としていきます。
下記は実際にスプレッドシートにまとめたイメージ図です。
しかし、上記の一連の作業は工数が多くターゲット選定には時間をかけた分析が必要になります
そこで上記の一連の作業を自動化、自社のサービスの興味があるターゲットだけを選定できるツール「Sales Marker」がおすすめです。
Sales Markerはセールスシグナルという機能が備わっており、自社のサービスや商品に関連するキーワードをWeb上で設定し、潜在顧客がキーワードを検索したタイミングで通知がきます。
そのため、ニーズが発生している企業に最適なタイミングでアプローチ可能です。
また、過去の受注情報から企業の属性・特徴的な活動を分析できます。類似企業を特定し、確度の高い営業を実現できるのも魅力です。
3. KPIの設定
インサイドセールスの目標を明確にするためには、KPIの設定を行います。
2-A:SDRの場合
インサイドセールスにおいてKPIの設定は基本的に「商談化数」、アプローチに対しての「商談率」を測り、どれだけ効率化して行えるかが重要になります。
例えば、コネクト数/架電数です。 「ハウスリスト」や「新規リード」に架電数に対して、どれくらい繋がったのか。を分析するKPIとしておきます。
この数が悪い場合は、「電話をする時間帯」や「アプローチ対象」の変更が望ましいです。
また、架電数に対して有効架電数はどれくらい効果があったのかも重要です。 いくら架電をしても有効架電数が少なければ架電における「話し方」や「時間帯」を変更した方が良いでしょう。
2-B. BDRの場合
BDRの場合でもKPIの設定は「商談化数/率」です。
ただし、BDRの場合は新規にアプローチすることが目的です。
例えば、架電数に対して(リストアップしたキーマンに対して)どれだけコンタクトがとれたのかが重要です。
また、商談数に対して有効商談数はどのくらいあるのか(受注獲得が高い商談ができたのか)も重要になります。
4. 運用ルールの設計
続いて運用ルールの設計を行います。
2-A:SDRの場合
SDRの場合の運用ルール設計は、マーケティングやフィールドセールスなどで区別をせず、巻き込んで運用ルールを設計する必要があります。
設計するルールとしては、
- CRM / MAの運用ルール
- 商談の受け渡しルール
- 架電するリードのルール
などが挙げらます。
「商談の受け渡しのルール」に関してはインサイドセールスで商談獲得ができても、フィールドセールスに受け渡すタイミングが重要です。
例えば、Aの顧客では「前向きに検討している」Bの顧客では「とりあえず商談したい」という言葉では、顧客の購買意欲は異なります。
上記の状態でAとBの顧客どちらもフィールドセールスに受け渡すのは得策とは言えません。 上記の状態の場合、Bは失注に繋がる可能性が高いためインサイドセールスで購買意欲を上げるアプローチをするべきとなります。
商談を受け渡す際には、「顧客との会話の内容」などをルールとして明確にしておくことで運用がスムーズに行えるでしょう。
2-B. BDRの場合
BDRの場合は、「架電数 / 日」「架電前調査/準備項目」「架電企業の優先順位付け」などの運用ルールを決めておきましょう。
ただし、一度ルールを決めても途中で改善する必要があります。 なぜなら、初めに設計したルールがそのまま遂行されることは少ないからです。
例えば、「1週間の架電数を1000件と設定したのに、KPIが達成されない」という課題があるとします。その場合は「準備する項目に不備がある」「1顧客あたりの通話時間が長い」という可能性があります。
課題が見つかった場合はKPIを達成できるようにルールの改善は必要です。
インサイドセールスの立ち上げでの失敗例
インサイドセールスの立ち上げにおいて失敗例を下記2つです。
- コミュニケーションの量と質
- 経営層のコミット不足
コミュニケーションの量と質
営業プロセス間(マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス)のコミュニケーションが雑になったり、量が少ないと立ち上げに失敗する可能性があります。
コミュニケーションが不足することで、それぞれのKPIがバラバラになり各プロセスごとに責任の押し付け合いになるケースがあるからです。
例えば、マーケティングで獲得したリードをインサイドセールスに雑に受け渡し失注になった際に「インサイドセールスのヒアリングスキルに問題がある」といったケースです。
コミュニケーションは密に取り「有効」リードや「有効」商談の定義付けをしましょう。
経営層のコミット不足
経営層のコミット不足により、立ち上げに失敗する可能性もあります。
インサイドセールスを立ち上げるには経営層の協力も重要です。 特に立ち上げ当初は現場だけで進行しようとするとそれぞれの方向性が統一できません。
運用が行くまでは経営層が率先して「ミーティングに参加」「案件の進捗を管理する」などトップダウンで伴走する必要があります。
まとめ
本記事ではインサイドセールスの立ち上げの流れについて詳しく解説しました。
インサイドセールスは企業の売上を向上する上で今後も重要になってくることが予想されます。また、企業の営業活動を効率化するにはインサイドセールスを立ち上げSDR・BDRでそれぞれ手順を踏む必要があります。
本記事を参考にインサイドセールスの立ち上げを成功させましょう。