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企業の成長やライフスタイルの変化に伴い、既存の集客力が不十分に感じられることがあります。
・「既存の顧客層に限界を感じている」
・「新規顧客を増やすために集客チャネルを拡大したい」
・「見込み客の枯渇を防ぐために新しい集客方法を探したい」
といった課題に直面することもあるでしょう。
こうした課題を解決するためには、販路拡大・開拓を検討する必要があります。新たな販売経路を確立することで、売上アップを目指すことが可能です。
販路拡大には、「EC構築」「DM営業」「メルマガ」「テレアポ」など、多くの手法があります。それぞれの方法にはメリットとデメリットがあり、どの方法が自社に最適かを悩むことも少なくありません。
そこで、本記事では8つの販路拡大手法を紹介し、自社にあった方法を見つける手順をお伝えします。
販路拡大とは
販路拡大とは、企業が製品やサービスを提供するための新しい販売チャネルや市場を開拓し、売上や市場シェアを増やすための戦略的活動を指します。これには、新規顧客の獲得や既存顧客の深耕、地理的な市場拡大、新しい販売方法の導入などが含まれます。
販路拡大が必要な理由とは
販路拡大が必要な理由としては、
・「既存の販売チャネルだけでは売上の伸びが限られるため」
・「新たな顧客層へのリーチを広げるため」
・「より適した販売チャネルを見つける可能性があるため」
が挙げられます。
事業が順調に進む中で一定期間が経過すると、どうしても売上の成長が鈍化することがあります。これは、既存の顧客層へのアプローチが飽和状態になるからです。そうした状況下で、同じ販売チャネルに依存していては、売上の増加を期待するのは難しいでしょう。
そこで、新たな販売経路を探索する必要があります。これまでの販売実績や顧客データを詳細に分析することで、より相性の良い新しい販売チャネルを発見することができるかもしれません。新しい顧客層にリーチすることで、これまで気づかなかった需要を掘り起こすことが可能です。
このように、既存の販売チャネルでは限界があるため、新しい販路を開拓することが重要です。これにより、売上の停滞を打破し、新たな成長の機会を見出すことができます。
販路拡大のメリット
他社に対する競争力を強化するためにも、販路拡大は重要です。販路拡大は競争力を高めるだけでなく、自社の経営にも大きなメリットをもたらします。
売上の増加
販路拡大の最も直接的なメリットは売上の増加です。新しい販売チャネルや市場に進出することで、新たな顧客層にリーチし、既存の製品やサービスの販売機会を拡大することができます。これにより、収益の多角化と安定的な売上成長が期待できます。
市場シェアの拡大
新しい販路を開拓することで、競争が激しい市場において他社よりも優位に立つことができます。市場シェアを拡大することで、ブランドの認知度が向上し、競争力が強化されます。特に、新規市場への進出や未開拓の地域での販売活動は、競合他社との差別化を図る有効な手段です。
リスク分散
販路拡大により、特定の市場やチャネルに依存するリスクを分散することができます。一つの市場やチャネルに依存する場合、その市場の変動や経済状況の変化に大きく影響されるリスクがあります。
複数の販路を持つことで、どこか一つの市場で問題が発生しても、他の市場やチャネルでの売上がカバーできるため、経営の安定性が向上します。
販路拡大の施策8選
販路拡大にはさまざまな施策があります。ここでは販路拡大の8の施策をピックアップし、それぞれの特徴をご紹介します。
1. EC販売
EC(電子商取引)販売は、インターネット上で商品を販売することで販路を拡大する代表的な手段です。ネット上での販売は、時間や場所にとらわれずに行うことができ、商圏を広げたい場合に非常に有効です。EC販売は大きく「自社ECサイト」と「ECモールへの出店」の2つに分類できます。
・自社ECサイト
自社ECサイトは、企業が独自にECサイトを構築し、商品を販売する方法です。この方法の大きなメリットは、サイトのデザインや機能を自由にカスタマイズできることです。自社のブランドイメージに合ったサイトを作成し、ユーザー体験を最適化することが可能です。
また、顧客データを直接収集できるため、顧客の購買行動を詳細に分析し、マーケティング戦略を最適化することができます。さらに、自社ECサイトを通じてブランドの一貫性を維持し、顧客との関係を深めることができます。
しかし、自社ECサイトにはデメリットもあります。主な課題は、自前で集客を行わなければならない点です。サイトへのアクセスを増やすためには、SEO対策やオンライン広告、ソーシャルメディアマーケティングなどのマーケティング知識が必要となります。
また、サイトの構築には費用がかかります。小規模なサイトでも100万円程度、中規模以上のサイトでは200万〜500万円の初期費用が必要となることがあります。さらに、運用後も継続的なメンテナンスや更新が求められ、専門的な知識やスキルが不可欠です。
・ECモールへの出店
もう一つの方法が、Amazonや楽天市場、Yahoo!ショッピングといったECモールへの出店です。ECモールへの出店は、自前でECサイトを作る必要がなく、モール自体の集客力を利用できるため、比較的簡単に多くの顧客にリーチすることができます。購入意欲の高いユーザーが多いため、サイト訪問者の購入率も高い傾向にあります。
ECモールへの出店は、商品説明や写真、決済方法など必要な情報を入力すればすぐに開始できます。自社ECサイトを構築する場合と比較して、初期費用を抑えられるのが大きなメリットです。サイト制作の専門的な知識がなくても出店が可能です。また、ECモールはすでに多くの顧客を抱えているため、新規顧客の獲得が容易です。
しかし、ECモールには月々の出店料や販売手数料が発生します。
たとえば、楽天市場では月額19,500円の出店料に加え、月間売上の3.5〜7.0%の手数料が必要です。このため、ランニングコストが高くなる点がデメリットです。また、モール内での競争が激しいため、自社商品を目立たせるための工夫が必要です。さらに、顧客データの所有権がモール側にあるため、顧客情報を直接管理できないことが多いです。
EC販売は、時間や場所に制約されることなく広範囲の顧客にリーチできる効果的な販路拡大の手段です。自社ECサイトとECモールへの出店、さらにはオムニチャネル戦略を組み合わせることで、効率的に販路を拡大し、ビジネスの成長を促進することができます。それぞれの方法のメリットとデメリットを理解し、自社の状況に最適な戦略を選択することが重要です。
2.フォーム営業
フォーム営業は、企業がウェブサイトに設置した問い合わせフォームを通じて、見込み顧客からの連絡を受け付け、営業活動を行う方法です。
この手法は、効率的にリードを獲得し、ターゲット顧客に直接アプローチできる点で非常に有効です。顧客が自ら興味を示して連絡してくるため、見込み度の高いリードを獲得でき、営業担当者は顧客のニーズを的確に把握し、効果的な提案が可能です。
また、問い合わせフォームの設置には比較的低コストで済み、24時間365日リードを獲得できるため、営業機会を最大化できます。さらに、顧客が入力したデータを分析することで、どのような顧客が興味を持っているかを把握し、マーケティング戦略を最適化することができます。
一方で、フォーム営業は受動的な手法であり、顧客が自ら問い合わせをしない限りリードを獲得できない点がデメリットです。また、効果的なフォーム設計やスパム対策が必要です。
3.DM(ダイレクトメール)
ダイレクトメール(DM)は、ターゲット顧客に直接郵送やメールで広告を送る手法です。DMは、特定の顧客層に直接リーチできるため、高いカスタマイズ性が魅力です。個別に顧客の興味やニーズに合わせたメッセージを送ることで、反応率を高めることができます。
例えば、新製品の紹介や特別なプロモーション情報を届けることで、購買意欲を喚起します。
また、DMは物理的な形で届くため、デジタル広告に比べて記憶に残りやすいというメリットがあります。特に、高価な商品やサービスを販売する際には、DMが有効です。一方で、DMの制作や郵送にはコストがかかり、レスポンス率が低い場合もあります。送付先リストの精度やメッセージ内容の質が、成功の鍵となります。
DMは、ターゲットを絞った高精度なマーケティング戦略の一環として活用することで、販路拡大に大きな効果を発揮します。効果的なDMを実施するには、顧客データの分析とターゲット設定が重要です。
4.飛び込み営業
アポイントなしで企業のオフィスや個人宅を訪問する「飛び込み営業」も、販路拡大に有効な手法です。断られる可能性は高いものの、相手と直接コミュニケーションを取りながら話を進められるため、顧客との関係性を構築しやすいというメリットがあります。
営業担当者の人件費が確保できれば、それ以外の費用はほとんどかかりません。ただし、1件1件を直接訪問しなければならないため、営業効率が低いのが難点です。断られる可能性が高く、成果を出すまでに時間がかかることもあります。費用は1件のアポイント獲得あたり、5000円〜1万円程度です。
このように、飛び込み営業は直接的な接触を通じて顧客と関係を築くことができる有効な手段ですが、効率面や初期投資に関する注意が必要です。
5.テレアポ
テレアポ(電話営業)は、飛び込み営業と同様に古くから利用されている販路拡大の手法です。通信販売や金融、小売、製造、旅行、エネルギーなど、幅広い業種で活用されています。
テレアポの大きなメリットは、相手との接触が電話で行われるため、飛び込み営業に比べて多くの見込み客にアプローチできる点です。例えば、1回の架電が5分と仮定すると、1時間で12件の電話がかけられます。一方、飛び込み営業では1件の訪問に1時間かかると仮定すると、テレアポは飛び込み営業の12倍の見込み客に接触できることになります。
ただし、テレアポのアポイント獲得率は0.1〜10%未満と低く、担当者に精神的な負担がかかりやすいのが課題です。電話をかける頻度が高くなるため、拒否されることも多く、モチベーションの維持が難しくなる場合があります。
費用については、人件費や設備費を含めて、1コールあたり100円〜300円程度が一般的です。このコストを抑えつつ、効率的なテレアポを行うためには、ターゲットリストの質を高め、効果的なトークスクリプトを用意することが重要です。
6.展示会
展示会は、ユーザーに「体験」してもらうことで商品やサービスの価値を伝え、購入へと導くための効果的な手法です。小規模な数社の企業による展示会から、何百社もの企業が参加する大規模な展示会まで、多様な形式で開催されます。BtoB向けだけでなく、BtoC向けの展示会もあります。
展示会の大きなメリットは、来場者と直接コミュニケーションを取れることです。また、展示会に来場する人は最初からテーマに興味を持っているため、企業にとっては全員が見込み顧客といえます。短期間で多くの企業や消費者と接触できるため、商品の認知度を高める絶好の機会となります。
ただし、展示会にはブースの設置が必要で、設置費用は50万〜200万円程度かかります。また、展示会当日までに人員配置やブースの内装などの準備も必要です。これらの準備には時間と労力がかかりますが、展示会で得られる直接的なフィードバックや顧客との関係構築は非常に価値があります。
展示会を通じて効果的に販路を拡大するためには、事前の準備をしっかりと行い、当日には顧客と積極的にコミュニケーションを取ることが重要です。
7.FC展開
フランチャイズ(FC)展開は、企業が自社のビジネスモデルを他の事業者に提供し、ブランドの知名度を広げつつ販路を拡大する手法です。
フランチャイズ展開のメリットは、迅速に市場シェアを拡大できることです。フランチャイズオーナーが店舗運営を担当するため、企業は初期投資を抑えながら多くの地域に店舗を展開できます。
また、各店舗が独立して運営されるため、リスク分散の効果もあります。フランチャイズ展開には初期投資が必要で、一般的に100万〜500万円程度がかかりますが、トレーニングや運営マニュアルの提供、定期的なサポートによってブランドの統一性を維持できます。
8.インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーマーケティングは、ソーシャルメディア上で多くのフォロワーを持つインフルエンサーを活用して商品やサービスを宣伝する手法です。
インフルエンサーの信頼性や影響力を利用することで、ターゲットオーディエンスに効果的にアプローチできます。この手法は特に新しい市場や若年層へのリーチに有効で、インフルエンサーのフォロワー層に直接働きかけることで、認知度や購入意欲を高めることができます。
インフルエンサーマーケティングの費用は、インフルエンサーの規模や影響力によって異なり、1回の投稿で数万円から数十万円かかることがあります。具体的な費用対効果の測定が難しいこともありますが、適切なインフルエンサーを選定し、ブランドのメッセージを効果的に伝えることで、販路拡大に大きな効果をもたらします。
販路拡大の手順とは
販路拡大にはコストがかかってきます。そのため、戦略がないままに複数の販路を広げるのは賢明なやり方とはいえません。そこで、次のような手順で、販路拡大のための準備をしましょう。
1. 市場調査・分析
販路拡大を成功させるためには、まず徹底的な市場調査と分析が必要です。これには売上データ、マーケティング調査、顧客動向の分析が含まれます。
ECサイトを運営している場合、Google Analyticsなどのツールでアクセス解析や登録会員の情報を分析し、ユーザー属性を把握します。
実店舗では、POSデータや会員カード情報、カメラやセンサーを使った来店客データの収集が役立ちます。BtoBビジネスでは、顧客データベースを利用して購買パターンを分析します。
さらに、競合他社の動向や市場トレンドを把握するために業界レポートを活用します。これらのデータを基に、自社の強みや改善点を明確にし、効果的な販路拡大の計画を立てることが成功の鍵となります。
2. ターゲットの設定
市場調査・分析の結果を基に、次にターゲットを設定します。ターゲット設定の手法としてよく用いられるのがRFM分析です。
RFM分析では、R(最新購買日)、F(購入頻度)、M(購入金額)を組み合わせて顧客を分類します。これにより、「優良顧客層」「準優良顧客層」「新規顧客層」「カムバック顧客層」「離反顧客層」などのグループが明確になります。
さらに、ペルソナ設定を行うことで、ターゲットのイメージを具体化します。ペルソナ設定とは、顧客像を詳細に描き出す手法で、ターゲット顧客の年齢、性別、職業、趣味、ライフスタイルなどを設定します。
例えば、「30代の女性、健康志向が高く、ヨガを趣味としている会社員」といった具体的なペルソナを設定することで、マーケティング戦略をより精緻に立案できます。
ターゲット設定では、どの顧客層に注力するかを明確にすることが重要です。例えば、最近増加している新規顧客層に対しては、新しい商品やサービスの紹介キャンペーンを行い、既存の優良顧客層に対しては、リピート購入を促す特典を提供するなど、顧客層ごとに適した戦略を実施します。これにより、ターゲットに最も効果的にアプローチできる販路と施策を選定し、販路拡大を効率的に進めることができます。
また、特にBtoB営業においては、ターゲット企業の中で決裁者(キーマン)を見極めることが成約率を上げる鍵となります。過去記事で紹介する「BtoB営業で決裁者(キーマン)を見極める手順と成約率を上げる方法」を参考に、自社の営業戦略に取り入れることで、より高い成果を目指しましょう。
3.ターゲットに合った販路の選択
ターゲットが定まったら、そのターゲットに最も効果的にアプローチできる販路を選択します。
例えば、若年層をターゲットにする場合は、「Instagram」や「TikTok」などのSNS広告やインフルエンサーマーケティングが有効です。一方、BtoBの顧客層には、「業界特化の展示会」や「業界誌への広告掲載」が適しています。また、特定の地域や属性に特化したメールマーケティングやダイレクトメールも効果的です。
さらに、自社の強みを生かしたオムニチャネル戦略を採用することも検討しましょう。オムニチャネル戦略とは、複数のチャネルを統合して顧客にシームレスな購買体験を提供する手法です。
例えば、オンラインとオフラインのチャネルを連携させることで、顧客がどのチャネルを利用しても一貫したサービスを受けられるようにします。これにより、顧客満足度を高め、リピート率を向上させることができます。
選択する販路だけでなく、どのような施策が有効かを含むマーケティング戦略を立てることが重要です。具体的には、ターゲットに最適な広告キャンペーンの設計、プロモーションのタイミング、メッセージの内容などを詳細に計画します。また、デジタルツールを活用して顧客データを一元管理し、パーソナライズされたマーケティングを実施することで、効果を最大化します。
特に、Sales Markerのような営業支援ツールを活用することで、ターゲット設定から販路の選定、顧客データの管理までを効率的に行うことができます。Sales Markerの最大のポイントは、インテントデータを活用することで、顧客のニーズが高まるタイミングを見極め、最適なタイミングでアプローチできる点です。これにより、商談の成功率を高め、成約率を向上させることが可能です。
販路拡大の成功には、適切なターゲット設定と販路の選択が欠かせません。Sales Markerを活用して、顧客のニーズを的確に捉え、効率的かつ効果的な販路拡大を実現してみてはいかがでしょうか。
本記事のまとめ
販路を拡大することで、売上の向上はもちろん、競合他社に市場シェアを奪われた際のリスクヘッジも可能です。施策には、ECサイトの活用、実店舗の展開、卸売、テレアポ、ビジネスマッチングサイトなど、さまざまな方法があります。これらの方法を選ぶ際には、売上データや市場分析をもとに、自社の強みや市場環境に最も適した施策を見極めることが重要です。
今回ご紹介した手順を参考に、市場調査と分析を徹底的に行い、ターゲットを明確に設定した上で、適切な販路を選択し、効果的なマーケティング戦略を立てることが成功への鍵となります。特に、Sales Markerのような営業支援ツールを活用することで、インテントデータを基に顧客のニーズが高まるタイミングを見極め、最適なタイミングでアプローチすることが可能になります。
販路拡大は一朝一夕で達成できるものではありませんが、計画的に進めることで、長期的な成長と安定した収益を実現することができます。ぜひ、本記事の内容を参考に、自社に最適な販路拡大戦略を構築し、さらなるビジネスの加速を目指してください。