この記事は約 8 分で読めます。
今回は、MAツールの導入目的・メリット、導入ステップ、導入時の注意すべきポイントについて解説していきます。
MAツールは、見込み顧客の獲得・育成・選定に役立ち、マーケティング活動を効率化できるツールです。
フォームの作成やメールマガジンの配信、Webサイトのアクセス解析などができ、見込み顧客を効率よく営業担当へ引き渡せます。ぜひ、今回の記事を読んで、MAツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。
MAツールとは
MA(マーケティングオートメーション)ツールとは、新規顧客の開拓・見込み顧客の育成におけるマーケティング活動を見える化・自動化・効率化・管理できるツールの総称です。
見込み顧客のリスト管理・興味度合いによるスコアリング・行動および属性別のコンテンツ配信、Webサイトのアクセス解析もできます。
つまり、見込み顧客の獲得から商談化までの一連のプロセスを自動化できるツールです。
下記表が機能一覧となっています。
MAツールの導入目的・メリット
それでは、MAツールの導入目的・メリットについて紹介していきます。
- 見込み顧客の「獲得」
- 見込み顧客の「育成」
- 見込み顧客の「選定」
見込み顧客の「獲得」
まずは、見込み顧客の獲得(リードジェネレーション)です。
たとえば、展示会やセミナーでの名刺交換・リスト名簿、自社オウンドメディアからの問い合わせや資料請求などからの顧客情報取得があげられます。
【MAツールでできること】
- LP(ランディングページ)およびWebフォーム作成
- セミナー・ウェビナー・キャンペーン管理
- 申し込みフォームの作成、メール配信、資料ダウンロード
- Web広告および自社サイトのアクセス解析
効果的に導線を設計し、Webサイトのアクセス解析を行うことで、効率的に見込み顧客の獲得が可能です。
見込み顧客の「育成」
MAツールのメリットとして、獲得した見込み顧客を育成(リードナーチャリング)できることもあげられます。
購買意欲を高める施策を実施し、より自社に興味を持ってもらう戦略です。たとえば、メールマガジンの配信、セミナー、インサイドセールスなどを活用できます。
【MAツールでできること】
- Webフォームの量産
- メールの自動送信
- 獲得した見込み顧客リストの管理およびメールマガジン配信
- ユーザー別のアクセス履歴やコンタクト履歴の管理
- ユーザーが閲覧したページや滞在時間のトラッキングが可能
- アクション履歴に応じた個別のタイミングでメールを自動で配信
- アクション履歴に応じてWebサイトをパーソナライズ可能
見込み顧客のリスト管理や履歴分析により、興味・関心のある分野を把握でき、メールマガジンやWebサイトの最適化ができます。
見込み顧客の「選定」
購買意欲の高まった見込み顧客の選定(リードクオリフィケーション)の際にも、MAツールを活用できます。
これまで積み上げてきた見込み顧客の「獲得」「育成」を成果に結びつけるためのマーケティング最終段階です。
どのユーザーが自社の商品・サービスを欲しいと感じているのか、購買意欲の高さを判定し、確度の高い営業活動を実現します。
【MAツールでできること】
- スコアリング機能(行動、属性)
スコアリングとは、見込み顧客の行動や属性に関して、点数をつけることで、興味度合いや購買意欲を見える化することです。
それぞれ興味度合いが違う見込み顧客に対して同様のアプローチをしても刺さりません。よって、購買意欲を数値化をすることで、「この見込み顧客にはどれくらいの熱量・温度感で提案をすればいいか」といったように、営業担当が商談の際に提案方法を組み立てることができます。
たとえば、属性でスコアリングする場合、業種、従業員数、決裁権のある役職や職種の順に高い点数をつけます。
属性の具体例(従業員数、役職)
また、見込み顧客の行動に対してスコアリングする方法もあります。
行動の具体例
上記で、属性と行動のスコアを合計し、一定のスコアをクリアした見込み顧客を購買確度の高いホットリードとして抽出します。
そして、MAツールが自動的にホットリードを判定したリストを営業担当へ通知することで、提案資料やトークの事前準備ができ、より成約率の高い商談を実現することが可能です。
MAツールの導入ステップ
ここまで、MAツールの導入目的・メリットについて紹介してきました。それでは、実際にMAツールを導入する際のステップついて解説していきます。
- 自社課題の明確化
- 最適なMAツール選定
- シナリオ設計
- コンテンツ制作
- 運用開始・改善
1. 自社課題の明確化
まずは、自社課題の明確化です。MAツールを導入して、自社のどのような課題を解決したいかという目的を明確にしなければ導入の効果が薄れる可能性があります。
たとえば、「月間商談件数を10件アップ」「成約率アップ」「営業活動効率化による工数削減」などです。
マーケティング担当だけで課題を判断するのではなく、各部署(インサイドセールス部門、フィールドセールス部門)にもヒアリングし、日頃抱えている課題を抽出するとよいでしょう。
2. 最適なMAツール選定
MAツールと一口に言っても、さまざまな種類があるため、自社に最適なツールを選択する必要があります。
機能面はもちろんのこと、予算に合ったコストで運用できるかどうかも重要です。
必然的に、高機能のMAツールであればあるほど、価格も高くなる傾向にあります。しかし、「実際に自社メンバーが使いこなせるか」、「自社の業務に該当の機能は必要か」という観点を持ちながら、最適なMAツールを選定していきましょう。
3. シナリオ設計
ここまで「課題の明確化」と「ツールの選定」が完了したら、実際にMAツールを活用する際のシナリオ設計について考えていきます。
シナリオ設計とは、リードナーチャリング(見込み顧客の育成)の際に活用するもので、自社の見込み顧客ごとに細かくプロセスを設定することです。
具体例として、下記表に資料請求を行った見込み顧客に対するアプローチの流れを記載しています。
プロセスごとにアクションを設定することで、どのタイミングでどのようなアプローチをすべきかを明確化できます。
あくまで、シナリオ設計なので、実際には予定通りに進めないケースもありますが、シナリオを設計しておくことで、基本方針を固められることはメリットです。
4. コンテンツ制作
シナリオ設計が決まったら、コンテンツの制作に移ります。
たとえば、実際に配信するメールのテキストやLPに掲載するコンテンツなどです。
見込み顧客の興味度合いを高め、検討してもらうために、ニーズを満たしたコンテンツを制作する必要がります。そのためには、上記のシナリオ設計で示したように、各プロセスごとで最適なコンテンツを配信することが重要です。
見込み顧客の興味度合いに合った効果的な訴求により、購入決定率も高まることが期待できます。
5. 運用開始・改善
コンテンツを制作したら、実際に運用を開始するフェーズです。
設計したシナリオ通りにフローを進めていき、見込み顧客のリアクションはどうかを分析します。
もし、想定通りのリアクションが得られない場合は、シナリオやコンテンツの見直しが必要です。
MAツールを運用していくうえで、どのように結果を分析し、施策を改善していくかどうかで成果に違いが出るため、PDCAサイクルを回すことを忘れてはいけません。
MAツール導入時に注意すべきポイント
ここまで、MAツールを導入する際のステップついて解説してきました。それでは、MAツールの導入時に注意すべきポイントについて紹介していきます。
- 設計は営業のアクションまで
- コンテンツ制作体制を整備する
- シナリオ設計・スコアリングに固執しない
設計は営業のアクションまで
まずは、営業のアクションタイミングまで設計する必要があることです。MAツールの運用だけで商談化ができるわけではなく、営業担当がメール配信や架電などのアクションを実行することで、初めて商談化が実現できます。
よって、営業担当が「どのタイミングでアクションを起こすべきか」までを設計してあげることが重要です。
コンテンツ制作体制を整備する
コンテンツは、一度制作すればよいものではなく、継続的な制作が求められます。
MAツール導入・運用の失敗で多いのが「メルマガや資料などのコンテンツを継続的に制作できない」という理由です。よって、コンテンツ制作の専任チームを置いたり、コンテンツ制作プロセスを構築したりすることが重要です。
たとえば、顧客からの質問を社内チャットに投稿するように営業担当へ依頼します。顧客からの質問という「ニーズ」を集めることで、記事制作のネタにすることができ、需要の高いコンテンツの制作が可能です。
そして、「〇〇はどうやって改善しているのですか?」「〇〇業界の導入事例はありますか?」などの質問を、コンテンツ制作チームが記事として制作します。すると、ネタ収集→記事制作→メルマガ配信という一連のプロセスに落とし込むことが可能です。
コンテンツ制作の専任を配置し、プロセスのルール決めしておくことで継続的な運用ができ、結果として、ユーザーの興味度合いを上げられます。
シナリオ設計・スコアリングに固執しない
シナリオ設計・スコアリングの重要性を解説してきましたが、それらに固執しすぎるのはおすすめできません。
なぜなら、ルール通りに進めなければならず、制限が増え、実際の運用がやりにくくなる恐れがあるからです。優先度に応じた点数をつけるスコアリングは、データが溜まり次第、順次活用していけば問題ありません。
商談化につながった見込み顧客の行動ログを蓄積することから始めることがおすすめです。たとえば、「資料請求」は商談化においてどの程度重要か、「セミナーへの参加」は直接商談化へ結びついているのかなど改めて検討してみましょう。
シナリオ設計・スコアリングはあくまで基本的な指針として考え、イレギュラーやパターンに当てはめられないケースにも臨機応変に対応することが重要です。
まとめ
今回は、MAツールの導入目的・メリット、導入ステップ、導入時の注意すべきポイントについて解説してきました。 MAツールは、見込み顧客の「獲得」「育成」「選定」ができ、マーケティング活動を効率的に行えるツールです。
導入ステップは、自社課題の明確化、最適なMAツール選定、シナリオ設計、コンテンツの制作、運用・改善という流れで進みます。
注意すべきポイントは、営業のアクションタイミングまで設計すること、継続的なコンテンツ制作ができる体制を整備すること、シナリオ設計・スコアリングに固執しないことなどです。
ぜひ、効果的なマーケティング活動のために、MAツールの導入を検討してみてはいかがでしょうか。