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企業がビジネスで成功を収めるかどうかを左右するのは”営業”と言っても過言ではないくらい重要なビジネス要素の一つです。
今回は「BtoB営業」について「BtoC営業」との違いを明確にしながら、これから営業を担当する人や既に行っている人といった幅広い方々に営業におけるポイントを紹介していきます。
具体的には、BtoB営業とはという部分から、営業の流れ、必要なスキル、成功のポイントといったものを紹介していきます。
BtoB営業とは?
BtoB営業とは、企業間取引(Business to Business)を指します。BtoB営業では、一般消費者ではなく、法人が顧客となります。
BtoB市場の特徴は、取引額が大きく、契約に至るまでのプロセスが複雑で長期にわたることが多いです。
BtoB営業とBtoC営業の違い
では具体的にBtoB営業とBtoC営業ではどのような違いがあるのでしょうか。
以下では主な違いを4つ紹介していきます。
検討期間
BtoB営業の場合、検討期間は長期に及ぶことが一般的です。1年以上かかる場合も珍しくありません。これに対し、BtoC営業では検討期間が比較的短い傾向にあります。
BtoBでは、複数の意思決定者が関与し、複雑な承認プロセスを経るため、時間がかかります。
このため、BtoB営業担当者は、長期にわたるフォローアップや、継続的な関係構築に努める必要があります。またそれに伴い、複数の企業と同時に長期的にやり取りをする場合も出てくるので、管理を徹底し、定期的に連絡を取るなどして、関係を途切れさせないようにしましょう。
購買単価
BtoB営業では、取引額が大きく、数十万円から数億円にも及ぶことがあります。
一方、BtoC営業の場合は、数百円から数万円程度と小規模な取引が一般的です。このため、BtoB営業では、リスク管理や価値提案の重要性が高まります。
大前提、顧客は自社の課題を解決し利益を上げるためにビジネスを行います。なので、自社が提供する商材が、どのような価値提供をすることができ、結果、顧客にどれくらい利益をもたらすのかが重要な要素となります。
従って、論理的に導き出されたデータなどを用いて、費用対効果を説明するなど顧客に合わせて徹底的な準備が提案前に必要となります。
利用者
BtoB市場では、購買意思決定者と利用者が異なることが多いです。
例えば、購入決定をするのは経営層かもしれませんが、実際に商材を使用するのは異なる部署の方であることがほとんどです。
そのため、現場の人と経営層両方に納得してもらう必要があります。陥りがちな例として、現場の人は商材を導入したいと思っているが経営層がそう考えていない場合があります。
そのため、現場の人のニーズはもちろん、同時に経営層のニーズもヒアリングして両方に対して納得のいく提案ができるような準備を行いましょう。
購買動機
BtoB営業の場合、購買動機は主に合理的な判断に基づいています。
すなわち、導入する際に明確な理由を持って導入するということです。
例えば、課題解決、コスト削減、生産性向上などの理由です。このため、製品やサービスが顧客のビジネスにどのような具体的な利益をもたらすのかを論理的にそして明確に伝えることが重要です。
一方、BtoC市場では、購買動機が情緒的要素に影響されることもあります。
BtoB営業担当者は、商材の説明だけでなく、顧客企業の長期的な目標達成にどのように貢献できるかを数値などの客観的データを用いて伝える必要があります。
BtoB営業の種類
BtoB営業には「アウトバンド営業」と「インバウンド営業」という2種類の営業方法があります。
以下では、それぞれのアプローチ方法の違いに基づいて説明しています。
- アウトバウンド営業
- インバウンド営業
アウトバウンド営業
アウト(OUT)とは”外へ”という意味です。すなわち自社から外へ行う営業を指し、それをアウトバウンド営業と言います。
代表的な手法としては、テレマーケティング(テレアポ)や直接訪問、フォーム送信などがあります。
アウトバウンド営業では、まだ接点を持たないターゲットとなる企業に直接連絡を取り、アポイントを獲得し、受注に繋げることを目指します。こちらから営業リストを作成してアプローチを行うので、顧客化したい企業だけに営業を行うことが可能です。
インバウンド営業
一方で、インバウンド営業は、文字通り、顧客になりうる企業から自社に問い合わせや資料ダウンロードが起こることなどで始まる営業です。
すなわち入ってくるものに対して営業を行うというものです。獲得した、リード情報をもとにメールや電話でアプローチします。
この方法の特徴は、顧客が既にある程度の関心を持っているため、アウトバウンド営業に比べ容易に商談を設定でき、受注に繋げることが可能です。
しかし、アウトバウンド営業とは異なり、営業を行うターゲットを自社で決めることはできません。
BtoB営業の基本的な流れ
では実際にBtoB営業はどのような流れで行えば良いのでしょうか。
以下は、BtoB営業の中でもアウトバウンド営業の基本的なプロセスを紹介いたします。
営業リスト作成
営業の最初のステップは、ターゲットとなる顧客リストの作成から始まります。
適当にリストアップするのではなく、業種や領域を基に、自社の商材を必要としているであろう企業をリスト化しましょう。
初めはリストアップをする上での仮説は間違っていても構いません。リスト化することで、アプローチ後に結果を知ることが可能になり、そこからアポが取れやすい業種、取れにくい業種が見えてきます。
そうすることで、明確な狙いを持って営業リストを作成することができます。リスト作成には、市場調査、業界レポート、既存顧客からの紹介など、さまざまな情報を活用してみましょう。
アプローチ(メール/架電/問い合わせフォーム)
ターゲットリストが完成したら、次はそれらの企業にアプローチします。
メール、電話、問い合わせフォームなど、さまざまな方法がありますが、重要なのは、どのような内容でアプローチをするかということです。
具体的には、自社の商材のどの部分を強調し、伝えればアポが入るのかということです。
例えば、自社の特徴の一つに料金の安さがある場合、まずはそれを基に内容を考えます。もし、それでアポが入らないのであれば、他の要素を強調し、内容を変えたものを伝えましょう。
このように試行錯誤することで「この業種の企業では料金を重視しているんだな」といった傾向が見えてくることがあります。アプローチと同時に改善を怠らないのがポイントです。
商談前準備
商談の設定が成功したら、次は準備段階に移ります。
この段階では、商談相手のHPやサービスページ、IRを参考に特定のニーズや課題を理解することが重要です。
そうすることで、自社の商材がどのようにして顧客の課題解決やニーズを満たすことにつながるのかが見えてきます。
「購買動機」の部分でもお伝えしましたが、BtoB営業において、商材がどのような利益を自社にもたらすのかといった合理的な理由が一番重要な要素として挙げられます。
数字を用いたデータなども準備できたら尚良いでしょう。
準備段階で、上記の内容を用意できていなければ、商談の成功には繋がりにくいと言えます。
商談
商談では、事前の準備を基に考えた仮説が正しいかの確認を行います。
もし正しければ、準備した内容を伝え、異なればヒアリングを行い次回以降に繋げるといった対応を取りましょう。
その為「一回の商談で成約まで持っていく」というような認識ではなく「顧客に対する理解をより深める」といった認識が大切です。実際に現場の人から聞くことで知れるニーズなどが多く存在します。
HP等から知り得ない情報を獲得し、それに対するソリューションを提供することで顧客にとって商材の必要性が高まり、商談成約率も上がっていくことでしょう。
受注後サポート
受注が成功した後も、顧客との関係は続きます。
アフターサポートの質が高ければ、顧客が自社商材で成果を出し、それに伴い顧客満足度が高まり、長期的な関係を築くことにつながります。
具体的には、製品やサービスの導入支援、定期的なフォローアップ、顧客のフィードバックの収集と対応などです。BtoB営業では、受注後サポートを徹底し信頼関係を構築することで、違う案件でお話をする機会が得られたりと、とても重要な要素でもあります。
BtoB営業パーソンに必要なスキル
上記で紹介したBtoB営業において必要とされるスキルがいくつかあります。
以下では主なスキルを三つ紹介いたします。
- ヒアリング
- 資料作成
- 分析能力
ヒアリング
BtoB営業では、顧客から必要な情報を引き出すヒアリング能力が非常に重要です。
顧客のビジネスニーズ、課題、予算、意思決定プロセス(BANT:Budget, Authority, Need, Timeframe)など、詳細な情報を把握することが、最適な提案を行うための基礎となります。
効果的なヒアリングを行うことで、二回目以降の商談で最高の提案を行うことに繋がります。
また、顧客の発言に注意深く耳を傾け、ニーズを理解する姿勢は信頼感にも繋がります。情報を正確に把握し、それに基づいた提案を行うことで、信頼の構築と受注の可能性が高まります。
資料作成
営業プロセスの中で、資料作成のスピードは非常に重要です。資料作成に時間がかかりすぎると、顧客と向き合う時間が減少してしまいます。
たとえば、資料作成に10分を要する営業パーソンと1時間を要する営業パーソンでは、営業に割ける時間が50分も異なります。
効率的な資料作成能力は、営業活動の時間を最大化し、より多くの顧客との関係構築を可能にします。
分析能力
営業活動における自己の行動分析と顧客分析能力も、BtoB営業パーソンにとって重要です。
自分の営業リスト、アプローチ方法、時間の使い方、商談内容などを客観的に評価し、改善点を見つけることが重要です。
また、市場動向、競合の分析、顧客のビジネスモデルの理解など、幅広い分析が、より精度の高い営業戦略を立てるために必要です。この分析能力を持つことで、営業パーソンは効率的に目標を達成し、成功につなげることができます。
BtoB営業を成功させるためのポイント
明確な戦略と効果的なアプローチがBtoB営業を成功させるための要素と言えるでしょう。
以下のポイントは、効率的で効果的な営業活動を実現するための鍵となります。
- BANTをおさえる
- 外注を活用する
- 「売れる」ターゲットに営業をかける
BANTをおさえる
ヒアリングの際、どの要素を聞き出すべきなのかわからなくなってしまうこともあるかもしれません。
その際、BANT(Budget、Authority、Needs、Time frame)を意識してヒアリングすることで、最低限必要な情報をおさえることができます。
BANT情報は、営業のやり取りで使用されるフレームワークの一つであり、リードや見込み客の購買意志や商材とのマッチ度を評価するために役立ちます。
次回の商談をより良いものいし、受注に繋げるためにBANTを活用しましょう。
外注を活用する
外注を活用することで、自社の営業パーソンが顧客に充てられる時間を増やすのもBtoB営業を成功させるために欠かせません。
具体的には、資料作成や営業リスト作成などのタスクを外注することで、営業パーソンはより多くの時間を顧客との直接的なコミュニケーションに費やすことができます。
組織全体としてこの戦略を採用することで、営業チームのパフォーマンスを最大化し、受注率の向上を図りましょう。
「売れる」ターゲットに営業をかける
BtoB営業では、ターゲットの選定が非常に重要です。
「売れない相手」への営業活動は時間の無駄となりますので、「売れる相手」に焦点を当てることが重要です。
過去の受注企業の特徴を分析し、類似の特性を持つ潜在顧客をリストアップしましょう。
例えば、「従業員数が101〜300人程度で、決算が翌々月に営業をかけている企業は受注率が高い」といったことが分かれば、それを基にリストアップすることが可能になります。
さらに、BtoBセールスインテリジェンスであるSales Markerを活用すれば、興味関心データを基に「今、自社商材カテゴリに興味をもっている見込み顧客」を自動でリスト化してくれます。
また、Sales Markerが提供する「セールスシグナル」という機能では、設定したキーワードが検索されたタイミングで通知してくれるというものもあります。
例えば、自社が営業代行サービスを提供する企業だとしましょう。
そしてキーワードとして「営業代行 おすすめ」といった自社商材に関連したものを設定しておくことで、それらが検索された際にいち早くニーズを拾い、アプローチすることが可能になります。
このようにSales Markerを活用すれば、自動で「売れるターゲット」をリスト化、さらに自社商材に興味を抱いてくれている企業に対して、瞬時に営業をかけることが可能になります。
まとめ
この記事では、BtoB営業とはという基本的な部分から、実際にBtoB営業を成功させるためのポイントを紹介いたしました。
BtoB営業は、toC営業とは異なり、合理的な要素が非常に重要になってきます。その為、適切な方法でリスト化、アプローチを行い、顧客を理解することが大切です。
さらに、BtoB営業は、単に商材を売るだけでなく、顧客との長期的な関係を築くことが求められます。
「営業」=「売り込む」という考えではなく「顧客と関係を構築し、ニーズを満たすための提案」という認識を持って行うことが大切です。