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営業の成功は、顧客の本当のニーズをくみ取ることから始まります。
そこで、営業ヒアリングのプロセスを理解し、”すぐ真似できる”3つのコツを押さえることで、顧客とあなたの双方にとって有益な商談にすることが可能です。
今回の記事では、営業でのヒアリング項目も具体的に紹介していきます。現状の課題や意思決定者の特定など、聞くべきポイントを押さえながら進めることが重要です。
いつでもだれでもマネできるコツを実践することで、営業ヒアリングを成功に導くことができます。
ぜひ、営業スキルの向上と効果的なヒアリングの手法を手に入れ、自社の売り上げ向上に貢献していきましょう。
営業のヒアリングとは
営業のヒアリングは、顧客の課題や悩みを抽出し、次の提案を最高のものにするために行います。
目的や意図を持たずに、ただヒアリングをすればいいというものではありません。最高の提案に必要な素材を集めるために、ヒアリングを行っていきます。
営業ヒアリングの基本的な流れ
営業ヒアリングの基本的な流れは、次のように進んでいきます。
1【MTG前】事前準備
まずは、ヒアリングを実施するMTG前にきちんと事前準備を行うことです。
事前準備を抜かりなく行い、顧客の情報を収集することで、仮説づくりに生かすことができます。
単純に顧客のホームページやSNSで表面的な情報を仕入れるのではなく、顧客の競合他社や業界の景況を見ていくことで、そこから予測できる今後の展開、顧客が求めていることは何かといった仮説を立てることが可能です。
事前準備段階で仮説を立てておくと、実際の商談のシーンで仮説が合っていたかどうかを確かめられます。
また、たとえ間違っていたとしても、新たな一面を知ることでより奥深い営業ヒアリングが可能です。
2【MTG前】課題仮説づくり
顧客が「どのような問題を抱えているのか」「どのような課題を解決したいのか」を理解することは非常に重要です。
課題仮説を立てることで、顧客と近い目線に立ち、顧客の抱える問題意識や現状の課題を引き出すことができます。
例えば、見込み顧客の決算資料・IR資料において、広告投資が増加していることが見受けられる場合、「サービスやオペレーション自体はうまくいっていて、これからは顕在層だけではなく潜在層も獲得していきたいのでは?」という仮説を立てることができるかもしれません。
顧客の問題を解決するために、自社で何ができるのかを考え、そして自社と顧客を結ぶ懸け橋になるのが営業の役割です。
3【MTG中】課題仮説の確認
実際の商談に入ったら、課題仮説の確認をしていきます。
事前に立てた仮説をもとに、ヒアリングを実施して顧客の課題とニーズはどのようなものかを確認しましょう。
ヒアリングをする際に、「どのような悩みがありますか?」と単刀直入に聞いても答えてくれる顧客は少ないかもしれません。
そこで、事前準備での情報収集から立てた仮説をもとに、「現在〇〇業界では、△△という法改正が話題かと思いますが、今後の売り上げの伸びに不安な点などございませんか?」と具体的かつ顧客に寄り添った質問をすることで、お客様も腹を割って内情を話してくれる確率が上がります。
もし、仮説が間違っていたとしても問題はなく、顧客とコミュニケーションをとり、どのような課題やニーズがあるかを把握できれば十分です。
4【MTG中】ヒアリング
課題仮説の確認を終え、想定した仮説とのズレを確認したら、それらを踏まえてヒアリングに移ります。
ヒアリングの項目に関しては後ほど解説していきます。
5【MTG中】クロージング
ヒアリングが終わったら、クロージングに移っていきます。
自社のサービスや商品がどのように役立つか、課題解決のために結びつくかを提案します。
ヒアリングのゴールは「最高の提案につなげるため」なので、提案につなぐためのアクションとしてクロージングをしましょう。
営業でのヒアリング項目
営業ヒアリングにおいて、事前準備の重要性について説明してきました。
商談という限られた時間の中で、顧客の情報を漏れなく抽出し、商談を成功に導くためにはヒアリング項目を設定することが必要不可欠です。
社内で情報を共有する際にも、効率的であるため、ぜひ営業でのヒアリング項目を押さえておきましょう。
ヒアリング項目は以下の6つになります。
- 現状の課題
- 導入時期、納期
- 予算
- 意思決定者
- 組織/担当者のミッション
- 他社の検討状況
現状の課題
顧客の現状の課題は何かを知ることは、ヒアリングにおいて最も重要なことの一つです。
顧客は「どのようなことに困っているのか」「どのようなものを求めているのか」をヒアリングしていきましょう。
実際に、顧客自身が自分の問題を把握していない可能性もあります。
その場合は、チャンスだと捉え、潜在的なニーズを引き出していきましょう。
導入時期・納期
導入時期や希望納期をヒアリングすることで、後に発生する可能性があるトラブルを未然に防ぎ、スケジュールの進行をスムーズにすることができます。
なぜなら、顧客がいつごろサービスや商品がほしいかという納期を知らないまま話が進んだ場合、自社の開発(製造)メンバーもいつまでに納品すればよいかわからないからです。
よって、あらかじめ希望納期や全体のスケジュール感をヒアリングすることで、進行管理をスムーズにすることができます。
また、開発メンバーが納期に合わせることが難しい場合もあるため、営業が顧客へおおよその納品可能時期を伝えておくことで、さらに信頼関係が構築されるかもしれません。
予算
顧客がどの程度の予算感・希望価格をイメージしているかどうかも重要なヒアリング項目です。
理由としては、自社のサービスのどのプランが向いているか提案することにつながるからです。
また、顧客のイメージ金額に対して大幅にズレた価格の商品・サービスの提案を避けることで、信頼関係を失うリスクを回避できます。
最高の提案に結びつけるヒアリングにおいて、顧客のお財布事情、予算感を知ることは必要不可欠です。
意思決定者
BtoBで商品やサービスを販売するうえで、意思決定者というキーパーソンが存在することを忘れてはいけません。
会社全体を組織で運営していくにあたって、どこの部署のだれが意思決定権を握っているかを把握することで、ターゲットを間違えることなく、営業としての提案ができます。
たとえば、営業部長が最終意思決定権を持っているのにも関わらず、人事部長にアプローチしていたら、契約に結びつけることはできません。
よって、最高の提案を行うために、事前に意思決定者がどの部門のだれかをヒアリングしておきましょう。
そして、担当者も味方につけて、一緒に意思決定者の承認を得られるようにできればベストです。
組織/担当者のミッション
課題仮説の確認をし、想定とのズレを踏まえたら、次は見込み顧客の「ミッション」を確認します。
たとえば、「リード獲得数を昨年比1.5倍にする」「今年度の売上を前年比120%増加させる」「広告費を抑えて自社の認知度拡大をする」などです。 このとき、組織やチーム、部署などのミッションとは別に、担当者のミッションを確認することが重要なポイントです。 BtoBでは、会社→組織→担当者ごとにミッションが存在するため、それぞれのミッションを達成できるような提案をつくる必要があります。
最終的には会社の「売上増加」や「利益向上」がミッションだとしても、組織のミッションは「4半期で予算を達成すること」かもしれませんし、担当者のミッションは「月内で新規顧客を3件獲得すること」かもしれません。
だからこそ、どれか一つのミッションだけをクリアすればよいのではなく、すべてのミッションをクリアできるような、素晴らしい提案をしていきましょう。
他社の検討状況
どれだけ自社の商品やサービスが素晴らしいかを提案しても、より優れた競合他社がいる場合、競争に負けてしまいます。
だからこそ、どのような他社サービスを検討しているのかをヒアリングすることが重要です。
他社サービスに魅力的な部分があるからこそ検討しているはずなので、顧客がどういったサービスを求めているかを知ることができます。
また、競合他社サービスと自社サービスを比較したメリット・デメリットについて、事前に説明できるようにしておくことで、自社をさらにアピール可能です。
営業ヒアリングを成功させるためのコツ
それでは、営業ヒアリングを成功させるためのコツについて解説してきます。
ここでいう「コツ」とは、「話すより聞くこと」のような目に見えない属人的なスキルを指すものではなく、『だれでも真似できる』ものです。
ぜひ、今回紹介する営業ヒアリングのコツを身につけて、いついかなる商談の場でも引き出せるようにしておきましょう。今回紹介するのは以下の3つです。
- 事前電話
- 事前フォーム
- 資料組み込み
事前電話
商談が始まる前の段階において、アポイントを獲得した見込み顧客に対して、再度電話やメールをしましょう。
なぜなら、課題仮説の質を上げるために、当日にヒアリングするまでもなく、顧客が事前に把握しているであろうことを先に聞いておくことが重要だからです。
たとえば、「導入時期」や「予算」などが該当するでしょう。
その結果、ヒアリング中は、見込み顧客の「課題」にフォーカスしたヒアリングができるようになります。
商談中は、ヒアリング事項・自社の紹介・顧客の反応など、限られた時間でさまざまなことに気を配らなければなりません。ときには、ヒアリングすべき項目を忘れてしまうこともあるかもしれません。
そのようなリスクを未然に防ぐために、事前に電話やメールによるプチヒアリングをしておくことで、心に余裕が生まれ、良い商談ができるでしょう。
事前フォーム
顧客の中には、電話やメールが億劫に感じるという方もいます。
その場合は、顧客の労力を限りなく省き、かつ事前ヒアリングが可能な「Googleフォーム」などのWebフォームを活用し、先にヒアリングの回答をもらうという方法がおすすめです。
限られた項目にのみ回答すればよいため、顧客もストレスを感じることなく入力ができます。
Webフォームの良いポイントは、電話やメールと違い、「データとして顧客情報がスプレッドシートに蓄積されていく」ことです。
一つの企業だけでなく、さまざまな企業のデータが蓄えられることで、契約が締結しやすい企業の条件や自社との相性などがわかり、ノウハウになっていく可能性もあります。
ぜひ、事前にWebフォームへの記入を顧客へ依頼することで、ヒアリングを成功させましょう。
資料組み込み
最後は、ヒアリング項目を当日使用する資料に組み込んでおくというものです。
商談を終えて、ヒアリングすべき事項を聞き逃してしまったということはよく発生します。
上記のようなミスを防ぐためにも、スムーズな導線で資料にヒアリング項目を組み込んでおきましょう。
自分のミスを想定したうえで行動することも営業マンとしてのリスク管理です。
プレゼンのスライド資料に「具体的な予算としては、どの程度を想定していらっしゃいますか?」などとポップな感じに加えておくことで、ヒアリング事項の漏れを防ぎ、満足できるヒアリングを行うことができます。
まとめ
営業ヒアリングのすぐ真似できる3つのコツについて解説してきました。
営業のヒアリングとは、ただ単純に質問するだけではなく、顧客の課題や悩みを抽出し、次の提案を最高のものにするためのものです。
そのためには、事前準備や課題仮説づくり、仮説の確認といった提案に入る前の下準備が欠かせません。
営業ヒアリングを成功させるコツは、優秀なエリート営業マンしかできない属人的なものではなく、だれでも真似できるものです。
今回の記事を読んで、営業のヒアリングで実践してみたいコツがあれば、ぜひお試しください。