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「商談までしたのに契約に結びつかない」 「一生懸命やっているのに成約率が上がらない」 日々、営業活動を行っているとこのようなお悩みを持つ方も多いのではないでしょうか?
もちろん、全ての商談が契約に結びつくことはとても難しいです。 しかし、上記には原因がありほとんどの場合、クロージングが正しくできていないことが挙げられます。
そこで本記事では、クロージングの流れや方法、コツについて解説していきます。
最後まで読んでいただくことでクロージングを実践できるようになりますのでぜひご覧ください。
営業のクロージングとは?
クロージングとは「終わり」を示す言葉で、商談の締めくくりになります。
営業活動は、顧客訪問やヒアリング・商談を行い契約の締結になります。この契約締結における最終段階を「クロージング」と言います。
クロージングには正解はありませんが、コツや方法を覚えておくと成約率の向上が期待できます。
営業におけるクロージングの重要性
営業活動には、顧客訪問から契約締結の中で様々なプロセスがありますが、特に重要とされているのがクロージングとされています。
なぜなら、成約率を上げることで最終的な経常利益を最大化させ顧客獲得単価(CAC)を下げることができるからです。
ここで具体例を挙げます。
例えば、クロージング力が異なる営業マン(AとB)がいると仮定し、顧客獲得のために1ヶ月で50万円のコストをかけるとします
- Aさんは1ヶ月で50名の顧客を獲得
- Bさんは1ヶ月で100名の顧客を獲得
Aさん:500,000円÷50名=10,000円 Bさん:500,000円÷100名=5,000円
つまり、Aさんは1人の顧客を獲得するのに1万円かかりますが、Bさんは5千円で獲得できるということです。
クロージング力が弱いと受注率が低くなるだけでなく、コストも余分にかかってしまうので非常に重要だと言えるでしょう。
商談時のクロージングの流れ・例文
ここからはクロージングの流れを例文を交えながら説明していきます。 クロージングの主な流れは4つに細分化でき以下になります。
- ヒアリング
- テストクロージング
- クロージング
- 契約締結
それぞれについて解説します。
1. ヒアリング
ヒアリングでは、クロージングを成功させるためにも見込み客がどんなことを考えているかを把握しておく必要があります。中でも、BtoBの場合は「BANT情報」を聞いておくことが重要となります。
BANT情報とは「B:予算」「A:決定者」「N:ニーズ」「T:タイミング」といった4つの顧客情報を指します。
ここからは「BANT情報」について具体例を出して説明します。
まずB(予算)では、見込み客の予算を把握しておきましょう。100万円の予算しかない見込み客に200万円のサービスを提案しても検討の対象外になります。
次に、A(決定者)は誰なのかを把握しておく必要があります。どれだけ自社のサービスについてアプローチしても、決定者が必要性を感じなければ今までの時間も無駄になり、クロージングは失敗に終わります。
そして、見込み客のN(ニーズ)を明確にしておきましょう。「いつ」「どれくらい」の成果を望んでいるのか見込み客のイメージをヒアリングしておきましょう。
最後はT(タイミング・導入時期)です。導入時期は早い段階であれば具体的に決まっていないこともあります。そんな時には、具体的なスケジュールの提案を行うことが効果的です。提案を行いつつ、見込み客の大まかな導入時期のヒアリングを行いましょう。
BANT情報のヒアリング例文としては、
- B(予算):御社のご予算に合わせて提案させていただきたく、可能でしたらご予算をお伺いしてもよろしいでしょうか?
- A(決定者):ご契約となった場合、決定者様は〇〇様でよろしいでしょうか?
- N(ニーズ):差し支えなければ、現状の成果を教えていただいてもよろしいでしょうか?
- T(タイミング):契約〜導入開始までおよそ〇ヶ月かかります。早くても〇月ですが問題ないでしょうか?
2. テストクロージング
テストクロージングは、商談で得た顧客の要望やヒアリングで聞き出した「BANT条件」が揃ったことを前提に、契約の意思を探る方法です。
まずは商品に対する興味や関心を確認します。反応が良ければそのまま話を進めましょう。 まだ悩んでいるようであれば顧客の不安点などを再度ヒアリングし、顧客の課題を取り除きましょう。
テストクロージングの例文としては、
- これから商品の説明をしますが、ご興味はありますでしょうか?
- サービスの説明に入る前にご不明点や不安点はございますでしょうか?
3. クロージング
テストクロージングで、契約の意思が確認できれば本番のクロージングへと進みます。 この時に大切なのは、契約意思の有無をハッキリさせておくことが重要です。
また、クロージングでは、圧をかけて契約を急かすことはやめましょう。ある程度、条件のハードルを下げて問いかけることが重要です。
クロージングの例文は以下を参考にしてください。
- この提案に合意いただけましたら、契約を進めたいのですがいかがでしょうか?
- 必要な情報を整えていただければ、すぐにご契約いただけますがいつごろをご検討でしょうか?
4. 契約締結
契約の意思を確認できたら、契約の締結に移ります。 契約内容の確認や署名、捺印などを行いますがこの時に気を抜かず最後まで全力でサポートすることが大切です。
契約後も顧客と長期間のお付き合いになるかもしれません。「この人に任せておけば大丈夫」と思われるように信頼をいただける対応をしましょう。
商談"中"のクロージングの基本テクニック
ここからはクロージングで使えるテクニックやコツについて解説します。 成約率を高めるために、顧客目線で重視したいポイントは以下4つです。
- ゴールデンサイレンス
- ifクロージング
- 松竹梅の法則
- 度合い選択肢
ゴールデンサイレンス
ゴールデンサイレンスとは、「契約いただけますか?」と意思を確認した際に顧客が契約するかどうかを考え沈黙することを指します。
この沈黙は、営業マンにとって苦痛の時間であり声をかけてしまったこともあるかと思います。 しかし、沈黙をさえぎるのは基本的に間違いとされており、顧客の思考の邪魔してしまうからです。
相手からの疑問を問いかけられた場合のみ回答を行いましょう。
ifクロージング
ifクロージングは、自社のサービスや商品の購入を前向きに検討している人ほど効果的な手法であり「もし〜だったら」と実際の利用イメージをしてもうためのテクニックです。
- もし、今の値段よりお安くなったらどうですか?
- 仮にこのサービスを利用する場合は、どちらのプランを契約したいと考えてますでしょうか?
など、選択肢を増やしつつイメージを具体化できるため、クロージングの成約率を高められるテクニックとされています。
松竹梅の法則
松竹梅の法則とは、顧客に価格やサービスが違う3つの選択肢を与えることで真ん中の価格やサービスを選びやすくなるという心理効果です。
選択肢が1つしかない場合は契約を「する」「しない」という選択肢のみになりますが、選択肢を3つ用意することで選択肢が広がり、心理的なハードルを下げることができます。
度合い選択肢
度合い選択肢とは、評価や好みなどを調査する際に区切られた選択肢の中から1つだけ選ばせる回答形式のことです。例えば、クロージングの際に資料を相手に渡し段階をつけたアンケートを1つ入れておきます。
例)購入意思アンケート
- 要らない
- 今はまだいい
- どちらとも言えない
- 導入したいが決められない
- いますぐ導入したい
こうした選択肢から選んでもらうことで、その選択をもとにヒアリングすることもできます。
購入意思 | 質問例 |
1. 要らない | どのあたりで御社の課題を解決できないと感じましたでしょうか? |
2. 今はまだいい | もし導入するとなればいつ頃をお考えでしたでしょうか? |
3. どちらとも言えない | 差し支えなければ現状の成果などお伺いしてもよろしいでしょうか? |
4. 導入したいが決められない | ご予算が厳しいでしょうか?他社と検討されていますでしょうか? |
5. いますぐ導入したい | 御社のご予算や条件など詳しくヒアリングさせていただきます。 |
特に「要らない」と言われた場合でも、「そうですか」と飲み込まず「なぜ不要と感じたのか?」をヒアリングしましょう。しつこく提案するのはNGです。
また、選択肢の数は奇数個にするのが一般的で見込み客の検討度合いがわかるため効果的です。
商談"後"にクロージング確度を上げるコツ
営業プロセスでは、自社の商品やサービスを説明する「商談」があります。 その商談後にクロージングの確度を上げるコツがあります。
以下2つは確度を上げるコツになります。
- 検討用資料をメールで送付する
- 決定時期に電話で可否を確認する
それぞれについて詳しく解説していきます。
検討用資料をメールで送付する
商談後は相手の返事を待つのではなく、なるべく早く商談で使用した資料を相手が見返せるようにメールで送付しましょう。
この時に商談で使用した資料をメールで送付するのではなく、商談中に相手の疑問点や不安点を整理し資料内容を調整して送ることが肝心です。
以下はメールの例文です。
商談は商談相手としか共有できません。 また、いくら質のいい商談をできたとしても決定者が別にいる場合には相手が決定者にどう伝えるかは分かりません。
商談内容を資料に入れることでなるべくブレがなく決定者に伝えることができるため、社内での検討も有利に働かせることができます。
決定時期に電話で可否を確認する
見込み顧客が検討しているがなかなか決めることができないことや、自社のサービスに決めているのに契約までの行動ができていないケースがあります。
そういったケースのためにも商談中に「決定時期はいつ頃でしょうか?」などおおよその決定時期を聞いておき、決定時期に電話をすることが重要です。
もちろん、上記のケースは競合他社との契約が決まっておりこちら側に連絡が一切ないケースもあります。
しかし、顧客が検討して迷っているときは効果的ですので上手く使いましょう。
クロージングの際の「ネガ」の対処法
クロージングの際には、時にネガティブな発言を受けることもあります。 しかし、ここで諦めるのではなくしっかりと対処法を身につけておくことが重要です。
最後に以下3つのネガについて詳しく解説します。
- 不急「今はまだいい」
- 不断「自分では決められない」
- 不安「効果が出るかわからない」
不急「今はまだいい」
クロージングでは「今はまだいい」と断られる場合もあります。 そんな時には「早期に準備しておくことのメリット」を伝えることが大切です。
例えば、
- 今すぐに行動すればどれだけの収益増加が見込めるのか
- 導入を後に伸ばすことでどんなリスクがあるのか
事の重大さを伝えることが肝心です。
また、顧客の予算で後回しにされる場合もあります。その際には予算の額をヒアリングし、予算内にあったものや低予算のものを提案しましょう。
不断「自分で決められない」
クロージングの際には「自分では決められない」と決定者が異なる場合があり、意思決定権を持たない担当者と話をして、契約が進行せず労力がかかってしまうこともあります。
そんな時には決定権を持つ人とのアポイントを取ってもらいましょう。
具体的には、
- もしよろしければ、私の方で決定者様にお話させていただいてもよろしいでしょうか?
- 決定者様とお話させていただきたいので、お繋ぎしていただくこと可能でしょうか?
など、決定権を持つ人とお話させていただきたい、という意思を伝えましょう。
また、社内で検討するように商談内容をまとめた資料を送付するのも効果的です。
不安「効果がでるかわからない」
「効果が出るかわからない」といった不安のネガティブ発言もあります。この場合は、自社のサービスや商品を購入することでどれくらい収益増加が見込めるのかコストシュミレーションをしましょう。
具体例として、
- 弊社のサービスを導入した際の成果資料になります。
- 他社様では弊社のサービスを導入し◯ヶ月で〇〇円の成果を出しております。
など実際の成果と金額などを提示しながら丁寧に説明しましょう。
また、自社のサービスや商品を購入した他社の導入事例などを見せることも効果的です。 この際に、言葉だけで説得しても意味がありません。しっかりと実績や事例を提示しましょう。
まとめ
クロージングは正しい方法やコツ、テクニックを知っておくことで成約率を大きく上げることができます。 そして、クロージングに成功し契約締結して終わりではなく顧客とのお付き合いが始まるスタートです。
契約欲しさに積極的にいきたい気持ちもわかりますが、契約締結後の付き合いも考慮してお互いが気持ちよく付き合い続けられるようなクロージングを心がけましょう。