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- LTV(ライフタイムバリュー)が注目される背景
- 顧客獲得コストの増加
- 消費者行動の多様化
- データ駆動型の意思決定
- 長期的な顧客関係の重視
- カスタマイズされた体験の提供
- 持続可能性と効率性の追求
- LTV(ライフタイムバリュー)の計算方法と重要用語解説
- 平均顧客単価
- 収益率
- 購入頻度
- 継続期間
- 【番外編】LTV(ライフタイムバリュー)の計算方法
- LTV(ライフタイムバリュー)の関連用語の解説
- CAC(顧客獲得コスト)
- 顧客保持率(Customer Retention Rate)
- 顧客チャーン率(Customer Churn Rate)
- ARPU(Average Revenue Per User、一人あたりの平均収益)
- ROI(Return on Investment、投資収益率)
- 共有の目的を明確化
- 顧客エンゲージメント(Customer Engagement)
- LTVを高める方法
- 1.顧客単価を上げる
- 2.顧客ロイヤリティを高める
- 3.定期購入やサブスクリプションモデルの導入
- 4.MAツールやCRMツールの導入
- MAツールを導入するメリット
- CRMツールを導入するメリット
- MA・CRMツール導入するメリット・デメリット5選
- 本記事のまとめ
LTVとは「顧客生涯価値(LifeTimeValue)」の略称であり、顧客がビジネスと関わる期間全体で企業にもたらす予想利益の合計を示す指標です。この指標は、ある顧客がサービスを利用し始めてから終了するまでの期間に企業がその顧客から得ることができる利益の総量を数値化したものです。例えば、一度の取引で終わる顧客よりも、繰り返し取引する顧客の方が、企業にとってのLTVは高くなります。
LTVは、将来的に顧客が生み出すであろう利益の見積もりを数値化することにより、企業の戦略立案やマーケティングの意思決定において重要な役割を果たします。この指標を用いることで、企業は長期的な顧客関係の価値をより正確に評価し、効率的な顧客獲得やリテンション戦略を展開することが可能になります。
LTV(ライフタイムバリュー)が注目される背景
LTV(顧客生涯価値)が注目される背景には、複数の要因があります。これらの要因は、市場の変化、消費者行動の進化、およびビジネス戦略の変化と密接に関連しています。
顧客獲得コストの増加
デジタルマーケティングの台頭と競争の激化により、新規顧客を獲得するコストは年々増加しています。LTVが高い顧客を維持することは、コスト対効果の観点から非常に効率的です。
消費者行動の多様化
消費者は以前よりも情報にアクセスしやすくなり、選択肢も増えています。ブランドへの忠誠度が低下する中で、LTVを理解し、顧客を長期間にわたって維持する戦略が重要になっています。
データ駆動型の意思決定
ビッグデータと分析ツールの進化により、企業は顧客データをより深く理解し、それを基に戦略を立てることが可能になりました。LTVはこのデータ駆動型意思決定の重要な要素です。
長期的な顧客関係の重視
短期的な売上よりも長期的な顧客関係を重視する傾向が強まっています。継続的な顧客エンゲージメントとロイヤルティの構築には、LTVの理解が不可欠です。
カスタマイズされた体験の提供
顧客個々のニーズと好みに合わせたパーソナライズされた製品やサービスを提供することが、顧客満足度を高め、LTVを増加させる鍵となっています。
持続可能性と効率性の追求
企業はより効率的で持続可能なビジネスモデルを求めています。LTVの分析は、無駄のないマーケティング予算の配分や、より効果的なリソースの活用に役立ちます。
以上のように、LTVの注目は、現代のビジネス環境における効率性、競争力、顧客理解の向上に直接関連しています。
LTV(ライフタイムバリュー)の計算方法と重要用語解説
LTV(顧客生涯価値)の計算は、企業が顧客から得るであろう利益の総額を見積もるプロセスです。一般的なLTVの計算方法の解説と付随する用語について解説していきます。
LTVの計算方法
LTVの計算方法はさまざまですが、最も簡単な計算方法は、下記のようになります。
平均顧客単価
顧客が1回の購入で平均的にどれくらい支払うかを示します。これを求めるには、特定の期間内の総売上をその期間内の総取引数で割ります。
収益率
収益率は、投資やビジネス活動から得られる利益の割合を示す指標です。
購入頻度
顧客が平均的にどれくらいの頻度で購入するかを示します。
継続期間
顧客があなたのビジネスと関係を維持する平均的な期間です。これは一般的に年数で測定されます。
例えば、顧客が平均して1回の購入で30万円を支払い、年間に5回購入し、平均して企業との関係を3年間維持するとします。この場合、LTVは次のように計算されます。
【番外編】LTV(ライフタイムバリュー)の計算方法
実はLTV(顧客生涯価値)を求める計算式は、場面に応じて複数存在します。番外編ではその他のLTVの計算式を紹介していきます。
・LTV =(売上高 - 売上原価)÷ 購入者数
・LTV = 顧客の平均購入単価 × 平均購入回数
・LTV = 顧客の平均購入単価 ÷ チャーンレート
・LTV = 平均購買単価 × 購買頻度 × 継続購買期間
・LTV = 顧客の年間取引額 × 収益率 × 顧客の継続年数
・LTV = 利益×取引期間(ライフタイム)×割引率(現在価値係数)
計算式が何個も存在する点がLTV計算の難しい原因とも言えるでしょう。
例えば、「Netflix」「AbemaTV」「Hulu」のような動画配信のサブスクリプションアプリにおける1ユーザーあたりのLTVを算出したい場合、月額の視聴費が1,000円、チャーンレートが15%だとすると1ユーザーあたりのLTVは下記の計算式で算出できます。
LTV(ライフタイムバリュー)の関連用語の解説
ここまででLTVの用語解説と基本的な計算方法を紹介してきました。その際に、関連する用語も出てくるため次に特に重要な用語の解説をしていきます。
CAC(顧客獲得コスト)
企業が新しい顧客を獲得するためにかかる平均コストです。これには広告、マーケティング活動、営業スタッフの給料などが含まれます。LTVとCACのバランスは非常に重要で、一般にLTVがCACを上回る必要があります。
顧客保持率(Customer Retention Rate)
ある期間内に顧客を維持する企業の能力を示す指標です。高い顧客保持率は、長期的な顧客関係と高いLTVを示唆しています。
顧客チャーン率(Customer Churn Rate)
ある期間内に失われる顧客の割合です。チャーン率が高いと、顧客寿命が短く、LTVが低くなることがあります。
ARPU(Average Revenue Per User、一人あたりの平均収益)
企業が顧客一人あたりから得る平均的な収益です。ARPUを増やすことは、LTVを高める一つの方法です。
ROI(Return on Investment、投資収益率)
投資に対する収益の割合です。マーケティングや顧客獲得活動に関連して、投資に対するリターンを測定します。
共有の目的を明確化
どのような結果を目指すのか、双方の期待やゴールを確認し、合意点を見つけることが重要です。
顧客エンゲージメント(Customer Engagement)
顧客が企業の製品やサービスにどれだけ積極的に関わっているかを示す指標です。高い顧客エンゲージメントは一般に高いLTVに結びつきます。
これらの用語は、LTVを最適化するための戦略を策定する際に重要な役割を果たします。ビジネスがこれらの指標を理解し、適切に管理することで、顧客の価値を最大化し、長期的な成功を確保することができます。
LTVを高める方法
LTVを高める方法としては、以下の4つのポイントが挙げられます。
1.顧客単価を上げる
顧客の購入単価を上げる方法として、最初に考えられるのは製品やサービスの価格を引き上げることです。この方法は顧客が値上げを受け入れないリスクや、価格競争に敏感な顧客が競合他社に流れる可能性があるため、慎重に検討する必要があります。価格を上げる以外にも、購入単価を増やす方法を2つ紹介します。
1つ目の方法はアップセルを促進することです。これは、顧客に現在利用している製品やサービスの上位モデルへの移行や、追加のオプションを提案することです。例えば、SaaS製品の場合は新機能の追加を提案し、定期購入の商品ではより高価な製品への切り替えを提案することができます。新製品の発売時、契約更新時、利用開始から数ヶ月後などが提案に適したタイミングです。
2つ目の方法としては、クロスセルを促進することも有効です。これは、顧客が現在使用している製品に関連する他の商品やサービスを追加購入してもらうことで、購入単価を高める手法です。アパレル業界で言えば、シャツ購入者に対して、合わせるパンツやジャケットを推奨することが例として挙げられます。アップセルと同様に、強引な販売にならないよう注意することが重要です。
2.顧客ロイヤリティを高める
顧客ロイヤリティを高めることで、知人に製品やサービスを勧め、新規顧客の獲得に協力してくれる場合もあるため非常に重要な存在です。顧客ロイヤリティを高める代表的な手法は、下記の2つがあります。
1つ目は、紹介報酬や特典を提供するロイヤルティプログラムを導入し、リピート購入を促し、長期的な関係を築きます。また、顧客の好みや購買履歴に基づいたパーソナライズされたコミュニケーションを行うことで、より関連性の高い製品やサービスを提案し、購入を促進します。
2つ目は、顧客フィードバックの活用です。顧客からのフィードバックを積極的に収集し、それを製品やサービスの改善に活用することで、顧客の期待に応え、満足度を高めます。
定期的かつ継続的なフォローを行うことで、自社に対して信頼や愛着を持ってもらうことが可能になり、より円滑なコミニケーションが可能になり結果としてLTVの向上に繋がります。
3.定期購入やサブスクリプションモデルの導入
定期購入やサブスクリプションモデルを導入することで、継続的な収益を確保し、顧客との関係を長期化させます。また、顧客との持続的な関係を築くことが肝心です。これには、購入の瞬間だけでなく、継続して顧客とのコミニケーションの場を持つことが必要です。例えば、定期的なメールマガジンの送信は、顧客と断続的にコミュニケーションを取り続ける効果的な手段の一つです。ここで重要なのは、単に製品の宣伝にとどまらず、顧客にとって実際に役立つ情報を提供することで、彼らを長期的なファンに変えることができるという点です。
4.MAツールやCRMツールの導入
LTV(顧客生涯価値)を向上させるためには、顧客データの活用による1対1のマーケティング戦略が効果的です。このアプローチには、MA(マーケティングオートメーション)とCRM(顧客関係管理)のツールが重要な役割を果たします。
・マーケティングオートメーション(MA)について
MAは、見込み顧客の追跡と管理、育成を自動化するためのツールです。MAツールにより、見込み顧客の行動を追跡し、メールマーケティングの効果を分析することが可能です。
・顧客関係管理(CRM)について
CRMは、既存顧客との良好な関係構築を支援するツールです。CRMツールは顧客情報の管理、データ分析、メール配信など、多岐にわたる機能を提供します。
MAツールを導入するメリット
・コスト削減:手動でのデータ分析にかかる時間を削減し、作業を自動化することで人件費を削減できます。
・マーケティングの効果の視覚化:顧客データを一元的に管理し、スコアリングを通じて最適なマーケティング活動を実施できます。
・顧客ロイヤリティの向上:商談履歴や購買履歴に基づき、顧客に適切な情報を提供することで顧客のロイヤリティを高めます。
CRMツールを導入するメリット
・顧客情報の一元管理:名刺やExcelで分散していた情報を一括管理し、顧客の傾向分析や営業活動の改善に役立ちます。
・顧客満足度と優良顧客の育成:顧客のニーズや状態を可視化し、適切なタイミングでニーズに合った提案を実施することができます。
・業務効率の向上:顧客管理の自動化により、業務効率が向上し、コア業務により集中できるようになります。
このように、MAとCRMを活用することで、顧客データを効果的に使用し、個々の顧客に最適なマーケティング戦略を実施することが可能となり、結果としてLTVの向上につながります。
MA・CRMツール導入するメリット・デメリット5選
セールスマーカーは潜在顧客の興味や関心をデータ化し、見込み客を即座にリスト化してくれます。競合他社がまだ認知していないターゲットに対してアプローチでき、成約率のアップにも役立つツールです。
また、社内で部署ごとにバラバラになった情報を統一して管理できるので、情報共有の際にも便利。WEB調査にかかっていた時間を80%カットしてくれるため、業務を効率化して時間の有効活用もできます。Sales Makerを活用すると、初めから自社サービスに興味のある見込みの高い顧客リストを効率的に獲得できます。興味のある方はこちらからご覧ください。
本記事のまとめ
LTV(顧客生涯価値)に関する本記事から、以下の重要なポイントをまとめました。
LTV計算式は 、【LTV=平均顧客単価×収益率×購入頻度×継続期間】で計算されます。また、新規顧客獲得コストや既存顧客の管理コストも考慮することがあります。
LTV向上の方法としては、「顧客理解」・「レコメンドの利用」・「アップセル・クロスセルの活用」・「長期継続の特典」・「リファラル促進」・「平均顧客単価の向上」・ 「価格設定の見直し」・「解約率の低下」などが挙げられます。
これらの方法は、LTVを高めるための有効なアプローチです。ただし、業態や顧客の特性によって最適な施策は異なりますので、各企業が自社の状況に合わせて適切な方法を選択し、実施することが重要です。
LTVは長期的な経営の安定や成長に欠かせない指標ですので本記事を参考にしてみてください。