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営業DXとは?目的と実践手順を解説。事例とおすすめツールまで紹介

「営業DXをどのように進めればよいかわからない」
「そもそも営業DXとは?」

企業の営業担当者のなかには、このような疑問を持つ方も少なくありません。

営業DXは「営業活動の管理・分析」をはじめとした、さまざまな目的で推進されています。自社の目的・課題に応じた営業DXツールを活用することで「営業活動の効率化」や「成果の最大化」が実現できます。

本記事では「営業DXの概要」と「目的・課題別におすすめなツール」を中心に解説します。営業DXについて理解を深めて営業活動に役立てたい方は、ぜひご覧ください。

営業DXとは?

営業DXは、デジタル技術やデータを活用して営業活動を最適化するための手段です。営業プロセスや戦略を再構築して、営業活動の効率化や成果の最大化を目指します。

たとえば「書類で管理していた情報をデータ化してシステムで管理する」といった取り組みだけでなく「システム化して得た顧客データによる営業プロセスの再構築」といった取り組みまで行うのが営業DXです。

営業活動をDX化する目的・解決できる課題

営業活動をDX化する目的・解決できる課題は、次の3つです。

  • スキルの脱属人化するため
  • 営業活動を管理・分析するため
  • 営業活動の自動化・効率化を図るため

スキルの脱属人化するため

営業活動のDX化は「スキルの脱属人化」を目的として行われます。営業活動が属人化している場合、チーム全体の成果が特定の営業パーソンの成果に左右されます

営業活動が属人化すると「ハイパフォーマーの離職・異動によるリスク増大」や「人材育成の遅れ」「営業ノウハウのブラックボックス化」といった問題が起こり、受注機会の損失につながります。

スキルの脱属人化が実現できた場合、誰でも質の高い営業活動が行えるようになります。チーム全体の営業力が高まるため、組織全体の成果が向上します。

営業活動を管理・分析するため

営業活動のDX化は「営業活動の管理・分析」に関する課題も解決可能です。

営業活動がブラックボックス化している場合「顧客情報」や「進捗状況」が共有されません。すると「情報共有不足が原因で顧客からの信頼を失う」「スケジュールの遅れに気づかずトラブルが生じる」「タスクが重複してリソースを無駄にする」といった問題が生じます。

また、営業活動に関するデータが分析できていない場合「顧客のニーズに沿った提案」や「成功事例の踏襲」ができません。すると「提案内容が顧客に刺さらず失注する」「個人で試行錯誤を繰り返して営業効率が悪くなる」といった問題も起きるでしょう。

営業活動が管理できれば、各担当者が「いまやるべきこと」が明確になります。業務プロセスが整理されるため「業務の漏れ」や「重複タスク」がなくなり、営業活動が効率化できます。さらに、営業活動データの分析により、商談化率ひいては受注率の向上にもつながるでしょう。

営業活動の自動化・効率化を図るため

「営業活動の自動化・効率化」にも営業DX化は有効です。

特にアウトバウンド営業では、自社からリードへのアプローチが欠かせません。しかし「アポイントが獲得できない」「そもそも営業パーソンが足りず、商談数が確保できない」といった理由から、売上が伸び悩むケースがあります。

営業活動が自動化・効率化できた場合、たとえば「確度の高いリードの抽出」や「営業メールの送付」などが自動化できます。すると、アウトバウンド営業で活用する「ターゲットリスト」の作成や、営業アプローチが効率化するため、営業パーソンは商談に注力できます。

営業DXはツールで実践する

営業活動で生じる課題は「営業DXツール」で解決可能です。大きく分けて、以下の3種類に分類できます。

  • スキルの脱属人化のためのツール
  • 営業活動の管理・分析のためのツール
  • 営業活動の自動化・効率化のためのツール

スキルの脱属人化のためのツール

スキルの脱属人化に役立つのは「スマート電話ツール」と「ナレッジ共有クラウド」の2つです。

スマート電話ツールは、IP電話や録音機能、文字起こし、音声解析などの機能が搭載されているツールです。トークスキルが高い人材の話し方を解析し、話し方の特徴が把握できるため、営業トークのノウハウが蓄積できます。

代表的なスマート電話ツールの1つに「MiiTel」があります。

引用:MiiTel

MiiTelは、IP電話を通じたすべての通話が自動録音・文字起こしの対象となります。AIによる音声解析機能があるため、トップ営業の話し方の分析・可視化が可能です。

 

スキルの脱属人化につながるもう1つのツールである「ナレッジ共有クラウド」は、営業のナレッジが管理できるツールです。営業資料や動画、過去の提案資料などの管理に活用すれば、蓄積したナレッジが社内共有できます。そのため「社内教育」や「営業力の強化」に役立ちます。

代表的なナレッジ共有クラウドの1つに「Knowledgework」があります。

引用:Knowledgework

Knowledgeworkはナレッジの管理だけでなく、営業資料を活かした学習プログラムが作成できるツールです。管理データや学習プログラムの「利用状況」や「受講状況」まで把握可能なため、データ分析を通じた営業力強化やナレッジ共有のPDCAが回せます

営業活動の管理・分析のためのツール

営業活動の管理・分析に役立つのは「CRM / SFA」です。営業活動を進めるうえで必要な顧客情報や進捗状況、目標などが管理できるツールです。売上実績や推移などのデータも数値化できるため、アクションの改善に役立ちます。

代表的なCRM / SFAツールの1つに「 Mazrica」があります。

引用:Mazrica

Mazricaは、見込み顧客の創出から成約まで完結できるツールです。「見込み顧客の自動識別」や「AIによる一括名寄せ」が可能であり、マーケティングと営業のデータがシームレスに連携できます。

営業活動の自動化・効率化のためのツール

営業活動の自動化・効率化が実現できるのは「MA」と「セールスインテリジェンス」の2つです。

MAは、マーケティング活動の全般が自動化できるツールです。「リード管理」や「セグメントメール送信機能」などにより、顧客の興味・関心、行動に合わせた最適な施策が実行できます。

代表的なMAの1つに「Account Engagement」があります。

引用:Account Engagement(旧Pardot)

Account Engagement(旧Pardot)は、リードの関心度合いが測定できる「スコアリング」を搭載しています。優先度ランク付け機能で確度の高いリードが把握できるため、営業活動が効率化できます。

 

また、営業活動の自動化・効率化につながるもう1つのツール「セールスインテリジェンス」は、最新テクノロジーで営業領域の課題を解決します。搭載されている「インテントデータ」は、顧客のWeb上の行動を分析して「購買意欲」や「検討フェーズ」が予測できるため、効果的かつ効率的に営業活動が進められます

さらに「顧客の動向」や「ニーズの変化」をAIが解析し、顧客の購買意欲が高まったタイミングでシグナルを出します。「アプローチに最適なタイミング」が自動で把握できるため、営業活動を効率化しつつ成果が出せるツールです。

代表的なセールスインテリジェンスの1つに「Sales Marker」があります。

引用:Sales Marker

Sales Markerは、インテントデータをはじめとした膨大なデータを独自のアルゴリズムで解析し、リードへのアプローチに最適なタイミングが把握できるツールです。

ビッグデータとして潜在顧客のWebリサーチ情報が集約されており、1日あたり50億レコードもの検索行動データを取得しています。リードの購買意欲が高いタイミングが自動で把握できるため、効率化しながら「商談数」や「受注数」が増やせます。

Sales Marker(紹介資料)

営業活動をDX化する手順

営業活動は以下の3ステップでDX化を進めましょう。

1. 顧客データをデジタル化する

まずは「CRM / SFA」を導入し、顧客データをデジタル化しましょう。

顧客の「基本情報」や「属性」「商談履歴」などの顧客データは、営業活動を進めるうえで欠かせない情報です。顧客を理解して関係を構築し「商談化」や「受注」といった成果につなげるには、顧客データのデジタル化を優先すべきです。

2. 顧客獲得をデジタル化する

顧客データをデジタル化したら、次に「MA」や「セールスインテリジェンス」を導入して、顧客獲得をデジタル化しましょう。

「マーケティング」や「確度の高いリードの選別」といった顧客獲得をデジタル化することで、営業パーソンはリソースを商談に割くことができます。さらにセールスインテリジェンスを活用すれば、商談の場で「顧客のニーズに沿った訴求」が可能となるため、受注率アップも期待できます。

3. スキルをデジタル化(数値化・標準化)する

顧客データと顧客獲得がデジタル化できたら、最後に「スマート電話ツール」や「ナレッジ共有クラウド」を導入し、営業チームのスキルを数値化・標準化しましょう。

営業スキルを高めれば、企業の利益につながる商談の質が向上します。また営業チーム全体が一定以上の営業スキルを身につけることで、営業生産性の向上も期待できます。

営業スキルの属人化は、企業全体の生産性を低下させる要因となります。そのため営業スキルをデジタル化し、企業の成長を促進させましょう。

営業DXに成功したBtoB企業事例

BtoB企業で営業DXに成功した2つの事例を紹介します。

NTT東日本

通信会社である「NTT東日本」では、新規事業の開始とともにデジタル技術を活用した営業活動効率化を目指し、インサイドセールス部門を立ち上げました。

顧客データや営業データを分析し「PDCAサイクルを回す」「営業戦略の立案・改善策に活かす」といった方法で、リード獲得は10倍超え、受注額は34倍も向上しています。

また、顧客への連絡ツールに「オンライン商談システム」を活用することで、伝えられる情報量が増え「受注率」や「受注単価」が増加しました。

インサイドセールス部門が「リード獲得」から「クロージング」まで担うことで、他部署との摩擦をなくし、営業活動に専念できる環境作りを行っています。

参考:Web担当者Forum|リード獲得数10倍、受注率4倍に増やした、NTT東日本の「インサイドセールスセンター」

ミスミグループ本社

ものづくりに関連するカタログ販売を行っている「ミスミグループ本社」では、新設した営業・マーケティングチームにおける顧客フォローの偏りや抜け、漏れなどが発生している状況でした。

顧客フォローの課題解決を目的としてCRM / SFAを導入し「顧客情報の一元化」を実現しました。また、MAも導入して「サービス未登録のリード」から「リピートで利用するロイヤル顧客」まで、顧客のセグメントをもとにした「メールの自動配信」を仕組み化しています

その結果、営業DX前と比較して顧客獲得数が4倍になり、営業DX化に成功しました。

参考:セールスフォース・ジャパン|株式会社ミスミグループ本社

まとめ

営業部門における課題は、企業によって異なります。自社の課題に応じて営業DXツールを導入することで「営業活動の効率化」や「成果の最大化」につながります。

自社の営業活動の最適化のために、営業活動のDX化に取り組みましょう