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2025.05.24

CRM・SFA活用による営業生産性向上|データドリブン営業の実現と取り組むべき4つの施策

#営業

少子高齢化により、働き手の人材不足が深刻化する中、限られたリソースで最大限の成果を上げるためには「営業の生産性向上」が必要です。

しかし、「具体的にどのような施策を取ればいいのか」「営業生産性を向上させることでどのようなメリットがあるのか」を明確に理解しきれていない方も多いのではないでしょうか?

本記事では、営業生産性の向上がもたらす効果やメリットを解説するとともに、CRM・SFAを活用したデータドリブン営業の実現に向けた4つの具体的な施策をご紹介します。

営業の効率化や成果の最大化を目指している方は、ぜひ参考にしてください。

営業生産性とは

営業生産性とは、売上成果に対して時間やコストがどれだけ効果的に使われたのかを示す指標です。

営業活動における投資(人的リソース・時間・コスト)に対して、どれだけの成果(売上・受注・商談獲得など)を生み出せたかを測ることで、営業プロセスの効率を評価することができます。

営業生産性の計算方法

営業生産性の計算式は、以下のような方法で算出できます。

 

【営業生産性の計算式】

営業生産性 = 売上(または受注額) ÷ 営業コスト(稼働時間)

この指標を用いることで、売上規模の増減を見るだけでなく、投入した営業コストに対して営業活動の効率を客観的に評価することが可能になります。

 

 

【具体例】
同じ売上でも「営業生産性」を比較すると、B社の方が効率的で生産性が高いと分かります。

 

<営業生産性が低いケース(A社)>

A社の営業チームは10名で、1ヶ月間に合計500時間の営業活動を行いました。その結果、総売上は1,000万円でした。

営業生産性 = 1,000万円 ÷ 500時間 = 2万円/時間

 

<営業生産性が高いケース(B社)>

B社の営業チームは5名で、合計300時間の営業活動を行い、同じく1,000万円の売上を達成しました。

営業生産性 = 1,000万円 ÷ 300時間 = 3.3万円/時間

 

営業生産性の計算方法

営業生産性を向上させる重要性とは

営業生産性の向上は、企業の売上を伸ばすために欠かせない重要な考え方です。

営業生産性を考慮しない営業活動では、知らないうちに無駄な時間やコストを浪費し、機会損失をしている可能性があります。

また、営業生産性が低いと、時間と労力をかけても思ったように成果が出ない状況に陥ります。すると、従業員の離職率に影響が出てきてしまうでしょう。

企業の毎月の営業コストを垂れ流しているのと同じ状況にならない為にも、営業の働き方を改革し、組織全体の成長につながる取り組みを実践してみてはいかがでしょうか。

営業生産性の指標(KPI)

営業生産性の指標(KPI)を決めることで、現状を正しく把握し、目標に向けて何を改善すべきかを明確にすることができます。

ここでは「物的労働生産性」と「付加価値労働生産性」「人時生産性」の3つの考え方について解説します。

物的労働生産性

物的労働生産性とは、生産量や製品数など、数値で確認できる成果を基準にした労働生産性で、製造業や農業で用いられることが多い考え方です。
生産設備や自動化導入の効果測定や倉庫管理や配送業務における作業生産性を測定する場面で使用されます。

付加価値労働生産性

付加価値労働生産性とは、売上から外部コスト(原材料費など)を差し引いた「付加価値」を基準にした労働生産性です。

製造業だけでなく、サービス業やコンサルティング業など、幅広い業界で用いられます。
付加価値労働生産性の計算式は、以下のような方法で算出できます。

 

【付加価値労働生産性の計算式】

付加価値労働生産性=付加価値額-労働量

※付加価値額:売上ー外部コスト(原材料費・運送費・販管費など)

 

利益率の向上やコスト削減の効果を測る際に活用され、商品やサービスごとの収益性を分析する場面や、企業全体の生産性を測定する際に役立ちます。

人時生産性(にんじせいさんせい)

人時生産性(にんじせいさんせい)とは、従業員1人が1時間あたりに生み出す付加価値や売上を示す指標です。

労働生産性の一種で、業務の効率性や生産性を測るために用いられます。以下のような方法で算出できます。

 

【人時生産性の計算式】

人時生産性=粗利÷総労働時間

※粗利=売上高-外部コスト(原材料費・運送費・販管費など)
※総労働時間=従業員数×労働時間

営業生産性を向上させるメリット3つ

営業生産性を高めることは、売上の増加だけでなく、働きやすい環境の整備や顧客満足度の向上にもつながります。ここでは、営業生産性向上のメリットを3つ紹介します。

1.売上の最大化

営業生産性が向上すれば、商談数が増え、ターゲット精度が上がり、営業の質が高まることで売上の最大化につながります。

しかし、営業生産性が低いままだと、商談機会の不足、成約率の低下、業務のムダが発生し、結果として売上や利益の減少を招きます。

2.離職率の低下

営業現場では「成果が出ない」「長時間労働が続く」「プレッシャーが大きい」といった要因が重なると、営業担当者のモチベーションが低下し、早期退職につながるケースが少なくありません。

こうした問題の根本には、営業生産性の低さが関係しています。

営業生産性が低いと、商談が思うように進まず、成約率も低下し、結果として目標未達が続きます。これにより、評価やインセンティブにも影響が出て、「頑張っても成果が上がらない」と感じる営業担当者のモチベーションが低下してしまいます。

特に新人営業にとっては、経験が浅いうちから高い目標を課されることが多く、成約につながる営業手法が確立されていない場合、次第に自信を失い、離職のリスクが高まります。

また、業務が非効率な環境では、顧客リストの管理や報告業務に多くの時間を取られ、本来の営業活動に十分な時間を割けず、長時間労働が常態化することも問題です。

3.残業時間を削減できる

近年、ワーク・ライフ・バランスの改善を目的とした働き方改革が推進され、2019年には時間外労働の上限が原則月45時間、年360時間と定められました。

これにより、企業は従来の長時間労働に依存した働き方から脱却し、限られた時間内で成果を上げる営業スタイルへと移行することが求められています。

残業時間を削減できるためにも、営業生産性を高める取り組みは今後ますます重要になっていくでしょう。

営業生産性が低くなる原因3つ

営業の成果がなかなか上がらない場合、「努力が足りない」わけではなく、組織全体の仕組みに問題があることが多いです。

ここでは、営業生産性が低下する主な原因を3つ紹介します。

1.営業プロセスが属人化している

営業生産性が低下する要因の一つが、営業プロセスの属人化です。個々の営業担当者が独自の方法で営業活動を進めることで、組織全体でノウハウが共有されず、成果にバラつきが生じる原因となります。

営業チームに成功事例などが展開されていない場合、他の営業担当者は手探りで商談を進め、非効率な営業活動に時間を費やすことになります。

また、担当者が異動・退職した際に、顧客情報や商談進捗が適切に引き継がれず、営業活動が停滞するリスクも高まります。

2.非効率な業務が目立つ

営業が得意な人ほど事務作業が苦手な傾向があり、顧客データの入力や報告作業に時間を取られ、本来の営業活動に十分な時間を割けていないケースが少なくありません。

さらに、紙媒体をメインに使って顧客データを管理している企業では、情報を探すだけで時間がかかるという問題もあります。

例えば、過去の商談履歴を確認するのに、ファイルをめくって探す必要がある場合、デジタル管理されている企業と比べて営業活動のスピードが大幅に落ちます。

【内部リンク】

非効率な業務の一部を解決するために、有効なのが「営業メールの自動化」です。

営業メールを自動化することで、見込み客へのフォローアップを効率化し、成約率を向上させることができます。過去記事で具体的なツールや成功事例を紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

参考記事営業メール自動化で成果を最大化!効果的なツールと導入事例

3.適切なターゲティングができていない

営業活動を見込みの低い顧客にばかり時間をかけていると、成約率が下がり、全体の生産性も落ちてしまいます。

営業効率を上げるためには、データを活用し、成約につながりやすいターゲットを明確にすることが大切です。顧客の購買履歴や行動データを分析し、アプローチすべき顧客を選定する仕組みを整えましょう。

【内部リンク】

従来の営業手法ではアプローチの精度に課題があり、商談機会を逃してしまうことも少なくありません。そこで注目されているのが「インテントデータ」です。

今まさにニーズを持っている企業を特定することで、最適なタイミングでのアプローチが可能になります。

資料DL先:徹底解説!Bto B営業の常識を変える「インテントデーター」とは?

営業生産性を向上させるための4つの施策

営業生産性を高めるには、業務の効率化とデータ活用の仕組みを整えることが必要です。

ここでは、4つの施策を紹介します。

1.顧客データの一元管理と活用

まず、紙媒体で管理している場合は、デジタル化への移行を検討しましょう。

 紙ベースの管理では、顧客情報の検索や共有に時間がかかり、営業活動のスピードが大幅に低下します。過去の商談履歴や対応状況をすぐに確認できないため、適切な対応が難しくなり、成約の機会を逃す可能性もあります。

デジタル化することで、顧客情報の検索・管理がスムーズになり、営業活動の効率向上が期待できます。さらに、SFA(営業支援システム)やCRM(顧客管理システム)を導入すれば、過去の商談履歴や問い合わせ内容を一元管理でき、チーム内でリアルタイムに情報を共有できます。

顧客データの一元管理と活用は、営業活動の精度を向上させるだけでなく、無駄な業務を削減し、限られた時間内で最大の成果を上げるためにも重要な施策です。

営業のデジタル化を進め、データを活用した戦略的な営業活動にシフトしていきましょう。

 

顧客データの一元管理と活用

2.営業プロセスの標準化と最適化

営業担当者ごとに異なるやり方でアプローチを行うと、成約率や対応品質にバラつきが生じ、属人化による業務の非効率化が発生します。

特に、トップ営業マンのスキルが暗黙知のまま共有されないと、新人や成果が伸び悩んでいる営業担当者が学びにくく、チーム全体の成績が向上しにくくなります。

そのため、成功事例をもとに営業プロセスを統一し、誰でも同じ品質で成果を出せる仕組みを作ることが重要です。

3.AI・自動化ツールの活用

営業担当者の時間を使いがちな業務(データ入力、アポ調整、資料作成など)をAIや自動化ツールで効率化することで、より重要な業務に集中できます。

例えば「AIが見込み客をスコアリングし、成約確度の高い顧客をリスト化」や「チャットボットや自動メールで初期対応を自動化」などは挙げられます。

これにより、営業担当者はより多くの商談に時間を割くことができ、生産性が向上します。

【内部リンク】

さらに営業の自動化について詳しく知りたい方はこちらの過去記事を参考にしてみてください。

参考記事営業の自動化とは?自動化に取り組むメリットと最適なツールを7つ紹介

4.営業KPIのモニタリングとPDCAの徹底

営業生産性を向上させるには、KPI(営業生産性の指標)を設定し定期的に振り返ることが重要です。

「アポイント率」「成約率」「受注単価」などの指標を数値化し、ダッシュボードでリアルタイムに営業状況を把握し、データをもとに改善点を見つけ、PDCAサイクルを回すことで再現性の高い営業スタイルが身につくことも期待できるでしょう。

感覚的なアドバイスも大事ですが、数値化したデータに基づくアドバイスは営業マン同士で共有認識がもてるため理解がしやすいことも多いです。

CRMを活用して営業生産性を向上させるためには

ここでは、CRMを活用して営業生産性を向上させる具体的な方法を解説します。

営業活動の見える化

CRMの主な機能として、商談管理機能を活用すると、各営業担当者が進めている商談のステータスを一目で確認できるようになります。

「アプローチ中」「商談中」「クロージング」などのステータスを設定し、どの案件がどの段階にあるのかを可視化することで、優先すべき案件にリソースを集中できます。

また、ダッシュボード機能を使えば、各営業担当者の商談数、成約率、アポイント獲得率などのKPIをリアルタイムで確認でき、チーム全体の進捗を即座に把握することができます。

このように、営業活動を見える化することで的確な意思決定が可能になります。

顧客データを活用した最適な提案

CRMには、過去の商談履歴や顧客の反応など、営業に役立つ重要なデータが蓄積されます。これを活用することで、顧客ごとに最適なタイミングで、最適な提案を行うことが可能になります。

属人的な営業ではなく、CRMのデータを活用して商談の温度感を分析し、成約の可能性が高い顧客を優先的にフォローすることで、無駄な営業活動を減らし、効率的に成果を上げることができます。

業務の自動化による効率化

CRMには、手間のかかる業務を自動化する機能が備わっています。これにより、営業担当者はより多くの時間を商談や顧客対応に充てることが可能になります。

例えば「メールの自動送信機能」「営業報告を自動で記録」「AIを活用したリードスコアリング」により営業活動の効率が向上し、少ないリソースで最大の成果を出せることが期待できるでしょう。

SFAを活用して営業生産性を向上させるためには

CRMが顧客情報の管理に重点を置くのに対し、SFAは営業プロセスを可視化・自動化し、業務の効率化を支援するツールです。

ここでは、SFAを活用して営業生産性を向上させる方法を紹介します。

「見込み確度」をスコアリングし、優先順位を明確化

限られた時間の中で効率よく成果を出すには、見込み客の行動や興味関心の度合いを数値化し、スコアリングする仕組みを取り入れると効果的です。

例えば、過去の問い合わせ履歴や資料請求の回数、ウェブサイトの訪問頻度などを基に、見込み確度の高い顧客をリストアップすれば、成約につながる可能性の高い相手に的確なタイミングでアプローチできます。

また、スコアリングを活用すれば、「今すぐ提案すべき顧客」と「長期的に育成すべき顧客」を明確に分けることができ、営業リソースの最適化にもつながります。

こうした手法を取り入れることで、適切な優先順位をつけ営業の負担を減らしながら成約率を高めることが可能になります。

インテント情報を活用してニーズのある顧客にアプローチ

営業活動の成果を高めるには、今まさにニーズを持っている顧客を見極め、適切なタイミングでアプローチすることが重要です。そのために活用したいのがインテント情報です。

例えば、自社のサービスに関連するキーワードを頻繁に検索している企業や、製品ページを何度も訪問している顧客は、明確な課題や関心を持っている可能性が高いと判断できます。

従来の営業では、ターゲット企業を広範囲に設定し、手当たり次第にアプローチを行うことが多かったですが、インテント情報を活用すれば、ニーズの高い顧客に絞って営業活動を展開できるため、時間と労力を最適化しながら成約率を向上させることが可能になります。

データドリブンによる営業生産性を向上させた成功事例

ここからはデータドリブンによる営業生産性を向上させた成功事例を2つ解説していきます。

アポ率・成約率ともに2倍以上を実現した事例|エン・ジャパン株式会社

エン・ジャパン株式会社

エン・ジャパン株式会社

従来のアウトバウンド営業では、業種や企業規模といった属性情報で絞り込んだ企業リストに対し、手当たり次第に架電を行うのが一般的でした。

しかし、この方法では、ターゲットが本当にサービスを必要としているかどうかが分からず、成果は営業担当者のスキルに大きく依存していました。

エン・ジャパンも同様の課題を抱えていましたが、インテントデータとセールスシグナルを活用することで、営業手法を大きく変革しました。

この仕組みを導入したことで、アポ獲得率と成約率が従来の2倍以上に向上しました。さらに、インテントデータの活用により、目標達成に必要な架電件数が約60%削減され、営業活動全体の効率も大幅に向上しました。

MA連携でマーケの集客力の倍増へ|株式会社 BLAM

株式会社 BLAM

株式会社 BLAM

株式会社BLAMは、デジタルマーケティング支援とマーケティング・クリエイティブ人材のマッチング事業を展開する企業です。

営業活動においては、ターゲット企業のニーズを正確に把握することが難しく、スプレッドシートでの煩雑な管理によって営業の属人化が進むという課題を抱えていました。

そこで、Sales Markerを導入し、インテントデータを活用した営業手法を取り入れることで、営業生産性を約2倍に向上させることに成功しました。

現在は、リード獲得から商談、受注後のフォローアップまで、データを活用した最適な営業プロセスを確立し、HubSpot(MAツール)との連携により、企業ごとの関心領域を分析し、適切なタイミングでセミナー情報やコンテンツを提供することで、集客効果を2倍に向上させています。

本記事のまとめ

営業生産性を向上させるためには、CRMやSFAの活用を前提としたデータドリブンな営業の実現が欠かせません。

本記事で紹介した4つの施策を適切に実行することで、営業活動の無駄を削減し、商談の精度を向上させ、最適なタイミングでターゲットにアプローチできる仕組みを整えることができます。 

さらに、AIや自動化ツールを活用することで、定型業務を削減し、営業担当者が本来の商談や顧客対応に集中できる環境を整えることが可能です。

ぜひ本記事の内容を参考に、自社の営業プロセスを見直し、持続的に成果を生み出せる組織づくりを進めていきましょう。

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