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新規開拓営業は、自社に関する知識がない相手に営業を行います。既存営業と同様、企業に欠かせない存在であり「企業の成長」や「収益性の向上」などに貢献しています。
しかし、新規開拓営業は初対面の相手と関係を構築する必要があるため、難易度が高いといえます。そのため「現状の開拓方法ではノルマが達成できない」「営業効率を改善したい」とお悩みの営業担当者の方も多いのではないでしょうか。
本記事では、新規開拓の10の営業手法や3つのコツ、うまくいかない場合の対処法を中心に解説します。現状の新規開拓営業にお悩みの方はぜひご覧ください。
そもそも新規開拓営業とは
そもそも新規開拓営業とは「新たな顧客を獲得するための営業活動」を指します。これまで取引のない相手にアプローチし、関係性を構築して取引につなげます。
場合によっては「自社を全く知らない初対面の相手」に対して営業するケースもあるため、営業活動のなかでも難易度が高い部類に入るでしょう。
新規開拓と既存営業の違い
新規開拓営業とルート営業(既存営業)の違いは「対象とする顧客層」です。アプローチする相手が異なるため、営業内容も異なります。
新規開拓営業は、これまで接点のなかった「見込み顧客」への営業活動を行います。自社に関する知識がない相手との関係構築を目指すため、営業内容は「会社紹介」や「事業紹介」「サービス紹介」などが中心となります。
新規開拓営業には、自社の魅力を伝えるスキルが求められるため「プレゼンスキル」や「交渉力」などが求められます。
一方、ルート営業は「過去に受注した顧客」や「現在も継続して取引している顧客」などの「接点がある顧客」が対象です。そのため「休眠顧客への再度提案」や「継続的に取引している顧客への上位プランの紹介」などのアプローチを行います。
ルート営業には、顧客との関係性をさらに深めるスキルが求められるため「ヒアリング力」や「提案力」などが求められます。
いずれも、企業の売上を確保するために欠かせない存在です。ただし「対象となる顧客層」や「営業内容」が異なるため注意しましょう。
新規開拓営業の2種類
新規開拓営業はおもに「アウトバウンド営業」と「インバウンド営業」の2種類あります。
アウトバウンド営業
アウトバウンド営業は、営業がターゲットをリストアップし、営業自身がアプローチして商品・サービスを売り込む方法です。たとえば「テレアポ」や「フォーム営業」「飛び込み営業」などが該当します。
自社が営業相手を決められるため「自社商品に興味のない企業」や「問題を抱えているが解決方法がわからない企業」といった、インバウンド営業では獲得しづらい顧客との取引につながる可能性があります。反対に「取引につながりそうな顧客」を狙ってアプローチすることも可能です。
一方で、見込み顧客が興味のない段階でアプローチするケースも多く「アポイントの獲得」や「受注」などの難易度が高い傾向があります。「確度の低い見込み顧客」が相手のため、営業担当者の精神的負担も大きくなる点もデメリットです。
インバウンド営業
インバウンド営業では、マーケティングが獲得したリード(見込み顧客)に対し、営業がアプローチする方法です。たとえば「展示会への出展」や「広告運用」「Webサイト運営」などが該当します。
見込み顧客が自発的にアクションするため「アポの獲得」や「受注」などの難易度が低いのが特徴です。また、自社商品・サービスに対して興味のある相手にアプローチするため、アウトバウンド営業と比べると営業担当者の負担が少ないでしょう。しかし、アウトバウンド営業と異なり「営業先が選べない」といった点がデメリットです。
新規開拓の10の営業手法
ここからは「アウトバウンド営業」と「インバウンド営業」の代表的な手法を紹介します。
アウトバウンド営業
アウトバウンド営業には、以下の6つの手法があります。
それぞれ解説します。
テレアポ
テレアポは、ターゲットリストをもとに電話を掛け「アポイントの依頼」や「資料送付」などを行う手法です。電話とターゲットリストさえあればすぐに着手できるうえに、社内にいながら営業活動を行えます。そのため効率がよく、結果も可視化しやすい点が特徴です。
一方で、営業電話への断り方を決めている企業も多く「決裁者までつながりにくい」「クレームが発生するリスクがある」などのデメリットもあります。
メール
メールは「ターゲットリスト」や「名刺」などをもとに、テキストで「商品・サービスの案内」「アポイントの依頼」などを行う手法です。定型文の一斉送信が可能なため、人的コストが抑えられるうえに「先方のタイミングでメールを開いてもらえる」といったメリットもあります。
しかし、メールは「開封率・返信率が低い」「相手の反応が見えない」などのデメリットもあります。ほかのメールに埋もれないように「目を引くタイトルをつける」といった工夫も必要です。
フォーム
フォームは、企業のWebサイトにある「お問い合わせフォーム」からテキストでアプローチする手法です。メール同様、低コストで多くの企業に送付できるため、効率的に営業活動を行えます。またフォームからの営業に返信があった場合、商品に対する顕在ニーズがあるため「確度の高いアポイント」が獲得できます。
一方で「お問い合わせフォーム」は、顧客・取引先からの質問や相談、クレームのために設けられているケースが多いため、フォーム営業に対して悪い印象を抱く企業も存在します。なかには「営業に関する内容はお断りします」と明記されているケースもあるため、このような企業に対するフォーム営業は控えましょう。
DM
DMは、見込み顧客に対して「広告」や「お知らせ」などをダイレクトメールに記載して送付する手法です。郵便で送るため、見込み顧客の手元に確実に届けることができます。また「日本ダイレクトメール協会」の資料によるとDMの開封率は79.5%のため、内容を確認してもらえる可能性が高い点もメリットです。
しかし「DMの作成」や「印刷」「郵送」には、費用や人的リソースが必要です。デザインにこだわる場合は、さらに作成費用がかかる可能性もあるでしょう。DM営業を行う際は「自社商品に高い関心がある見込み顧客」のみを対象にするといった工夫により、費用対効果を高められます。
手紙
手紙は「レター営業」とも呼ばれ、担当者宛に手紙を送付する手法です。「テレアポ」や「飛び込み営業」では、担当者までつないでもらえない場合も有効です。また、手書きで書くと誠意が伝わりやすいため、好印象を抱いてもらえる可能性が高いです。
一方で、一通一通を手書きすると多くの時間がかかります。そのため「手紙を書く相手」を選定し、ほかの施策と併用して営業活動を進めましょう。
飛び込み(訪問)
飛び込み営業は、アポイントがない状態で営業先に直接訪問する手法です。対面でコミュニケーションが取れるため「商品についてわかりやすく伝えられる」「商品の実物・資料が手渡しできる」といった、テレアポにはないメリットがあります。
しかし、アポなしで訪問するため「受付が突破できない」「担当者が不在」などのケースもあります。この場合、移動時間や人的コストのみがかかる結果となるため、注意が必要です。
インバウンド営業
インバウンド営業には、以下の4つの手法があります。
それぞれ解説します。
展示会出展
展示会出展は「○○EXPO」といった展示会に出展し、ブースに訪れた見込み顧客にアプローチする手法です。展示会で名刺を交換したのちに、後日営業をかけます。展示会のブースには、自社商品に興味を持った経営者や担当者が訪れるため、優良な見込み顧客と多く出会えます。
一方で、展示会出展には準備に多くの時間がかかります。さらに人的コスト・時間コスト以外に「出展費」や「ブース施工費」などのコストが数十万円~数百万円程度かかる点に注意しましょう。
広告運用
広告運用は「オンライン広告」や「オフライン広告」を活用して新規開拓する手法です。広告には多くの種類があるため、使い分けると潜在層・顕在層のどちらにもアプローチ可能です。
オンライン広告には「リスティング広告」や「SNS広告」「ディスプレイ広告」などの種類があります。ターゲットを絞って配信できるうえに効果測定まで可能なため、運用しながら改善を重ねられます。一方、インターネット上には多くの広告が配信されているため、競合との差別化が必要です。
オフライン広告には「テレビCM」や「新聞広告」「屋外看板」「折り込みチラシ」などがあります。「幅広い層にアプローチできる」「繰り返し見てもらえる」などのメリットがあり、ブランディングや認知拡大に活用されるケースが多い傾向です。一方、オンライン広告のようにターゲットを絞るのは難しい面もあります。
Webサイト運営
Webサイト運営は「自社のWebサイト」や「オウンドメディア」で商品やサービス、有益情報の発信を行います。そして「問い合わせ」や「資料請求」などのアクションを起こした見込み顧客に対して営業する方法です。興味を持った見込み顧客が自ら行動するため、成約に至る可能性が高いです。
しかし、良質な情報をただ発信するだけでは、Webサイトへの大きな流入は見込めません。「SEO対策」などを行い、検索エンジンの検索結果で上位を獲得する必要があります。そのため、Webサイト運営だけでなく「SEO対策」も同時に進める必要がある点に注意しましょう。
セミナー運営
セミナーを開催して新規開拓する手法です。自社商品や特定のテーマに興味のある見込み顧客が集客できるうえに、テーマに関連付けて自社商品を紹介することも可能です。また参加者にとって有益な情報を伝えられるため、信頼を得られる点もメリットです。
対面形式だけでなく、オンラインでセミナーを開催する「ウェビナー」も一般化しています。場所の成約がないため、全国を対象に新規開拓が可能となります。
一方で、セミナーの準備には時間・手間がかかります。「会場費」や「人件費」といったコストも必要なため、費用対効果を考慮したうえで開催を検討しましょう。
新規開拓営業の3つのコツ
新規開拓は初対面の相手にアプローチするため、難しく感じる方も少なくありません。営業の成果を向上させるために、次の3つのコツを抑えましょう。
- 見込み顧客の下調べをする
- 見込み顧客情報を管理する
- KPIを設定しPDCAを回す
1. 見込み顧客の下調べをする
新規開拓営業では、むやみに営業せずに「見込み顧客に関する情報」を下調べしたうえでアプローチしましょう。
初対面では関係性が構築できていないため、営業先にとっても「相手の話を聞くこと」へのハードルが高いです。そのため、自社商材の必要性を感じてもらうには「相手が持っている課題」の仮説を立てておく必要があります。
具体的には、相手の「Webサイト」や「決算資料」「プレスリリース」などを確認し、課題の仮説を立てます。相手の目線に立って「相手の課題」や「相手が求めている情報」を分析すれば、相手のニーズに沿った営業が行えます。
そのため営業前に下調べをして、見込み顧客のことを理解・把握しておくことが必要です。
2. 見込み顧客情報を管理する
新規開拓の営業では、複合的に営業手法を活用します。そのため「どの営業手法でどの見込み顧客にアプローチしたか」「何回コンタクトしたか」といった「見込み顧客情報」を管理する必要があります。
見込み顧客情報が管理できていない場合「2回目のアプローチをかける」「受け渡す際に説明内容が重複する」などが起きることで、成約までつながらない恐れがあります。たとえば、展示会への出展で接点を持った相手にアプローチする場合「展示会でどの商品に関心を示していたか」「どのような会話をしたか」といった情報があれば、アポイントまでスムーズに進む可能性が高まります。
そのため、見込み顧客に関する情報を管理し、社内で共有して営業活動に役立てましょう。
3. KPIを設定しPDCAを回す
新規開拓営業は、心身共に工数のかかる仕事です。知らないうちに「ただ営業をこなす」といった意識になる傾向があるため、成果が上がりづらくなります。そのため、目標の達成度合いを示す「KPI」を設定し、PDCAを回すように心掛けましょう。
たとえば「アプローチ数100件」に対して「アポイント数が10件」だとします。このとき、アポイント数を20件まで引き上げたい場合「アポイント数を引き上げるための取り組み・日付」を記録します。ここでの取り組みに効果があれば、アポイントの獲得率が向上するでしょう。
そのため「KPI」を設定したうえでPDCAを回し、目標に対して分析・改善を重ねましょう。
新規開拓営業がうまく行かない場合の対処法
コツを理解したうえで新規開拓営業をしてもうまくいかない場合、おもに次の2つの原因が考えられます。
- ターゲットリストが正しくない
- アプローチ方法が正しくない
つまり、新規開拓営業においては「ターゲット(誰に)」×「アプローチ(どうやって)」が重要となります。原因ごとに、以下の2つの対処方法を試してみましょう。
ターゲットリストを見直す
ターゲットリストが正しくない場合は「売れない相手」にアプローチしている可能性があります。アプローチの行動量が十分であるにもかかわらず、成果が出ていない場合は「ターゲットリスト」を見直しましょう。
例えば、企業向けに「会計ソフトを開発・販売している企業」が「小規模な個人商店」や「自営業者」をターゲットにしているとします。この場合、ターゲットには複雑な会計処理をする機会が少ないため、高機能な会計ソフトの需要が低く成果が上がりづらいです。
この場合、従業員数が多いうえに会計処理が複雑化しやすい「中小企業」や「大企業」をターゲットとすることで、新規開拓営業の効率・成果が向上します。自社商材が最も価値を提供できる顧客層を見極めたうえで、ターゲットリストを見直しましょう。
ターゲットリストを見直す際に活用できるのが「Sales Marker」です。自社の商材カテゴリに興味のある企業リストが自動で作成できます。
Sales Markerには、自社商材に対して興味・関心度の高い企業がリアルタイムで把握できる「セールスシグナル」があります。
セールスシグナルは「自社商材のカテゴリー」や「競合サービスの固有名詞」などのキーワードを事前に設定することで「そのキーワードがWeb検索されたタイミング」に通知される機能です。見込み顧客にとっても「探していたタイミング」でアプローチされるため、確度の高いターゲットリストが作成できます。
アプローチ方法を見直す
アプローチ方法が正しくない場合「売れない方法」でアプローチしている可能性があります。売れるはずのターゲットに営業をかけているにもかかわらず、なかなか成果が出ない場合は「アプローチ方法」を見直しましょう。
例えば、企業にアプローチする場合は「メール」よりも「フォーム」の方が適しているケースがあります。また「テレアポ」においては、営業部署に課題があるにもかかわらず「受付が突破できない」といった課題も起きがちです。この場合「部署の担当者」や「決裁者」にアプローチできれば、アポイントが獲得できる可能性が高まります。
「Sales Marker」は、業界最大級のキーマンデータベースを独自で構成しているためキーマンの情報が取得可能です。
約200万データから「営業すべき人物」が探し出せるため、決裁者へのダイレクト営業が可能です。
また部署単位の電話番号も確認できるため、代表電話ではつながらなかった企業にもアプローチできます。
部署情報を使うことで「受付突破率」が格段に向上するため、効率よく商談が獲得できます。
まとめ
新規開拓営業には、テレアポをはじめとした「アウトバンド営業」や、広告運用をはじめとした「インバウンド営業」があります。営業手法は多くの種類があるため、各手法の特徴やメリット、デメリットを認識したうえで取り入れる必要があります。
新規開拓営業がうまくいかない場合は、本記事で紹介した「3つのコツ」と「対処法」を参考に、新規開拓営業を成功させましょう。