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名寄せとデータクレンジングとは?CRM・MAツールの成果を最大化するデータ最適化手法

#インテントデータ|セールスインテリジェンス|マーケティング#営業|MA|マーケティングオートメーション

近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に伴い、顧客データの活用に取り組む企業が増えています。

しかし、多くの企業が直面する課題の一つが、データの統合や管理の難しさです。CRMやMAツールを導入しても、データの重複や表記ゆれ、誤入力などが原因で、正しく顧客情報を管理できないケースが少なくありません。

そこで重要になるのが、「データクレンジング」と「名寄せ」というデータ最適化のプロセスです。

本記事では、「データクレンジング」と「名寄せ」の具体的な違いとメリット、導入のポイントを詳しく解説し、CRM・MAツールを最大限活用するためのデータ最適化手法をご紹介します。データ管理に課題を感じている方は、ぜひ参考にしてください。

従来の一方的な営業ではなく、顧客の興味関心(インテント)を捉え、適切なタイミングで価値を提供する戦略が求められています。

そこで注目されているのが、「インテントホイール」という考え方です。インテントホイールは、顧客の購買意向を可視化し、営業・マーケティング活動を連携させて成果を最大化するフレームワークです。

徹底解説!顧客起点で事業を成長させる「インテントホイール」とは?

データクレンジングとは

データクレンジングとは、「破損したデータ」「不正確なデータ」「無関係のデータ」を特定し、修正・削除・統合することで、データの正確性や一貫性を向上させるプロセスです。

企業が蓄積するデータは、入力ミスやシステム間の統合不備などによって、不完全な情報や重複データが発生しやすく、そのままでは正しい分析や意思決定を妨げる要因になります。

名寄せとは

名寄せとは、複数に分散されているデータベースに存在する同一人物、同一企業、同一世帯のデータを識別し、同一のIDを付与することで統合・整理するプロセスです。

企業の営業・マーケティング活動において、顧客データがCRM、SFA、MAツール、会計システムなど複数のシステムに分散して管理されているケースは珍しくありません。

しかし、表記ゆれや入力ミス、異なるデータ形式の影響で、同じ顧客でも別々のレコードとして登録されることが多く、正確な顧客管理が困難になります。

「データクリーニング」と「名寄せ」の違い

データクリーニングと名寄せは、どちらもデータの精度を向上させるための重要なプロセスですが、目的と処理内容が異なります。

データクリーニングは、住所の誤字を修正したり、電話番号のフォーマットを統一したりすることで、データの品質を向上させます。

一方、名寄せは、「株式会社ABC」「(株)ABC」「ABC Co., Ltd.」といった異なる表記を同じ企業として扱えるように統一します。

つまり、データクリーニングは「データの正確性を向上させる作業」、名寄せは「同一のデータを統合し、一元管理する作業」という違いがあります。

営業やマーケティングにおいては、両方のプロセスを適切に行うことで、CRMやSFAのデータの質を向上させ、より精度の高い顧客アプローチが可能になります。

データクレンジングの手法一覧

データクレンジングではこのような各種データの表記ゆれなどを、主に以下の手法で整理します。

このようなデータクレンジング手法を適用することで、データの正確性を向上させ、営業・マーケティング・業務プロセス全体の生産性を高めることが可能になります。

特に、CRMやSFAを活用する企業にとっては、データの品質が営業成果や意思決定の精度に直結するため、定期的なデータクレンジングの実施が不可欠です。

名寄せとデータクレンジングを実施するメリット

ここでは、名寄せとデータクレンジングを行うことで得られる主なメリットについて3つ解説します。

営業・マーケティングの効率向上

データが正確で整理されていれば、営業リストの作成やターゲット選定がスムーズになり、無駄なアプローチを減らして商談化率を向上させることができます。

例えば、CRMに重複登録されている顧客データを統合することで、同じ顧客に複数の営業担当が重複してアプローチすることを防げます。

誤ったメールアドレスが登録されていると、メールマーケティングの開封率やクリック率が低下し、貴重なリードに対するアプローチ機会を失ってしまいます。

しかし、データクレンジングによってメールアドレスのフォーマットを統一し、誤入力を修正することで、送信エラーを減らし、メールの到達率を向上させることができます。

CRM・SFA・MAツールの運用最適化

名寄せやデータクレンジングを適切に行うことで、購買履歴や問い合わせ履歴が統一され、顧客ごとの適切なフォローアップが可能になり、CX(カスタマーエクスペリエンス)の向上につながります。

また、ターゲティングの精度が上がることで、広告配信やキャンペーンのROI(投資対効果)を最大化できます。

 

【用語説明】
※CX(カスタマーエクスペリエンス)とは、顧客の商品・サービス購入や利用にかかわるさまざまな体験を価値として提供するところに、マーケティングの方向性を設定しようという考え方

DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進

名寄せとデータクレンジングを実施することで、顧客情報や取引データを統一し、部門横断でのデータ活用が可能になり、業務プロセスの効率化、意思決定の精度向上につながり、データドリブンな経営を実現することができます。

企業がデータを活用してAIや機械学習を用いた予測分析や自動化を進める場合、データの質が低いと分析モデルの精度が大幅に低下し、マーケティング施策のターゲティングがズレたり、営業戦略の最適化が困難になります。

また、CRMやSFA、MAツールなどを導入しても、営業部門では「株式会社ABC」、マーケティング部門では「(株)ABC」と登録されていると、それぞれの部署が同じ顧客を別の企業と認識してしまい、適切なフォローができない可能性があります。

 

【用語説明】
※データドリブンとは、売上データやマーケティングデータ、WEB解析データなど、データに基づいて判断・アクションする事

データクレンジングと名寄せの導入ポイント

効果的に運用するためには、適切なツールの活用やルールの整備が必要となるでしょう。ここでは、導入時に押さえておくべきポイントを5つ解説します。

1.データの現状を把握する

まずは、自社のデータがどのような状態にあるかを分析し、どの程度の誤入力や重複が発生しているのか、どの項目に不備があるのかを明確にすることが重要です。

CRM・SFA・MAツールなどに蓄積されたデータをチェックし、データの一貫性や正確性に課題がある部分を特定します。

2.データクレンジングと名寄せの目的を明確にする

データクレンジングと名寄せの目的は、データを整理することではなく、営業・マーケティング活動の精度向上や業務効率化を実現することです。

その為に以下のような目的を明確に設定すると、導入後の成果が見えやすくなります。

・営業リストの重複を削減し、同一顧客への重複コンタクト回数を削減
・CRMの顧客情報を統一し、メール配信リストのエラー率を〇〇%削減
・データ分析の精度を高め、売上予測モデルの精度向上

3.適切なルールを定める

データの一貫性を確保するために、入力ルールやフォーマットの統一が必要です。

企業名の表記ゆれを防ぐために、「株式会社」や「(株)」の表記を統一するルールを策定したり、電話番号のフォーマットを決めたりすることが有効です。

また、データの更新頻度やメンテナンスのルールを定め、定期的にデータクレンジングと名寄せを実施する体制を整えることも必要です。

4.ツールを活用して自動化を進める

データの手作業による修正は時間がかかり、ヒューマンエラーも発生しやすいため、専用のツールを活用して効率的にクレンジングと名寄せを行うことが推奨されます。

CRM・SFAツールには、データの自動補正機能や重複排除機能が搭載されていることが多いため、これらの機能を活用することで手間を大幅に削減できるため、ツール利用の検討をすると良いでしょう。

5.定期的なメンテナンスを実施する

データクレンジングと名寄せは一度実施すれば完了するものではなく、継続的に実施することが重要です。

データは日々増加し、企業情報や顧客情報も頻繁に変化するため、定期的なデータチェックと更新作業を行うことで、常に最新かつ正確なデータを維持できます。

保有するデータ量やその変動の頻度によって異なりますが、目安として以下を参考にしてみてください。

・10万件以上の顧客データ・企業データ:毎月または週次
・1万件〜10万件の顧客・企業データ:四半期(3カ月に1回)または半期(6カ月に1回)
・1万件未満の顧客・企業データ:年1回

CRM・MAツールを最大限活用するためのデータ最適化手法

CRM・MAツールの機能を活用しながら、データクレンジングや名寄せ、標準化などの最適化する方法をツールの「どの機能で実践するか」を中心に紹介します。

正確な顧客情報を維持したい場合

正確な顧客情報を維持したい場合の重複データの統合を実践するには、CRMの「重複データ検出機能」を利用し、同一企業や同一担当者のレコードを統一します。

そこで、フォーマットの統一を実施します。企業名の表記(「株式会社ABC」「(株)ABC」)や住所のフォーマットを統一し、不要データの削除を行います。

その後に、欠損データの補完をCRM・MAツールの「データ補完機能」を活用し、足りない情報を追加することで解決します。

営業リストの質を向上させたい場合

営業リストの質を向上させたい場合は、CRMの「データフィルタリング機能」を活用し、業種・企業規模・所在地などの条件に基づき、適切なターゲットリストを作成します。

次に、不要なリードを削除し、確度の高いリードを抽出します。半年以上接触がない企業や、興味を示していないリードを除外することで、営業のリソースを効率的に活用できます。

さらに、MAツールの「リードスコアリング機能」を活用し、Webサイト訪問履歴、メール開封率、資料ダウンロード数などの行動データを基にスコアを付与します。これにより、確度の高いリードを特定し、営業担当者が優先的にアプローチできる仕組みを構築できます。

 

インテントデータを活用すれば、さらにリストの質を担保できる可能性があります。従来の営業リスト作成では、「今まさにニーズを持っている企業」を特定することは難しいです。

そこで、インテントデータを活用することで、「今、購買意欲のある企業」を的確に把握し、アプローチできるため、商談化率の向上や営業リソースの最適化が可能になります。

インテントデータの活用方法を知りたい方は、下記の資料を参考にしてください。

徹底解説!Bto B営業の常識を変える「インテントデーター」とは?

データをリアルタイムで更新し、最新情報を維持したい場合

顧客情報は日々変化するため、定期的なデータ更新を行わなければ、誤った情報に基づいた営業・マーケティング活動が発生する可能性があります。

まず、CRMの「データ更新機能」を活用し、企業の移転情報や担当者の異動情報を外部データベースと自動連携します。

次に、MAツールの「リード情報のトラッキング機能」を利用し、Webサイトの訪問履歴やメールの開封履歴をリアルタイムで記録します。

これにより、顧客の関心の変化を迅速に把握し、最適なタイミングでアプローチすることが可能になります。

クロスセル・アップセルを強化したい場合

既存顧客の商談履歴を活用することで、追加提案の機会を増やし、売上を拡大することが可能です。

まず、CRMの「商談履歴管理機能」を活用し、過去の取引データを分析します。特定の製品を購入した顧客に対し、関連する製品の提案を行うことで、クロスセルの機会を増やすことができます。

次に、MAツールの「パーソナライズドメール機能」を活用し、顧客ごとに最適な提案を自動化します。過去にA製品を購入した顧客に対して、A製品の最新バージョンや関連サービスの案内メールを送信することで、アップセルの機会を増やせます。

さらに、AIを活用したレコメンド機能をCRMに組み込み、購買データを基に次に購入する可能性が高い商品を特定し、営業担当者に通知することで、より精度の高い提案が可能になります。

おすすめの名寄せツール

最後に「名寄せ」を実施できるおすすめツールを4つ紹介します。

SalesMarker|株式会社Sales Marker

【運営会社】株式会社Sales Marker

Sales Markerでは、法人番号や企業名をキーに自社の保有リードリストをマッピングし、企業名の表記揺れを自動修正し、業種・売上・従業員数などの企業情報を付与することで、リード情報の最適化を行っています。

一般的な名寄せツールは、法人番号や企業名の照合によるデータ統合が中心ですが、Sales Markerでは「インテント情報」を活用し以下の3つを実現できます。

・リアルタイムの購買意欲を反映
・表記ゆれの統合だけでなく、最適な営業タイミングを特定
・法人番号だけでは判別しづらい企業の動向をデータとして可視化し、営業精度を向上

インテント情報を活用することで、「今、どの企業がどの商品やサービスに関心を持っているのか」まで特定可能になるため「BtoB営業のリード管理を最適化したい企業」や
「ターゲットに最適なタイミングでアプローチしたい企業」におすすめです。

Excel|Microsoft社

【運営会社】Microsoft社

Excelの標準機能やアドイン、外部ツールを活用することで、データの重複や表記ゆれを解消し、より正確なデータ管理が可能になります。

ただし、Excelの管理業務では手作業でのデータ入力が多く、数値の誤入力やセル位置のミスが発生しやすくなります。

作成者と入力者が異なる場合、重要な数式が誤って削除されるリスクもある点に注意する必要があるでしょう。

Sansan Data Hub|Sansan株式会社

【運営会社】Sansun株式会社

Sansan Data Hubは、法人向けクラウド名刺管理サービス「Sansan」の名寄せ機能を備えたデータ統合ツールです。

拡張データドライバー「CData Drivers for Sansan」を活用し、ETLツール、DWH、BIツールと連携できるのが特徴です。

BIツールやDWHと連携して名刺データを活用したい企業や、Marketo、SATORIと連携してリード管理・顧客アプローチを進めたい企業に適しています。

Speeda|株式会社ユーザベース

【運営会社】株式会社ユーザベース

旧FORCASは、株式会社ユーザベースが提供するABM(Account Based Marketing)ツールで、B2B企業の営業・マーケティング活動を支援します。2024年にSPEEDA・FORCAS・INITIALは「スピーダ」に名称を変更されました。

Salesforceとの連携により、CRM上でターゲット企業の情報を一元管理し、営業活動の効率化を図れる点が特徴的です。

本記事のまとめ

「データクレンジング」と「名寄せ」を実践することでデータを整理し、適切に管理し、営業リストの質を向上させ、リードへのアプローチを最適化が期待できます。

また、インテントデータの活用によって、購買意欲の高い企業をリアルタイムで把握し、適切なタイミングでアプローチすることが可能になり、営業の効率化につながります。

データを活用することは、業務の効率化だけではなく、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進やデータドリブンな意思決定の精度向上にも直結します。

今後のBtoB営業やマーケティング施策において、名寄せやデータクレンジングのプロセスを積極的に取り入れ、より高度なデータ活用を目指していきましょう。

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