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2023.12.23

営業プロセスを可視化する必要性とは?基本の型とそのマネジメント例

営業活動の属人化を防ぎ、標準化を図るにあたって見直したいのが「営業プロセス」です。リード(見込み顧客)の選定から受注までの一連の流れを可視化することで、課題発見や営業効率化がしやすくなり、受注率向上などの成果を得られます。

本記事では、営業プロセスを可視化するメリットを解説したうえで、基本の流れや管理・マネジメント方法の例をわかりやすく紹介します。高い営業成果を上げる方法を具体的に理解できるため、ぜひ参考にしてください。

営業プロセスとは

サービスや商品を販売する際に発生する、リード(見込み顧客)の選定や商談などの一連の営業活動のことを、営業プロセスといいます。

一つひとつの案件がどのような状況にあるか把握することで、営業担当者は次に取るべき行動がわかりやすくなります。また、マネジメント職の人にとっても、全体像や顧客ごとの状況を掴んで的確な指導ができるでしょう。

BtoBの場合は初回の接触から購入までに時間がかかったり、BtoCでは個人の感情に訴えかける営業手法が効果的であったりと、扱っている商材やターゲット像によって異なる部分もあります。成果を出すためには、自社にとってベストな流れを確立することが大切です。

営業プロセスの可視化の必要性

営業活動を各人の経験やスキルに任せていると、成果をあげられる人とそうでない人の違いが分からず、標準化ができません。

例えば、「Aさんは月10件受注しているのに対し、Bさんは月5件しか受注できていない」といった状況下で、Bさんはどのように業務を改善すべきか分からず、成果をあげるのが難しくなります。実際には行動量が不足しているのにも関わらずトークの練習に時間を費やしたりと、見当違いな努力をしてしまうことも珍しくありません。

その点、営業プロセスを可視化し共有すると、以下のメリットを得られます。

  • 営業組織の課題発見
  • 教育/マネジメント効率向上
  • マーケティング部との連携強化

メリットを理解しておくことで、営業プロセスの可視化を前向きに検討できるでしょう。

営業組織の課題発見

営業プロセスを可視化すると、明確な根拠の下でボトルネック(成果に悪影響を与えている工程)を発見できます。

上記の場合、今月の受注数が先月よりも少ない原因が、アポイント獲得後の二次提案数にあるとわかります。先月と今月の初回アポイントの内容を比較し、改善することで受注数の向上を目指せるでしょう。

一方で、業務プロセスの可視化をせずに成果を振り返る場合、「行動量が少なかった」「クロージングが弱かった」などの実態とは異なる反省になりかねません。プロセスごとの数字をもとに考えれば本当の課題が見つかり、効率的に営業成果を伸ばせます。

教育/マネジメント効率向上

教育やマネジメントを効率化できる点も、営業プロセスを可視化するメリットのひとつです。

上記の場合、Aさんはアポイント獲得数に、Bさんは二次提案の内容に課題があることがわかります。Aさんに対して見込み顧客へのアプローチ方法の教育をし、Bさんには提案内容や営業トークの教育をすることで、受注数の向上を見込めるでしょう。各々の数値だけでなく、営業部全体の平均も求めておくことで、より客観的な指導ができるようになります。

業務プロセスを可視化せずに教育・マネジメントを行うと、「AさんもBさんも受注数が低い」ということしか分からず、2人に対して同じ内容の指導をしてしまいかねません。

営業プロセスの可視化によって営業担当者一人ひとりの課題が明確になれば、的確な教育やマネジメントができるようになり、効率的にサービスや商品の売上を向上させられます。

マーケティング部との連携強化

営業プロセスの可視化は、マーケティング部の課題発見にもつながり、連携を強化できます。

上記のように、先月と同じ行動量・質で営業活動を行っているにも関わらず受注数が悪い場合、「見込み顧客の質に問題があるのではないか?」と考えられます。マーケティング部に対して受注数の低下を共有し、必要に応じて施策の見直しを促すことで、受注数の改善が期待できるでしょう。

営業プロセスの分解をしていない場合は、マーケティング部に問題があることに気づけず、営業部の責任になってしまう可能性があります。これでは本質的な原因を見抜けないため、解決につながりません。

このように、営業プロセスを数値化・管理することで、部署の枠を超えて組織全体が一丸となって成果の向上を目指せるでしょう。

基本の営業プロセス

営業プロセスは、以下の6工程に分けられます。

商材やターゲット像によって異なる場合もありますが、基本の営業プロセスについて理解を深めたうえで自社用にカスタマイズしましょう。

1.リード選定

まずはリード(見込み顧客)のなかから、営業活動を実施する顧客を選定しましょう。リードの獲得方法には、大きく分けてインバウンド型・アウトバウンド型があり、それぞれ有効な施策が異なります。

インバウンド型の集客では、Webサイトに訪問した顧客やSNSをフォローした顧客に対して接触を試みます。顧客に発見してもらうために高品質なコンテンツを用意し、資料請求や問い合わせを促すことが大切です。

一方で、アウトバウンド型の集客は、電話やDMの送付などによって自社から顧客に直接アプローチをしていきます。自社サービスに興味関心のある顧客を見極めてリードを選定する必要があります。

リードを選定したあとは、購買意欲や営業状況などのセグメントに分けて有効な施策を共有することで、営業活動の効率化を図れます。どのリードに対してどのような施策を打ち出すか、受注件数や金額はどれくらいになりそうか、といったことも数値化しておきましょう。

2.アポイント獲得

選定したリードに対し、電話やメールなどでコンタクトを取り、アポイント獲得に繋げていきます。電話をかける際にはスクリプト(台本)を用意し、反応を見ながらブラッシュアップすると成果を得やすいです。

また、メールを送る際には顧客が開封したくなるような件名をつけるのがポイントです。例えば、「アポイントの件」「ご面談のお願い」よりも、「弊社サービス〇〇に関してご面談のお願い(会社名・氏名)」のほうが、要件がわかりやすくよりメールを開きたくなります。

効率良くアポイントを獲得するためには、リードごとに接触したタイミング・回数・やり取りの内容などを必ず記録しましょう。細かな情報を把握できる方が、質の高い商談を行えます。

そのほかにも、あらかじめヒアリング項目を設定しておいたり、連絡が途絶えてしまった際のアプローチ方法を決めておいたりすることで、スムーズに営業活動を進められます。

3.商談

商談では、顧客の抱えている課題やニーズをヒアリングしたうえで、課題解決の手段として自社商品を提案する流れが一般的です。ヒアリングをする際には、抜け漏れがないようヒアリングシートを活用しましょう。ヒアリング項目としては、以下がおすすめです。

  • 顧客の現状と抱えている課題
  • 自社サービス・商品への印象
  • 自社サービス・商品に関する疑問点
  • 予算
  • 裁量権のある人はだれか
  • 他社商品も検討しているか

ヒアリングシートも社内で共有しておくことで、商談の属人化を防げます。提案をする際には、自社商品の活用によって顧客が抱えている課題をどのように解決できるかを丁寧に説明しましょう。一方的に話をするのではなく、相手の反応を見ながら対話をすることを意識すれば受注に至りやすいです。

商談後は、受注予測金額・受注確度・受注予定日などの数値を必ず記録しましょう。データが蓄積されていくと、売り上げを予測しやすくなります。

4.クロージング

営業活動において、商談を受注に結び付ける最終段階のことをクロージングといいます。いわば「商談の最後の詰め」です。

クロージングを実施する際は、以下の三段階にわけて考えましょう。

  1. テストクロージング
  2. クロージング
  3. 契約締結

テストクロージングとは、商談の途中に顧客の購入意欲がどれくらいか聞き出すことを指します。「本サービスにご興味はおありですか?」「導入に関する不安はございませんか?」などの質問を投げかけて、反応から購入意欲を探ります。テストクロージングをしておくことで、好感度の顧客にリソースを集中させられます。

クロージング本番では、契約意思があるかをはっきりと聞き出します。「プランAとプランBでは、どちらのほうが御社に合いますでしょうか?」「サービスのご契約について、現時点ではどのように考えていますでしょうか?」といった具合に、余白を残しつつ意思を伺いましょう。

購入意思を確認できたら、細かな条件や費用などを説明し、契約を締結します。

クロージングの成功率を高めるためには、商談中にベネフィットを提示して契約後の良い未来をイメージしてもらうことや、タイミングを見極めることが効果的です。クロージングのポイントや注意点についても社内で共有しておきましょう。

5.受注

受注の際には、契約後の流れや問い合わせ窓口などをしっかりと伝えておきましょう。サービス利用後の満足度が向上し、リピーター獲得や紹介につながります。

また、受注後の案内がスムーズにできるよう、他部門への引き継ぎも欠かせません。サービスに対して顧客が抱いている不安や、解決したい課題を共有しましょう。

せっかく受注ができても、その後の対応に問題があると白紙になってしまいかねないため、気を抜かず丁寧に対応することが大切です。

6.顧客維持・育成

営業担当者にとっては受注が最も重要なポイントだと言えますが、実際にはその後のサポートにも注力すべきです。自社サービスの導入により顧客の課題を解決させることができれば、リピーターになってくれる可能性が高まります。一方で、導入後に思うような成果が出なかった場合、競合他社のサービスに乗り換えられてしまう恐れがあります。

顧客のサービス活用状況をしっかりとデータ化し、適切なタイミングでフォローアップを試みましょう。満足度の高い顧客に対し、他のサービスやオプションの追加を提案するのも売り上げアップにつながります。

営業プロセスの管理・マネジメント例

営業プロセスを可視化したあとは、適切な方法で管理・マネジメントをしましょう。ここでは、以下のケースにおける対応方法を解説します。

  • 受注率が悪い場合
  • アポイント獲得数が足りない場合

ぜひ参考にして、営業効率化や売上アップにつなげてください。

受注率が悪い場合

リード選定やアポイント獲得に問題がないにも関わらず受注率が悪い場合は、社員によって営業活動の質に差があると考えられます。営業を標準化し、「すべての営業プロセスを全員が同じように進められる状態」を整えましょう。

例えば、受注率の良好な社員が行っている商談動画や提案資料のフォーマットを営業部内で共有すれば、質の高い商談や提案を全員が実行できます。このように、ブラックボックス化を防ぎ全員が高水準の営業プロセスを実行することで、受注率の改善が期待できます。

アポイント獲得数が足りない場合

アポイントの獲得数が低い場合は、行動量またはリードの選定が原因だと考えられます。電話・メールなどの行動量を確認し、少ない場合はノルマを設定するとよいでしょう。効率良く顧客に接触する方法を共有するのも効果的です。

一方で、行動量が変わってないにも関わらず十分なアポイントを獲得できていない場合は、リードの質が低い恐れがあります。サービスへの関心や購入意欲が低いリード層にどれだけ良いアプローチをしても、アポイントが増えることはありません。

とくに、アウトバウンド型の営業においてはリード選定が命です。リード選定に難航していたり、膨大な時間がかかり業務を圧迫していたりする企業には、『Sales Marker』の導入がおすすめです。

『Sales Marker』を使えば、自社カテゴリに興味を持っている企業が簡単にわかります。Googleなどで顧客が検索したKWを感知できるため、ニーズのある顧客を見極められます。『Sales Marker』を活用しながら本記事で紹介した営業プロセスを実行すれば、時間を削減しつつ、高品質なリード選定ができるでしょう。

まとめ

営業プロセスを可視化し標準化することで、営業組織の課題発見や教育・マネジメントの質向上が促され、結果として売り上げアップにつながります。商材やターゲット設定によって差が生じるものの、基本的には以下の営業プロセスが主流です。

①リード選定
②アポイント獲得
③商談
④クロージング
⑤受注
⑥顧客維持・育成

それぞれの工程で成果をあげている社員のノウハウを共有することで、全員が高水準な営業活動を行えるようになります。ぜひ、本記事を参考にして営業プロセスを社内で共有し、標準化を図ってください。