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- アウトバウンドコールとは
- アウトバウンドコールとインバウンドコールの違い
- アウトバウンドコールが必要な理由
- 狙いたい市場にアプローチする
- 顧客ニーズを把握する
- コミュニケーションを深める
- アウトバウンドコールの6つの課題
- ターゲティングの難しさ
- ニーズやタイミングの不一致が顧客の不満につながる
- 受付ブロックなど、コール効率の低下
- 顧客ニーズがつかめない
- 属人化しやすく再現性が担保しづらい
- 代行業者に依頼するとコストが嵩む
- アウトバウンドコールの課題を解決する方法
- ターゲティングもリスト作成も自動化する
- 顧客のWeb行動分析でアプローチの優先順位を決める
- 顧客ニーズに合わせた提案をする
- データ活用でキーマンにダイレクトアプローチする
- コミュニケーションチャネルを増やす
- まとめ
ターゲット企業へ架電する「アウトバウンドコール」に取り組む企業が多いなか、受付ブロックされてしまう…、煙たがられてクレームに繋がってしまう…などの悩みを抱える企業も少なくないでしょう。
本記事では、そんなアウトバウンドコールでよく聞く6つの課題と、それらを克服するための実践的な解決策をご紹介します。
営業効率を高め、顧客獲得を成功させるためのヒントが得られるため、ぜひ参考にしてみてください。
アウトバウンドコールとは
アウトバウンドコールは、企業や組織から顧客に対して行われる架電アプローチ(電話連絡)を指した言葉です。
商品やサービスの販売促進、顧客サポートや営業活動の一環として行われ、顧客と直接的にコミュニケーションすることで、顧客ニーズの把握やリアルタイムな情報提供ができるのが特徴です。
一般的なアウトバウンドコールの手順
- アプローチ先リストを作成する
- 顧客のニーズを仮説立て、トークスクリプトを準備する
- ターゲット企業の電話番号を取得し、架電する
- コール結果を記し、社内で共有する
顧客とのコミュニケーションを効果的に行うには、ターゲット層への適切なアプローチ方法やトークスクリプトの工夫が求められます。
アウトバウンドコールとインバウンドコールの違い
アウトバウンドコールは企業や組織から顧客に対して発信される電話であるのに対し、インバウンドコールは、企業や組織に対して顧客から発信される電話であり、顧客からの問い合わせやクレーム対応などが主な目的となります。
アウトバウンドコールとインバウンドコールの違いは、主に発信者と受信者の立場にあります。
それぞれの特徴として、アウトバウンドコールは以下のような点が挙げられます。
アウトバウンドコールとインバウンドコールは、それぞれの特性を活かして効果的な顧客対応を行うことが重要です。
アウトバウンドコールが必要な理由
アウトバウンドコールが必要な理由は、主に顧客へのアプローチや関係構築の観点から考えられます。
まず、アウトバウンドコールを行うことで、新規顧客の開拓やリピーター獲得が期待できます。
商品やサービスの提案を直接顧客に伝えることができるため、効果的な情報伝達が可能となり、結果として売上向上が見込めます。
また、アウトバウンドコールによる顧客対応は、顧客のニーズを正確に把握し、その対応によって顧客満足度を高めることができます。
例えば、アフターサービスのフォローアップやメンテナンス案内など、定期的な連絡を行うことで、信頼関係の構築や長期的な売上向上に繋がります。
このように、アウトバウンドコールは企業や組織にとって、顧客とのコミュニケーションを深めるための重要な手段となります。
狙いたい市場にアプローチする
ビジネスの成長には新規開拓が欠かせません。
アウトバウンドコールを介して特定の市場にアプローチすることで、その市場セグメントへの対応力が向上し、競争力も高まるため、大きな成果が期待できるでしょう。また、新たな市場の開拓や顧客基盤の拡大にもつながります。
狙いたい市場へのアプローチはビジネスの成長戦略において重要な要素であり、競争力の向上や顧客基盤の拡大などの利点があります。
顧客ニーズを把握する
自社商品を選んでもらうためには顧客ニーズを満たす必要があります。また、企業が競争力を維持し続けるうえでも、顧客ニーズの把握はとても重要です。
顧客ニーズを把握することで、適切なサービスや商品を提供し、顧客満足度を高めることができるでしょう。また、継続的な顧客関係の構築できれば、顧客からのリピートやリファラル(紹介案件)が期待できます。さらに、新たな市場ニーズに対応することで、新規市場の開拓にもつながります。
顧客ニーズの把握は、企業の競争力向上に役立つだけでなく、顧客満足度や継続的な顧客関係の構築、新規市場の発掘にもつながる、ビジネスにおける生命線だと言っても過言ではありません。
コミュニケーションを深める
顧客とのコミュニケーションを深めることで、市場の変化や競合他社の動きに対応できる柔軟性が生まれます。特に、顧客の購買傾向やバイヤージャーニーが変化しやすい現代社会では、先見の明を持った戦略が欠かせません。
- 新たな顧客層の開拓や、市場ニーズの変化に対応した商品開発が可能になる
- 競合他社に先駆けてビジネスチャンスを捉えることができる
さらに、顧客との長期的な関係性を築く上でも、アウトバウンドコールを介したコミュニケーションは重要な役割を果たします。
顧客が求める価値を提供し続けることで、顧客の満足度が向上し、チャーン抑止やアップセル、リファラルによる新規顧客の獲得にもつながります。
アウトバウンドコールの6つの課題
アウトバウンドコールは、企業が顧客に直接電話をかける営業方法ですが、以下のような6つの課題が存在します。
ターゲティングの難しさ
自社で作成したリストをもとに架電アプローチする必要があることから、アプローチ先リストの作成が負担になる傾向があります。1件1件企業情報を目検で集めて、リストにまとめるならなおさら、リスト作成にかかる工数は膨大です。
企業データベースを提供している会社も存在しますが、会社の住所や電話番号、代表者氏名など基本情報しかわかりません。従業員が持っている名刺を搔き集めて、決裁者情報を集めるなど工夫が必要になります。
何より、ニーズのある企業を特定することは容易ではありません。
ほとんどの場合、業種や従業員数、立地などの属性情報をもとにアプローチ先をピックアップするため、そのリストのほとんどが無駄打ちに終わってしまうことも少なくありません。
ニーズやタイミングの不一致が顧客の不満につながる
顧客が忙しい時や不必要な情報を提供されると、「求めてないものを売り込まれた」といった不快感や不満につながる恐れがあります。
また、相手やタイミングを間違えると、顧客の反感を買い、クレームに発展し、深く傷ついて離職してしまうオペレーターも珍しくありません。クレームを恐れてアウトバウンドコールができないと悩み、ビジネス機会を見逃している企業も多く見受けられます。
これらの問題を避けるためには、顧客の状況やニーズを正確に把握し、適切なタイミングでアプローチすることが重要です。
受付ブロックなど、コール効率の低下
架電時に使用する番号は、企業のウェブサイトなどから得た代表番号であることが多々あります。そのため、受付担当者に取り次いでもらえない、いわゆる「受付ブロック」はアウトバウンドコールにおける大きな課題の1つです。
近年、インターネットを利用して欲しい情報を誰でも簡単に取得できるようになり、営業担当者から情報を得る必要がなくなっています。そのため、接点のない企業からの電話に応じる必要がないとして、方針によって電話の取り次ぎを行わない企業も存在します。受付ブロックされる可能性は8割にも上るといった説もあり、営業電話をかけても受付窓口を突破できなくなっています。
受付ブロックを回避するためには、アプローチ方法を見直すことや、ターゲット企業や顧客との良好な関係を築くことが重要です。
顧客ニーズがつかめない
顧客が抱えている課題やニーズを把握できなければ、効果的なトークができず、成果につながりません。
顧客ニーズが把握できない理由として、顧客情報の不足や コミュニケーション能力の不足が考えられます。
顧客が属する業界のトレンドや抱える課題、ニーズに関する情報が不足していると、トークがうまく進まないことがあります。また、顧客とのコミュニケーションがうまくいかず、ニーズを引き出せない場合があります。
これらの問題を解決するためには、事前に顧客情報をリサーチし、コミュニケーションスキルを向上させることが重要です。
属人化しやすく再現性が担保しづらい
営業は個々人の能力や経験に大きく依存するため、属人化しやすいという課題があります。このため、再現性が担保しにくくなり、企業全体としての営業力を向上させることが難しい状況が生まれます。
アウトバウンドコールも例外ではありません。営業メンバーの中で特定の人だけが高い成果を上げる一方で、他のメンバーが伸び悩むケースが見られます。このような状況では、企業全体の営業チームとしての強みが発揮できなくなります。
理由としては、営業スタイルやセールストークは個人差が大きく、そのスキルを他者に伝授することは簡単ではありません。また、人間同士のコミュニケーションが主体である営業活動では、相手の気持ちを汲み取ったり、タイミングを見極めることが重要であり、これらも個々人の能力が大きく影響する要因となります。
営業活動の再現性が担保しにくいことで、企業の組織力や経営効率が低下するリスクがあることが分かります。
代行業者に依頼するとコストが嵩む
社内にノウハウやリソースがない場合、アウトバウンドコール専門の代行業者を活用することができます。しかし、一般的なアウトバウンドコール代行業者は、人件費や設備投資などのコストを上乗せした価格設定がされており、企業にとって大きな負担となります。
通常、業者に依頼した場合は、社内運用と比べて1件あたりのコール単価が高くなります。また、自社の営業メンバーが直接顧客にアプローチできないため、顧客ニーズの把握がより難しくなることもあるので注意が必要です。
アウトバウンドコールの課題を解決する方法
これらのアウトバウンドコールでよくある課題を解決する方法として、テクノロジーの活用をご紹介します。
ターゲティングもリスト作成も自動化する
ターゲティングから営業リストの作成まですべてを自動化することで、アウトバウンドコールの効率化が図れます。
顧客情報を入力したデータベースやCRMツール、インテントデータなどの顧客データを、AI(人工知能)が分析することで、条件に合った営業リストを自動的に生成することが可能です。
これにより、リスト作成にかかる手間が削減され、営業活動に集中できるようになります。また、自動化により作成された営業リストは統一された基準に基づいているため、営業活動の再現性も向上するでしょう。その結果、営業チーム全体の生産性向上やアウトバウンドコールの品質向上につながります
顧客のWeb行動分析でアプローチの優先順位を決める
営業リストを作成したら、アプローチする優先順位を決めましょう。
顧客のWeb行動分析は、最適なアプローチの優先順位を決める上で大いに役立ちます。
例えば、顧客がどのページを閲覧し、どのリンクをクリックしたかなど、行動データに基づき顧客の興味や関心事を推測します。さらに、頻度や検討段階によってスコアリングすることで、アプローチの優先順位付けを行います。
顧客ニーズに合わせた提案をする
次に、課題やニーズを把握して顧客に合わせた提案を行いましょう。
顧客が求めるものを理解し、それに応じた提案をすることで顧客の信頼を得られ、その結果、成約率の向上につながります。
ニーズ把握のための事前調査を行う際、顧客の業界や企業規模、過去の商談履歴などのほかにも、インテントデータの観察が有効です。
それらのデータをもとに顧客が抱える課題やニーズを推測し、解決策とともにトークスクリプトに落とし込みましょう。
生成AIを活用すれば、顧客に合わせたトークスクリプトの文面作成も自動化でき、訴求効果が向上するだけでなく、作業工数の削減にもつながります。
データ活用でキーマンにダイレクトアプローチする
先の課題で受付ブロックについて述べましたが、受付を突破できない理由の1つに、つないでほしい相手がわかっていないことが挙げられるかと思います。
そこで、公開されている部署情報や人物情報の活用が有効です。それらのデータを活用してキーマンやキー部署を名指しで架電することで、電話を取り次いでもらえる確率が格段に上がります。
さらに、ただ電話を取り次いでもらえるだけでなく、顧客企業内の適切な担当者に直接アプローチすることで、早期の商談成立につながる可能性も高まります。
部署・人物データベースにアクセスがある場合には、ターゲットとなる企業の部署データを分析し、適切な担当者や決裁者を把握します。
続いて、人物データを活用し、キーマンの役職や経歴を事前に調べておきましょう。これにより、共通の話題や興味を見つけ出し、電話でのコミュニケーションをスムーズに進められるでしょう。
コミュニケーションチャネルを増やす
コールだけで思うような成果が出せない場合は、複数のコミュニケーションチャネルの活用を検討してみてはいかがでしょうか。
1つの手段にこだわらず、あらゆるチャネルを活用すること、通称「マルチチャネルアプローチ」には以下の利点があります。
- 顧客の好みに合わせたコミュニケーションが可能
- ターゲットに合わせた情報発信が行える
- 顧客との接点を増やすことでリーチ率が向上する
アウトバウンドの手段として、コールだけでなく、メールやSNS、問い合わせフォーム、DMなど、さまざまなアプローチチャネルが存在します。それらを駆使し、顧客に合わせた情報提供や効果的なアプローチを行うことで、営業成果の向上が期待できます。
例えば、若年層に対してはSNSを活用したコミュニケーションが効果的であり、会議続きの経営者に対してはEメールが適している場合もあります。
まとめ
アウトバウンドコールは、企業や組織が顧客に対しておこなう電話を使ったアプローチ手法の総称です。顧客と直接的にコミュニケーションすることで、顧客ニーズの把握やリアルタイムな情報提供ができる利点があります。
しかし、直接的なコミュニケーションであるがゆえに、顧客の不満につながったり、受付ブロックの壁に阻まれるなど、さまざまな課題が存在し、そのため敬遠されることも少なくありません。
ですが、AIやデータを効果的に活用することで、アウトバウンドコールが抱える課題のほとんどを解決することができるのです。
アウトバウンドコールにテクノロジーを掛け合わせることで、営業の効率化や競争力の強化、ひいては業績の向上につながります。
是非、ぜひこの機会にアウトバウンドコールにテクノロジーを駆使し、企業の成長につなげてください。