この記事は約 14 分で読めます。
営業スキルを高めるために、営業担当にトレーニングを受けさせたいと考えている企業は多いです。しかし、下記のような疑問があって実施できていない企業もあるのではないでしょうか。
「営業のトレーニングにはどんな種類があるのか?」
「研修を受けたら、営業のスキルは上がるのか?」
「効果を高めるには、研修後は何をしたら良いのか?」
この記事では、営業トレーニングの種類、具体的な方法、メリット、注意点などについて解説します。
営業に携わる従業員のトレーニングを検討されている方は、ぜひ参考にしてください。
営業トレーニングとは?
営業トレーニングとは、営業に携わる従業員の能力向上を目的として実施するプログラムです。
企業内で実施することもあれば、外部の研修機関で実施することもあります。
営業トレーニングの目的
営業トレーニングをする主な目的は、以下の3つです。
- 営業スキルの向上
- 顧客対応能力の向上
- セールススキルの習得
最終的には、営業トレーニングを受けた従業員が売り上げアップに貢献できることが重要です。
また、営業トレーニングには様々な種類があります。
どういったトレーニングをするかは「自社が抱える課題」に応じて変わります。営業トレーニングの効果を最大限に得るために、自社の課題を見つけて、適切なトレーニングを選びましょう。
営業トレーニングの種類に関しては、後ほど紹介します。
営業トレーニングで獲得すべき能力
営業トレーニングで獲得すべき能力は、主に以下の3つです。
- コミュニケーションスキル
- プレゼンテーションスキル
- 交渉スキル
これらのスキル獲得について解説します。
コミュニケーションスキル
コミュニケーションスキルは、営業に欠かせないスキルの一つです。
コミュニケーションとは、双方の考えや気持ち、価値観を伝える行為です。コミュニケーションというと、社交的な人柄や、話が上手な人をイメージするかもしれません。
しかし、営業では顧客の信頼を得る必要があるため、顧客と営業担当の双方で意思疎通ができる高いコミュニケーションスキルが必要です。
また、営業担当は顧客だけでなく、社内のメンバーとも連携が必要であり、社内でのコミュニケーションスキルも必要不可欠といえます。
営業トレーニングによりコミュニケーションスキルを高めることで、顧客はもちろんのこと社内での円滑なコミュニケーションにも期待ができるでしょう。
プレゼンテーションスキル
営業をする際に、会議や商談の場で「顧客に対して説明や交渉をする」機会が多くあります。いわゆるプレゼンテーションです。
プレゼンテーションスキルとは、自ら情報を発信するスキルで、端的に分かりやすく伝えることが求められます。
また、人前で上手く話すことだけがプレゼンテーションスキルではなく、普段の会話の中でも重宝するスキルです。
プレゼンテーションスキルを習得して活用できれば、自分の伝えたいことが相手に伝わり、理解してもらえ、そして行動してもらうことができます。
プレゼンテーションスキルがあれば、営業や商談での成約率アップに繋がるでしょう。
交渉スキル
相手と交渉するスキルも、営業には欠かせない能力です。
ビジネスでは、様々な利害関係が複雑に絡んでおり、お互いの利害を調整する交渉力が求められます。
交渉スキルとは、顧客と自社の利害を理解した上で、双方が納得できるよう話し合いによって調整する力です。
交渉には、コミュニケーションスキルの他にも「論理的思考力」や「情報収集能力」なども含まれます。これらのスキルもあわせて磨くことで、より効果的な交渉ができるようになります。
多くの社員が交渉スキルを身につければ、組織内外の対人関係に摩擦が生じにくくなり、結果的に離職率を減らしたり、生産性が向上したり、企業にとってのメリットも増えるでしょう。
営業トレーニングをする4つのメリット
営業トレーニングのメリットとして、主に以下の4つが挙げられます。
- 新規顧客獲得の増加
- 顧客満足度の向上
- 社員モチベーションの向上
- 競合他社との差別化
これらのメリットについて紹介します。
新規顧客獲得の増加
営業トレーニングを実施することで、今まで以上に効果的な営業手法が身につき、営業担当のスキルも向上するため、新規顧客の獲得増にも期待ができます。
顧客ニーズを見つけ出し、それを理解する能力も身につけられるので、既存顧客や見込み顧客への営業だけでなく、新規顧客の開拓にも効果を発揮するでしょう。
顧客満足度の向上
営業トレーニングによって、傾聴と提案をはじめとした「コミュニケーションスキル」が向上するため、顧客との信頼関係を構築しやすくなります。
トレーニングによって、顧客との会話の流れや課題の共有方法を理解できれば、顧客がかかえる問題の解決に適切な提案ができるようになり、顧客満足度の向上につながるでしょう。
また、適切な提案を元に信頼関係が構築されると、リピート購入や口コミ掲載など企業の売上にも良い影響が期待できます。
社員モチベーションの向上
営業トレーニングに参加すると、参加した社員は新しいスキルや知識を身につけられます。
新しいスキルや知識を実際の現場で使って成果を出すことで、より仕事へのモチベーションも高まるでしょう。
また、こういった自己成長できる機会を会社から提供されることで、会社への忠誠心も芽生えるかもしれません。
トレーニングと実践の繰り返しにより「自分が成長している」と実感できれば、社員のモチベーションはさらに高まり自社への貢献度も増すでしょう。
競合他社との差別化
定期的に営業トレーニングを実施すれば、確実に営業力が高まっていきます。結果として、ニーズの理解、提案力、コミュニケーションといった点でも、競合他社との差別化にも繋がります。
競合他社との差別化ができれば、会社の大きな強みとなるため、生産性や業績の向上が期待できるでしょう。
また、顧客ニーズ引き出し方、プレゼンテーション力を高めることで、自社の製品やサービスをより魅力的に伝えることもできます。
営業トレーニングによるコミュニケーションスキルの向上は、顧客とのやり取りだけでなく、社内の連携も円滑にするでしょう。
営業トレーニングの5つの種類
営業トレーニングには、主に以下の5つの種類があります。
- 基礎トレーニング
- 技術トレーニング
- コミュニケーショントレーニング
- リーダーシップトレーニング
- Webツールトレーニング
これらのトレーニングは、企業の目的によって選ぶべき種類が異なります。自社の課題解決に繋がるトレーニングを選びましょう。
基礎トレーニング
営業トレーニングにおいても、基礎を身につけることが大切です。営業の基礎を理解できていないまま高度なスキルを学んでも、結果的にスキルアップには結びつきません。
営業の基礎トレーニングは、主に「マインド面」と「行動面」の両方からアプローチします。
マインド面では、営業の役割や目的を理解して、成約に結びつけるまでに必要な心得について学びます。
行動面からは、クライアントへのアプローチ方法やセールストークを学びます。具体的には、クライアントが抱える課題のヒアリング方法や、自社製品やサービスの提案の仕方などです。
技術トレーニング
技術トレーニングは、自社製品やサービスの機能、性能などについて、詳細な知識を身につけることを目的としています。
技術的なトラブルの対応方法や、顧客からの問い合わせを解決するために、自社製品やサービスの技術や知識を学ぶことは大切です。また、競合他社と比較したメリットや優位性を知っておくこともポイントになります。
技術トレーニングは、新しい製品やサービスを導入した際にも実施する必要があります。営業担当は、顧客に対して「いつでも最新の知識を伝えられる体制」をとっておくことが必要で、それが顧客との信頼関係の構築にも役立つでしょう。
コミュニケーショントレーニング
コミュニケーショントレーニングは、営業が顧客との関係構築や信頼関係を築くために必要となるスキルを身につけることが目的です。
顧客のニーズを正確に聞き出すための「ヒアリングスキルの向上」や、説得力のある「プレゼンテーションのやり方」について学びます。
コミュニケーショントレーニングは、顧客満足度の向上や、長期的なビジネス関係の構築にもつながるため、営業活動に不可欠なトレーニングです。
リーダーシップトレーニング
リーダーシップトレーニングは、マネージャーやリーダーに「リーダーシップのスキル」を身につけてもらうトレーニングです。
マネージャーやリーダーは、営業活動の戦略的な方針を示す重要な役割を担っています。そのため、リーダーシップスキルを高めることは、営業チームのパフォーマンスを向上させる上でとても重要です。
また、リーダーシップスキルが向上すれば、メンバーとの信頼関係をより強固に築くことができ、チームワークの強化にも役立ちます。
Webツールトレーニング
Webツールトレーニングとは、営業担当がインターネット上で利用する「営業支援ツール」を、有効活用できるようにするためのトレーニングです。
営業支援ツールは、タスクの管理、販売プロセスの自動化など、営業活動を支援・効率化してくれる便利なツールです。
Webツールトレーニングでは、主にツールの使い方や、データ分析の方法などを学びます。
営業トレーニングの具体的な方法
営業トレーニングの具体的な方法は「ロールプレイ」と「ツールや技術の習得」です。
これらについて詳しく説明します。
ロールプレイ
ロールプレイは、実際の営業現場で起こりうるシチュエーションを再現しながら営業や顧客の立場を演じることで、課題をより明確化できます。
ロールプレイでトレーニングをすると、受講者が営業スキルやコミュニケーションスキルを実践的に習得できます。また、他の受講者からのフィードバックをもらい、自己評価や自己改善能力を高めることにも期待できるでしょう。
フィードバックに基づいてグループディスカッションをすることも、参加者同士を知り、お互いの考え方を理解する良い機会になります。
ロールプレイは、実践的な営業スキルを習得するための重要なトレーニング方法のひとつです。
ツールや技術の習得
各種営業ツールの使用やツールを活用する技術の習得は、現代の営業活動において必要不可欠であり、重要なトレーニングです。
具体的には、営業活動に使うツールの使い方や、顧客管理システムの活用方法、プレゼン資料の作成方法などがあります。
最近では、オンラインを使ったトレーニングや、スマートフォンを活用したトレーニング方法も注目されています。
オンライントレーニングは、自宅やオフィスなど、場所を選ばずにトレーニングを受講できるため、時間や場所の制限が少なく、非常に便利な方法です。
さらに、オンライントレーニングでは、動画やウェブコンテンツなどを用いたトレーニングが可能であり、より効率的な学習が期待できます。
スマートフォンを活用したトレーニングでは、空いた時間や移動中のすき間時間を利用したトレーニングの実施が可能です。
ただし、営業ツールの使用やツール活用技術の習得については、トレーニングするだけでなく、習得した内容を実際の営業活動に活かしながら継続的に取り組むことが重要になります。
そして、営業活動に関するツールや活用方法などは常に変化しているため、最新の情報を取り入れることも大切です。
営業力を高めるトレーニングのポイント
営業力を高めるには、以下のポイントを押さえたトレーニングの実施が大切です。
- 明確な目標設定
- 幅広いスキルを網羅した内容
- 分かりやすい教材を使う
- トレーニング後の成果を評価する
これらのポイントについて、詳しく解説していきます。
明確な目標設定
営業トレーニングを受けるにあたって、まず必要なことは「目標設定」を明確にすることです。目標が明確になっていると、受講者は何のために学べばいいのかを理解できます。
たとえば、新規顧客の獲得数、既存顧客からの売上増加率など、具体的な数値で目標を明確にしてみましょう。目標設定は、達成可能な現実的な目標であることも大切です。
また、いつまでに達成するのか期限も決めてください。
具体的な目標が明確になれば、自分がトレーニングを受講することによって「何ができるようになるか」をイメージしやすくなります。
目標設定ができたら、達成に向けた具体的なプロセス、トレーニング内容を決めていきます。
目標設定は、トレーニングを始める前に明確にしておきましょう。
幅広いスキルを網羅した内容にする
営業力を高めるには「幅広いスキル」を持つことが望ましいため、トレーニング内容はいくつかのスキルを網羅した内容にしましょう。
たとえば「コミュニケーション能力」や「顧客ニーズの理解」といったことは重要です。しかし、コミュニケーション能力だけ高くても、顧客ニーズの理解が低ければ、顧客の課題を埋める提案はできません。
トレーニングで営業力を高めるには、ひとつの分野だけでなく「浅く広く」でも構わないので、様々なスキルを学ぶと良いでしょう。
参加者が分かりやすい教材を使う
営業トレーニングで使う教材は、できるだけ分かりやすいものを選びましょう。
たとえば、以下の教材があります。
- 営業の実践テクニックが学べるビデオ・オンデマンド教材
- 営業力向上のためのeラーニング教材
- 営業の成功体験を紹介した書籍や記事
分かりやすい教材は、参加者の興味を引きつけることができ、結果的にトレーニングに集中できます。また、理解しやすいと参加者の学習離脱率も下がるでしょう。
動画での学習が好きな人には、ビデオ・オンデマンドの教材が適しているでしょうし、活字での学習が好きな人は、書籍や記事がおすすめです。
自分の学習スタイルに合った学びやすい教材を選び、継続的に学習することが、結果として営業スキルのアップに繋がります。
トレーニング後の成果を評価する
トレーニング後の成果をしっかり評価することで、次のトレーニングの効果をさらに高めることができます。
トレーニングの成果を評価するためには「トレーニング前」と比較して、どのような成果が出たのかを具体的に評価することが重要です。
トレーニング前後の営業成績、営業スキルの向上度合い、コンバージョン率の改善などを測定して、さらに分析をしましょう。分析をすることで、何が良くて、何が悪いかを、理解しやすくなります。
また、トレーニング後には「アフターケア」や「フィードバック」を実施することも大切です。
アフターケアとは、トレーニング後に「改善点」や「課題」を指摘したり、モチベーションを維持するためのフォローアップのことを言います。
フィードバックとは、トレーニング後に営業スタッフから意見を受け取り、それをもとに改善点を洗い出すことです。
このように、トレーニング後の成果を評価することで、参加者のモチベーションも高められます。
営業トレーニングの注意点
営業のトレーニングで効率良く成果を上げるには、以下の点に注意すると良いでしょう。
- 自社に合わせた内容にする
- 継続的に取り組む
これらの注意点について解説します。
自社の特徴に合わせた内容にする
営業のトレーニング内容は、自社の営業課題や営業内容に合わせることが重要となります。これをしないと、基本的なセールススキルの習得が目的となってしまい、自社の製品やサービスを販売する実践力が身につかないからです。
自社の製品やサービスの特徴を踏まえた上で、トレーニング内容をカスタマイズしましょう。そうすることで、受講者はより具体的で実践的なスキルや知識を身につけられます。
また、自社の特徴に合わせたトレーニング内容にするために、事前に営業トレーニング会社と打ち合わせをして、内容や目標を双方で共有しておきましょう。
共有する際の注意点は、自社の製品やサービスの特徴を正確に伝え、それを踏まえた上で、内容を自社に合わせてカスタマイズすることです。
継続的に取り組む
継続的にトレーニングに取り組むことも、効果を発揮させるために大切なことです。
セールストレーニングは、1回参加しただけで簡単にスキルや知識が身につくものではありません。スキルや知識を定着させるために、継続的な取り組みが必要となります。
営業に必要なスキルや知識は日々変化しているため、トレーニングを受けた後も定期的なトレーニングの取り組みが必要です。
継続的にトレーニングを実施すれば、常に最新の情報やスキルを習得できるため、他社に負けない競争力を維持できるでしょう。
また、継続的な取り組みを実施していると、トレーニングを受けること自体が習慣化されて、自己成長の意識が高まることも期待できます。
営業トレーニングは1回だけの取り組みではなく、継続的に取り組むことで効果を発揮することを理解しておきましょう。
営業トレーニングの効果を期待できる人物像とは?
営業トレーニングは、営業スキルを高めるのに有効な手段です。しかし、すべての人に効果が出るわけではありません。
以下は、営業トレーニングの効果を期待できる人物像です。
- 継続的に学ぶ意識がある人
- チャレンジ精神が旺盛な人
- 協調性がある人
- ユーザー目線で物事の提案ができる人
このように、自己成長への意欲があり、目標を持って継続的に学ぶことができる人ほど、トレーニングの効果が出やすくなります。
また、営業は自社商品やサービスをアピールする必要があるため、積極性と自己主張も必要です。
しかし、営業トレーニングは会社の上司や同僚、部下など、複数名で実施することが多いため、協調性も必要になります。
自分の意見をしっかり発言するだけでなく、周囲とも円滑にコミュニケーションを取れる人物であれば、より一層のトレーニング効果を期待できるでしょう。
営業トレーニングの効果を期待できない人物像とは?
一方、どれだけ良いトレーニングを受けても、効果を期待できない人もいます。
以下は、営業トレーニングの効果を期待できない人物像です。
- 変化や新しいことに抵抗がある人
- 他人の意見を聞かない人
- 責任を回避する人
- 問題解決ができない人
このように、営業トレーニングの効果を期待できない人物像は自己中心的で、他人の意見や考えを尊重せず、受講意欲や自己成長意欲が低い人です。
営業トレーニングを実施する前に、参加者の特徴を確認し、事前にトレーニングに参加する心構えや姿勢を社内で共有しましょう。そうすることで、営業トレーニングへの適正を判断できます。
トレーニングの効果を高めていく
ここまで営業のトレーニングを実施するメリットや効果などについてお伝えしました。
営業トレーニングは、企業が営業力を高めて利益向上を目指していく上で、必要不可欠な施策のひとつです。
トレーニングの効果を高めるには、効果が得られそうな人物を選び、自社の特徴に合ったトレーニング内容にカスタマイズすることが重要になります。
また、トレーニングと実践を継続することで、より営業力が高まるでしょう。