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- 営業のクロージングに関する基本的な知識
- 営業のクロージングとは
- クロージングは営業に必要か
- クロージング率に注目
- クロージングを極めるための営業テクニック【前準備編】
- 1.サービスや商材について深く理解
- 2.BANT条件をリサーチ
- 3.顧客の相場観を知る
- 4.イメージしやすい部材を用意
- 5.提案はひとつではなく複数用意
- クロージングを極めるための営業テクニック【実践のコツ】
- 1.タイミングを見定める
- 2.商材のメリットを提示する
- 3.合意できない理由をカバーする
- 4.ドア・イン・ザ・フェイスを利用する
- 5.ゴールデンサイレンスを意識する
- 6.yes but話法を意識する
- 7.yes and話法を意識する
- 8.購入意思についてそのまま聞いてみる
- クロージングの基本的なステップ
- 1.テストクロージング
- 2.クロージング
- 3.契約締結
- クロージングがうまい人の特徴
- 顧客にたくさん会話させている人
- 商談時間を長引かせない人
- 価値を優先して伝える人
- クロージングが営業成果に直結!
- Sales Markerをチェック
クロージングを向上させて営業成績をアップさせたい、詳しい流れやテクニックについて知りたい、そんな風に悩んでいませんか?
顧客との会話がどんなに弾んでいても、クロージングの精度次第では商談が成功に結びつく可能性も二転三転します。
そこで今回は、売上や成約に結びつくクロージングの流れやコツを紹介。現場で使える効果的な手段についても完全解説しています。
手ごたえはあるのになぜか契約だけがうまくいかない、成約率をもっと高めたい、そんな方はぜひ最後まで読んでみてください。
営業のクロージングに関する基本的な知識
クロージングを成功させるコツや具体的な方法について解説する前に、押さえておくべき基本的な知識について紹介します。
営業のクロージングとは
クロージングとは商談における最後の工程、成約へと促す直前の行動を意味します。
商談ならば当然とも言える行動ですが、特に意識することなく流れや雰囲気で実行してしまっては成果につながりません。
商談中は見込み客に決断してもらうために、商材の情報を提供しながらさまざまなアプローチを続けていきます。
どの段階で成約意志を確認するのか、いつ営業活動を締めくくる(クローズする)のか、は自分次第です。
クロージングは営業に必要か
クロージングをしない商談を想像してみましょう。自社の製品に興味を持ってもらっても、購入を促すような言葉がなければ成約には至りません。
そのまま商談を続けたとしても見込み客は決断できずに、やがて購入意欲も失ってしまいます。
競合他社の商談も受けていた場合、そちらに流れる可能性もあるでしょう。そのためクロージングは営業活動において必要不可欠なステップだと言えます。
クロージング率に注目
クロージング率とはいわゆる成約率のことで、単に見込み客を増やすよりもクロージング率に注目して改善を続けるほうが売上アップにつながるケースが多いです。
たとえば、成約率が50%と20%の営業マン2人がいて成約目標を3とすると、必要な集客数はそれぞれ6人と15人となりリード数に明確な違いが発生します。
クロージング率の改善が顧客獲得費用を抑えることにつながり、効率よく売上アップに貢献できるわけです。
クロージングを極めるための営業テクニック【前準備編】
クロージングは営業成果を決定づける大切なステップですが、商談の中だけで完結するものではありません。
クロージングを成功させるために、前もってやっておくべきことも多数あります。まずは成約の成否に関わる事前準備について解説していきます。前準備編のテクニックとして紹介するのは次の5つです。
- サービスや商材について深く理解
- BANT条件をリサーチ
- 顧客の相場観を知る
- イメージしやすい部材を準備
- 提案はひとつではなく複数用意
1.サービスや商材について深く理解
大前提として自社のサービスや商材について深く知っておく必要があります。
たとえば、数値だけをアピールしておすすめしてくるけど、なぜそうなるのかを詳しく説明できない場合、そんな営業からはサービスを購入したいと思わないでしょう。
質問に対してしっかり回答できないと、見込み客の信頼が得られず適切なクロージングにはなりません。
どのようなプロセスで利益やメリットが生まれるのか、詳しく説明できるよう勉強しておくべきです。
商材への理解と合わせてこれまでの導入事例・問題解決へのプロセス・競合他社の特色なども説明できると、相手の信頼度はさらに高まります。
2.BANT条件をリサーチ
BANT条件とは予算(B)・決裁権(A)・ニーズ(N)・導入時期(T)の4つを合わせた顧客の要素を指します。
お客さんが想定している予算や顕在ニーズからあまりにも外れていると、サービスを検討してもらえる確率は低くなってしまうでしょう。
また決裁権のない人物に商材の魅力を説明しても、その先にいる決裁者までうまく伝わるかは不明です。また、タイミングが悪くても機会を失う可能性があります。
商談をスムーズに進めるためにも、前もってBANT条件を把握しておきましょう。
3.顧客の相場観を知る
顧客の予算とは別に、相手の相場観を知っておくことも大切です。
相手の相場観よりも自社の製品が安ければ価格自体もアピールポイントになりますが、高い場合はそれを納得させる材料も必要になります。
製品が持つ機能・売上予測・コスト削減効果・現状のままで可能な改善案との比較を伝えて、価格相応の価値があることを認めてもらわなければなりません。
あらかじめ相場観を知っておけば、あわてることなく適切な対処が取れます。
4.イメージしやすい部材を用意
成約の成否は、見込み客にどれだけ具体的なイメージを持ってもらえるかにかかっています。したがってそれらを見やすくする部材が必要です。
イラストやCG画像、サンプル、ビフォーアフターなどわかりやすく伝えるツールを用意しましょう。
サービスの類においては解決可能な課題例や実際の成功事例、結果を数値化したものなどが効果的です。
部材が用意できない場合でも購入したという仮定の話を組み立てて、できるだけイメージしてもらえるように努めれば購入意欲につながります。
5.提案はひとつではなく複数用意
顧客が購入を決断する際に重要視するのが、損はしないという納得感です。その心理を導くためにも提案するプランは複数用意しましょう。
選択肢がないと不安を誘発し、購入を決断してもらえないどころか代替え案を他社に求める場合もあります。
3つの選択肢を用意して中央の商品を選びやすくするという「松竹梅」の法則を使えば、望んでいるプランへの誘導も狙えるでしょう。
選択肢が多すぎると迷いが生じて意思決定能力も鈍るため、あまり用意しすぎない点もポイントです。
クロージングを極めるための営業テクニック【実践のコツ】
これまでは前準備の部分について説明してきましたが、この先はクロージングを成功させるコツについて解説していきます。紹介する内容は次の8つです。
- タイミングを見定める
- 商材のメリットを提示する
- 合意できない理由をカバーする
- ドア・イン・ザ・フェイスを利用する
- ゴールデンサイレンスを意識する
- yes but話法を意識する
- yes and話法を意識する
- 購入意思についてそのまま聞いてみる
クロージングのコツを理解して、ぜひ実践に役立ててみてください。
1.タイミングを見定める
BANT条件に含まれるように、クロージングはタイミングが重要です。
そのためにも自社の製品に対して、見込み客の興味がいつ・どの程度あるのかをリサーチする必要があります。
その際に利用したいのがインテントデータです。インテントデータとは顧客の興味や関心の度合いを知れる行動データを指します。
インテントデータを使えばタイムリーなアプローチが可能になり、クロージングに適切なタイミングを見定めることができます。
潜在顧客や見込み客を集めて、成約率を高めたいという人は、ぜひこちらの記事をご確認ください。
2.商材のメリットを提示する
すでに解説したとおり、成約の成否は相手に具体的なイメージを持たせることです。
商材のメリットをしっかり解説し、そこから得ることのできる利益を想像してもらいましょう。ベネフィットを理解してもらえれば購入意欲も自然に高まります。
3.合意できない理由をカバーする
顧客は、常に不安を抱えています。その不安を解消できる理由を、あらかじめカバーしておくことも大事です。
顧客が抱く不安の多くは次の3つに分類されます。それぞれの内容に対してすぐさま答えを提示できると、顧客も冷静に判断できるでしょう。
さらに安いものがあるかも
価格に対する不安は、どのような顧客でも抱く可能性がある要素になります。それに対応する手段は、相手の考える予算・相場を知っておくことです。
自社の製品が安ければ魅力としてアピールし、価格が高ければそれに見合った機能や付加価値について説明しましょう。
価格の違う複数の選択肢を用意するのも、不安を解消するひとつの手段です。
さらに良い商品があるかも
この不安を解消するためには、自社の製品が一番だとわかってもらう必要があります。性能や費用が一番でなくとも、アフターサポートがしっかりしている、会社の信用度があるなども評価に含まれます。
営業の際に競合他社の特徴を理解していると、論理的な説明もできて相手側に安心感を与えられます。
この担当者を信じてよいのか
商品やサービスを購入する場合、お客様は信用できる会社や人から購入したいと考えます。そのため、お客様の悩みに対して真摯に対応することが重要です。
また、身だしなみやマナーも、相手に信用してもらう大事なポイントと言えます。見た目の清潔感や時間を守るなど基本的なことに関しては、特に気を付けておきましょう。
4.ドア・イン・ザ・フェイスを利用する
ドア・イン・ザ・フェイスとは心理的テクニックのひとつで、こちらの要求を受け入れてもらいやすくする手段です。
相手が受け入れがたい大きな要求を最初にしておき、断られたあとで本命となる小さな要求をします。
最初に断った罪悪感と、小さな要求でこの程度ならという気持ちが作用して、最終的に受諾してもらえる可能性が高くなるわけです。
話の流れ全体で見れば比較検討した形になるので、相手に納得感を与えることにもなります。
5.ゴールデンサイレンスを意識する
商談において、顧客が検討している時をゴールデンサイレンスと言います。
ゴールデンサイレンスの時に相手の思案を邪魔すると、促した決断が先延ばしとなる可能性もあるので注意しましょう。
基本的にはこちらも黙って待つことです。相手から不安や質問の声が出てきたタイミングで、しっかりと回答するのが正解だと言えます。
ゴールデンサイレンスにうまく対応できれば、クロージングスキルのアップにつながるでしょう。
6.yes but話法を意識する
相手の意見を肯定しつつ、こちらの意見も提示する話し方がyes but話法です。相手の話に共感したあとに、ですが…(but)と続けます。
「値段が少し高いね」「そうですね、でも性能は抜群ですよ」これがyes but話法です。
相手の意見を最初から否定するのではなく、ワンクッションおくことで好感度を下げずに話を続けられる効果があります。
しかし、意見を否定することに変わりなく、相手の意思決定権を阻害しているとも取られかねない点には注意が必要です。
7.yes and話法を意識する
yes but話法と同じように一度相手の意見を受け入れてから、こちらの意見を提示する会話法です。違うのはandになっている点で「さらに」「そして」「加えて」「実は」などを使い、否定的な印象を打ち消して意見を述べます。
先ほどと同じ会話例だと「値段が少し高いね」「そうですね、実は性能が抜群なんですよ」というのがyes and話法です。
相手の意見に反論せずにこちらの意見を提示するため、さらに提案を受け入れやすくなります。
8.購入意思についてそのまま聞いてみる
購入意思があるかないか直接的に聞いてみると、うまくハマるケースもあります。契約したいけど決断できない、そんな心境の顧客にきっかけを作ってあげる良い方法です。
明確な言葉を発することが、相手を後押しすることにもなるでしょう。人が何かを判断するときは、「得るもの」よりも「失うもの」を重視する心理的効果が発生します。
そのため、決断を先に延ばすデメリットを伝えると、損失回避の法則も働いて成約率がさらに高まるでしょう。
クロージングの基本的なステップ
クロージングに関する手法やコツについて解説してきましたが、ここからは基本的なステップについて紹介していきます。
商談の最終工程に向けてクロージングを行うのですが、その内部にもいくつかのステップが存在します。
クロージングの基本的な流れは3つのフェーズに分解されるのが一般的です。それぞれの内容について解説していきます。
1.テストクロージング
現段階で見込み客の購入意欲がどの程度あるのか、それを見定めるためのステップがテストクロージングです。
製品に興味を抱いている段階と比較検討している段階では、成約率に明確な差が出ます。
「製品に対して何か気になる点はございますか?」「利用してみたいと思われますか?」などの質問をしてみて、見込み客の心理状態に不安がないか推し量りましょう。
不安があるようならもう一度提案の時間に戻り、良い反応が返ってきたら次の段階に進みます。
2.クロージング
購入意欲の確認ができたら、次へとステップアップします。遠回しに言うのではなく、単純に「どうされますか?」と質問しましょう。
顧客に具体的なイメージを抱かせたうえで納得感も生まれているのなら、前向きな答えが得られるでしょう。
3.契約締結
最後は契約締結のステップです。契約書に必要な署名や捺印をお願いする工程になります。条件確認をしっかりと行い、トラブルを発生させないよう気を付けましょう。
契約内容についての疑問や不安も、最後まで確実にフォローすることが大切です。ここまで積み上げてきた信頼を崩すことのないよう行動しましょう。
クロージングがうまい人の特徴
最後にクロージングがうまい人の特徴について触れておきます。内容は以下のとおりです。
- 顧客にたくさん会話させている人
- 商談時間を長引かせない人
- 価値を優先して伝える人
テクニックやコツ以外の特徴を知ることが、理想の技術を習得する手助けになります。
各内容を深堀していきますので、しっかりと参考にしてスキルアップに挑戦しましょう。
顧客にたくさん会話させている人
クロージングがうまい人は、顧客にたくさん会話させているという特徴があります。顧客は解決したい課題があって、自社の製品に興味を持ち始めているはずです。
その課題を聞き出すこと、問題を明確にすることが購入意欲へと結びついていきます。さらに言えば相手の話そのものが、顧客の心理状態を探る手がかりです。
自分が話すのではなく相手に話してもらっている状態に誘導することが、隠された情報を引き出すチャンスにつながります。
商談時間を長引かせない人
無駄な話をしていると、相手に不信感を与えてしまうことにつながります。したがって成約率が高い人は、無理に商談を引き延ばしません。
相手側からたくさんの質問・不明点が出て説明が長くなるケースは除きますが、成約のみを目的にどうにか商談を引き延ばそうとするのはNGです。
顧客の視点で不愉快に思わないクロージングを心がける必要があります。
価値を優先して伝える人
顧客が決断するには、具体的なイメージ・納得感・不安の解消が必要です。クロージングがうまい人は、この3つをカバーするために価値を優先して伝えます。
ニーズを理解して選択肢を限定し、意思決定をサポートする能力、これが営業に求められる資質です。
価値を理解してもらえれば、価格も理解してもらえます。顧客にとってベストな選択肢、価値を伝える提案が成約率を高くするポイントです。
クロージングが営業成果に直結!
クロージングを成功させるポイントは、徹底的な顧客目線です。売りたい気持ちを表に出し過ぎては顧客も引いてしまいます。
必要なのは「製品に関するイメージを具体化」させ「相手の不安を排除」し「価値を感じてもらう」ことです。
本記事で紹介した内容はすべて、これらを実践するためのスキルになります。習得できれば理想の立ち回りができる人材にランクアップ可能です。
ぜひご自分の営業活動に反映させて、スキルアップしたクロージングの成果を実感してみてください。
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